私達の戦争 22: 銃がもたらすもの 6


1サラペイリン

*1

 

なぜ人々は悲惨な結果を招く銃を無くすことが出来ないのだろうか。

武器を巡り繰り返す確執、深みにはまり抜け出せない社会がそこにあります。

米国を中心に見ます。

 

米国の状況

 

2犯罪推移2

< グラフ1. 米国の犯罪と銃保有率の推移、by date of FBI and GunPlicy >

 

銃保有率(紺)は1993年の46%から2000年の34%へと24%減った。

それに連れて、暴力犯罪(黄)は33%減、殺人(ピンク)は42%減、窃盗(青)は24%減となった。

しかしその後、銃保有率は下がらず2010年の32%で下げ止まり、現在、銃の個人所持率は101%です。

そのためか死者数は2000年の10.2から2011年の10.3と微増した。

結局、英国同様、米国も銃規制がさらに深まることはなかった。

 

3世論調査

< グラフ2. 米国の銃規制に対する賛否世論の推移、by GALLUP >

 

銃規制賛成派は1959年に60%あったが、現在下がって26%となり、銃規制反対が73%と完全に逆転してしまった。

 

4兵器

*4

 

なぜ銃規制(改革)は進まないのか

経済力と政治が生む惰性

銃の製造額は年間1兆円程度だが、全米ライフル協会支援、銃規制反対キャンペーン、規制法案阻止のロビー対策等に、規制派に比べ潤沢な費用が使える。

長年、民主党は銃規制派で、共和党は規制反対派です。

共和党の支持母体に軍需産業と会員400万人の全米ライフル協会などがあり、どうしても選挙時、保守・タカ派色がより強くなる(巻頭写真は副大統領候補)。

ちなみに、米国の年間軍事予算70兆円、兵器製造額20兆円、兵器輸出額1兆円。

これらの事業継続の為に、世論操作や共和党側に潤沢な対策費が支払われることになる。

このメカニズムが社会を現状維持(保守)に向かわせることになる。

 

より重要な問題

それにしても、なぜ多くの人が規制賛成から反対に変わってしまうのだろうか?

一つには、人々の脳裏には大戦時の武器による悲惨さが鮮明であったが、やがて薄れていくことにある。

そこに多くの情報が危機や不安を煽ると、特にそれが直近で身近なものであればあるほど効果は絶大となる。

実際に、銃は蔓延してしまっているのですから。

ましてや膨大な情報により、銃規制の治安向上効果を否定され、それが先の事ならなおさらです。

この情報の大勢は上記の経済力と政治が生みだしたものです。

これは日本の原発賛否世論が広告宣伝費の大量投入で逆転していく様子と符合します。

 

最も重要な問題

人はどうしても、直近の大きな恐怖や不安に囚われてしまうと、前向きに先を見越した行動をとりにくい。

既に見たように、直感に反して銃の抑止力は社会全体から見れば無いに等しかった。

個々の場面では、銃は強盗を抑止出来たはずでしたが、社会全体から見れば攻撃力が抑止力を上回るからです。

問題は、人々がこの事に気が付かないのか、感情に支配されてしまっているからです。

 

なぜ気が付かないのでしょうか?

それは大きな認識の転換が必要だからです。

暴力や殺人を増大させた主原因は、無数の銃が無秩序に出回ったと言うことに尽きます。

日本が安全なのは、皆さんが銃を持つ警察を信頼し、個人が銃を放棄したからです。

危機と不安を解消させる解決策は簡単で、管理されている治安部隊だけが武器を持ち、他は禁止し、武器の総量を極小にすれば良いのです。

歴史的に見て、全人類(特に先進国)はこの方向ですべての安全保障(福祉、安全など)を向上させて来ました。

 

今一歩の踏み込みが必要なのですが、多くの社会(国家)は歴史(過去の経緯)に囚われてしまう。

 

得られた教訓

ここで銃を武器や軍備に置き換えてみましょう。

 

個々の自衛権を野放図にしてしまうと、むしろ逆に危険が増大する。

国々の安易な自衛権行使は、多くの紛争を生む可能性があり安全保障力を低下させる。

特に、多数の国が、互いに自衛権と称してつばぜりあいをすればより危険が増す。

本来、武器や軍備の「自衛」と言う概念はあやふやで、攻撃と防御の境界は定かではない。

同様に、武器や軍備の「抑止力」も実際には不完全で、直感とは異なる。

抑止理論は研究者でも定まらず、どちらかと言うと人類のユートピア的な概念です。

 

5民兵

*5

 

米国の銃社会から派生する幾多の問題

銃が蔓延する米国から多くの弊害がもたらされています。

 

* 武器輸出と援助

米国の武器製造額と輸出額は世界のトップで、テロ撲滅を声高に言う一方で、合法不法による武器がテロ組織や内戦地帯に供給されています。

 

* 軍事行動の正当化

有りもしない銃の抑止力を正当化するキャンペーンは軍事産業に多大な貢献をすることになる。

なぜなら軍備や軍隊を増強するとき、合意を得ようと必ず抑止力の向上を唱えるからです。

国民は、銃の抑止力を信じることにより、漠然とした国家間の抑止力も信じやすくなります。

相互確証破壊理論による核開発競争、トルーマン・ドクトリン(共産主義封じ込め)によるベトナム戦争、J・ブッシュから始まった国家安全保障局による世界規模の盗聴(スノーデンが暴露)などは際限なき抑止力(攻撃力)を是認することから始まる。

 

* 集団的自衛権

民兵(個人間の集団的自衛権)は米国で現実の問題です。

イスラエルの元首相ネタニヤフ氏が言っている。

 

「機関銃を規制することは、自衛のために武器を持つ権利を否定していることにはならない。私的な軍隊の存在を否定しようとするにすぎない。重装備の反政府民兵組織が数千人規模で存在し続けるアメリカの現状は、市民の自由のグロテスクな曲解であり、・・」

ここで言う反政府民兵組織とは、伝統的な民兵テキサス・レンジャーから武装極右組織のことでしょう。

 

次回から、別のテーマで日本の「戦争と平和」を考えます。

 

 

 

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