私達の戦争 2: 当事者が振り返る戦争とは 1


 本

*     1

 

これから数回にわたり、第二次世界大戦に参加した人が、日本の戦争をどのように見ているかを紹介します。

今回は、陸軍士官学校在学中に敗戦になり、後に企業で成功された中条高徳氏の意見を紹介します。

 

「おじいちゃん戦争のことを教えて」(小学館、2002年刊)より

上記著作から抜粋要約し、彼の考えを見て行きます。

 

戦争の本質について(Ⅲ章タイトル)

「あってはならない戦争を、日本とアメリカはやったのだ。その責任は日本とアメリカ双方にある。日本は中国大陸に戦線を拡大して誤った。アメリカは日本を戦争以外の選択肢がないところに追い込んで誤った。双方がそういう過ちを犯したのだということをきちんと認識しなければならない」p109

 

国益の視点に立つ(タイトル)

「国益最優先が行動原理となるのは当然なのだ。・・だから、二つの国の利益が相反したとき、一方にとっては正義でも、その正義は相手にとっては正義ではない、・・」p113

 

戦争以外に選択の余地はなかった(タイトル)

「日本は追いつめられた。・・ハル国務長官(ハル・ノート)が示した対日要求は呑めるものではない。呑めばこちらは丸裸になって、・・」p125

「日本の選択肢はそんなになかったと私も思う。屈服してアメリカのいうがままになるか、戦って一矢を報いるか。・・とすれば戦う以外にはないではないか。」

 

これが彼の考える「日米開戦の正当性」です。

つまり、双方に非があり、なるべくしてなったとしている。

おそらく、これは愛国心を痛めず、心地良く受け入れ易い説でしょう。

この歴史認識が正しいかは、他の当事者の意見を検証していくうちに判明します。

 

ここでは彼の生き方と考え方を見ておきます。

彼は戦時中、士官学校に学んでいます。

その理由を、世界は帝国主義全盛で日本は富国強兵で成功しており、成績優秀であれば軍人としてお国の為に尽くすのが、当時の風潮だったからとしています。

敗戦後、アサヒビールに入社し、成功し、最後は名誉顧問に就任している。

現在、保守系政治団体の代表委員の一人として「日本民族の誇りと公の精神」等の講演や著述活動を勢力的に行っている。

 

結局、彼は大和魂に憧れ、軍人精神をたたき込まれたが、戦地に行くことはなかった。

この著書は、文章が平易で読みやすく、論旨が明快で、要点が繰り返され、情緒的に訴えるうまさがある。

彼の印象は、熱血漢、行動する人らしくシンプルで、迷いは微塵もない。

「・・神道は宗教ではないからである。・・それは日本の心だ、・・」p224

「日本の精神が失われたとき、天皇は存在し得なくなる」p223

彼の根底にあるのは、「愛すべき、守るべき古き良き国風、神聖にして犯すべからざる日本」でしょうか。

 

少し考えてみましょう

地震によって家屋が大きく倒壊したとしましょう。

一人は、地震に善悪など無い、これはなるべくしてなったものだと見なし、直ちに復興を始めました。

もう一人は、彼の選んだ立地と家屋強度に問題があったとし、家屋強度を上げるだけの現実的な判断をして再建を始めました。

 

通常、後者の態度が多くの災厄や失敗から学び、無難だと言えます。

しかし、ひとたび愛国心や郷土愛が介在すると、事はすんなりと行かないようです。

 

 

 

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