デマ、偏見、盲点 29: 暮らしのカラクリ 3: カラクリを支える日本文化


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今まで日本の劣化、経済、軍事、政治について語って来ました。

読まれた方は、これらの劣化に共通する文化があることに気付かれたはずです。

今日は、中でも極め付きの「自己責任」と「忖度」について考えます。

 

 

 

 

はじめに

 

今、流行りの「忖度」は体制批判、腐敗の象徴を示す言葉として急浮上しました(安倍政権になって)。

一方、「自己責任」はかつて個人の身勝手を攻撃する言葉として喝采を浴びました(小泉政権時のイラク人質事件で)。

 

不思議なことに、体制側の人々は「忖度」に対して、国民の中には「自己責任」に対して、嫌悪感やこじつけを感じている。

 

この二つの言葉自体は古くから使われており、日本の文化に深く根を下ろしたものです。

逆に言えば、一方だけを無しには出来ない。

 

言葉のおさらいをしておきます。

 

忖度: デジタル大辞泉より

他人の心をおしはかること。また、おしはかって相手に配慮すること。

例として「作家の意図を忖度する」「得意先の意向を忖度して取り計らう」など

 

自己責任: デジタル大辞泉より

自分の行動の責任は自分にあること。自己の過失についてのみ責任を負うこと。

例として「投資は自己責任で行うのが原則だ」など

 

皆さんは、この二つの言葉を素直に受け取り、むしろ日本の美徳だと感じるはずです。

1982年、大ベストセラーとなった鈴木健二著「気くばりのすすめ」はよく「忖度」の一面を現しており、多くの方が共感されたはずです。

 

それでは人々はなぜ嫌悪感を示すのでしょうか。

また何が日本社会の劣化を招いているのでしょうか。

 

 

 

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* 「忖度」の不思議

 

「忖度」自体はあらゆる日本社会(村、企業、国会、官庁)で日常的に行われています。

 

人々は忖度しないことも可能ですが、多くは組織、特に上司から疎まれ、最悪落ちこぼれか身勝手の烙印を押されることになるでしょう。

逆に言えば、出世する人にとって「忖度」は必携なのです。

 

それでは今回、首相周辺に対して「忖度」を指摘すると、彼らはなぜ躍起になって否定したのでしょうか?

それは首相周辺が首相の望む方向に不正な判断(行政手続き)によって行政を私物化(不当な便宜供与)していたことを否定する為でした。

 

日本の行政では、既に「忖度」による便宜供与が蔓延しています(最近の急速な悪化は目立つが)。

しかしこれを取り締まる術(例えば北欧発祥のオブズマン制度や米国で発達した内部告発制度など)が未発達な為、摘発や抑制が困難なのです。

そこで、証拠を残さず適正に処理をしたと言明さえすれば事なきを得るので、後は動機としての「忖度」を否定さえすれば済むと考えたのです。

馬鹿にした論理なのですが、これが日本ではまかり通るのです。

 

「忖度」が蔓延る理由があります。

トップが事細かく指示しなくても、部下たちがトップの意向を汲み取り、仕事をこなして行き、組織が一丸となって進んで行くメリットがあります。

またこんなメリットもあります。

上司が部下に危ない仕事を忖度させて行わさせ、それがトラブルになった時、当然、上司は責任を部下に押し付けることが出来る(上司は楽で安全)。

これは企業や官庁ではよくあることで自殺者が出ることもある(ドラマのネタ)。

 

これが欧米に理解出来ない理由は文化の違いもあるが、「忖度」にはデメリットがあるからです。

本来、仕事は上司の指示かマニュアルに基づくものです(自主性を重視するものもある)。

「忖度」が問題なのは部下に迅速で的確な仕事を期待出来ないからです(日本では欠点にならない)。

 

 

 

 

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* 「自己責任」の不思議

 

「自己責任」は世界に通じる概念ですが、実は日本特有のニュアンスがあります。

 

極端に言うと、「神が私に責任を問う」と「皆が私に責任を問う」、これがキリスト教圏と日本での「自己責任」の違いなのです。

 

日本では、誰も見ていなければ(バレなければ)、本人は責任をあまり感じないのですが、集団内でトラブルが発生すると、その責任を個人に負わせる傾向が強いのです。

この日本特有の心理は微妙なのですが、多くの人は上記の指摘に思い当たることがあるはずです。

 

本来、「自己責任」は法に触れない限り、自分で責任を取ればよく、他から強制されものではない。

しかし、多くは「この問題は、企業や政府に一切の責任はなく、あなた個人が責任を負うべきである」と組織や社会から追及されることになるのです。

この追及は、必ずしも組織のトップや上司とは限らず、周辺の仲間からも行われることになる。

 

日本ではこのようにして社会から過大な追及や抑圧がかかるのです。

これが自殺を増やしている背景にもなっているはずです。

 

 

 

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* 「自己責任」と「忖度」の根にあるもの

 

皆さんは、既に気づかれたかもしれませんが、この二つは日本の村社会の文化に根付いたものなのです。(村社会の定義について、注釈1)。

 

社会心理学ではこれを「帰属意識が高い」と言い、アジア人は欧米人よりも強いことが分かっています(おそらく稲作文化起源)。

この村社会の文化は強い組織を生むのですが、逆に現代社会の発展を妨げるのです。

目立つ問題点としては独裁指向、個人軽視(人権無視)、排他的、現状維持、ダブルスタンダードなどでしょう。

まったく今の政権を言い表しているようです。

 

 

「忖度」には、子分がトップの強い支配を受け入れ、従うことで安泰を図る目的があります。

このようなことが起きる社会、多くの後進国や発展途上国では政治経済が未成熟なままです。

 

日本では、この傾向が未だに残っており、外側に脅威を感じ、社会に失望感が広まると強権的な人物がトップに担がれ、村社会的状況が一気に大きく頭を持ち上げることになる。

日本はアジアの中でも最古層の家族形態(長子相続)が遺存しているので、より強く反応するのです。

 

「忖度」の弊害を放置すると社会は劣化を深めますので、先ずは不正な便宜供与を取り締まる法整備が不可欠です。

 

 

「自己責任」は、個人よりも組織を優先する中で、組織の意向に沿わない者を村八分にするようなものです。

また社会や組織で問題が発生した時、個人が責任を取ることにより組織の安泰を計ろうします。

これはやくざ社会や武士社会によくあるパターンで、この滅私奉公が刑務所帰りや残した家族の安泰に繋がると言うわけです(大企業では今もある)。

これは国政や企業のトップに取っては非常に都合の良い文化なのです。

 

しかし、これらが個人の権利意識や社会意識を低くしてしまっているのです。

その現われの一つが、「賃金が安いのは本人の問題」「賃金を上げると経済は失速する」「消費増税と企業減税は必要」などの発言に、国民は自らの責任と受け止め、安易に納得し協力してしまうのです。

 

「自己責任」の弊害に即効性のある対策はありません。

これは国民の気付きしか無いように思われます。

これには教育が重要ですが、今の政府は逆行しているので絶望的です。

 

どうか皆さんに、日本の文化の悪い側面が今の政治や社会の劣化を助けていることに気付いて欲しい。

 

 

終わります。

 

 

 

注釈1

 

村社会の特徴: Wikipediaから抜粋

 

部族長による支配、ボスと子分の上下関係が厳然と存在する。

 

以下のような問題点があり、外部とのトラブルの原因となっている。

 

*少数派や多様性の存在自体を認めない。

*世間一般のルールやマナーは守らず、他者にも強要。

*寄らば大樹の陰。横並び。

*排他主義に基く仲間意識が存在する。

*自分逹が理解できない『他所者』の存在を許さない。

*同郷者に対しては「自分達と同じで当たり前」という意識を抱いており、自我の存在を認めない。

*白か黒か、善か悪かといった二極論を好み、中立や曖昧な考えを嫌う。これが「異端者は自分たちを見下している/敵意を抱いている/自分より劣る存在である」といった思い込みを生み、一度こじれた場合の収拾がつかなくなってしまうことが多い。

*弱いと規定したものに対しては、陰湿且つ徹底的に圧迫を加える。構成員は陰口を好む。

*プライベートやプライバシーといった概念が無い。

*事なかれ主義が多い。

*噂話に対しては、真実かどうかを追求するより、噂を既成事実にしようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Categories: culture+society, <japanese language, opinion, politics, Series: False rumor, prejudice, blind spots, uncategorized | Tags: , | Leave a comment

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