私達の戦争 41: 質問に答えて「日本の失敗とは・・」3


1真珠湾攻撃

  • * 1

 

今日は、日本の失敗について考察します。

狭義には、太平洋戦争による大敗を指します。

だが重要なのは無謀な戦争をなぜ行ったかにあります。

 

 

日本の失敗とは何か?

多くの方は、太平洋戦争を失敗と見なすことで異論はないでしょう。

 

この戦争によって日本は多くの生命と生活、資産を失った。

遡る1世紀の間、国民の血と汗を注いで得た海外権益を一瞬のうちに消失した。

さらに隣国の怨念は消えるどころか、再燃しつつある。

おそらくこれが最も厄介な失敗になるだろう。

 

しかし、失敗と言われることに憤然とされる方もおられます。

少し、この点を検討しましょう。

 

2ヒトラー

  • * 2

 

「もし勝っていれば」

おそらく結果は同じでしょう。

世界に、かつての併合や植民地の後遺症はあるが、現在、植民地を持つ国は無い。

世界は、両大戦を契機に植民地を解放し、無法を粛正する趨勢になったのです。

日独伊は遅れて帝国主義の夢を追ったが、時代は変わり、大量破壊兵器と総力戦による大量殺戮と甚大な被害が世界を襲った。

一方、国民国家と海運の発達は、世界が協力して無法を正すようにもなった。

 

「大東亜共栄圏、植民地の解放と言う大義名分があった」

これが侵略のカモフラージュだったことは、被支配国の教科書で既に見ました。

もっとも被支配国には先客の侵略者がおり、日本が肩代わりしたとも言えなくもない。

どちらの被害が少なかったかは様々だろうが、残念なことに日本が最後だったのは痛い事実です。

3大統領

  • * 3

 

「米国にはめられて戦争をしてしまった」

これは一理あるが、並み居る皇軍の将や参謀が、ころっと騙されたとは・・。

日英米の軍縮会議で日本の軍艦は米の6割しか持てず、全量輸入に頼る石油(米から7割輸入)を突如禁輸される中で、勝利への一縷の望みは奇襲攻撃しか無かったと日本は考えた。

同情出来そうですね、しかし、少し待って下さい。

日本の軍艦所有量は国力差を示しており(実際は一桁違う)、日本の戦争意欲を挫く為に英米が石油禁輸に出ることは当然予想出来たはずです(以前から経済封鎖は段階的に進められていた)。

日本は、米国が要求を呑めば勝ち目の無い戦争を止めても良いと戦争準備をしたが、経済封鎖が始まると、後になればなるほど勝ち目は無くなると慌てふためいた。

単純に言えば、読みが甘すぎる、その場しのぎのつけが最後に回って来た。

 

ざっと見ても、失敗を取り繕うことは難しい。

重要なことは、なぜ無謀な戦争に突き進んだかにあります。

 

 4東條内閣

  • * 4

 

 

太平洋戦争は如何に始まったのか

既に、この連載「当事者が振り返る戦争とは」で見たように、軍中堅層は戦争で沸き立っていた。

満州や中国、仏印などで、現地の参謀などが独断で多くの戦端を開き、軍中央が渋々追認して来た。

しかも、彼らは罰せられることがなかった。

1930年代の相次ぐクーデターにより、軍の政権支配が始まり、血気と銃剣が国を動かすようになったのか。

天皇や政府、軍の首脳が彼らに振り回される、そんなことが考えられるだろうか。

 

外交では日英同盟破棄(1921年)、国連脱退、日独伊三国同盟締結、日ソ中立条約締結(1941年)が真珠湾攻撃の年まで進められていた。

これら政策は、当時破竹の勢いであったドイツと結び、中国侵攻に反対する米英を押さえ、隣国のソ連を鎮める算段であった。

しかし日本の読みはことごとく逆に作用し最悪の事態へと進んだ。

太平洋では役に立たないドイツとの同盟は、米国をむしろ態度硬化させただけで、さらにヒトラーの裏切りによるソ連侵攻は、米ソによる日本の挟み撃ちを招く結果となった。

しかも真珠湾攻撃の2日前、ドイツは半年前に始めたソ連への快進撃で20万人の死者を出してモスクワを目前に撤退を始め、早くも陰りが生じていた。

 

真珠湾攻撃を決する御前会議の前日(攻撃の9日前)、天皇は海軍のトップ二人を呼んで質問された。

「ドイツが欧州で戦争をやめたときはどうかね」

嶋田海相は答えた。

「ドイツは真から頼りになる国とは思っていません。ドイツが手を引きましても、差し支えありません」

 

5御前会議

  • * 5

 

この質疑には、この戦争主導体制の特徴がよく出ている。

海軍は、創設時の経緯で英米寄りであり、英米の情報量が多く、勝ち目のない戦争に反対であった。

陸軍は、これも創設時の経緯によりドイツ信奉で、米英を軽んじていた。

ここ20年ほど、政府と軍部内で、上記の対立を繰り返しながらも、ドイツの威光を借りて英米を黙らせる方向で進んでいた。

その前提が無くなることは国策の根幹が崩れるのであるが、大臣には当然のように対案もなく諦め口調であり、責任感も無い。

天皇も心配になり言葉を交わすが、軍指導部の提案を御前会議で予定通り裁可するのが常であった。

このような事例は枚挙に事欠かない。

国策の最高決定機関となっていた御前会議(天皇と政府首脳)の実態はこのようなものだった。

 

 

次回も続きます。

 

 

 

 

 

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