本の紹介 : 野田正樹著「戦争と罪責」2


北支戦線

山西省で軍医として従軍したY氏の行状を追います。

 

彼は開業医の息子として1916年に生まれ、普通に医者を目指し医大を出た。

彼は政治や国家に関心が無く、普通に出世を望み、中国人への差別感情もあった。

伝染病棟に勤務後、真珠湾攻撃の年、25歳で軍医を志願した。

翌年、中国山西省の陸軍病院に赴任する。

 

着任後、まもなく「手術演習を行う。解剖室に集まれ」と告げられた。

師団の軍医達と病院長がいる部屋に、二人の農民が捕縛されていた。

二人は強制的にベッドに横たわらされ、麻酔注射を打たれた。

そして20人ほどの軍医が、それぞれ腰椎、虫垂、上腕、気管、腸の吻合手術の練習を順次行った。

三時間後、二人はまだ呼吸を続けており、生きたまま埋められないので、静脈注射でやっと殺した。

 

野戦病院

< 野戦病院 >

 

この始めての経験を「自分が情けなくてね」と、80歳になる老医は涙を流しながら回想した。

しかし彼は3年間に7回の生体解剖を経験するが、やがて自ら計画し、憲兵隊に中国人を要求するようになる。

彼は衛生補充兵の解剖学習と度胸付けの為に、自ら一人を生体解剖し、内臓と新鮮な大脳皮質を切り取り見せた。

また求めに応じて患者から分離したチフス菌などを送り、それが細菌戦に使用された。

 

彼は終戦後、多くが帰国する中、現地に残った。

「憲兵とか凍傷実験をやった731部隊は悪いが、私らはそんな悪いことはしていない。」

「戦争だし命令だから、仕方がない。」

「医者だからこの地で役に立つはずだ。」

彼には、罪の意識や断罪される恐怖心はなかった。

 

しかし6年後、家族と共に捕虜収容所に送られ、自発的な罪状告白を徹底要求された。

ある日、彼は手紙を受けとった。

「私は、お前に息子を殺された母親だ。息子は突然、あの日の前日、憲兵隊に連れて行かれ・・・」衛生補充兵の前で行った解剖被害者の母より。

彼は、薄暗い監獄の中で、自分の行為が、如何に非道だったかを思うようになっていた。

 

5年後、起訴猶予で釈放され、日本に帰国し医者として働いた。

家族と仕事への配慮から秘匿していたが、6年後から平和運動に参加し、1981年、自分の戦争犯罪を本に著した。

 

やがて出版への反応が返って来た。

*       「どうか波風の立たないように、伏してお願いする。」と一緒に解剖した軍医より。

*       「見て憤慨に堪えない。売名か、軽薄極まりない。国際関係の微妙な時に・・」と罵倒する同年配より。

*       「共に肉親として苦渋を飲む覚悟をしなければならぬ。よく吐露してくれた。」と医者である著者の兄より。

当時、北支那方面に数千人の軍医と衛生兵、看護婦がさらに数千人はいたが、数人が吐露しただけであった。

しかも彼らは中国の捕虜収容所で洗脳されたとして、発言の信憑性と人格を否定され続けた。

 

 

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