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デマ、偏見、盲点 22: 何がバブル崩壊と戦争勃発を引き起こすのか? 1


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これから、二つの悲惨な結果に至るメカニズムを考えます。

バブル崩壊と戦争勃発はまったく異なるように見える。

しかし実は同じようなメカニズムが働いているのです。

三回に分けて説明します。

 

 

* バブル崩壊と戦争勃発について

 

なぜバブル崩壊が起きるのでしょうか?

誰かが裏でバブル崩壊を煽っているのでしょうか?

残念ながら経済学は崩壊をうまく説明できない。

 

概ね投資家達(市場参加者)はバブルを好調とみなし歓迎します。

しかし一方で彼らは破産に至るバブル崩壊を恐れます。

一部、間違いなく救済される巨大銀行や崩壊の先頭を切って売り逃げた投資家は別です。(毎回、自分だけは別だと夢想している)

 

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なぜ戦争は起きるのでしょうか?

誰かが裏で戦争を煽っているのでしょうか?

この手の話はいつも巷に溢れています。

しかし多くの真実は戦争が終わってからでしかわからない。

(これを第2次世界大戦とベトナム戦争を例に注釈1で説明します)

 

平和時であっても、概ね国家は戦争を避けようとして軍備を整えます。

まして緊張が高まると増強へと舵を切ります。

概ね指導者は膨大な人命と破壊が起きてしまう戦争を望まないはずです。

少なくとも国民は戦争が二度と起こらないことを強く望むはずです。

一部、戦争をしても被害の少ない大国や支持率が上がる指導者、莫大な利益を得る軍産共同体は別です。

 

バブルを煽る投資家達も軍備増強を推し進める国家も共にその悲惨な結果を恐れることでは共通しています。

それでは、なぜ望まない悲惨な結果が生じるのでしょうか?

 

 

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* バブル崩壊のメカニズム

 

バブルは経済好調と紙一重ですが、ほぼ確実にバブルは崩壊します。

 

これは投機家らが株価(金融商品)の高騰が続かないと不安を抱くことが引き金になります。

このタイミングは微妙です。

バブル崩壊の直前まで、多くの経済指標(生産高や失業率)は良好だったのですから。

 

一つ明確なことは、暴落する時、最初に売り逃げた者は利益を得るが、後になればなるほど投機家達は莫大な負債を背負う運命にあることです。

暴落が始まると、手のひらを返すように貸し手(銀行)が投資資金の回収を急ぎ、逃げ遅れた投機家は莫大な含み資産の所有者から一転して莫大な借金を背負うことになります。

(これを土地投機を例に注釈2で説明します)

 

この被害は投機資金のレバレッジが効いているほど、中央銀行によるマネーサプライが多いほど起き易くなります(巨額の借金を安易に入手出来る為)。

 

この時、投資家や金融業が破産するだけでなく、必ず国民も大不況の被害(不景気、失業、福祉カットなど)を長期に被ることになります。

これは銀行の倒産などに端を発する金融危機、つまり巨大な信用収縮が起きるからです。

この深い傷を放置すれば、過去のバブル崩壊(恐慌)後の景気後退のように、設備投資や消費が回復するのに何十年かかるかわかりません。

深刻だったのはヨーロッパの1857年から、米国の1929年から、日本の1991年からの二十年を越える景気後退でした。

 

このため崩壊後、政府と中央銀行は数十兆円から数百兆円を主に金融市場に投じるのです。

この金額で暴落時の全金融商品(株価など)の評価損を幾分なりとも補うのですが、悲しいことに国民が負担する税金と赤字国債で賄われます。

 

実はリーマンショック時の全金融商品の評価損はよく分からない。(不明な理由はシャドウバンキングの取引額が分からないためです)

しかし当時のクレジット・デフォルト・スワップ(金融商品の保険)の取引額が6800兆円に上っていたので評価損は見当がつきます(想像を越えますが)。

 

つまりバブルで儲け、崩壊を引き起こすのは投資家(市場参加者)なのですが、その結果、その痛いツケを強制されるのは傍で浮かれていた国民なのです。

 

 

次回は戦争勃発のメカニズムについて説明します。

 

 

注釈1

ベトナム戦争は誤解から始まり、深みに嵌った戦争の代表例です。

 

戦争の発端は第二次世界大戦後に始まる冷戦の敵対感情の高まりにあった。

さらに離れた大陸にあり、異質の文化を持った米国とベトナムは互いに相手国をまったく知らなかった。

 

初期の接触、ベトナムでの小さな戦闘でこじれたことにより、その後は疑心暗鬼から大戦を凌ぐ爆撃量になるまでエスカレートしていった。

そして米国では大統領が替わるたびに停戦を志向するが、選挙を意識し敗戦の将の不名誉を避けようとして益々深みに嵌っていった。

終わってみると、この戦争で800万人の死者と行方不明者が出ていた。

 

後に、両国の当時の最高指揮官達が会談して初めて互いの誤解に気づくことになった。

この会談は1997年、ケネディ大統領の下でベトナム侵攻の采配を振るったマクナマラ元国防長官が、ベトナム側に要請して実現したものです。

詳しくは私のブログ「戦争の誤謬 7、8: ベトナム戦争1、2」を参考にしてください。

 

第2次世界大戦を引き起こしたヒトラーは外部に凶悪な敵がいると扇情し国民を魅了した。

その敵とは主に共産主義者、ユダヤ人、フランスやロシアの周辺国でした。

しかし、やがてドイツ国民は真の破壊者が誰であるかを知ることになるのですが、それは戦争の末期になってからでした。

多くの国民は戦後10年間ほど、ヒトラーに騙された被害者であると感じていたようです。

その後、加害者の自覚が生じ反省と償いが本格化した。

 

一方、共に戦端を開いた日本では国民が軍部に騙されたと気づいたのは敗戦後でした。

しかもドイツと違って、未だに誰が真の破壊者であったかを認めない人が多い。

極め付きは、国の指導者でさえ相変わらず過去の美化に懸命です。

 

これでは誰が戦争を始めたかを理解出来ないので、当然、戦争を食い止めることなど出来ない。

おそらくは同じ過ちを繰り返しても気づかないでしょう。

 

 

 

注釈2

身近な企業経営者が1880年代のバブル時にハワイの別荘を買い、バブル崩壊と共に夜逃げしたことがありました。

この過程を説明します。

 

バブルが始まると最初に工場を担保にし、1億の手持ち資金で国内不動産を購入し、これが数年で2億の評価額になりました。

次いで、これを担保に借金し、別に買った物件がまた4億円に高騰しました。

これを繰り返して行くうちに、遂にはハワイの不動産を買うことが出来た。

 

絶頂期に彼は総資産20億、借金10億で純資産10億となったことでしょう。

(ここで売れば良かった!!)

しかしバブルが崩壊し、すべての不動産価格が購入時の半値になりました。

彼の総資産は1/4以下に減価し、不動産をすべて売却し返済に充てても借金5億が残りました。

こうして彼は破産しました。

 

金融商品投資でレバレッジを30倍効かせれば、暴落時の借金はこんな少額では済まない。

ここ半世紀、規制緩和でレバレッジが上がり、金融緩和でマネーサプライが巨大になって投機資金が膨大になり、その尻ぬぐいで累積赤字が天井知らずになっている(減税と公共投資も追い打ち)。

 

毎回のバブル崩壊で、このように土地、株、商品取引などの高騰と暴落が繰り返されている。

資本主義国だけでなく中国も不動産(マンション)と株で同様の高騰な続いています。

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 21: 抑止力と規制緩和に共通する危さ


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今、二つの危機、核戦争と経済破綻が迫っています。

しかし、この対処方法に真逆の説があり折り合いがつかない。

このままだと遂には破滅に至る可能性がある。

人々は漫然とかつて歩んだ道を進むのだろうか?

 

 

*抑止力と規制緩和に共通するもの

 

この2月2日には米国は核軍縮から小型核使用に方向を転じた。

また2月3日にはNYダウが1日で2.5%下落した。

これがリーマンショックを上回るバブル崩壊の始まりかどうかはまだ定かではないが、可能性は高い。

 

ある人々は、この二つは世界を破滅に導くと警鐘を鳴らす。

この破滅とは、核戦争と大恐慌(著しい経済格差と国家債務不履行も含む)です。

 

しかし一方で、これこそが破滅を防ぐ最善の策だと唱える人々がいる。

戦争を防止するには小型核、恐慌を回避するには景気拡大の為の規制緩和こそが絶対必要だと言うのです。

 

この二つの危機とその対処方法は一見次元が異なるように見える。

しかし、この二つの対処方法には不思議な共通点があります。

小型核は抑止力、規制緩和は自由競争を前提にしているのですが、実は共に相手(敵国や競合者)の善意を信じない一方で理性に期待しているのです。

 

抑止力は、敵意剥き出しの国がこちらの軍備力を的確に把握したうえで抑制出来る理性を有する場合のみ成立するのです(太平洋戦争時の日本軍が反証の好例)。

規制緩和は、個々の市場参加者が利己的に行動しても、市場全体としては最適な方向に落ち着くと信じているのです。

何か不思議な信念に基づいた論理なのです。

 

実際の社会は、悪意も善意も、感情的にも論理的にも動いているのですが。

 

さらにもう一つ、共通していることがあります。

 

例えば「抑止力は無効だ!」「自由競争は不完全で弊害が多い!」と否定したらどうでしょうか?

実は困って激怒する人々がいるのです。

前者では軍需産業、後者では金融業界や富裕層で、大きな実害を被るからです。

逆に否定して利を得る人々は特に見当たりません。

 

具体的に抑止力と規制緩和の危さについてみていきます。

 

 

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*抑止力の罠

 

兵器による抑止力は有効かと問われれば、「YES」ですが条件付です。

 

先ず、抑止力が有効な場面は身近な事から類推できるでしょう。

しかし抑止力が効かなくなる場合を理解することは少し難いでしょう。

 

単純に二つのケースがあります。

競合国(敵対国)が共に軍拡競争に突入した場合です。

一方が軍備増強を行えば相手は脅威を覚え、必ず軍拡競争が始まります(初期の米ソの冷戦)。

これは歴史上至る所で見られ、多くは大戦へとエスカレートしました。

 

もう一つは、兵器が無数に拡散した場合です。

分かり易いのは、米国の銃社会です。

国民一人に1丁以上の銃があることによって、銃による殺人事件や自殺が非常に多くなっています。

ここでは安易な兵器使用が抑止力の効果を上回っているのです(大国の中東などへの安易な軍事介入なども)。

 

この二つの例からだけでも、使いやすい小型核の普及は抑止力よりも危険の増大が予想できるはずです。

 

これに加えて、核兵器ならではの危険を増大させる要因があります。

一つは被害が非常に悲惨なことです。

このことは見落とされがちですが、多くの戦争は燃え上がる復讐心が高ければ高いほどエスカレートし、停戦は不可能になります。

だからこそ人類は悲惨な被害を与える対人地雷やナパーム弾などの兵器の使用を禁止してきたのです。

残念ながら世界は原爆の被害をまだ知らない(日本が先頭切って知らすべきなのですが)。

 

もう一つは、兵器のコストパフォーマンスが高いことです。

もし手に入れることが出来れば数億から数十億円で相手一国を恐怖に陥れることが出来るのです(抑止力と呼ぶ国もある)。

これまでは膨大な軍事費を賄える経済力こそが大きな抑止力を可能にしたが、核兵器なら小国でも可能になります。

 

結論は、小型核のような兵器は抑止力を期待出来るどころか、取返しのつかない状況に追い込んでしまうのです。

銃が蔓延し殺人が多いにも関わらず、銃規制が出来なくなってしまった米国がその好例です。

 

米国では治安と平和は高額で買うしかなく、金が無ければ治安が悪い所に住み、命を危険にさらさなければならないのです。

核兵器の下では、これすら不可能です。

 

 

*規制緩和の罠

 

規制緩和は経済活性化に有効かと問われれば、「YES」ですが条件付です。

 

皆さんの多くは規制緩和が経済を活性化させると信じているはずです。

一方で規制緩和が経済や社会に弊害をもたらす事例も数多くあるのですが、なぜか見えなくなっています。

これは今の日本で、有効だとする情報が大量に流されているからです。

 

幾つかの事例をみてみましょう。

 

 

 

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*米国の規制緩和がもたらしたこと

 

先ずは米国で40年近く行われて来た規制緩和が如何にバブル崩壊と経済格差を生んだかを簡単に説明します。

専門用語が出て来ますが、全体の流れを知って頂ければありがたいです。

 

  •  先ずストックオプションが1980年代から急増した。

これにより経営者は短期に高騰させた自社株を安く手に入れ、彼らの所得は鰻登りなっていた。

このことが企業経営を投機的で短期的なものにし、従業員との所得格差も開いた。

 

  • グラス・スティーガル法が1999年に廃止された。

この法律は1929年の大恐慌の再来を防止するために銀行業務と証券業務を分離し、投機行動を監視し抑制するのが目的でした(1932年制定)。

しかし、これが廃止されたことにより、監視が行き届かないシャドウバンキング(証券会社やヘッジファンド)が好き放題に投機をおこなった。

 

  • 投機時のレバレッジ率が上昇した。

これは証券、商品、為替などへの投機時に自己資金の数十倍まで投資が可能になることです。

これによって投資家は価格が高騰した時は桁違いの儲けが出るのですが、暴落すると巨額の負債が発生し、バブルと崩壊が繰り返されることになった。

このことが2項の監視されない状況で起こった。

 

  • クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が2000年頃から急拡大した。

これは金融派生商品の一種ですが、リーマンショックの巨大なバブル崩壊を招いた大きな原因の一つでした。

これは金融取引時の損失を補償する新手の保険で、当時、危険な投資案件でも金融機関はこの保険があれば救済されると信じていた(赤信号皆で渡れば怖くない)。

 

バブル崩壊前年の2007年末にはその取引額は6800兆円になっていたが、6年間で100倍にも膨れ上がっていた。

この年の米国の名目GDPは1500兆円で、如何に膨大かがわかる。

当然、崩壊時の補償など出来るはずもなく、米国政府は税金と国債発行で300兆円を金融危機終息の為に注入せざるを得なかった。

出来もしない補償であろうがCDSを販売すれば儲かったのです(6800兆円の数%の手数料でも莫大)。

 

大雑把ですがポイントは以上です。

この悲惨な状況を生み出した最大の馬鹿げた理由は、貪欲な投機家や資産家、経営者達を野放したこと、つまり規制をしなかったことによるのです。

もうひとつ見落としがちなのは、資金力や情報力、政治力などの差により完全な自由市場などは存在しないことです。

 

この話は、少し分かり難いかもしれません。

しかし規制や取り決めがなく好き勝手にした為に社会が壊滅した事例は歴史上多いのです。

 

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* 歴史上、破滅した例

 

典型的な例はイースター島とアイスランドです。

 

人々が最初にこれらの島に入植した時は、木々が茂る緑豊かな所でした。

しかし、燃料などの為に伐採が進む内に自然は再生不能となり、イースター島では部族同士が激しく争い、人口は激減し、逃げ出すにもカヌーを作る木材さえなくなっていた。

アイスランドは木々の無い島となり、それこそ火と氷の島となったのです。

 

 

* 日本の事例

 

最後に日本の規制緩和の惨めな例を一つ挙げましょう。

労働者派遣法の適用拡大により、非正規雇用が拡大し続けています。

 

これも賛否両論があります。

ある人々は産業の競争力を高める為に、また産業や企業の盛衰に合わせ人材は流動的でなければならないと言う。

一方で、安易な首切りや低賃金の横行は基本的人権を侵害すると言う。

 

おそらく多くの人は、経済側の言に耳を傾け、泣き寝入りするするしかないと感じていることでしょう(これは日本人の奥ゆかしさかもしれない)。

 

この問題のポイントは是か非かではなく、どちらも正しいのです。

企業の競争力を高め、労働者の価値を高めるためには、人材の流動性が必要です。

当然、簡単に首を切られ、低収入や無収入に甘んじなければならないのは論外です。

 

つまり、労働者は失業中も収入が確保され、転職のための再教育や訓練が充分行われ、就職すれば当然、同一労働同一賃金であるべきなのです。

 

こんな夢のようなことは不可能だと思われるかもしれませんが、北欧(スウェーデン、デンマークなど)ではこれが当然のように行われているのです。

 

日本の悲しさは、産業競争力の責任を一方だけが背負い甘んじているのです。

 

 

 

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*まとめ

 

抑止力と規制緩和の問題点を簡単に見て来ましたが、ここで確認して欲しいことがあります。

 

抑止力については歴史的に見て完全なものではなく、むしろその強化を放置すれば災いを招くことがあったことを知ってください。

 

また規制緩和はここ半世紀ほど米国を筆頭に行き過ぎており、多くの問題が生じていることを知ってください。

 

抑止力と規制緩和の推進は軍需産業や金融業界、資産家に取って実に旨味のあることなのです。

東北大震災の福島原発事故のように、大きな産業と関係省庁が癒着してしまうと、体制維持に都合の良い情報だけが国民に流され続け、問題点が見え無くなってしまうのです。

 

 

* 日本が今歩んでいる道

 

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< 6.銀行の金融資産と自己資本の比率、OECDより>

 

金融資産/自己資本は金融セクターの財務安定性を見るためのものです。

上のグラフ: 2004~2016年の金融資産/自己資本の推移。

 

多くの国、例えば英国、デンマーク、米国はリーマンショック後、健全化を進めているが、日本だけは悪化している。

 

下のグラフ: 2016年、この日本の比率はOECD35ヵ国の内、下位から

三番目です。

 

もし大暴落が始まればどの国が最も影響を受けるのでしょうか?

 

 

 

参考文献

「米国の規制緩和がもたらしたこと」に詳しい本

 

「世界金融危機」金子勝共著、岩波書店、2008年刊。

「世界経済を破綻させる23の嘘」ハジュン・チャン著、徳間書店、2010年刊。

「世界を破綻させた経済学者たち」ジェフ・マドリック著、早川書房、2015年刊。

「これから始まる『新しい世界経済』の教科書」ジョセフ・E・スティグリッツ著、徳間書店、2016年刊。

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 92: 何が問題か? 15: なぜ改革から逃げるのか?


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日本の社会経済の指標、評価ランキングは益々低下の一途です。

にもかかわらず日本は一時しのぎを繰り返すだけで、痛みの伴う成すべき改革から逃げています。

この不思議を探ります。

 

 

*今の日本の状況を概観します

 

以下のグラフから、日本の所得水準、幸福度、経済力の低下が見て取れます。

 

 

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< 2.悪化する日本 >

 

上のグラフ: 日本のワーキングプアは年々増加し、OECD内でも順位を落としています。

ワーキングプアはまともに働いても貧困線以下の所得しか得られないことを指します。

 

中央のグラフ: これは主観的な幸福度の世界ランキングで、日本は60位です。

 

下のグラフ: 主要国の中でも日本だけは特許出願件数は低下の一途です。

 

上二つのグラフで必ず上位にある国は北欧(デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー)です。

 

 

 

*改革から逃げる様々な言い訳

 

*A: 改革は漸進的であるべきだ!

 

これは保守論客の西部邁が指摘した保守思想の一つです。

 

このことは理解できます。

人間は不完全なものであり、未経験で画期的な社会改革は危険と言えます。

漸進的であることは、確かに大きな失敗を犯す可能性を低下させます(共産主義国家の失敗)。

 

しかし、これとて完全でないことは明白です。

例えば、次の事を考えれば分かり易いでしょう。

 

衰退する企業が、いくらコストダウンを続けても、漸進的な改善では存続することは難しい。

つまり技術や商品にブレイクスルー(飛躍的な革新)が必要なのです。

 

それでは社会や政治についてはどうでしょうか?

前回、英国の19世紀末の衰退で見たように、権力を握った勢力(金融資産家)は利益拡大(海外投資)に励みこそすれ、たとえ国が衰退(産業停滞)しようが既得権益(金融の自由)を制限するようなことはありませんでした。

 

このような場合、たとえ漸進的であっても効果ある改革が出来ないから国や文明は衰退し、または暴動や革命が起きるのです。

 

結論から言えば、保守も革新も程度問題であり、状況に応じた改革手法を選択すべきです。

 

 

*B: 万年野党が頼りないから、与党に任せるしかない!

 

野党が頼りないのは事実です。

野党はひたすら反対か批難するだけで、理想は語るが具体的な対案を持たない。

これも一面正しいと言えるでしょう。

 

しかし、これで済む問題でもないはずです。

大きく二つの理由があります。

 

一つは、今の凋落は日本の万年与党の政策のつけだと言うことです。

もう一つは、これを牽制出来る健全野党が育っていないことです。

 

 

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< 3. 1990年代に起きた事 >

 

上のグラフ: 日本の公共投資は1990年代に猛然と増加しています。

青棒、左軸が金額を示す。

 

下のグラフ: これまた非正規雇用率(赤折れ線)が1990年代から急伸しています。

 

この時期に起こった二つのことは密接に関係していた。

 

 

 

*政策のつけとは何か?

それは凡そ1985年から始まったと言えます。

プラザ合意による円高誘導で日本は経済が低迷し、政府はこの挽回の為に突出した公共投資と金融緩和を来ない、やがてバブル経済に突入します。

そして1991年のバブル経済崩壊が、経済を長期低迷させることになった。

この一連の出来事は、貿易摩擦と円高に喘ぐ米国が日本に圧力をかけ、これに従った与党政権のあがきの結果だと言えます。

この間、政権は米国が要求する構造改革、金融ビッグバンを行い、米国の望む自由主義経済圏に完全に突入していきます。

ここまでは野党政権であっても同じことをしたかもしれませんが。

 

しかし、このバブル崩壊後の不景気のさなかの1995年頃から、万年与党らしい政策の影響が今の日本社会を作りだすことになりました。

それは先進国中のあらゆる順位(幸福、経済、貧困、報道、男女平等、労働等の評価)が低下し続けていることに如実に現れています。

 

目立つものとしては非正規雇用の増加と賃金低下、一方でやや遅れて起きた企業の内部留保の増加でした。

これは今も更新中です。

これらは労働の規制緩和などに代表される企業優先の姿勢がもたらしたものです。

まさに1994年の「舞浜会議」で財界が望んだ方向に事が進んでいます。

 

この与党の一連の政策は、米国追従と財界優先の姿勢から生じたもので、さらには自由主義経済への固執にあります(言い替えれば惰性と既得権益擁護でしょうか)。

 

この結果、日本は長期のデフレ、低経済成長、ワーキングプア増加に陥りました。

さらに世界に類を見ない累積赤字の増大、米英に続く格差拡大が急速に進行しています。

また少子化対策の遅れによる労働人口減と高齢化社会の到来が重なります。

この結果、現在進行中の年金などの福祉政策の大幅な縮小がある。

 

万年与党が政権に居座り続けたことにより、つい30年前まで誇ることの出来た日本の快進撃は、単に思い出に過ぎなくなった。

1980年代、多くの人が別荘地、リーゾトやゴルフ場の会員権を買い漁り、いつまでも景気上昇が続くと信じたはずです。

しかし、それは束の間の夢であり、長い喪失感と借金返済が現実に続くことになったのです。

 

つまり、与党には政権を担った実績はあるのですが、このまま舵取りを任せることは没落を深めることになるのです。

しかし野党のだらしなさは頂けません。

 

 

 

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< 4. その後に起きた事 1 >

 

上のグラフ: 賃金が1997年から低下し続けています。

下のグラフ: 企業の内部留保が1999年頃から急激に伸びていることがわかります。

 

つまりこれらは与党が長年積み上げて来た成果なのです。

 

 

 

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< 5. その後に起きた事 2 >

 

これも成果と言えるでしょうが、残念ながら日本の衰退を物語っています。

 

日本の累積債務(赤い棒グラフ)はGDP比率で世界最大級でかつ増加中です。

一方、日本は世界一の対外純資産国(=資産―借金、青い棒グラフ)です。

 

楽観論者はこの資産によって債務を減らすことが出来るはずだと訴える。

しかし、それは不可能です。

誰が、海外の高利回りの証券から利率の低い内国債に買い替えるでしょうか。

(もし国債の金利が上がれば、余計に悲惨な状態になります。)

そんな善意に期待出来ないことは、世界一の対外純資産国であった英国が19世紀末に衰退した事実を挙げるまでもなく、常識で分かるはずです。

結局、体制擁護派は無責任に煽っているだけなのです。

 

 

*万年野党の悲運

先進国は概ね二大政党を目指し、少数政党乱立や一党独裁を避ける選挙制度を取り入れています。

これは長年の民主主義獲得の経緯から生まれたもので、政策論議を深め、多数決による弊害を避ける為のものでした。

残念ながら、日本では戦後まもなくしてこれが機能しなくなりました(戦前が良かったわけでもないが)。

 

日本の万年与党は自由主義経済を国是とする保守政権(米国共和党など)にあって、珍しく財政支出の大きな政府になっているが、これは万年野党が反対し対案を出し続けることでなったとする見方もある。

しかし、私は別の理由によるものだと思う。

 

ところで、やはり万年野党の存在はどう見ても民度の高い国、先進国の中では異常であり、適切な役割を果たしていない。

つまり長期に及ぶ与党政策の歪を是正するためにも、民主主義の危機を防ぐ為にも、強い野党の存在が不可欠です。

 

現実は非常にお粗末ですが、志ある人も、芽も僅かばかりではあるが残っている。

 

 

*なぜこのようなことが起きているかについて考えます。

 

結論から言えば、日本には未だにパトロネージが強く根付いているからだと考えます。

 

「パトロネージ・システムとは権力を持つ個人(パトロン)が、その特権を利用して、資源を恣意的な決定によって、自己を支援する集団(クライアント達)に分配するシステムです」

 

少し馴染みが薄い言葉かもしれませんが、世界中の後進国や南欧ではよく見られる政治状況です。

洋画で言えば「ゴッドファーザー」、日本で言えば議員の「世襲」や「看板、地盤、鞄」に代表される状況です。

 

もっと分かり易く言えば、「日頃お世話になっている顔役に投票する村人」のイメージです。

 

私は都会の郊外で生まれたが、現在、のどかな自然に恵まれた所に住んでいます。

ここで都市部と田舎の政治意識の違いをいやと言うほど知らされました。

皆、良い人なのですが、政治感覚や選挙行動に驚かされます。

 

先ず、人々は政治談義をほとんどしないのですが、あってもその範囲は村や町ぐらいまでで、中央政治を語る人は稀で、まして世界情勢とは無縁です。

しかし選挙では彼らは熱心になります。

そして、思わぬ人から投票を依頼されることもあり、断わりでもしようものなら、「村の恩人に恥じないのか!」と恫喝されることもあります。

つい最近まで買収もよく起きていました。

 

二大政党制を目指した小選挙区制度改革ではあったが、派閥を崩す効果だけで留まってしまい、逆にパトロン(総裁や首相)の権力を巨大化させてしまった。

そのあげく、先進国の議会制民主主義では起こるはずのないことが権力者周辺で頻発している。

つまり取り巻きや取り入ろうとする輩が犯罪やたかりを平然と行い始めた。

 

 

*なぜパトロネージ・システムが蔓延るのか?

 

二つの要因があると思います。

 

一つは、政治意識、歴史観、社会意識が未発達なことです。

これらが低い一因は、以前も指摘しましたが1970年代の学生運動後、学校教育の場で、政治が禁句になったことにあります。

政府は学生運動の再燃を抑える為に行ったのだが、これが今大きな災いとなっているのです。

例えば、北欧では小学生から環境問題、さらに上級では政治活動も教育の一環としておこなわれており、これが民主主義を支え好循環を生んでいるのです。

 

今一つは、帰属意識が高いことで、これは田舎ほど高いようです。

これは古い農耕民の心性の名残であり、良さもあるので、一概に否定することは出来ません。

しかし、その欠点は良識を失う会社人間や自殺の多さ、また内部告発が出来なく自浄作用が働ない組織を生み続けることになる。

 

分かり易い事例としては、村人に行事に対する意見を求めた時、極端な場合は個人の意見は控えたい、隣近所との協議の上でと逃げられることがある。

 

またワンマン企業では、従業員は陰で社長のパワハラを嘆きながら、一方で、依存しており、従順ぶりを装うことになる。

 

これらの社会や組織は一致団結して行動する分には効果を発揮するが、社会変化への不適応を起こしやすく、また暴走を食い止めることが困難です(1920年代のドイツ、イタリア、日本が好例)。

 

残念なことに、私にはこの政治文化を改善する方法が見つからない。

ただ地方の選挙制度と国会議員の育成方法に何らかのステップアップの術があると思う。

 

 

 

*C: 資本主義以外に進むべき道はない!

 

私がブログで日本の現状を憂い、体制の転換を図るべきだと指摘すると、資本主義は完璧であり、他は無いと反論されることがあります。

 

結論から言えば、資本主義は空気のようなもので否定する必要はありません。

大体、資本主義が唯一無二の完璧な政体と考えることもおかしい。

帝国主義は資本主義から生まれ、さらには互いにおぎなっていたのです。

つまり、国民が資本主義をコントロールすることが必要なのです。

 

ここ1世紀だけを見ても、資本主義社会の欧米の状況、格差や福祉は国よっても、時期によっても大きく差異がありました。

1950~1970年代の日本や米国、西欧は概ね格差が少なく経済成長を遂げた時期でした。

その前後は逆の時代でした。

それは反動の時代と呼べるかもしれません(当然、一部の層には良い時期でしたが)。

 

今の反動の時代は、自由主義経済の復活と更なる金融業重視によってもたらされたものです。

これによる弊害は、これまでに説明して来ました。

 

問題は、これらを改めることに不安を抱く多くの人と、それを不可能で危険な行為と反対するエスタブリッシュメントとこれに連なるエコノミストの存在です。

既得権益を脅かされるエスタブリッシュメントが反対するのは当然です。

 

しかし国民は、かつて国民を守る為の規制と権利擁護により、社会が今より順調な時代、1950~1970年代があったことを知って頂きたい。

 

重要な事は、多数の日本国民が英米をお手本とする狭窄な視野から脱することです。

北欧やドイツ、フランスは同じ資本主義国でも異なった道を歩み、豊かさと繁栄を手に入れています。

特に北欧は1930年代頃から、高福祉政策を採り始め、高負担ながら高い所得と権利の尊重と幸福を共に得ています。

このために北欧は世界から孤立するのではなく、旺盛な貿易をやり、有名な多国籍企業が活躍し、PKO派遣でも貢献しています。

 

 

 

6

< 6. 北欧の経済 >

 

上のグラフ: 2004~2008年平均の輸出などのGDP比率。

如何にスウェーデンが国際的(開放経済)であるかがわかります。

 

下のグラフ: 如何に北欧各国が日本より高い経済力を維持しているかがわかります。

 

これだの開放経済であっても国内の労働者の権利を守り、経済発展を遂げることが出来ているのです。

 

 

つまり、「国民の権利を重視する政策は、自由主義経済が蔓延するグローバルな世界では取り残され、やがて破局を迎える」と恫喝する多くの体制擁護派のエコノミストの指摘は嘘なのです。

 

 

 

*まとめ

 

これまで見てきたように、日本が改革出来ないとされる理由は実に他愛ないものでした。

多くは体制擁護派、既得権益層、自由主義経済信奉者らの必死のアジテーション(煽動)で、想定外を無視した無責任な発言に過ぎない。

しかし、残念なことにこちらの方が訴える力はある。

 

最後に、私が皆さんに望むことは、今後日本が衰退していくことを諦めたとしても、万年野党を生む政治文化だけは何としてでも突き崩して頂きたい。

しかし、これとて国民の意識が高まらない限り不可能で、これでは堂々巡りです。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

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何か変ですよ! 91: 何が問題か? 14: 英国はなぜ衰退したのか?


 

1バンコク博覧会

< 1. ロンドンの万国博覧会、1851年 >

 

 

今回は、繁栄を享受していた大国がなぜ没落したかを見ます。

そこでは今の日本とまっく同じことが起きていた。

誰しも自分の不幸の予兆を知りたくはないが、知れば心構えが変わるかも!

 

 

 

 

2a

< 2.栄枯盛衰 >

 

上は1876年のロンドン、下は20世紀初頭の米国の写真です。

 

 

*はじめに

かつて大英帝国は軍事的・経済的に世界を席巻し西欧文明、いや人類文明の模範でした。

しかし、その絶頂期にあった19世紀の後半からわずか数十年、急激に生気を失い、覇者の座を失った。

覇権国の栄枯盛衰は世の習いではあるが、資本主義社会で起こったその衰退過程が日本の低迷と恐ろしく似ているとしたら、どうでしょうか?

 

皆さんにこの英国の歴史から感じて頂きたいことが三つあります。

 

A: 衰退の原因はその社会が作り出していた。

B: 衰退の渦中にいながら人々はその欠陥を正すことが出来なかった。

C: 間違った手段で起死回生を企て一層社会は衰退し、さらに世界大戦へと突き進んだ。

 

歴史は過ぎ去ったものであり、まして外国のことなど関りがないと思われるかもしれないが、恐ろしいほど似たことが起きていたのです。

 

 

 

3a

< 3.英国の繁栄と衰退 >

 

赤枠は繁栄を極めた英国が19世紀後半から転落していく様子を示す。

 

 

*繁栄を極めた英国

17世紀、英国はピューリタン革命と名誉革命を経験し、いち早く議会が王権を牽制するまでになった。

16世紀以来、海外の領土を拡張していたことと、上記の社会体制の変化が相俟って、世界で最初の産業革命が英国で1760年代に興った。

19世紀半ばには「世界の工場」と称され、1851年にロンドンで始めて開かれた万国博覧会はその自信の現れだった。

 

 

 

4a

< 4. 帝国主義に拍車がかかる >

 

上は1886年の英国の植民地、下は1921年のものを示す。

この間に英国は中東とアフリカに侵略を開始した。

英国では何が起きていたのか?

 

 

*一方で破滅への道が準備されていた

1825年、過剰生産による恐慌が英国で始めて起こり、その後ほぼ10年ごとに恐慌は起こったが、19世紀前半の恐慌は主として英国内にとどまっていた。

しかし1857年に初の世界恐慌が勃発し、1873年の恐慌ではヨーロッパ(英国も)は22年間にわたる経済不況へと突入した。

 

一方、ヨーロッパ大陸ではフランス革命(1789年)が起こっていたが、その後のナポレオン戦争への勝利が列強による軍事同盟(ウィーン体制)を生み、逆に国内の自由主義を19世紀半ばまで抑圧することになった。

 

恐慌の翌年の1874年、英国では総選挙で帝国主義的外交を唱える保守党(貴族、大資本家が支援)が圧勝し、スエズ運河買収(1875年)、インドを直轄領からなる帝国化(1877年)へと推し進めることになった。

 

こうして英国を含めたヨーロッパ諸国は競い合って世界を植民地化し、ついには二度の世界大戦へと突き進んだ。

 

 

 

5

< 5. 英国の衰退要因 >

 

上左のグラフは1914年の英国の資本輸出、上右のグラフは英国の資本輸出の推移(1816-1914年)を示し、下のグラフはその結果として工業生産高が伸びなくなっている状況を示す。

英国が衰退した最大の理由は膨大な資本輸出(他国の建設や設備への投資)にあり、これが国内投資を激減させ、国内産業の競争力の低下を招き衰退に至った。

 

 

 

*英国は自ら衰退の道を歩んでいた

二度の大戦で多くの国は戦火を被ったが、衰退する英国を尻目に米独日などは経済大国へと躍進することになる。

英国の衰退は1880年代には始まっており、20世紀の初頭には米独に追い抜かれていた。

衰退は英国で進行していた社会・経済の変化にうまく対応できなかったことによる。

 

英国は産業革命をやり遂げてはいたが、鉄と石炭の産業が中心であり、次代を担う電気やガスを中心とする重化学工業には対応出来ていなかった。

これは新規技術導入に消極的だったことによるものだが、かつての企業家精神は半世紀余りの間に完全に廃れていたからでした(保護政策)。

 

何が英国で起きていたのか?

産業革命により貿易は拡大し、人口は都市に集中し、都市労働者の生活スタイルが変わり、食料品や日用雑貨の大量輸入が不可欠になり、自由貿易が進められた。

すると国内生産の農作物価格が暴落し、大規模農場経営は行き詰まり、貴族(ジェントルマン)は資産を不動産から金融資産へと変えていった。

一方、勃興した産業資本家も金融資産を増やしていた。

 

産業革命当初、英国の輸出は旺盛で貿易黒字は優勢であったが、やがて輸入が上回り万年赤字になった。

しかし、世界トップシェアを占める海外貿易に伴う船賃収入や、それまでに蓄えた外貨(貿易黒字)による海外投資の利益が貿易赤字を上回るようになった。

こうして英国は世界の新興国や発展途上国に投資し、ますます資本家は貪るように海外投資で利益を得るようになっていった。

こうしてロンドンシテイは世界の金融をリードするようになったが、英国内への産業投資は尻すぼみとなり、競争力は衰えるばかりだった。

金融資本家は急成長し資金が不足する米国やドイツの産業や産業基盤(鉄道)に競って投資し、競合国の経済成長を助け、自国産業の衰退に加勢すらした。

 

さらに植民地への投資資金と植民者の安全確保の為と称して、植民地への軍事行動が国民の合意の下に行われることになり、帝国主義は国を挙げて行われていった。

 

 

*英国社会では何が起きていたのか

大英帝国の貿易と経済、植民地のシェアは世界で群を抜いてトップだった。

また大英帝国には莫大な資本蓄積があり、多数の大金融資本家(ロスチャイルド家)がおり、人々は繁栄を謳歌していた。

 

19世紀末から20世紀初頭の英国の人々の暮らしや意識を追ってみます(注釈1)。

 

・大都市の暮らしに憧れ、都市生活を享受した。

・その一方で地方暮らしや海外赴任を嫌い、遂には外貨を稼ぐ船員も激減した。

・添乗員兼通訳付きの海外向けパック旅行が大ブームとなった。

・国内旅行では温泉がブームになった。

・都市では展覧会、博覧会、スポーツ競技などのイベントが花盛りになった。

・古典は疎まれ、イラストの無い読み物は敬遠されるようになった。

・健康ブームとグルメブームが興った。

・理想主義、犠牲や粘り強く行うべき改革は嫌われ、「勝手気まま」が合言葉のポピュリズムが持てはやされた。

 

この時代は英国が築き上げた繁栄から半世紀以上が経過し、所得の増加や福祉向上が進み、都市生活が定着し、大量の中産階級が生まれていた。

しかし19世紀後半には経済が陰り始めたが、人々(中産階級)は更なる繁栄を求め、保身と海外展開に望みを託し保守化していった(注釈2)。

 

残念なことに、1世紀前の苦労やかつての克己心は忘れ去られ、快楽追及や利己的なものが重視されるようになっていた。

 

 

 

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< 6. 今繰り返されようとしている英国の世紀末 >

 

上のグラフは19世紀末の資本(投資利益)が労働(賃金収入)よりも如何に稼いだかを示し、凡そ7倍あった。

中央のグラフは、その結果として20世紀初頭、如何に所得格差が開いていたかを示し、両グラフから21世紀初頭も同じことが起こりつつあることを示している。

下のグラフは、最近の日本の民間資本の肥大化を示している。

 

この三つのグラフは、日本を筆頭に差はあるものの先進国では莫大な資本が百年前の世紀末を再現しつつあることを物語っている。

 

 

*日本と比べて

おそらくここまで読まれた方は、あまりにも現在の日本に似ていることに驚かれるはずです。

政治家、企業家や資本家、中産階級の嗜好と目指すものは両国で酷似しています。

 

内憂(恐慌や衰退)を国内で解決するのではなく、海外の植民地拡大に矛先を転じていました。

実は植民地政策は搾取する割には軍隊派遣や植民地への投資で赤字になるだけでなく、多くの自国民の血も流した。

現在の日本も似ていますが、1910年代の好景気を経て30年代に大陸進出する大正から昭和の初めとも似ています。

 

企業家や資本家はやがて保守的になり、蓄積した膨大な金融資産は国内に向かわず、海外に利を求め、国内投資は漸減し、自国の競争力は失われた。

これは国としては自分で自分の首を絞めるに等しいのですが、個々には最適な利殖行動の結果なのです。

 

中産階級の浮かれ具合は両国でまったく同じです。

しかも当時、この英国の浮かれ具合を古代ロ―マの衰退期と同じだと指摘した出版物が出たと言うから、歴史は繰り返すようです。

 

実は、もう一つ共通していることがあります。

それは社会が本当に衰退している時ほど、楽観論(衰退を無視)がまかり通るようです。

 

 

*まとめ

冒頭で述べた以下の三点について皆さんはどのように感じられたでしょうか?

 

A: 衰退の原因はその社会で生まれていた。

 

経済発展が経済(産業や金融)と社会(主力の階層)を変え、今度はこの社会が経済の不具合(業界保護と国内投資減)を制御出来なくなってしまった。

 

 

B: 衰退の渦中にいながら人々はその欠陥を正すことが出来なかった。

 

国の発展を牽引するはずの企業家や資本家は利益を求めるだけで、社会や国の衰退を顧みることはなかった。

 

C: 間違った手段で挽回を企て一層社会は衰退し、さらに世界大戦へと突き進んだ。

 

政治家や資本家は、国内経済の低迷打破に安易で国民の反発が少ない海外進出に舵を切った。

そして植民地の関係は泥沼化し、また列強との競争が激化し、やがて戦端を開くことになった。

 

 

*あとがき

英国の衰退を説明し、かつ日本の現状との類似を指摘することは難しい。

したがって、分かり易さと大きな流れを掴んで頂くために、かなりの歴史的事実や経済データーなどを割愛して、極端に論理を圧縮しています。

関心のある方は、以下の参考文献を参照してください。

 

 

次回に続きます。

 

 

注釈1: 文献「なぜ国家は衰退するのか」中西輝政著、1999年刊。

記事は主に第三章から抜粋。

 

注釈2: 文献「概説 西洋社会史」野崎直治編、1994年刊。

この分析は、Ⅳ-17の「帝国主義時代のイギリス社会」に詳しい。

 

ドイツ国民がナチスに傾倒して行った過程でも、保守化した中産階級(定義は異なるかも)が主役を成した(別の文献)。

 

 

参考文献

*「21世紀の資本」トマ・ピケティ著、2015年刊。

*「新版 概説イギリス史」青山吉信共編、1995年刊。

*「図説 イギリスの歴史」昭博著、2002年刊。

*「概説イギリス経済史」米川伸一編、昭和61年刊。

今回の英国経済衰退について最も詳しく書かれている。

*「概説世界経済史Ⅱ」ロンド・キャメロン共著、2013年刊。

今回の英国経済衰退についての要約と世界経済の関係が分かる。

*「現代のイギリス経済」中村靖志著、1999年刊。

今回の英国経済衰退について第一章に少し書かれている。

*「世界の歴史25 アジアと欧米世界」中央公論社刊、1998年刊。

今回の英国衰退期の歴史(社会、貿易、帝国主義)について詳しい。

*「世界経済の成長史1820~1992年」アンガス・マディソン著、2001年刊。

今回の英国経済衰退について世界経済の関係が分かる。

*「イギリス病・イタリア病・日本病」中村忠一著、昭和52年刊。

 

 

 

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何か変ですよ! 90: 何が問題か? 13: 過去・現在・未来に生きる


1グラフィックス2

*1

 

 

日本は平和で、人々は豊かさを享受しているようです。

しかしこのまま突き進むと、いずれ経済も平和も失う事態が来るとすれば・・

今、懸念すべきことはないのだろうか?

 

 

*はじめに

現在、進められているアベノミクス(円安誘導、株価下支え、金融緩和、リフレ策、規制緩和)に不安はないのだろうか?

 

確かに、円安になり株価は上昇し失業率は低下した。

一方で、インフレは起こらず、経済成長は芳しくなく、賃金は低下し続けている。

ゼロ金利政策と日銀の莫大な国債買い上げが続き、そして累積赤字は減少するどころか増大している。

 

多くの人々は、いずれ経済が上向くとの希望を抱いてるのだろうか?

そうなれば賃金が上昇し、累積赤字が減り、年金や医療介護体制も維持できると考えているのだろうか?

 

この楽観はどこから来るのだろうか?

 

 

*楽観論の陰にあるもの

政府や取り巻きが唱える楽観論の根拠は正しいのだろうか?

 

この楽観論の前提は非常に単純明快で、日本経済は刺激さえすれば昔のように高い成長を維持できると言うものです。

そして概ねアベノミクスはヘリコプターマネー(通貨増発)によるインフレ誘導で投資や消費を拡大させ、長期の経済停滞から脱却すると言うものです。

 

当初の円安は輸出企業を刺激し、また株高によって一部には好転の兆しがありましたが、それ以外では実体経済への好影響はあまりなく、効果は持続していないと言えます(つまりトリクルダウンがない)。

なお失業率の低下は、主に団塊世代の退職による代替え雇用によるものです。

 

ここで、楽観論で見えなくなっている懸念や問題点について考えてみます。

(難しい理屈は不要です)

 

日本経済は刺激さえすればほんとうに成長を始めるのでしょうか?

または一時成長しても後に大きな歪や災いが生じないのでしょうか?

 

A インフレになりさえすれば消費が増え、ほんとうに経済は上昇し続けるのか?

 

B 日本の経済は本当に成長出来るのか?

 

C かつてない金融緩和が破滅的な金融危機を招くのではないか?

 

D 日銀や政府の政策が将来、国民の負担や財政破綻に繋がらないのか?

 

E 高い経済成長が起きても、米国のようにならないのか?

 

楽観論を唱える識者はすべて上記の問題点を無視するか否定している。

 

 

 

*上記問題点に共通すること

それぞれの問題について様々な経済学者が激論を戦わせており、素人にはその正否を判断することは困難です。

右派左派、保守革新、米国寄りかで見方は大きく対立している。

しかも多くの人はこれらを予想出来ない不安な事として無視しているようです。

 

しかし、上記5つの問題が現実に進行しているか、過去に起きていた事を知れば、皆さんは問題の大きさを識ることになるはずです。

つまり、これは現実の問題なのです。

 

 

*グラフから読み解きます

 

 

2グラフィックス1

< 2. 日本と主要国の失業率、社会実情データ図録より >

 

失業率はリフレ策などの金融緩和によって繰り返されるバブル崩壊で増大している。

 

赤の縦線は米国のバブル崩壊の始まりを示し、米国の失業率(赤の折れ線)はバブル中に低下していても、崩壊後に急上昇を繰り返している。

黒の縦線は日本のバブル経済の崩壊の始まりを示す、その後の「失われた20年」の長期にわたる失業率の上昇が深刻です。

つまり、リフレ策を含む金融緩和は概ね経済の疲弊を繰り返すだけなのです。

 

 

 

A インフレになりさえすれば消費が増え、ほんとうに経済は上昇し続けるのか?

結論から言えば、アベノミクスのリフレ策は2013年から2017年の5年間の結果から見れば効果がなかった。

 

ただ円安と株高は当初効果があったが、これは2012年の欧州金融危機解消と海外投機筋の安倍政権誕生への期待によって起こったもので、いつまでも続くものではない(ファンダメンタルの改善ではなく海外の投機動向によるもの)。

物価上昇が起きない理由として原油安が足を引っ張っているとの指摘があるが、本来、原油安は進行している賃金低下を補うべきもので、むしろ円安による物価高が災いして消費全体が伸びなくなっている。

 

リフレ策の先輩である欧米の経済状況から、リフレ策は成功しているとは言えず、クルーグマンは財政出動が重要だと言っている(グラフ2はその一例)。

 

 

 

*グラフから読み解きます

 

 

3グラフィックス3

< 3.日本の潜在成長率、 日本銀行より >

 

このグラフは低下し続ける日本の潜在成長率(黒線)を示し、設備投資(資本ストック)の減少と生産性(TFP=全要素生産性)の低下が顕著です。

この潜在成長率の低下は1990年代の急減によって始まっているが、これはバブル経済(1986年12月から1991年2月までの51ヵ月間)の反動がもたらしたものです。

 

これ以来、経営者は資金(内部留保など)を長期に固定し予測困難な設備投資に使うより、手早く高利を稼げる海外証券などに投資するようになった。

つまり、経済を牽引すべき人々は実体経済への意欲を完全になくし、あり余る資金は金融経済、それも海外に儲けを求めるようになってしまった。

この資金が逆流しない限り、幾ら通貨が増発されても設備投資に向かず、金融商品に向かいバブルを煽るだけなのです。

 

この国内の実体経済を軽視する風潮が日本の衰退の元凶であり、かつて英国が没落へと突き進んだ道でもありました。

いま日本は戦後3位のアベノミクス景気と浮かれているが、またバブルが弾けると、かつて言われた「失われた20年」よりさらに長い衰退が待ち受けることになる。

人々は、幾度繰り返せば悟るのでしょうか?

 

 

 

B 日本の経済は本当に成長出来るのか?

結論は、日本経済は衰退の道を進んでおり、抜本的な対策を講じないと手遅れになる。

 

大規模な経済刺激策が一時、功を奏しても、その後に大きな反動が来るか、手遅れを招く。

アベノミクス(特に金融緩和)は一時的な興奮剤か、むしろ常習性の麻薬であり、真の経済・社会問題から目を逸らしてしまうことになる。

 

日本経済の成長力については潜在成長率や需給ギャップなど専門的な理解が必要になる。

しかし、今の日本とまったく同じ状況が19世紀の英国であったことを知れば、衰退の恐ろしさを実感できるはずです。

豊かで世界をリードしていた経済大国が半世紀の間に没落したのです。

つまり、衰退の真因に手を付けず、一方で成長力以上に通貨増発することはバブル崩壊とデフォルトを招くことになる。

 

 

*グラフから読み解きます

 

 

4グラフィックス4

< 4. 株価の推移 >

 

上のグラフ: 日経平均の推移。ウイキペディアより。

バブル経済で株価は高騰し繁栄したが、その後20年に及ぶ景気後退と手痛い後遺症を負ってしまった。

 

下のグラフ: 日経平均とNYダウの推移。YAHOO!ファイナンスより。

リーマンショック後、米国は直ぐに破綻の連鎖を食い止める為に大規模な救済(約200兆円)と金融緩和を行い、株価は上昇を始めた。

当時、日本は日銀のおかげで被害を抑えることが出来たが、現在アベノミクスにより株価は高騰している。

 

つまり、我々はいつか来た道を(バブル)をまた懲りずに進んでいる。

 

 

 

C かつてない金融緩和が破滅的な金融危機を招くのではないか?

金融危機はほぼ10年毎に繰り返されて来ており、ここ数年以内に確実に起きるでしょう。

 

バブルの発信源である米国を振り返ると、前回は2008年初頭のリーマンショック、前々回は2000年末のITバブル、さらに1987年のブラックマンデーと、その間隔は8~13年でした。

 

米英日中が行っている歴史上始まって以来のGDP成長率を上回る通貨増発は、莫大な資金が実体経済ではなくあらゆる高配当の投機(証券や為替)に注がれ、やがてバブル崩壊に至る。

このバブルを生む金融業界の体質は金融危機後、一時規制されることはあっても、後に景気刺激策として規制緩和され、元の木阿弥か一層酷いものとなる。

 

不思議な事に、日本政府寄りのエコノミストは当然としても、アベノミクスに異論を唱える民間シンクタンクのエコノミストでさえ、バブル崩壊をまともに取り上げていない。

政財界から距離を置いている少数の学者や識者は、これについて警鐘を鳴らしている。

米国も同様です。

 

このことは既に日本のエスタブリッシュメントが完全に一色に染め上げられ、国が衰退の道から抜け出せなくなっている証左でしょう。

 

 

*グラフから読み解きます

 

 

 

5グラフィックス5

< 5. 日銀の保有国債残高、By Bloomberg >

 

単純に考えて、政府が赤字国債を毎年30兆円発行して、それを直ぐ日銀が買い取る、これを永遠に続けて弊害が無ければ、こんな楽な財政運営はありません。

2017年末、日銀の保有国債残高は既に400兆円になり、アベノミクスの2013年初頭以来5年間で300兆円が買い足されています。

 

これこそ打ち出の小槌の大発明ですが、世界で日本の中央銀行ほど大量に購入している国もなければ、これを続けている国もありません。

米のFRBは金融緩和を止めて出口戦略を取り、国債を市中に戻しています。

 

つまり、日銀は早晩出口戦略を取らざるを得ず、かつスムーズな実施が必要なのですが、なぜかまったく沈黙を守っているのが不気味です。

 

 

 

D 日銀や政府の政策が将来、国民の負担や財政破綻に繋がらないのか?

私は国民の負担増と財政破綻の可能性はより高まっていると考える。

 

残念ながら自信を持って、現在の日銀と政府の金融政策が上記問題を招くと断言できません。

しかし、この恐れはアベノミクスによってより高まると感じています。

 

この理由は大きく二つあります。

一つは政府が現状のように赤字国債を発行し財政を拡大し続けるなら、早晩、国債を国民の資金だけで消化できなくなるでしょう。

 

日銀が大量の国債を買い取ってくれる現状では財政規律が緩み、国債増発は続くでしょう。

さらに家計資産の伸びの減少に加え、団塊世代の老後資金の預金引き出しが今後現実のものになります。

法人資産は増加していますが、これは低金利の内国債ではなく益々海外の高利の証券投資に向かうことになります。

 

当然、真の衰退の問題にメスを入れない限り、持続的な景気上昇が起こらないと考えます。

もしインフレが起きた場合、リフレ派が仮定するように金利上昇が経済成長率よりも低ければ良いのですが、恐らくは逆に金利の方が高騰する可能性もあります。

このようなことになれば、金利1%の上昇で累積赤字1000兆円の利払いだけで年間10兆円増え、利払費は現在の2倍を越え、累積赤字を減らすどころではない。

(逆の場合、GDP成長率が金利より高ければ数十年かけて累積赤字は減って行きます。)

こうして破綻(デフォルト)は近づくでしょう。

 

もう一つは日銀の出口戦略に関するもので、莫大な保有国債を市中に吐き出す時に問題となります。

私はこの問題の金融メカニズムを完全に理解出来ないのですが、複数の元日銀理事が警鐘をならしています。

 

結論は、将来、日銀の負債(おそらくは十数兆円から数十兆円)を国民が負担しなければならないと言うものです。

 

 

 

E 高い経済成長が起きたとしても、米国のようにならないのか?

結論は、確実に米国の二の舞になります。

 

つまり経済成長が起きても所得格差が拡大し、30年以上国民の90%が所得を減らしている米国社会が将来の日本の姿になるでしょう。

(「何か変ですよ! 87: 何が問題か? 10: そこにある未来」に詳しい)

 

今までと同様の政策、アベノミクスだけでなく自由主義経済と金融重視の米国追従の政策を取り続ける限り、この道を突き進むことになる。

 

 

*グラフから読み解きます

 

 

 

6グラフィックス6

< 6.主要国の経済推移、 日本経済復活の会より >

 

19世紀前半まで世界経済をリードしていた英国は半世紀(赤枠)ほどで衰退してしまった。

この衰退は今の日本の姿でもあるのです。

 

 

*次回は、かつての英国衰退から日本の現状を理解したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 89: 何が問題か? 12: 退職後の生活?


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前回、若い皆さんの将来の生涯賃金を予測しました。

それは残念なものでしたが、さらに悲惨な状況が拍車をかけることになります。

それは退職金や年金の減額、医療介護費の高騰などのあらゆる付けが回って来ることです。

 

 

はじめに

前回、男性大卒の生涯賃金は40年後には30%低下し、現状の3億2千万円から2億3千万円になっていることを見ました。

この差額9600万円は2軒の新築が可能な金額ですが、この生涯賃金は非常に恵まれた正規雇用(年収800万の40年勤務)の人々のものです。

 

男性の正規と非正規の生涯賃金の現状の差43%を加味すれば、40年後の大卒男性の非正規の生涯賃金はついに60%も低下し、差額で1億9千万円低下、総額1億3千万円になる。

しかも、今後増え続ける非正規雇用は労働者の60~70%を占めるようになるでしょう。

 

労働者の大幅な収入低下は国の所得税と消費税収入の低下、社会保障(年金、医療・介護)の掛け金の減少を招きます。

これは将来、あなた方が受けるべき年金や医療介護費の不足に輪を掛けます。

 

しかし、最も大きな問題は労働者の可処分所得の減少が消費需要を長期に減少させ、貯蓄を不可能にさせることです。

これが景気や投資を後退させる悪循環を生むことになり、さらに累積財政赤字の償却を不可能にさせるでしょう。

 

つまり賃金低下だけが問題ではなく、経済や福祉に大きな災いをもたらすのです。

 

 

2

*2

 

 

声高な反論

こんな悲観的な未来は起こるはずがない、馬鹿げていると唱える人はいます。

 

例えば、現在60才定年を75才まで延ばせば、単純に39%(55年/40年)の生涯賃金の増加が見込めます。

おそらく高齢者の労働収入はかなり低下するので、この見込み通りにはいかない。

確かに増収するでしょうが、これが先進国のあるべきライフスタイルでしょうか?

北欧では異なる道を選んでいます。

 

 

3

< 図3.2014年度版家計金融資産、TV東京より >

 

 

現在、家計の貯蓄総額900兆円の70%は60才以上の世帯が保有しています。

しかし団塊世代(今の70才前後)が今後、この貯蓄を老後資金として使い果たしていくことになるので、20年後にはかなり貯蓄額は減ることになる。

 

ここでまた、たとえ家計の貯蓄率が今後マイナスになっても、伸び続けている法人貯蓄(現在800兆円)によって国債(累積赤字1050兆円)は国内で消化出来き、国債の金利高騰は起こらないとの楽観論もある。

これも一見可能だと思わせる。

 

しかし懸念は既に進行している。

それは以前紹介した国内から海外への資金逃避(現在990兆円)です。

主にこれは証券投資(高利回り)に向かっている。

これは加速しているので、いずれ多くは日本国債に見向きもしなくなり、金利を大幅に上げない限り、資金は国内に戻ってこないでしょう。

かつてヒトラーがやったように海外投資の禁止をやれば別ですが。

 

もし金利が2%上昇するだけで国債償却費は年間21兆円増え、現在(H28年度)の償却費24兆円の倍、45兆円になります。

こうなればさらに赤字国債を増発しなければならない。

 

 

4

< 図4. 平成28年度一般会計予算、財務省より >

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/002.htm

 

 

しかし、まだ何とかネタを見つけ楽観論を煽る人々がいます。

 

それは、国には膨大な資産(H21年度で647兆円)があり、純債務はかなり小さいと言うものです。

つまり、いざとなればこれら資産を売却して、負債は1/3の372兆円に過ぎないと言うのです。

 

 

 

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< 図5.平成21年度国の財務(貸借対照表の資産部分)の概要、財務省より>

この年度の負債合計は1019兆円でした。

http://www.mof.go.jp/faq/seimu/03a.htm

 

 

例えば国道や堤防を誰が買ってくれるのでしょうか、これで先ず有形固定資産184.5兆円は諦めざるを得ません。

また私達の年金の蓄えを誰かに売っていいのでしょうか、これで運用寄託金121.4兆円もだめです。

91.7兆円の内、米国債購入の82兆円を売ってしまっていいのでしょうか?

実は、売ることは可能なのですが円高になってしまうことと、この購入資金は別の借金に頼っているので、資産とは言えないのです。

結局、こうして647兆円はすべて資産と呼べるものではないのです。

 

これは当然で、資産があるのなら初めから法律が禁止している赤字国債を発行しないはずです。

 

少し脱線したようです。

要は、定年延長策に期待できず、また賃金低下が招く景気後退と累積赤字の問題が未来に重くのしかかってくるのです。

 

ここで不思議なことに気づきます。

 

 

なぜ楽観論や諦めが蔓延るのでしょうか?

 

今後、悪化する少子高齢化、膨大な累積債務、賃金低下、福祉の低下、格差拡大に対して多くの国民はなぜ無関心なのでしょうか?

少なくとも危険だとか、許せないとの声はほとんど聞こえてこない。

 

一つは楽観論を煽るエコノミストやマスコミの存在が大きい。

なぜ彼らは上記の問題を真剣に捉え報道しないのでしょうか?

 

そのような立場を取る理由は三つほど考えられます。

  •  アベノミクスの信奉者。
  •  米国主導の自由主義経済の信奉者。
  •  政権や経済界の主流に属することで益を得る者。

 

この三つは重なって作用しています。

1.と2.の論説には共通する前提があります。

善意に解釈すれば、固く主義を貫いているとも受け取れますが・・・

 

そこには必ず景気が上向くと言う大前提があり、一方でバブル崩壊などを想定しないかまったく触れていないことです。

この論は、まるで一昔前の原発の安全神話と同じと言えますが、これよりも格段にたちが悪い。

なぜなら原発事故よりも遥かに高い確率でバブル崩壊とその甚大な経済的被害(金融危機)は繰り返されているのですから。

 

現状の景気拡大は、少しはアベノミクスのおかげもあるが、一番はリーマンショック後から続く大国3ヶ国とユーロ圏主導の歴史的な金融緩和によるものです。

逆にこれが危険のですが。

 

3.の立場は、狭い意味で森友学園、加計学園、元TBSの山口記者などに見られるものと根は同じです。

これらにはまったく善意が感じられない。

 

おそらくは、1,2,3.の立場で楽観論を煽る人々は、原発問題と同様に国民に対して無責任で自らの栄達にきゅうきゅうとしているだけなのでしょう。

特に、本来信頼されてしかるべきエコノミストや金融界のリーダーが幾度もバブル崩壊を見過ごし、挙句は煽ることもしてきました(リーマンショックの半年前ですら)。

 

 

もう一つは、この手の問題は素人の国民に理解することが困難・・・

 

残念ながら、どの問題の一つを取り上げても、学者やコメンテーターの意見は分かれている。

これを素人が両者の論説を読み比べて虚実を判断することは難しい。

マスコミは両論に分かれて対立しており、自ら納得できる論を導き出すのは更に難しい。

 

このような場合、私がお勧めする手立てがあります。

 

  •  海外の書物を参考にする。

出来れば米英の学者でないか、米国の主流ではない学者の著書が良い。

米国は完全に自由主義経済で覆い尽くされており、これが現在の弊害の元凶  なので、この外部に居る学者の説を拝聴することが必要です。

 

 

 

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< 図6. 2017年版、包括的成長指数(IGI)のランキング、エキサイト ニュースより >

https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170220/zuuonline_140151.html

IGIは世界109カ国・地域における不平等・貧困の解消への取り組み、総体的な生活水準の向上に対する努力を評価した指針です。

 

  •  優等生の国を参考にする。

米英の格差社会や低福祉の元凶とその対策を知る為には、戦後、異なる道(政策)を選んだ国々を知ることが必要です。

北欧やフランス、ドイツなどの政策とその成果を知ることで、現在の間違った政策に気付くことでしょう。

残念ながら、日本ではこの類の情報が故意に捻じ曲げられているか、避けられているように思う。

 

  •  歴史から学ぶ。

今の日本の現状は、19世紀後半の英国経済の衰退や20世紀前半の日本の大陸進出と似ているところがある。

 

英国の場合は、衰退が差し迫っているにもかかわらず、誰も動かずズルズルと深みにはまっていただけでした。

日本の場合は、様々なあがきを繰り返しながらも最悪の経済状況に至ると、あっさりと打開策は挙国一致で大陸への武力侵攻でまとまった。

そこには悲しいほどの甘い希望と他人任せの風潮があった。

 

  •  経済学は自然科学ではない。

私達が接するマスコミや経済学者の景気や経済指標の予測は当てにならないと思ってください。

一番重要な事は、経済学は自然科学のような計算によって正確に結果を予測できる学問ではないことです。

残念なことに、逆に信頼を得ようとして「私の説明や予測は確実です」と言う人ほど使用出来ず、科学者とは言えない。

 

著名なエコノミストの予測が如何に外れるかは、過去に予測している著書を見れば呆れるほどです。

外れる理由は、経済の諸条件の関わり合いが複雑なことと、予測する時は条件を限定せざるを得ないからです。

さらには、経済は論理的な動機よりもアニマルスプリット(動物的衝動)で大きく変動することがあるからです(バブル崩壊の切っ掛け)。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 88: 何が問題か? 11: 生涯賃金の末路


1a

*1

 

 

前回、日本の先輩格である英米で進行している衰退を見ました。

今日は、日本の悲惨な賃金の未来を考えます。

簡単な試算により、若い人の未来が明確になるはずです。

 

 

 

はじめに

一国の経済指標の変動や産業の盛衰を予測することは、たとえ数年から10年先であってもほとんど外れています。

1972年のローマクラブ発表の資源枯渇の予測も外れたと言えるでしょう。

 

これら予測が外れる理由は、極論すれば人々の欲望(嗜好)や危機意識(節制)が働き、状況が変わってしまったからと言えます。

 

日本政府がこれまでの政策を踏襲するとして、つまり抜本的な改革を行わないとして、40年後の未来を予測します。

 

ここで少し確認しておく必要があります。

実は、アベノミクスは日本経済を覚醒させる画期的な政策ではないのです。

日本はこの半世紀、画期的な復興をやり遂げる中で、初期には米国に助けてもらいながらも徐々に米国の言いなりになり、それが現在の社会経済の形を作りあげて来ました。

そしてアベノミクス以降、日本は英米主導のリフレ策(貨幣供給中心)に益々傾斜しています。

この結果は既に見たように、90%の米国民に惨めな結果を招いています。

 

結局、日本政府は「自由放任主義経済と金融重視」と「福祉政策縮小」によって、経済大国の夢を追い続ける従来の路線を強化しているだけなのです。

 

 

あなた方の生涯賃金

現在、日本の株価と企業業績は順調で好景気と言われています。

しかし私達労働者の賃金はここ20年ほど下がり続けています。

これは一時の好景気で修正出来ないことを前回確認しました。

 

なぜ労働者の賃金は下がり続けるのでしょうか?

現在、日本では不思議なことが起こり、特に日本が先頭を切って悪化しています。

この全体像は私達には見え難いものです。

 

 

 

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< 図2.生涯賃金の推移、 独立行政法人労働政策研究・研修機構より >

「ユースフル労働統計2016 ―労働統計加工指標集―」を借用。

 

このグラフは、同じ企業に勤めている社員で、後から入社する者は先に入社した者より、年々生涯賃金が低下していることを示しています。

この低下傾向は1990年代中頃から始まっています。

これは「何が問題か? 10: そこにある未来」の図9の高額所得者の所得シェアが上昇する時期とも合致します。

また「何が問題か? 3」の図3の企業所得の上昇時期、逆に賃金の下降時期とも一致します。

 

 

国民の賃金の低下を間接的に示すグラフを二つ示します。

 

 

 

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< 図3. 平均可処分所得の推移、ガベージニュースより >

 

可処分所得とは家計の収入から、税金や社会保険料を引いた値で、自由に使えるお金のことです。

ここでも1998年をピークに下がり、横這いを続けています。

既に、15年間で15%ほど、私達の自由に使える金が減っているのです。

つまり40年後は可処分所得が今より単純に40%(=40年/15年X15%)減ることになります。

その時は更に、極限の累積赤字額と少子高齢化の為に増税と社会保障負担金増が追い打ちをかけることになる。

 

 

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< 図4.主要先進国の家計貯蓄率、「投資を楽しむ」より >

 

日本とイギリスは共に家計貯蓄率が急激に低下しています。

日本の家庭は1991年をピークをつけ、その後、貯蓄に廻すお金が減り続け、遂に2014年には貯蓄を引き出す羽目にまで落ち込んだのです。

かつての日本は貯蓄の高さを誇り、これが高度経済成長(投資資金に廻ることにより)を支えたと言われていましたが、まるで夢のようです。

 

これらのグラフを見れば、日本の賃金が下がり続けていることが理解できると思います。

しかし、これでもまだアベノミクスに期待し、景気の好転がこの悪化を食い止めるはずだと信じる人もいるでしょう。

 

そこで、この賃金低下は景気とは別の根本的な要因によって起きていることを見ます。

 

 

 

何が国民の賃金を低下させているのか?

難しい話ではありません。

あなた方の身の周りで起きていることを少し疑うだけで、真実が見えるはずです。

 

 

 

5

< 図5. 正・非正規雇用者数の推移、厚生労働省より >

「平成24年版 労働経済の分析」から借用。

 

正規雇用者数が長期にわたり増えない一方、非正規雇用者比率は益々増加傾向にあり、現在は40%に近いでしょう。

 

皆さんの多くは非正規雇用は仕方のないことと思っているはずです。

なぜなら政府や著名な経済学者、経済界は「産業構造の変化に対応して人材の流動性が必要」と説明しているからです。

実はこれは間違っていないのですが、問題はこの後にあるのです。

 

なぜ皆さんは、国が「同一労働同一賃金」「離職後の生活補助と再雇用向けの教育」を放置していても怒りの声を上げないのでしょうか?

 

ここが日本の致命傷とも言えるのですが、人権意識や民主主義が希薄なのです。

このことを放置している国は、やがて米英のようになってしまうでしょう。

これを守りながら経済成長を続けている北欧などが存在する事実は重要です。

 

 

 

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< 図6.正規・非正規の賃金カーブ、年収ガイドより >

 

このグラフは致命的です。

これを一人の生涯賃金のグラフと見立ててれば、正規と非正規の生涯年金の差は歴然としています。

しかもこの賃金グラフは年々低下する傾向にあります(後にわかります)。

さらに悪いことに、この半分しかない生涯賃金の非正規雇用が年々増加しているのですから、日本の労働者の所得は低下するのが当然です。

 

 

 

7

< 図7. 正規・非正規の生涯賃金の差、年収ガイドより >

 

2015年度で男性の非正規の生涯賃金は正規の56%しかなく、女性で60%でした。

おそらく今後、正規の賃金も引きずられて低下するでしょう。

 

 

さらなる理由があります

賃金低下を招いている大きな理由の一つは非正規雇用とその雇用者数の増大、そして首切りの容易さと再就職の困難さです。

更に重要なことは、通貨供給一辺倒でバブルを繰り返す経済成長よりも、この是正措置の方が遥かに容易に賃金上昇(格差是正)と消費需要の喚起による経済成長が得られることです。

 

1980年代以降益々衰退を深めている背景に、大多数の労働者の劣悪化を放置し歓迎さえしている政府や経済界の姿勢があります。

 

 

 

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< 図8.先進国の労働分配率、独立行政法人産業研究所より >

 

労働分配率とは、企業の生産額から費用を差引いた額に占める労働者の賃金の比率です。

つまりグラフのように労働分配率が長期低下傾向にあり、日本の労働者の賃金は低下せざるを得ないのです。

米国も低下しているが、日本は真っ逆さまと言えます。

 

経済学者は、この労働分配率の低下をITが普及した為とか、様々な理由を挙げているが、私は合点がいかない。

 

現在行われている容易な派遣切り、長期失業者の増加、著しい賃金低下を放置していることが企業収益に安直に貢献している限り、賃金低下は今後も続くのは当然です。

これを何ら規制せず、また保護政策を採らないことが最大の問題なのです。

 

 

 

まとめ

皆さんの40年後の生涯賃金の低下を試算します。

 

 

9

< 図9. 男性大卒の生涯賃金と日本の労働生産性の推移、独立行政法人労働政策研究・研修機構より >

このグラフは図2の男性大卒の生涯賃金と別の労働生産性のデーターを使用したものです。

 

横軸目盛りは1990年から2014年までの25年間です。

赤線は労働生産を、赤の破線はこの近似曲線を示し、右側縦軸にその%値を示す。

青と緑線は男性大卒の生涯賃金を、緑線はピークであった1994年以降を示す。緑色の破線はこの近似曲線を示し、左側縦軸にその金額(百万円)を示す。

 

40年後の男性大卒の生涯賃金は、近似式の「-2.397」X40年=96百万の低下になり、1994年の321百万の30%低下となります。

 

同様に40年後の労働生産性は、1991年の67より更に17%減少し、50%になっていることでしょう。

おそらく皆さんは、この計算結果を信じられないことでしょう。

これは大雑派な試算ではあるが、前述したように今の日本ではこれを上昇させる力がまったくないのです。

 

前回、英米の経済状況で確認したように景気は変動の末、悪化するだけ、さらに今後、日本は少子高齢化の影響で2060年までGDPの伸びは期待できない。

例え上昇しても今の税制や再分配制度(セフテイネット)では今後、一握りの高額所得者に所得が集中するだけです。

 

残念ながら、このような日本にしてしまった最大の要因は日本の文化や国民性にあります。

嘆いても仕方がありません。

一つ一つ、正しい方向に導いて行くしかないのです。

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 87: 何が問題か? 10: そこにある未来


 1

*1

 

今回は、日本の未来を考えます。

これはバラ色ではないはずです。

なぜなら日本は疲弊していく先進国と同じ道を辿っているからです。

 

 

はじめに

既に、私のブログで憂うべき状況を幾度も取り上げてきましたが、今回は若い人々の未来に焦点を当てます。

 

将来、日本で深刻度が増す問題

A: 年金と退職金の大幅な減額

B: 生涯賃金の大幅な減少

C: 介護費と医療費の負担増

 

多くの若い人は未来に不安を抱いていないように見える。

彼らは、今までもそうであったようにこれからもうまく行くと信じたいはずです。

まして現在、日本は好景気なのだから、きっとこのまま良くなって行くと期待さえしているかもしれません。

 

しかし、私の想定する40年後の未来(今の20~30才代の人が60~70才代になる頃)は生活がかなり苦しくなっているでしょう。

今の60~70才代に比べ、彼らが自由に使えるお金はおそらく2~3割減るでしょう。

当然、彼らのこれから受け取る生涯賃金もかなり減り、貯蓄は益々困難になり、老後資金はかなり不足するはずです。

 

聞きたくも信じたくもないだろうが、悲惨な結果を容易に予測できます。

この予測を行う前に、悪化が現実に起きている事を知ってもらいたい。

その先例が既に日本が手本とする先進国で起こっているのです。

 

 

先進国で今、起きていること

経済が豊かであるはずの先進国で今、何が起きているのでしょうか?

 

 

 

2

< 図2.米国のマルチ世代家族の人口比率と人口、by Pew >

http://www.pewresearch.org/fact-tank/2016/08/11/a-record-60-6-million-americans-live-in-multigenerational-households/

 

上のグラフ: マルチ世代家族で暮らす人口の比率。

下のグラフ: マルチ世代家族で暮らす人口、単位百万人。

米国の総人口は現在3.2億人。

 

このグラフから米国のマルチ世代家族(祖父母と親子の三世代家族)の人口が1980年代から増え始め、この傾向が加速している様子が見て取れます。

特に2008年以降、急増しています。

皆さんの中には、これは移民が増えた結果ではないかと疑う人もいるでしょう。

 

 

3

< 図3. 米国の人種毎のマルチ世代家族の人口比率の変化、by Pew  >http://www.pewresearch.org/fact-tank/2016/08/11/a-record-60-6-million-americans-live-in-multigenerational-households/

 

 

このグラフから、確かにマルチ世代家族は白人以外で多いが、むしろ白人家族の増加率は多人種より若干多いと言える。

この変化は人種に関わらず米国のすべての家族で起きていると言えます。

 

 

 

4

< 図4.英国で増え続けるマルチ世代家族数 >

“Multi-family households, 1996 to 2013, UK” by Office for National Statistics

https://www.ons.gov.uk/peoplepopulationandcommunity/birthsdeathsandmarriages/families/bulletins/familiesandhouseholds/2013-10-31

 

これは英国のマルチ世代家族の最近の傾向を示しています。

ここでもマルチ世代家族の家族数の増加が見られます。

特に2008年と2012年には急増しています。

但し英国の場合、総家族数(2016年1890万家族数)に占めるマルチ世代家族の割合は直近で1.5%に過ぎない。

 

この米英で起きている現象は、ある重要な経済の変化と関りがある。

 

 

この背景にあるもの

 

5

< 図5. 米国の失業率の推移 >

https://www.bls.gov/spotlight/2012/recession/

 

このグラフから長期失業者が増加傾向にあることがわかります。

また1980年代前半と2008年以降(リーマンショック)は高失業率に見舞われています。

この時期と図2のマルチ世代家族の増加の時期はよく符合しています。

 

 

6

< 図6. 英国の失業率とGDPの推移 >

https://www.economicshelp.org/blog/1778/unemployment/uk-unemployment-rate/

 

このグラフからリーマンショック以降、増加した失業率が高止まりしており、このグラフでは分からないがその余波は2012年まで続いた。

ここでも図4のマルチ世代家族の2回の増加時期が符合している。

 

つまり、マルチ世代家族が増えた背景には、失業率の増大があったのです。

失業者が増えると、その家族達が支え合うようになったと考えられます。

これを昔の温かい家族形態への回帰と諸手を挙げて喜ぶべきではないでしょう。

当然、所得の低下も起きています。

 

これには更に根の深い問題があるのです。

 

 

1980年代から英米で何が起きているのか?

 

 

 

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< 図7. 米国の所得階層毎の所得の推移、by TheAtlantic >

https://www.theatlantic.com/business/archive/2012/12/a-giant-statistical-round-up-of-the-income-inequality-crisis-in-16-charts/266074/

 

このグラフはバブル絶頂期(リーマンショック前)までの所得推移を示しているが、所得下位の60%までは1979年から30年間で17~59%も所得を減らしている。

それも上位1%の層が309%増やしているにも関わらず。

 

ここで是非とも知って頂きたい事は、経済が好調になれば所得が一時回復し失業率も低下するのですが、バブル崩壊を繰り返す内に確実に益々多くの人が所得を低下させ、長期失業者が増えると言う現実です。

このことは図5と図7からわかります。

 

もしあなたが、2007年の時点で図7の所得推移を見ているとしたら、きっと未来は洋々とし復活が約束されていると思ったことでしょう。

しかし、現実は非情でした。

 

 

 

8

< 図8.米国の所得階層毎の平均所得の推移、by Business Insider >

http://www.businessinsider.com/chart-average-income-since-1917-2013-2

 

リーマンショック後の2011年には下位90%(赤線)の人までが1970年代よりも所得を10%以上減らすことになった。

実は、このことはITバブル崩壊後の2003年(図7)でも同様のことが起きていました。

 

もし今の日本の好景気が世界のバブル経済に起因しているのであれば、確実にこの先、2008年のリーマンショックを遥かに越える金融危機が世界を襲うでしょう。

 

現在、大国(米国、ユーロ圏、日本、中国)は歴史的な貨幣供給を行って来ており、日本だけはまだ継続さえしている。

従ってバブル崩壊はほぼ間違いないでしょう、いつ起こるかは予測できませんが。

 

なぜこのような不条理が米国中心に起きているのでしょうか?

 

 

9

< 図9.高額所得者(1%)の所得シェアの推移、社会実情データ図録より >

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4655.html

 

このグラフから平等を守ろうするフランスを除いて、特に米英で高額所得者の所得シェアが1980年代から急増しているのがわかります。

残念なことに、日本も少し遅れて1990年代後半から格差が拡大しています。

この時期は日本政府が米国流の金融改革(金融ビッグバンなどの自由化)を1996年から始めたのに対応しています。

 

 

10

< 図10. 各国のGDPに対する社会的支出割合(福祉政策)、by wikipedia >

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E7%A5%89

 

この図から各国の社会的支出割合(再分配)の程度が分かり、右の方がより高い。

米英でのマルチ世代家族数の違いは、所得格差を是正するはずの社会的支出が両国で違うことによるのでしょう。

米国は赤線、英国は茶色線、日本は黒線、カナダは左側欄外にある。

福祉国家と呼ばれる北欧とフランスを青線で示す。

 

 

 

まとめ

つまり英米で起きている家族形態の変化は、繰り替えされるバブル崩壊によって引き起こされた長期失業者の増大と国民の所得低下がもたらしたものでした。

 

そしてこの失業率の増大と国民の所得低下、逆に高額所得者の著しい所得増加は1980年代から起きている。

 

これは既に紹介しているサッチャーとレーガンによる政策「自由放任主義経済と金融重視」と「小さな政府による福祉政策(再分配)の切り捨て」への転換が始まりです。

前者の経済政策については、多くの先進国で大なり小なり実施されており、特に日本は益々その度を強めています。

後者の社会政策についても、多くの先進国が倣っていますが、逆に北欧やフランスのように強めている国もあります。

 

したがって、日本が現状の米国追従の経済政策を続ける限り、やがて米国と同じか、さらに急激な少子高齢化が重なり悪化は深刻化するでしょう。

 

つまり日本の将来は大多数の国民にとって経済的困窮が必然なのです。

 

しかし、一つだけ希望があります。

北欧は同じ資本主義国家でありながら、その経済・社会政策(福祉国家)により高い幸福度と高い経済力を維持していることです。

いずれ紹介します。

 

 

次回は、日本の勤労者の惨めな未来を予測します。

 

 

 

 

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何か変ですよ! 83: 何が問題か? 6


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*1

 

 

今の若者の政治離れと右傾化の一端を探ってみます。

そこには単純で普遍的な理由があったのです。

若者は好んで苦境から目をそらしているわけではない。

 

 

はじめに

先進国では軒並み、熱烈な政党支持者が減り、無党派層が増え、少数政党分立の傾向を深めた。

これは日本も同じです。

 

なぜこのようなことが起きたのでしょうか?

以前、私のブログでもこの問題を取り上げました。

この原因は、長引く経済と社会の低迷、例えば格差拡大や失業者の増大などに有効な手立てを打つことが出来ない政府にあった。

同時に、国民は長らく政治を牛耳る議員や官僚、また彼ら操っているエスタブリッシュメントに怒りを覚える一方で打破する手立てを持てず、諦めていた。

国民は、自分たちの希望や意思が政治に反映されないことに苛立ち、閉塞感を持っていた。

 

その一方、日本に限っては、長期低迷の経済にあっても国民はまだ格差拡大を深刻に捉えておらず、また社会は混乱もなく平和でした。

そして国民は概ね社会に満足している。

 

多くの日本人は閉塞感を抱いていないのだろうか?

私の見る所、政府を信じていると言うよりは日本社会への安心感のようなものがあるようです。

つまり、「何とかなる」と感じているのでしょう。

 

 

 

 

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< 2. 非正規雇用比率の推移、ガベージニュースより >

 

このグラフから若年労働者の非正規が増加傾向にあることがわかります。

 

 

 

3a

< 3. 男性の非正規雇用の状況 >

上のグラフはガベージニュースより、下のグラフは非正規雇用フォーラム・福岡より借用しています。

 

現時点では中高年層の非正規は少ないが、将来、景気の浮き沈みで多少変化するものの、中高年層にも拡大するのは間違いない。

それに応じて大半の労働者の所得は増加することなく横這いとなり、巷には低所得者が蔓延することになる。

こうならないとする根拠も政策もない。

 

実は女性の方が非正規率が高く、賃金も安く、状況は深刻です。

 

 

 

なぜこのような意識のズレが起きるのでしょうか?

今までも指摘して来ましたが、ここ20~30年の経済データーは明らかに低迷を示しています。

 

例えば、現実の社会を見てみましょう。

将来、労働者の数割が生涯非正規雇用になり、定期的に首を切られ、年収が0か200万円前後で一生暮らさざるを得ないとしたら将来の見通しが立つでしょうか?

これは若年労働者ほど厳しいが、今の自由放任主義経済のシステムが続くなら将来さらに深刻さを増すことになる。

そしてこのことが経済を更に低迷させることになる。

 

先ず、生活に不可欠な大きな生涯費用としては住居費5000万円(家賃購入共)、二人の子供の教育費3000万円、一人の医療介護費の自己負担額700万円(総額3100万円)が最低必要になり、合計8700万円でしょうか。

非正規の彼が運よく80年の生涯で、30年間毎年200万円稼げたとして、計6000万円です。

ここから税金(所得税、消費税)と社会保険料(医療・介護・年金)が徴収され、食費・衣料・水道光熱費を出費したら、収入がある時でも可処分所得は年間100万以下で計3000万円以下でしょう。

これで収入の無い時の生活費を賄い、さらに住居費と子供の教育費、医療介護費を支払うことは不可能です。

 

とてもじゃないが、結婚ができず住居や子供を持てず、医療介護も受けられない。

逆に結婚し、収入を合算して助け合う道もあるが、やはり生活はできないでしょう。

さらに彼らが退職の年齢になっても退職金は無く、年金は雀の涙です。

これでは結婚出来ないホームレスが1千万人を越える時代が来るかもしれない。

 

ここで不思議に想うのは、最も被害に合うと分かっている若年労働者が今の政治に無関心でこれを放置し、さらに右傾化に惹かれ肯定までしていることです。

さらに、不思議なのはより恩恵を受けている高齢者の方が政治に不満を持っているのです。

 

 

 

次のグラフから上記の理由が見えて来ます

 

 

 

4a

< 4. 日本の若者の人口比率 >

 

このグラフは日本の人口に占める15~24歳の割合の推移を示しています。

この15~24歳の割合は1965年にピークを示しています。

 

当時の社会はこれに同期するように大きなうねりを経験しました。

1960年代半ばから反戦運動、1968年頃から東大闘争、そして日本の学生運動は1970年まで燃え盛りました。

また1960年代半ばからフォークソングがブームとなりました。

世界的な流れがあってのことですが、日本の若者は呼応したのです。

 

実は戦後の復興期、1947年からの3年間に806万人と言う大量の子供が生まれ、彼らが20歳になったのが1967~1969年だったのです。

彼らを団塊の世代と言い、彼らの中には「学生は世の中をよくするために身を挺して立ち上がるべきだ」との信念に共感する者が少なからずいたのです。

 

 

 

 

 

5a

< 5. 日本の経済成長率 >

 

学生運動が盛り上がった1965~1970年は高度経済成長期(1954~1973年)でした。

けっして、この時代は沈滞した希望の無い時代では無かったのです。

むしろ、彼らは戦後の貧しさから抜け出す為に必死に働き、また苦悩しながら社会を変革しようとした希望多き時代だったのです。

その彼らは現在、退職し70~72歳になっています。

 

つまり、若年層が多い時代、彼らは政府を批判し、社会を改革しようとしたのです。

そして年をとっても、まだ社会を変えるべきだと思っている人がいるのです。

 

 

 

6

*6

 

 

一つだけ指摘するなら

結局、今の若者は平和と安逸に慣れてしまい、社会に対する若者らしい情熱を失ってしまったように見えるが、その大きな要因の一つは、単純に若年層の人口割合が学生運動華やかりし頃の半分にも落ち込んでしまったからと言えそうです。

この相関は人口統計学で指摘されています。

 

今の若い人に知って頂きたいことは、かつて若い世代(団塊の世代)が社会問題に立ち上がった事実です。

そして、あなた方の将来は団塊の世代の将来と比べものにならないほど劣悪なのです。

 

もう一つ指摘するなら、あなた方はかつての学生運動の反動で、政府(文科省)の通達により、学校で政治的なことから目を逸らすように教育されてしまつたのです。

これがさらに日本の政治文化を劣化させることになったのです。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 82: 何が問題か? 5


1

< 1. 旧約の預言者イザヤ >

古くから警鐘を鳴らす人はいたのだが、ユダヤ人は聞かなかった。

 

 

前回、大半の労働者にとって悪化している経済の現状を確認した。

それはここ半世紀の日本と先進国の経済政策が生み出したものでした。

しかし、問題の核心は別にあり、さらに根が深い。

 

 

 

 2a

< 2.世界に占める日本のGDP >

 http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/no170-f7b5.htmlより

 

 

はじめに

前回紹介した、三つの政治経済の潮流。

A: 1980年代からの米国主導による自由放任主義経済。

B: ここ半世紀の日本与党の企業優先の政治。

C: 2013年からのアベノミクス。

 

私はこの三つが今の世界と日本をさらに劣化させ行くと見ています。

劣化とは、繰り返す倒産と失業で国民の大半は所得を減らし、中央政府への信頼を無くし、追い打ちをかけて国家債務のデフォルトが起こり、遂には争乱へと進むことを意味します。

私はこのことをこれまでのブログで取り上げて来ました。

 

Aの問題点については、世界的に著名な経済学者クルーグマン、スティグリッツ、ジャック・アタリ、ピケティ、経済評論家ジェフ・マドリックが指摘しています。

BとCについては、国内の一部の経済学者が指摘しています。

 

しかし、残念ながら多勢に無勢で、社会を変革する力にはなっていない。

この少数派の警鐘は、既得権益側による圧倒的な情報量と印象操作で掻き消えてしまうのでしょうか。

または不景気と好景気が繰り返されていれば、じんわりと社会経済が衰退を深めていても、人々は一縷の望みを託し現状にすがりついてしまうのでしょうか。

しかし、一度衰退が始まると、そんなわずかな望みさえも冷酷に踏みにじって来た。

それが歴史でした。

 

 

3a

< 3. かつての栄光、実は一人当たりの実力は? >

 

 

衰退に人々はどのように向き合ったのか?

かつて栄華を誇った国が衰退した例は数知れずあった。

古くは都市国家アテネ、ローマ帝国、スペイン、オスマントルコ、英国、ソ連がそうでした。

これらの国が衰退したのは、いずれも一人の権力者による失策が原因ではなかった。

むしろ起死回生を願い、末期にすら改革に立ち上がった人々がいた。

しかしその思いは既得権益層の抵抗と根付いた社会の流れにかき消されていった。

つまり、かつては繁栄をもたらした社会経済のシステムが社会に根を張り、これが逆に世界や国内の変化に対応できずに自壊していった。

 

衰退する運命にある文明や国は、どうあがいても再起が不可能なのかもしれない。

おそらく今のままでは米国そして追従する日本がこれに続くことになるでしょう。

両国のここ半世紀の経済データーを見ていると悲観せざるを得ない。

しかし、その一方で既に衰退した国もあれば方向転換を成し遂げた国(北欧やドイツなど)がヨーロッパ内にも存在する。

 

やはり、人類の英知を持ってすれば可能なのかもしれない。

もし国民や政府が真摯に警鐘に耳を傾け、痛みを伴っても方向転換を図っていれば良かったと思うターニングポイントが過去に少なからずあった。

いつの時代も、社会経済の異常や危険の芽を鋭敏に察知し、勇気をもって指摘した人は存在した。

日本が第二次世界大戦へと突き進む過程においても、その危険性を議員やジャーナリスト、言論人が命を張って訴えていた。

残念ながら、かき消されてしまったが・・・。

 

 

4a

< 4. 英国の辿った道、それは・・・ >

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/no170-f7b5.htmlより

 

 

なぜ人々は警鐘に耳を傾けないのだろうか?

今の日本で想定される幾つかの理由を挙げます。

 

D: 政治に期待せず無関心な人々の増加。

E: パトロンとクライアントの関係が強い政治文化、「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」の言葉で代表される。

F: 偏った報道や印象操作による洗脳。

G: 孤立した日本文明の弊害や歴史に根差すもの。

H: 人類に共通した心理。

 

いくら警鐘を鳴らす人が出ても、それを拒絶したり無視する人々が多くては話にならない。

これに怒っても事は解決には向かわない。

 

少しでも多くの人が、未来の危機を認識出来るかにかかっている。

私は、上記の理由が如何に重要な認識を阻害しているかをこの連載で明らかにしたい。

そして、未来の危機を回避し、子供や孫の世が平和で豊かになることを望見ます。

 

 

5a

< 5. 日本のターニングポイント  >

http://www.huffingtonpost.jp/yoshifumi-nakajima/japan-decline_b_7452352.html  より

 

この赤線を上下逆にするとグラフ2の山にほぼ重なるので不思議です。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

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何か変ですよ! 81:  何が問題か? 4


1

*1

 

 

前回、日本の賃金が下がり続けている状況を知りました。

その一方、企業は空前の利益を上げ続けています。

それでは企業の好業績は私達に恵みをもたらすのでしょうか?

 

 

豊かになった企業は日本経済を救うのか?

政府は大企業が儲けなければ、庶民に恩恵が行かないと言う。

今後、企業が賃金を上げ、設備投資をしてくれればそうなるのだが。

この可能性を調べてみましょう。

 

 

 

 

2

< 2. 豊かになった企業がしていること >

 

 

上のグラフ: 東洋経済 山田記者のグラフ。

 

労働分配率が長期低下傾向にあり、さらにリーマンショック後も低下し続けている。

こうして企業は労働分配率(付加価値に占める賃金)を下げ続ける一方で、内部留保を長期にわたり積み上げている。

もっともこの内部留保が設備投資に向かえば日本経済は浮上するのだが・・・・

そこで下のグラフを見てください。

 

下のグラフ: 日本政策投資銀行 田中氏のグラフ。

これは民間企業の設備投資額のGDPに占める割合を示している。

一目瞭然だが、企業は内部留保(資金)が潤沢にあるにも関わらず、設備投資を抑えている。

これでは生産性向上は見込めない(設備投資だけが生産性の要素ではありませんが)。

 

これでは踏んだり蹴ったりだ!

 

 

それでは企業のあり余った資金は何処に向かっているのか?

 

 

 

3

< 3. 企業が目指していること >

 

上のグラフ: 日本政策投資銀行 田中氏のグラフ。

これは企業家が抱く期待成長率と設備投資の関係を示す。

 

このグラフは、設備投資が少ないのは企業家マインドの冷え込みに起因していることを示している。

 

政府は声高に法人減税は景気浮揚策と説くが、どうだろうか。

米財務長官時、ポール・オニールは「まともな経営者は法人税が減税されたからと言って、むやみに設備投資を行わない。」とブッシュに進言していた。

企業や富裕層への大減税は米国のレーガンや子ブッシュの例が示すように、概ね赤字を増やしただけでした。

だがこの手の減税は米国主導により先進国は安売り競争の状態に陥っている。

 

 

下のグラフ: 内閣府の国民経済計算(GDP統計)より。

これは設備投資と財貨の輸出、海外からの所得の推移を示している。

このグラフから日本経済の成熟度、悪く言えば衰退の始まりが見える。

 

設備投資(青線)は横這いなのに、海外に資金(赤線)がドンドン流れ、そして海外に蓄積された資金のもたらす利益(灰色)がドンドン還流し、その傾向が益々強まっている様子が分かる。

(但し、このグラフの資金は家計と企業の分を含んでいる)

 

この状況を肯定するエコノミストもいるが、これが続けば企業は国内ではなく海外に投資し続けることになり、やがて国内産業が衰退することになる。

実は、これは19世紀、英国が衰退した状況と似ている。

 

しかし政府は意欲の萎えた企業に法人減税や公共投資、金融緩和で大量のカンフル剤(通貨供給)を大量投与し続けて来た。

一方で、消費者には消費増税、賃金低下、非正規雇用、低金利、円安(生活用品高)で負荷をかける一方です。

 

この結果、労働者減とも重なり消費が増えず、膨大な資金は実需に繋がらず、巨大な投機資金となって世界を駆け巡り、いずれどこかでバブル崩壊が起こり、金融危機が繰り返される。

こうして、軒並み先進国は膨大な累積赤字を積み上げ、破綻の道を進むことになる。

 

 

最後に日本経済を俯瞰してみましょう

 

 

 

4

< 4.GDPと消費と賃金の推移、内閣府の国民経済計算(GDP統計)より >

 

このグラフは、企業が所得と内部留保を増やす一方で、労働者が賃金低下によって貯蓄分を減らすことで消費を続けている状況を反映している。

この間、家計の貯蓄の伸び率はドンドン低下している。

 

国内総生産の半分を占める家計消費が伸びなければ、国内総生産は伸びず、経済成長はあり得ない。

さらに低調な設備投資が足を引っ張る。

21年間で賃金が10%低下するなかで、国民は家計消費を6%増やしたが、国内総生産は2%低下した。

 

皆さんは、何が問題なのかが見えて来たでしょうか?

 

 

まとめ

上記の説明は大雑把な説明ですが、大まかに日本が何をして来たか、そして何を重視し何を放置して来たかがわかったと思います。

 

今の状況を作りだしている三つの政治経済の潮流とは何か?

A: 1980年代からの米国主導による自由放任主義経済の潮流。

B: ここ半世紀の与党の企業優先の政治の潮流。

C: 2013年からのアベノミクスの潮流。

 

今の日本の経済状況は、上記三つの潮流が合流したものですが、結局、この三つは米国の圧力(構造改革要求、プラザ合意など)と米国主導による自由放任主義経済で繋がっています。

 

日本国民としては、「先ずは企業が豊かになり、やがてトリクルダウンの恩恵を受ける」と言う政府の言葉を信じたいでしょう。

しかし、米国と日本の過去40年間の実績から、今後もバブルが繰り返され、賃金低下と所得格差の悪化は必然です。

 

 

私達は疑いの目を持ち、自ら検証する姿勢を捨てるべきではありません

 

次回に続きます。

 

 

 

 

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何か変ですよ! 80:  何が問題か? 3


1

*1

 

 

前回、日本の失業率低下と賃金上昇の背景を見ました。

しかし、何らかの天井が賃金の上昇を遮っているようでした。

また、今回の景気好転には手放しで喜べない事情があります。

 

 

はじめに

前回、今回の失業率低下と賃金上昇はアベノミクスの効果と断定出来ないことを見ました。

また、この二つの指標は単に景気好転で決まるものでないことも見ました。

 

これから日本の経済状況を規定している三つの政治経済の潮流と、賃金の

上昇を抑えている正体を明らかにします。

 

 

景気好転の切っ掛け

前回のNo4のグラフから、失業率は2009年で、就業者数は2010年で底を打ち、その後上昇を始めました。

所定内給与は2010と2011年に上昇したが、2012と2013年に一度低下し、その後また上昇しています。

この背景を簡単に確認します。

 

 

 

2

< 2. 日本の輸出・輸入額の推移、日本貿易会HPより >

 

グラフ中の番号⑧で示すように、2010年にはリーマンショック後の景気回復が世界的に進んだことにより、貿易が急伸した。

しかし⑨で示すように、2011年から2012年にかけてはEUの金融危機と東北大震災で輸出が減り、金融危機回避による円安と復興需要で輸入額が急増した。

 

つまり、アベノミクスの効果を否定出来ないが、大きな流れとしては株価上昇や円安と同様に世界経済の立ち直り時期と一致したことが一番でしょう。

 

しかし実はこれが大きな不安要因でもあるのです。

今回の景気回復は、リ―マンショック後の米欧中による歴史的な巨額の貨幣供給が呼び水となっており、実体経済の10倍を越える資金が投機の為に世界中を駆け巡っています。

 

おそらく1~3年以内にバブルが破裂し、世界はより深い金融危機に見舞われ、日本は巨大な金融緩和の反動で今までにない倒産規模と大量の失業に見舞われるでしょう。

こうして、次のグラフ「賃金と企業所得の推移」の青の直線の延長が暗示するように労働者の賃金は更に低下することになる。

このことは、過去40年間の米国の所得の推移からも明白です。

この間のメカニズムは連載「日本の問題、世界の問題」で説明しています。

 

この世界的な不安要因は、三つの内で最も大きな政治経済の潮流、自由放任主義経済がもたらしたものです。

 

 

 

なぜ日本の賃金は天井につかえてしまったのか?

世界経済が好調で、欧米の中央銀行が金融緩和からの出口戦略を取り始めたと言うのに、日本の賃金はなぜほんの少ししか上がらないのだろうか?

 

何が災いしているのだろうか?

労働者の働きが悪いのか、それとも経営者の財布の口が閉まったままのか?

 

 

 

3

< 3. 日本の賃金はなぜ下がるのか? >

 

上のグラフ: みずほ総合研究所高田氏のグラフ。

日本と米国、ドイツの賃金の伸び率とその寄与度がわかる。

 

日本の賃金の伸び率は、2005~2010年に下降から上昇に転じたが、微々たるものです。

米独と大きく異なるのはインフレへの期待が低いことで、これはデフレだから当然です。

かつて世界に誇った日本の労働生産性は低下の一途で、これが問題です。

さらに2010~15年に関しては、労働分配率の低下が賃金を抑制している。

 

 

下のグラフ: 内閣府の国民経済計算(GDP統計)より。

左軸は賃金、右軸は民間企業の所得で、単位は共に10億円です。

 

このグラフから、国民の賃金はバブル崩壊の度に下がり続け、長期低下傾向にあることがわかる。

青の直線は賃金の線形近似で、概ね21年間で10%低下(約23兆円低下)している。

それに比べて、民間企業の所得は21年間で218%上昇(33兆円増加)している。

 

つまり答えは簡単で、民間企業は法人減税などの優遇策により所得を増やす一方、労働者は非正規などの解雇容易化で賃金を抑えられて来たのです。

(賃金低下のメカニズムはもっと複雑ですが、これが主要な要因でしょう)

更に悲しいことに、労働者は逆累進課税の極みの消費税でも苦しむのです。

 

この労働者軽視で企業優先の政策、つまり日本の長期政権による政策が二つ目の潮流です。

 

ところが問題はこれだけでは済まないのです。

 

 

次回は、この企業優先の政策がもたらす結果について考察します。

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ 71: 日本の問題、世界の問題 7: 人はなぜ気が付かないのか?


 1

*1

 

 

これまで、世界を覆っている混迷と波乱の予兆を経済問題を中心に見て来ました。

今回は、なぜ国民がこの濁流に流され続けても平気なのかを考察します。

 

 

  •  はじめに

身近な人に、「世の中はどうですか?」と聞けば、多くは怪訝な顔をし、せいぜい「景気は良くならないですね」と答えるぐらいでしょう。

また「将来、不安ですよね」と聞くと、「そうですね」と答えるぐらいです。

 

さらに「このままでは行けないですよね」と投げかえると、ほとんどの人は逆に「日本ほど素晴らしい国はない」と答え、暗に政策転換を否定することになる。

 

2

< 2. 主要国の失業率の推移 >

 

灰色枠は米国の景気後退期(バブル崩壊)を示し、これでせっかく の金融緩和で稼いだ失業率低下を毎回帳消しにしている。

このグラフでは分からないが、この繰り返される大幅な金融緩和で 累積債務(将来世代への借金)は各国で史上最大になった。

 

 

 

 

3

< 3. 日本の相対貧困率 >

 

簡単に言えば、所得格差の拡大が未来を担う子供を窮地に追い込ん でいる。

 

 

 

4

< 4. 主要国の貧困率 >

 

ここで重要な事は、日本が米国の政策に追従している内に、貧困率 は先進国でもトップに近づきあることです。

さらに日本に特徴的なことは、片親家庭(おそらく母子家庭)の貧 困率が群を抜いていることです。

これは男女の賃金差と福祉政策の拙さに起因している。

 

 

日本と米国だけでなく他の先進国も押しなべて、失業率の乱高下、高まる貧困化率、繰り返す金融危機、巨大化する累積債務など、経済の悪化が続き、鬱積した不満と苛立ちは移民排斥や人種差別、右翼化などに結び付き、社会はきな臭くなっている。

 

多くの国民は、この悪化状況が今後、改善されると期待しているのだろうか?

この状況は一時的なもので、米国流の政策を真似ていれば解決すると思っているのだろうか?

それとも、先のことは考えたくないだけなのか?

 

今まで述べて来たように、現状の悪化は高々1980代から始まった先進国の政策「自由放任主義によるグローバル化」が引き起こしたものです。

そうであるならば、この政策を反転させない限り、世界はさらに混迷を深めることになる。

 

国民はなぜこのことに違和感を持たないのかを考察します。

 

 

  •  疑念を抱かない不思議

昔では考えられなかった事だが、私達の子供世代(30代)の大半は非正規で働いてる。

このことを同世代の親に問うても、すべての答えは「残念です」ぐらいで、せいぜい言葉が添えられても「息子、娘が不運だった」または「息子、娘が至らなくて」ぐらいです。

 

これには日本人の奥ゆかしさが出ているとも言えるが、自己責任で納得してしまう特有の文化がある。

しかし、これでは問題の解決にはならない。

相変わらず、お上にお任せから抜けきれない。

 

この状況は、かつて規制されていた非正規雇用が規制緩和により、あらゆる職種で自由になったことにあり、さらに規制緩和は拡大中です。

 

 

 

5-3

< 5. 主要国の労働分配率 >

 

日本の労働者賃金の企業の付加価値に占める割合は、格差拡大が著 しい米国(青線)より著しく低下している。

付加価値には企業の利益、税金、人件費などが含まれる。

 

 

なぜ国民はこれを受け入れるのでしょうか?

 

理由は簡単で、多くの経済学者に始まり、政府・官僚や保守系マスコミ(米国寄り)までがあるドグマに囚われ、さらにその絶大な効果(?)が喧伝され続けて国民に完全に浸透してしまったからです。

 

これは米国に追従した原発推進のパターンと同じです。

そのドグマとは1980年代から流布した「自由放任主義こそが経済を活性化する」です。

つまり、あらゆる規制を取り除き、資本や労働、商品などが、世界中の自由市場で競争すれば、経済効率が上がり、コストは下がり、所得は増えると言うものです。

 

40年近く、このドグマに従い、米国を筆頭に多くの先進国がこれを実施して来ました。

しかし、その結果、米国やEU、そして日本の現状が示す通り、沈滞と失望が蔓延するようになったことは、既にこの連載で見て来ました。

 

それではなぜ、誰もこのドグマが悪化の原因だと疑わないのでしょうか?

 

 

 

6

< 6. 下位50%の所得割合い >

 

下位50%の所得割合が全体の50%であれば平等な社会です。

米国は経済成長を続けて来たが、その 内実は大半の国民を置き去 りにしているのです。

1980年代より、米国は一気にその傾向を強めている。

フランスは不平等の進行を食い止めている。

 

 

 

  •  不思議がまかり通る原因

その大きな理由の一つは、見かけでは景気が良くなるからです。

 

米国で顕著なのですが、自由放任主義が進んだ結果、金融セクターが巨大化し、これがバブルを煽り、株価高騰に見られるようにGDPの上昇が起こるからです。

 

しかし実体は、長年のGDP上昇にも関わらず、大半の米国民の所得は横這いか低下しただけです。

残ったのは、実体経済(製造業など)の衰退、膨大な累積債務、所得格差の拡大だけと言えるでしょう。

 

もう一つは、多くの経済学者や政府首脳、マスコミが、今や経済の首根っこを押さえている最大の受益者となった金融セクターに追従し安住しているからです。

米国のホワイトハウスとゴールマンサックスの関係を見れば明らかです。

 

さらに付け加えると、自由放任主義が当時広がりを見せていたグローバル化と一体化したことにより、一国が採りうる政策の幅が狭くなったことにあります。

例えば、ある競技で、参加者はどんな有利な道具を用いても良いとするなら、一人だけ何ら道具を用いず競争するなら負けるのは当然です。

今の世界経済は、このように競争に対して無秩序、無制限に近いのです。

 

これらのことにより国民は反論出来なくなり、泣き寝入りするだけなのです。

 

このように言い切ってしまうと、国民の見識を貶めているように思われるかもしれません。

そうではなくて、皆さんは洗脳されていることを疑ってください。

そこで少し、皆さんに見方を変えることをお勧めします。

 

 

 

  •  自分の首を絞める偏見の例

二つの具体例を取り上げます。

 

  1. 最低賃金を上げれば景気は悪くなる

政府や企業は、最低賃金をむやみに上げると、先ず中小企業が倒産し、景気が悪化すると言う。

また賃金上昇は海外との価格競争で不利となり、これも経済を弱めるとする。

 

一方、現代の経済学では、最低賃金の上昇は消費需要を高め、この結果、景気が良くなり、企業も潤うとする。

 

皆さんはどちらの説を採用すべきと思いますか?

 

実は、半世紀前まではこの逆が実際に起こっていたのです。

 

 

  1. 従業員の育児休暇が増えると企業の体力が弱まる

これは、つい昔の日本の政府や企業の考え方でした。

もし育児休暇で1回に1年間も休まれると、その穴を埋めるために余分に人材を要し、人件費増となり、経済にはマイナスでしかないと言う。

皆さんの多くはこれを当然のように思っていたはずです。

 

一方、ヨーロッパでは遥か以前から、国が主導して育児休暇を取らせて来ました。

フランスではなんと3年間もあり、さらに保育所の完備、充分な育児手当の支給で、出産を奨励して来ました。

これにより、フランスは2009年には、人口維持が出来る合計特殊出生率を2.0へと回復させた。

フランスは労働者不足(人口減)を補うためにヨーロッパの中でも早くから移民を取り入れて来た国で、積極的に対策を講じて来たのです。

 

翻って日本はどうでしょうか?

この年の日本の合計特殊出生率は1.37で、これでは人口減は必然です。

もし日本政府が、労働者にもっと目を向けていれば、現在の労働者人口減や高齢化のマイナスを緩和出来ていたはずです。

そうすれば急速な高齢化による年金給付や医療費の不安がかなり軽減され、ゼロ経済成長もここまで長引くことはなかったでしょう。

 

 

これらは単に政策ミスと言うより、政府の思考に問題があるのです。

そこに共通するのは労働者軽視であり、企業優先が蔓延ってしまっていることです。

 

7-1

*7

 

 

  •  愚かな自虐労働観

皆さん、周囲を見渡して、労働者(定年後も)とその家族でない人がどれだけいるでしょうか?

日本の経済―供給と需要(消費)、を支えているのは労働者とその家族なのです。

しかし、いつの間にかその重要な労働者が低く扱われ、所得の低下に見舞われ、さらに真っ先に増税の対象(消費税)となり、将来は益々不安になりつつあるのです。

 

もっとも哀れなのは、労働者自身が労働権(ストや組合活動など)を軽視し、まるで自虐労働観に苛まれてしまっていることです。

 

この自虐労働観の最たる間違いについて考察しましょう。

 

以前、取り上げましたが、企業の内部留保が増える一方で家計の貯蓄が減っている現状がありました。

 

皆さんは、企業がたくさん利益を挙げなければ景気が良くならないと思われているかもしれませんが、これは少し違います。

当然、賃金上昇の原資になりますので企業の利益は必要です。

だが企業の利益や内部留保自体には景気を良くする直接効果はなく、この資金が設備投資に向かって初めて、景気が良くなるのです。

残念ながら、現在、企業の多くは設備投資より金融商品への投資に血眼ですので、株価は上がっても、実体経済への効果は期待できません。

 

むしろ景気(GDP)の上昇にもっとも寄与するのは家計の消費支出(国内総固定資本形成の住宅投資も含まれる)です。

つまり労働者の所得が上昇してこそ景気が持続的に上昇するのです。

このことが日本の高度経済成長時に起こったのです。

 

ではなぜこのような愚かな逆転現象が起きたのでしょうか?

 

 

 

8-5

< 8.日本の労働組合 >

 

日本の労働組合の組織率は1970年代後半から凋落傾向が始まった。

しかし、これは日本に限ったことではなかった。

 

 

9

< 9. 主要国の労働組合組織率 >

 

つまり、1980年代から世界が変わったのです。

 

 

  •  きっかけは反動でした

一番大きい理由は、かつての政策への反動が起こったからです。

 

この連載で既に述べたように、1970年代までの先進国経済は「ケインズの有効重要説」(代表例、世界恐慌後のルーズベルトのニューディール政策)に従っていたことにあります。

米国では、これにより労働者の権利は擁護され、賃金が上昇し続け、これが需要を喚起し、経済発展が続いたのです。

他にも公共投資や大戦による軍需が景気を押し上げた。

 

しかし、1970年代の石油高騰等の要因が加わり、スタグフレーション(不況とインフレの同時進行)が世界を呑み込みました。

この時、主に貨幣供給量の制御でこの問題を解決出来たのですが、同時にこの発案者(フリードマン)の保守的な経済学(自由放任主義)が主流になる切っ掛けとなりました。

 

これを期に、企業側と資本側が逆襲を始めたのです。

自由競争と言う名目で、労働者の権利を弱め、賃金を抑えることで利益を生むことに味を占めてしまったのです。

その後、これも自由競争の名の下に規制緩和と金融緩和(通貨増発)で、金融セクターが莫大な利益を得るようになった。

さらにグロ―バル化は、海外移転が容易な企業や資本に有利に働き、その一方で移住にコストがかかる大半の労働者には不利に働くことになった。

 

こうして世界の労働者は、経済学からも、政府からも、さらに世界からも軽く扱われるようになった。

その国の民主化度の差によって多少悪影響は異なりますが。

 

 

 

10

< 10. 米国のCEO(経営責任者)と労働者平均の給与比 >

 

いまでこそ、米国のCEOの給与は高値に跳ね上がったが、1980 年代以前は、それほどではなかったのです。

 

 

 

  •  労働者が軽視されることで起きたこと

以前、ハーバード大学の熱血授業で米国の高額所得が論じられていました。

最後まで聞いたのですが、得るところはありませんでした。

それは高額所得者がなぜこうも増加したかを説明出来ていなかったからです。

 

一般には、米国経営者の高額所得はストックオプション(自社株購入権利)やM&A(企業買収)が可能にしており、米政府がこれらを解禁して来たことによると考えらている。

また巷では、これらが会社経営を活性化させているとし、高額所得は黙認されているようです。

 

しかし、経済学者のピケティやスティグリッツ、経済評論家のマドリックなどは、最近の実証的研究を挙げて否定している。

先ず、経営者の高額所得と企業業績との間には相関が無いと言う。

 

ここが重要なのですが、こんな無駄な事が起きた理由は、これらをチェックし牽制出来る労働組合の弱体にあると言うのです。

私は、この研究結果を知って、やっと高額所得の増加現象を納得することが出来ました。

 

 

 

  • 日本の事情

日本の労働事情が本格的に劣化し始めたのは、世界の流れを受けて中曽根内閣の時代からでしょう。

国鉄民営化、非正規雇用の拡大、確定拠出年金(米国の401Kのコピー)などが代表例です。

 

非正規雇用と確定拠出年金は多くの労働者にとって待遇の悪化を招きましたが、その一方で企業や金融セクター(退職金運用手数料稼ぎ)にとっては非常に好都合でした。

そして、保守系の報道や政府発表は、これらのメリットを謳うばかりで、マイナスには一切触れなかった。

むしろ、徹底的に労働者の怠慢や労働組合の横暴をあげつらっていた。

 

こうして労働組合は弱体化していったが、これは米国も同じでした。

これには日本では非正規雇用が影響し、米国では法制度や裁判などが影響がした。

 

すると日本では、労働組合の縮小と共に野党勢力は凋落し、中小企業の商工会議系に支えられた与党は勢いづくことになりました。

 

 

こうして、この世は魑魅魍魎が跋扈するようになってしまったのです。

 

 

  •  まとめ

日本は素晴らしい国であり、多くの人が変革で危険を冒す必要が無いと考えるのも無理がありません。

しかし、日本の良さは自然、文化伝統、治安の良さなどであり、極論すると地理的に隔絶していることにあります。

これは長所なのですが、一方で危険でもあります。

 

私達日本人は井の中の蛙になり易く、どうしても安逸が続くと、海外の変化に疎くなり、惰性に走りがちです。

戦後の日本は最初、米国に助けられ、その後は脅され(プラザ合意、日米構造協議など)、また長らく追従して来ました。

 

しかし、そろそろ状況の悪化に目を向け、自立した視点を持っても良いいのではないでしょうか?

 

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ 70: 日本の問題、世界の問題 6: バブル崩壊の果てに待ち受けるもの


 1

< 1. 1980年代、世界を変えた首脳達 >

 

 

前回、バブル崩壊と救済が繰り返されて深刻な事態になっていることをみました。

今回は、なぜこのようになったかを探ります。

これでバブル崩壊の考察を終えます。

 

 

 

 2

< 2. 世界の緩和マネー >

 

上のグラフ: 茶色の線がOECD+BRICsの合計マネーサプライで、青線が世界のGDP。

 

マネーサプライが上昇している時に3回のバブルが起きている。

そして2008年以降、歴史上はじめて先進国全体がGDPを超えるマネーサプライを供給し続けている。

現在は中央銀行バブルの最中だと警鐘を鳴らすエコノミストが増えている。

 

下左のグラフ: 大国はベースマネー(マネタリーベース)を競うように拡大している。

 

下右のグラフ: 赤線は世界のマネーサプライ。

 

 第一章 はじめに

先進国(日米など)に格差拡大と累積財政赤字の増大が深刻化していることがわかりました。

これが緩和マネーの増大と金融セクターの膨張と関係していることもみました。

さらに、この始まりは高々1980年代に始まったことも知りました。

 

この異常な事態は最近の人為的なこと、つまり国と中央銀行の政策の変化が起因してることも知りました。

事の起こりは米国にあり、さらに経済理論が様変わりしたことにある為、理解することは難しい。

 

ここでは、先進国の政治経済の大きな変化を取り上げ、何が元凶なのか、何が経済と金融政策を変えてしまったのかを探ります。

 

 

 

3

< 3. 世界のヘッジファンド >

 

第二章 なぜこのようなことになったのか?

皆さん、不思議に思いませんか?

世界を巻き込む巨大なバブル崩壊を繰り返し、また国内の所得格差を著しく拡大させている国は何処でしょうか?

それは民主主義と資本主義の先進国である米国です。

その結果、トランプ大統領が誕生したも言えるのです。

 

これは他人事ではなく、放置すればいずれ我が身に起きることなのです。

この事態は米国がリードでして来た二つの金融政策に端的に現れています。

 

バブルが起きる原因はどこにあったのか?

 

大きな要因の一つは、緩和マネーの巨大化でした。

中央銀行はバブル崩壊後の景気刺激策として大量の緩和マネーを市場に供給して来た(マネーサプライ)。

 

バブルが過熱する時は、必ず投機家が巨額資金(自己資金の20~30倍の借金)を金融商品に投じて高騰を煽っていました。

単純に考えて、彼らが自己資金内で運用する分には、高騰はそれほど起こらず、例え暴落が起きても破産の可能性は著しく低くなります。

つまり、バブルの過熱も崩壊もなくなります。

 

それではなぜ投機家はそのような莫大な借金が可能になったのでしょうか?

 

大きな要因の一つは、政府が高レバレッジ率を許して来たからです。

政府は金融セクターの要望に従ってあらゆる規制緩和をこれまで行って来た。

 

それではなぜ政府と中央銀行はこのような危険を冒すようになったのでしょうか。

 

 

 

 

4

< 4. 2007年度、米国の資産格差 >

 

上位1%の金融資産は、米国の42%になった。

 

 

第三章 危険を冒す政府、肥え太る人々

なぜ政府と中央銀行は危険を冒してまで、巨大な緩和マネーを投じ、金融の規制緩和を行うようになったかを見てみましょう。

 

この様変わりした政策については経済学派のケイジアンとマネタリスト、米国の民主党と共和党、ドイツと米国、日銀総裁の白川(元)と黒田(現)で意見が対立し、賛否が別れています。

これら論争を理解することは困難でも、現実に悪化する状況を直視すれば、また背景を理解出来れば、自ずと答えは見えて来るはずです。

出来れば良質な経済書をお読みください。

私が読んだ参考図書を末尾に紹介します。

 

 

政策が変わっていった背景を簡単にみます。

 

第一段階 1970年代より、先進国が金本位制を止めたことにより、緩和マネーの巨大化が可能になった。

 

最初に1971年のニクソン・ショックで米国が金本位制を止め、1978年から先進国が続いた。

これにより各国の中央銀行が金の備蓄量を気にせず貨幣を発行出来るようになった。

中央銀行は貨幣供給量の調整で物価対策と通貨対策、景気刺激策を自由に出来るようになった(マネタリズム)。

 

これ以前、各国は金本位制を幾度も止めては、また復帰を繰り返して来た。

 

 

 

第二段階 1979年から米国のFRBが貨幣供給量を制御するマネタリズム(フリードマンが唱えた経済政策)により、スタグフレーション(失業率上昇と物価上昇が併進)を収め、景気を回復させた。

 

これ以前の経済政策は、米国のニューディール政策に代表される、政府が市場に介入し公共投資や賃金アップ(労働組合奨励)などで需要を喚起するケイジアンが主流であった。

第二次世界大戦まではこれが功を奏したと言えるのですが、戦後の世界経済は好調後に、インフレからスタグフレーションへと突入した。

 

先進国の産業・経済界と保守派は、これをケイジアンからマネタリズムへの転換の絶好の機会と捉えた。

 

 

第三段階 1980年代より、先進国は「自由放任主義」を掲げる保守的な政策に転換した。

 

 

スタグフレーションの原因の一つに、強い労働組合による旺盛な賃金上昇があったとされ、先進国の産業・経済界はこぞってこの抑制を政府に訴えた。

彼らにとって、経済疲弊の病根は強い労働組合と公営企業の赤字であった。

また第二次世界大戦後の英国や米国は、日増しに高まる日独の輸出攻勢で経済は勢いを失っていた。

 

これを挽回するために、英国のサッチャー(1979~)、米国のレーガン(1981~)がマネタリズムと自由放任主義を推し進め、やがて他の先進国も追従した。

自由放任主義とは、市場は規制を受けない自由競争状態であればあるほど経済の効率が高まり、発展するとの考えです。

すべてを自由競争に委ねれば、企業家は意欲を増し、商品価格は低下し、経済効率は上昇し、経済は発展すると信じた人々は、また政府の裁量と財政規模を縮小すべしとした。

 

彼ら指導者は国営企業の廃止や労働組合の制限、産業・金融の規制緩和を推し進め、景気刺激策として公共投資から貨幣供給へと軸足を移した。

日本だけは後者のマネタリズムへの転換を日銀が拒んでいたので、公共投資を継続した。

 

確かに、経済を安定的に発展させるには成長に見合ったマネーサプライは不可欠ですが、行き過ぎた緩和マネーが問題であり、その限度、効能と弊害について意見が分かれています。

 

 

 

第四段階 米国では金融家達が徐々に政治を支配するようになっていた。

 

米国の金融家(銀行家)と大資産家らは、ロービー活動と選挙応援を通じて20世紀初頭より政治力を高めており、レーガン以降、その力は強力になっていた。

 

彼らは米国の経済復活には世界的な競争に勝つ必要があり、この為に世界大恐慌後(1929年~)の数々の経済・産業・金融の規制を撤廃すべしと政府に規制緩和を求め続けた。

保守的である共和党の方がより規制緩和を行い自由放任主義的な政策を採ったが、多くの民主党政権でも後退には至らなかった。

 

この規制緩和は多岐にわたりますが、そのポイントは国民の犠牲を防止する規制の廃止、一方で金融家の自由な投機を阻害する規制や監督を廃止したことです。

一例としてはシャドーバンキング(ヘッジファンド)の暗躍、高レバレッジが最近の金融危機の大きな要因になっている。

他に自由放任主義の施策としては企業経営者の報酬アップ(ストックオプション)、労働運動の制約、富裕層減税による累進課税のなし崩しがある。

 

 

現段階 こうしてバブル崩壊がほぼ10年毎に起こり、中央銀行は膨大な緩和マネー、政府は財政出動で金融救済と景気刺激策を繰り返すようになった。

 

こうして金融セクターが潤い巨大化し、富める者は益々富むようになり、さらなる政治支配が可能になった。

例えば、バブル崩壊後の2009年から2012年までの収入増加のじつに91%が、米国の最富裕層上位1%の懐に収まった。

このような状況では、米国の多くの政治家も経済学者も現状の自由放任主義とマネタリズムに追従することで主流に成り得る。

これになびく日本も同様です。

 

これが米国と、米国に追従する日本や他の先進国の状況です。

 

 

 

5

< 5. 2013年度、子供の貧困率 >

 

米国は世界で2番目に高く、日本は9番目に高い。

 

第四章 まとめ

結局、ここ40年ほどの金融家らによる政治と経済の転換は、著しい所得格差と莫大な累積赤字を生んでしまった。

そして多くの先進国では高い失業率と低経済成長がほぼ定着した。

さらに政治には国民の意向が反映されなくなり、失望の果てに日本、米国、ヨーロッパで右翼や国粋主義が台頭するようになった。

 

我々が今行わなければならないことは、先進国の金融セクターの横暴を止める政策を政府に採らせることです。

その対策の為には世界が一致団結して新たな金融政策、秩序ある競争を生み出す適切な世界的な規制と累進課税を採ることです。

 

経済学者スティグリッツは「これから始まる『新しい世界経済』の教科書」で、抜本的な改革案を提示しています。

 

 

次回に続きます。

 

 

6

*6

 

 

参考図書

 

*「国家は破綻する 金融危機の800年」カーメン・M・ラインハート著、2011年刊。

内容: 世界中の国家の破綻、デフォルト、金融危機、通貨暴落、高インフレの全体像をデーターで俯瞰させている。

感想: 破綻が頻発している事実に驚かされたが、破綻のメカニズムの定性的な解説がなく、経済の素人には面白くないかもしれない。

 

*「ささっと不況を終わらせろ」ポール・クル-グマン著、2015年刊。

内容: バブル崩壊後の不況対策について、幾多の事例を参考にしながら主に米国について批判的に解説している。

感想: 様々な破綻が読みやすく語られ理解し易い。またクル-グマンの立ち位置が見えてくる。

 

*「2020年 世界経済の勝者と敗者」ポール・クル-グマンと浜田宏一著、2016年刊。

内容: 二人が米国、EU、中国の経済、アベノミクスについて対談している。

感想: 対談集なので底が浅く、二人の議論が噛み合っていないように思う。

クル-グマンは概ねアベノミクスが最善の方策であり期待もしている。

気になるのは彼が日本の達成を困難と見ていることと、次のバブル到来を危険視していないことです。

 

*「これから始まる『新しい世界経済』の教科書」スティグリッツ著、2016年刊。

内容: 米国の経済政策(自由放任主義とマネタリズム)を批判し、米国と世界経済の復活を目指す改革案を提示している。

感想: 現状の経済の問題点を多角的に分析し、それぞれに対策を提言している。

しかし要点を絞って書いている関係で、専門の経済用語の知識がなければ理解が困難です。

 

 

 

 

 

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何か変ですよ 67: 日本の問題、世界の問題 3: バブル崩壊 1


 1

*1

 

 

前回、金融的な破綻、デフォルトが世界で無数に繰り返されていることを知りました。

これから、バブル崩壊の問題点を見て行きます。

今回は、天才が引き起こす間抜けなバブル崩壊を見ます。

 

 

 2

*2

 

 

第一章 はじめに

多くの人はほぼ10年ごとに起きるバブル崩壊が資本主義の宿命だと諦めているようです。

ひょっとすると竹森教授のようにバブルを成長の肥やしと考えているかもしれません。

 

バブル崩壊(恐慌)は、必ず起きる金融危機によって経済が深く傷つけられ、その後、不景気が数年から10年も続くことになる。

 

このことが繰り返されているにも関わらず、バブル途上では多くの人が浮かれ、また我先に利益を貪ろうと必死です。

かく言う私もかつては熱心な小口投資家の一人でした。

 

バブルの利益に預かる金融家や投資家だけでなく、もてはやされるエコノミストや企業家、政治家までが、この好況は未来永劫続くと称賛しているのが常です。

 

この不思議で滑稽な様はガルブレイス著「バブルの物語」(17から20世紀まで)に詳しい。

ガルブレイス曰く、「暴落の前に天才がいる」。

この天才達は画期的なシステム(経済、金融から事業モデルまで)を創造するが、一方で希代の詐欺師、妄想家、情熱家、独りよがりの無責任男とも言える。

 

 

3

< 3. LTCMの総資産の推移 >

 

第二章 あるヘッジファンドの凋落

最近の事例として、1998年に破綻した米国のヘッジファンドLTCM(1994年創業)が特徴的です。

 

ノーベル経済学賞受賞者らが開発した画期的なプログラムで、様々な金融取引を自動で行わせ、数年間は驚異的な成績を叩き出した。

これにはFRB元副議長やソロモン・ブラザーズの元トレーダーも参画しており、人気はうなぎ上りで、各国から14兆円(レート110円/ドルで計算)の資金を集めていた。

しかしアジア通貨危機(1997年)、次いでロシアのデフォルト(1998年)で約5000億円の損失を出して破綻した。

 

ここから現代の病巣、米国が先導し世界に蔓延している金融の闇が見えて来る。

 

先ず、FRB(議長グリーンスパン)はLTCMの取引銀行に4000億円を融資させ、かつ市中銀行間での資金融通のフェデラル・ファンド金利を素早く大胆に下げて、金融不安の鎮静化を図った。

なぜ、こここまでして一企業を救済しなければならないのか?

 

放置すれば、被害が甚大だからです。

LTCMが実際に集めた資金は5200億でしたが、25倍のレバレッジをかけて、14兆円の資金(借金)を運用し、さらには世界の金融機関と138兆円の取引契約をしたからです。

(レバレッジとは、最大限の利益を得ようとして、手持ち資金の何十倍もの借金をすることです。国が規制緩和でこの率を許可している。)

 

 

4

< 4. 米国の金融機関のレバレッジ率 >

 

 

ここで皆さんに、肝に銘じて欲しいことがあります。

それは世界の金融セクターでは、当方もなく貪欲な人々が、金の為なら無責任・無節操になり、あらゆる危険な手段に手を染めることです。

そして先進国はあらゆるかつての禁じ手(高率のレバレッジなど)を解禁し、私達の知らない闇の中でそれらが日々行われているのです。

これら禁じ手の多くは、1980年代以降に解禁されて来たのです。

 

 

またノーベル賞クラスの天才が、なぜ失敗したかを知っておくことも有意義です。

LTCMは「ロシアが債務不履行を起こす確率は100万年に3回だと計算していた」。

つまり想定外なのです。

これは前回の竹中平蔵会長やかつての福島原発事故での東電社長の言辞にもみられました。

この手のとんでも確率論は、原発事故の発生確率のように原発推進の米国著名学者が堂々と発し、また信じられて来たのと同じです。

どうやら想定外とは「当事者にとって将来起きてほしくない巨大な災厄」を意味するようです。

 

 

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< 5. 危機の後、証券化市場は壊滅した >

 

 

第三章 バブル崩壊を防ぐと信じられた夢の保証制度

当然、政府や中央銀行の当局者までもが、バブル絶頂期になっても崩壊が近いと気づかないことが多い。

 

サブプライム住宅ローン危機当時(2008年のリーマン・ショックから世界金融危機に発展)、「金融の神様」と呼ばれたグリーンスパンFRB議長はまったく安心していた。

彼は、当時構築されたばかりの世界に張り巡らされた画期的で高度な金融システム、見方を変えれば、複雑で誰が最終の責任を取るのかがまったく見えない様々なシステムに信頼を置いていたのです。

 

その一つが、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と呼ばれる損害保険の金融商品で、これが急拡大し、2007年末に6800兆円に急拡大した。

 

簡単に言えばCDSは、A銀行がB企業に融資し、その貸し倒れリスクを避ける為に、A銀行が別のC銀行に保証料(例えば、融資額の0.3%)を払うことです。

もしB企業が倒産すれば、C銀行はA銀行にその融資額を支払うことになる。

もし倒産しなければ、C銀行は保証料が儲かる。

当時、CDSで保障すべきネットの金額は500兆円であった。

面白いのは、不安な融資元は平均して14倍も重複して保証させていた。

実はこれだけでも毎年の保証料は20兆円(保証額の0.3%として)にもなります。

 

グリーンスパン前議長は自叙伝で当時のシステムへの信頼をこう述べている。

「高率のレバレッジを効かせている貸し手からリスクを移転する金融商品は、グロバールな環境では、経済の安定に決定的に重要になる。・・・。

インターネット・バブル(2001年崩壊)がはじけて、・・・企業がかなりの割合で債務不履行に陥ったが、その結果、経営危機に陥った大手金融機関は一つもなかった。

最終的に損失を被ったのは、・・・CDSの主な売り手であった。

これらの機関は十分に損失を吸収することができた。・・・。」

 

結局、信頼はあっけなく崩壊した。

サブプライム住宅ローン危機では、三つの大規模金融機関(リーマンブラザースなど)が破綻し、金融危機は世界に広がった。

 

こんなカラクリは充分に破綻の危険があると、素人の私には思えるのだが。

  • 保証料を決めるデフォルト(破綻)の確率を読めるはずがない。

もっとも、当時、破綻の危険が読めないように信頼の低いサブプライムローンと他の金融商品を巧みに組み合わせ債務担保証券(CDO)を仕組んだのだろうが。

 

最大の問題は、緩和マネーが巨大であればあるほど市場はパニックになってバブル崩壊を急激で甚大なものにする。

つまり、CDSは小さな保証(自動車ローンの個人破産など)は出来ても、世界を巻き込む巨大なバブル崩壊、世界中の銀行の連鎖倒産などを止めることは出来ないはずです。

(緩和マネーとは、中央銀行が金融緩和により実体経済を凌ぐ莫大な資金を市場に投入した資金のことで、この行く先の無い資金が株などの投機に注がれることになる。)

 

 

6

< 6. 世界の債務は急拡大中 >

 

繰り返すバブル崩壊とその救済策の強固なメカニズムによって世界は衰亡に向かうのだろうか?

 

 

 

第四章 バブルと向き合う

バブル崩壊は人間の性「貪欲」が招いたとも言えるし、これが繰り返されるのは「今度は前回とは違う」という期待と逃避の心理によるとも言える。

 

しかし、バブル崩壊を人類の悪癖だからと簡単に納得してしまってはならない。

 

一つには、バブル崩壊が確実に繰り返され、被害がより深刻化しているからです。

 

今一つは、バブル崩壊を生み出すシステムが益々強固になっているからです。

これによって莫大な富が一部の人々に集中し、さらに彼らがこのシステムを強化しているからです。

 

上記二つのことを理解できれば、我々がこれから何をしてはいけないのか、また何をすべきが見えてくるはずです。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

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何か変ですよ 64: 日本の問題、世界の問題 1


 

1

*1

 

 

日本の現状を見ていると不安がよぎる。

社会や経済は徐々に蝕まれているが、多くの国民はその日暮らしに追われている。

この悪化の構造は世界に蔓延しており、放置すれば危険です。

この事について見て行きましょう。

 

 

はじめに

国民は日本の現状をどのように見ているのだろうか?

 

今、籠池や加計問題などで首相が責められ、東京都議選で都民による現政府への批判が示された。

しかし、これは一首相への人気が一時醒めただけのことかも知れない。

おそらく、多くの日本人は現在悪化が進行しているとしても、これは一過性で景気が良くなれば解決すると思っているだろう。

しがって根本的な手立てが必要とは考えない。

 

 

 

ここで内閣府の世論調査の結果を見ます

 

 

 

2

< 2. 2009~2013年度の世論調査の比較 >

 

これによると5年間で満足度が上昇しており、満足度が高いのは60歳以上と言える。

この時期、内閣は麻生、鳩山、菅、野田、第二次安倍と目まぐるしく交代した。

経済は、2008年のリーマンショックから立ち直りつつあるところに東北大震災が起こり、低迷していた。

 

 

今年2017年1月と2007年1月の世論調査を比較します。

 

*良い方向に向かっている分野について、今回第一位は「医療・福祉」で31.4%、10年前の第一位は「科学技術」19.7%で、「医療・福祉」は第三位で16・5%であった。

 

*悪い方向に向かっている分野について、今回第一位は「国の財政」で37.1%、10年前の第一位は「教育」36.1%で、「国の財政」は第四位で32.7%であった。

 

*現在の世相で、明るいイメージについて、今回第一位は「平和である」で61.6%、10年前も第一位は「平和である」で50.9%であった。

 

*現在の世相で、暗いイメージについて、今回第一位は「無責任の風潮が強い」で39.5%、10年前も第一位は「無責任の風潮が強い」で58.3%であった。

 

 

今年2017年1月と2008年2月の世論調査を比較します。

 

*社会で満足している点について、今回第一位は「良質な生活環境が整っている」で43.2%、9年前も第一位は「良質な生活環境が整っている」で29.0%であった。

 

*社会で満足していない点について、今回第一位は「経済的なゆとりと見通しが持てない」(43.0%)、以下「若者が社会での自立を目指しにくい」(35.5%)、「家庭が子育てしにくい」(28.7%)と続く。

 

9年前も第一位は「経済的なゆとりと見通しが持てない」(42.4%)、以下「家庭が子育てしにくい」(32.1%)、「若者が社会での自立を目指しにくい」(31.6%)と続く。

 

調査年の2007年1月は、第一次安倍内閣の時で、世界的に株価が上昇し好景気であった。

2008年2月は、福田内閣の時で、前年後半から株価が下がり、リーマン・ショックが起こった。

 

二つの比較から、現在の世論は前回に比べ「医療・福祉」で良い方向に向い、「国の財政」は悪化しているとなっている。

不思議なことに、現在はより「平和」で、「無責任な風潮」が後退していると思われている。

 

現在、「良質な生活環境」がより整っているとして満足度は上昇しているが、「経済的なゆとり」「子育て」「若者の自立」は依然として改善されていないと思われている。

 

以上三つの世論調査の結果から察するに、国民は特に悪化が進んでいるとみなしていない。

 

 

どこに問題が隠れているのか?

現在、景気が良くなった実感を持つ人はあまり多くはないだろう。

だが失業率や株価などは、景気がやや良くなっていることを示している。

 

ここ数年、海外の好景気もあり見過ごされ易いが、悪化は進行しているのだろうか?

 

 

 

3

< 3.家計貯蓄率 1 >

このグラフは2015年1月の東洋経済の記事の一部借用です。

 

データーは少し古いのですが、これから日本の長期衰退の元凶の一つが見える。

 

上のグラフ: 高度経済成長時、日本の貯蓄率は際立って高く、貯蓄が産業投資を可能にしており、好循環を生んだ。

しかし2013年、ついに貯蓄率は始めてマイナスになった。

 

下のグラフ: ここ20年ほどの各年の金融資産の動きが示されている。

 

ここから重大な構造的要因が見えて来る。

一つは、各家庭の貯蓄率が減少し、マイナスになる中、遂に国の資産は企業の内部留保増加分だけになってしまった。

(内部留保とは企業が税引後利益から配当金や役員賞与などの社外流出額を差し引いて、残余を企業内に留保すること。)

 

今後、家計の金融資産(各家庭の貯金や保険など)で国の負債(国債)を賄うことが出来なくなった(日本の2017年3月の累積家計金融資産は1800兆円)。

 

実に歪な経済構造になった。

国民は所得が少ないから貯蓄を食いつぶし始めた。

一方で、企業だけが収益を毎年内部留保として蓄え続けるようになった。

 

この内部留保を賃上げに廻せば、消費を促し景気は良くなるだろう。

またこの資金で設備投資を行えば、現在、低くなってしまった日本の労働生産性が向上し、これまた景気拡大に繋がるだろう。

 

結局、法人税減税などを行っても、企業が貯め込んだ資金は実需に向かわず、金融で稼ぐだけとなり、これがまたバブルや格差拡大の災いを招くことになる。

 

もう一つ気になることは、今後、国が国債を増発する為には、買い手である企業を益々儲けさせなければならないことです。

 

これは1980年代から、米国を筆頭に先進国で行われて来た誤った規制緩和と減税が世界に蔓延してしまったことと、日本のセーフティネットが遅れていることが起因している。

 

 

 

4

< 4. 家計貯蓄率 2 >

 

上のグラフはAllAboutの2015年1月の記事の一部借用です。

日本の貯蓄率が先進国の中で、際立って低下していることがわかります。

 

下のグラフは2015年1月の東洋経済の記事の一部借用です。

棒グラフの家計可処分所得(各家庭が消費に回せる金額)が日を追って低下し、それに連れて貯蓄率が低下しているのがわかる。

 

 

 

 

5

< 5. 企業の内部留保 >

 

このグラフはBlogosの2016年12月の記事の一部借用です。

 

青の棒グラフは資本金10億以上の大企業の内部留保の累積額で、2015年度は313兆円でした。

赤線は非正規率(雇用者数に占める非正規雇用者数の割合)と実質賃金です。

 

内部留保増と雇用者の状況悪化には因果関係が伺えます。

この悪化は政府がこれまで進めて来た、企業の競争力向上に名を借りた雇用規制緩和が招いたと言えます。

こうして得られ退蔵されている内部留保を正規雇用や賃上げに廻せるように政府が牽引すれば良いのですが、今のところその兆候はない。

 

例えば、ブラック企業で名高い電通ですが、2015年の内部留保は8098億円で、5年間で42%の増加でした(凄いですね)。

電通の社員は4万人ほどいるので、一人当たり2000万円の蓄えとなります(関係ありませんが)。

 

 

これらから見えて来るものがあります。

 

一つは、世界的な法人税引き下げ競争と非正規雇用の拡大がこの結果を招き、さらに日本がこの低所得層への対策を怠って来たことです。

 

日本の経済成長の低迷が問題にも見えますが、企業収益から見ると、偏った見方だと言えます。

この実例は米国のここ半世紀の所得格差が示しており、高い経済成長があっても多くの雇用者の所得はほとんど上がっていないのですから。

 

現在の低経済成長は、アベノミクスで改善を目指している、これまでの低い貨幣供給量と円高にも起因しているが、これがすべてではない。

 

他に長期的な労働人口の低下が大きく、既に紹介した様々な歪が災いしている。

今回見た内部留保増大と賃金低下は、明らかに低経済成長と所得格差拡大を招いている。

 

これまでの間違った政策の蓄積が災いしている。

但し、これを改めるには、ここ半世紀で作られた既成概念の打破と、世界が協調して事に当たらなければならない。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 19: 既成概念を打破する


 

1*1

 

 

世の中が保守的になってくると、人々は益々既成概念に囚われることになる。

必ずしも革新が良いわけではないが、発展が阻害されることになる。

今回は、既成概念を疑い打破することをお薦めします。

世の中を良くするヒントが見つかるかもしれません。

 

 

はじめに

人類は、長年信じられて来た既成概念を打破し、新しい取り組みを続けてこそ進歩を遂げることが出来た。

一方で大失敗をしたこともある。

 

既成概念を捨て新概念を生み出し成功している例を挙げます。

 

私有権(所有権)、訴訟権、仇討ち禁止、拷問禁止、商業手形発行、憲法制定、宗教改革、企業の無限責任から有限責任へ、<< 家族間の弁済責任(親の借金を子が弁済)の禁止 >>、三権分立、特許制度、奴隷制廃止、議会制民主主義、年金制度、所得税、累進課税、国連創設、普通選挙、金本位制離脱、軍の文民統制、労働基本権、化学兵器禁止条約・・・、ときりがない。

 

ひとつひとつに長期間にわたる生みの苦しみがあった。

既得権益層と新興勢力の対立、権力者と民衆の対立、国家間の対立などを乗り越え、平和や繁栄、安全、生活向上を求め大いなる決断と合意を繰り返して来た。

 

一方、新しい主義やシステムを過信し苦渋をなめた例を挙げます。

これは明確に失敗とは認識されていないが、人々に大きな損失をもたらしたと言える。

帝国主義、共産主義、ファシズム、2007年の世界金融危機を招いた金融手法が大きなものでしょうか。

 

既に見たように人類史は改革の積み重ねであり、既成のものから脱皮し続ける歴史でもありました。

その過程で失敗があっても、多くは改良し、稀に廃止することにより乗り越えて来たのです。

新規の技術や生産物は無数に生み出され、不要になったものや危険なものは使わなくなった。

 

それでは現実に常識として受け入れられている概念を一つ取り上げてみましょう。

 

 

2

*2

 

 

莫大な国の累積財政赤字

著名な政治家や経済学者の中には、財政健全化の為に増税するのは愚の骨頂で、むしろ赤字を拡大させてでも大幅な財政出動で、景気を浮揚させるべきだと言う。

これにより景気が良くなれば税収増となり、問題は解決すると言う。

 

既に日本が長年やって来た公共投資(土木・建築事業が無駄だっのかも)で赤字を増大させて来たのだが、まだ足りたいないと言う。

 

また、リフレ策が成功することにより経済成長とインフレの相乗効果で、いつしか累積債務が減少し、危険水域を脱すると言う。

現在、アベノミクスに、これらの良い兆しが見えていないが、成功は疑いないと言う。

 

ここで落とし穴があるか探ってみましょう。

 

当面、日本の累積財政赤字はGDPの250%程度になり、仮に危険水域は300%だとします。

アベノミクスが期待出来る一つのポイントは、インフレによって数十年後の累積財政赤字額が今の数分の1になることです。

これは単純な理屈で、順調に理想的な経済成長が実現さえすれば可能でしょう。

 

少し先のことを考えましょう。

 

今後、経済成長率よりもインフレ率が高くなると、未来の生活水準が今よりも低下することになる。

例えば経済成長率1%、インフレ率3.5%が30年続くと、生活水準は1/2になる。

この数値が逆転すれば生活水準は2倍になり、累積財政赤字額は1/3以下の可能性もある(通常、金利も上がるので赤字額の減り方は少なくなる。)。

 

しかしまだ以下の危険が存在する。注釈1.

 

*累積財政赤字の更なる増大はいつか取り付け騒ぎを起こす。

赤字はすべて国内債務で、国民は従順で国を信任し続けるはずだから取り付け騒ぎは起こらないと言う。

確率は低いが、株式や土地の暴落のパターンを見ると、信任の崩れる時が来る可能性はある。

 

*恐慌の影響が大きい。

日本自身でなくても中国や米国、EUで恐慌が起きる可能性を無視してはならない。

ほぼ10年毎に起きているので、繰り返す可能性は高い。

アベノミクスにより日本の経済と金融の体質(恐慌への耐性)が悪化しており、他国発の恐慌にさらに脆くなって行くと予想される。

 

*リフレ策で財政赤字を解消させる姿勢は、健全財政への意欲を低下させる。

政府は無駄遣いと赤字国債発行を続け、さらに日銀による国債直接引き受けが常習化することによりハイパーインフレを招くだろう。

 

つまり、仮に現役世代には良策であっても、未来の世代には愚策かもしれない。

私の推測では、日本の所得の推移は現役世代で横ばいか若干恩恵を受けるかもしれない。

しかし、その一方で未来世代は横ばいか悪化を経験するかも知れない。

今より国の財政・金融の体質が劣化していく可能性が高いからです。

 

私の推測通りに事が進むとは断言出来ないが、起こりうる不幸を考えると、以下の事が重要になる。

 

 

3

*3

 

 

我々は如何にすべきなのか

この問題の本質は、現役世代が借金で消費(浪費)して、その弁済を未来世代に押し着けていることです。

実は、このことを既成概念として我々は受容してしまっているのです。

 

既に見たように、人類は親の借金を子供に返済させることを禁止するようになって久しい。

数十年先の人々が文句を言わないからと言って、未来世代に弁済義務を押し付けることは、時代に逆行している。

 

ここでもきっと為政者達は経済の永続的な発展の為には、エゴを捨てるべきだと言うでしょう。

しかし、これを受け入れれば入れるほど、政府のモラルハザード「倫理の欠如」は劣化するでしょう。

 

この悪い例が、金融恐慌の度に、放埓三昧で暴利を貪った巨大金融業や金融家を数兆円から数十兆円の税金で毎回救済しなければならなかったことです。

残念なことに、現状では救済せずに倒産させると被害は更に拡大してしまいます。

これを知っているからこそ、彼らは幾度も繰り返す常習犯になってしまったのです。

 

当然、世代間の弁済義務を放棄する権利があっても良いはずです。

政府が行政改革をせず、湯水のように税金をばら撒き、赤字を増やし続けるなら、国民は泣き寝入りするべきではない。

本来は選挙で政策変更を勝ち取るべきですが、議員達はしがらみがあり真剣には考えない(既得権益や選挙地盤との慣れ合い、惰性など)。

 

4

*4

 

されば国民は、一点突破で国に直接猛省を促すべきです。

その方法は、皆さんが貯金を下ろすことです(本当は保険の解約も必要なのですが)。

 

政府が赤字国債を発行できるのは、国民の貯金が銀行や農協にあるからです。

現状では市中銀行が政府が発行する国債を引き受ける為には国民の預金が必要なのです。

これに抵抗する為に行うのです。

しかし政府発行の国債を日銀が直接引き受け続けるならば、国民の抵抗は無駄になります。

従って早く事を起こさないと、日本の将来は益々危険なものになるでしょう。注釈2.

以下のグラフにその兆候が現れています。

 

 

5

*5

 

 

現在、1年定期の利率など知れています。

まして前回の金融恐慌が2007年なのですから、どこかで恐慌がそろそろ起きても不思議ではありません。

貯金を1年ぐらい下ろしても痛くも痒くもないでしょう。

皆が一斉に1年ぐらい解約するだけで良いのです。

 

これによって政府は国債発行の危さを実感し、真剣に税の無駄使いと適正な税制(累進制のある所得税など)を目指し、赤字国債の発行を抑えるようになるかもしれません。

それが皆さんの孫やひ孫を救うことになるでしょう。

 

尚、国債解約の取り付け騒ぎは起こらないでしょう、著名な経済学者が太鼓判を押しているのですから。

 

 

大事なことは、現状を疑い、未来を真摯に憂うことです。

いつも社会の悪化は、振り返れば小さな兆しが既にあったのです。

その芽を見つけて前もって摘むことが必要なのです。

 

 

 

注釈1.

私はアベノミクス(リフレ策と大規模な財政出動)がまったくの愚策だとは思わない。

しかし、たとえ国民は一度好転を味わったとしても、挙げた三つの問題が発生し、従来より窮地に追い込まれる可能性が高いと考えます。

今の政府はこのことを厳密に検討せず、人気取りの為に猪突猛進しているように思える。

 

その典型的な悪例の一つに、幾度も指摘している「ふるさと納税」がある。

政府内で現状の返礼品競争と急増する額を施行前に予想出来る人、議員は無理でも官僚などにいたはずです。

それを官邸が抑え込んだのでしょう。

これを決断と実行の内閣と考えるのは早計です。

国民が地方自治体や民間企業を潤す良い施策と信じていることを良いことに、弊害には知らぬ振りです。

この手の姿勢、決断力と実行力をひけらかし、その実、稚拙であることが多い。

もしうまくいかなければ事実を隠蔽し、嘘をつき、過大に他を責め立てることが目立つ。

 

おそらくこの姿勢が続く限り、施策全体が信用出来ないものとなるでしょう。

 

 

 

注釈2.

本来、中央銀行(日銀)は中央政府から独立した機関であり、物価と金融システムの安定を図ることにより国民経済の発展に貢献するものです。

この目的の為に日銀は国の中で唯一紙幣(通貨)の発行が許されているのです。

 

通常であれば、日銀は景気刺激策の一環として市中銀行から国債の一部を買取り、通貨を銀行に供給し、間接的に国内の通貨流通量を増加させることをしてきました。

しかし、現在、上記グラフのように日銀は間接に、また政府から直接に国債を大量購入しています。

 

これが進むと、政府の財政規律が緩み、いつかは好きなだけ国債を発行するようになり、後にハイパーインフレが襲うことになります。

 

歴史的な反省から、これを避ける為に、世界では中央銀行を政府から独立した機関としたのです。

現状では、政府と日銀が一体となっているため、政府は国債発行と言うより、むしろ紙幣(通貨)を直接発行していると変わらない。

大規模な財政出動を増税無しにするには、手っ取り早い手のなのですが。

 

これは危険なことなのです。

単に1強では済まされない問題です。

 

 

 

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何か変ですよ! 60: 残念なこと


 1

*1

 

 

私は、日本の野党が残念でしかたがない。

日本が良くなるためには、健全な野党が是非とも必要です。

それが叶えられそうにない。

 

 

はじめに

今、現政権に憤慨している方は少なからずおられるでしょう。

しかし、現政権が倒れても、次に誰が日本のトップになるのか?

9分9厘、与党の中から少し見栄えの違う人物がトップになるだけだろう。

母体が何ら変わらない限り、結果は五十歩百歩と思いませんか?

 

野党は森友や加計の不正暴露に全精力を注ぎ込んで、トップを引きずり降ろそうとしているが、与党が引き続き政権を担うなら、それこそ元の木阿弥ではありませんか。

では、野党が政権を担えるのですか?

おそらく国民の大半は、今の野党にそれを望まないでしょう。

これでは、結局、今までと変わらない堂々巡でしょう。

 

今、我々にとって最重要課題は経済と平和であり、希望の未来を手に入れることです。

その足場を作る時です。

 

今日は、この問題を考えます。

 

 

残念な野党

多くの国民が政治に期待することは、景気が良くなることでしょう。

他に近隣諸国との軋轢とか、軍事的なこと、憲法改正もあるでしょうが、大多数はこれらを差し迫った問題とは捉えていない。

 

それでは野党に経済政策を託して良いと思う人がどれだけいるでしょうか?

私は、野党の個々の政策、大企業より国民優先、教育や育児負担の軽減などの施策は良いと思うが、大きなものが欠けていると思う。

それは景気を良くする金融と財政の一貫した施策です。

 

私は、野党に格差拡大と金融危機を招かない着実な成長戦略を持って欲しいのです。

今まで、野党はまったくこの姿勢が欠如していた。

只々、与党の政策を批難し、あわよくば国民の批難が高まるのを望んでいる節がある。

左翼系のマスコミも同様です。

この繰り返しでは、日本の政治は旧態依然のままです。

 

とは言っても、野党が与党の悪い政策を批難することには意味がある。

日本の与党(保守)は米国の保守(共和党)などに比べ、大きな政府の政策(福祉重視など)を取り入れており、良い結果を出している。

これが野党のおかげだと言い切れないが、批難していなければ、こうはならなかっただろう。

ここはやはり、二大政党の実現が不可欠です。

 

重要なことは、国民が野党に政権を担わせても良いと思えるように野党が変わることです。

与党を批難するだけでは、先はない。

 

 

2

*2

 

 

現政権の経済政策を考える

当然、与党には長期政権に付き物の弊害や、現政権の目に余る危さもある。

しかし、野党が反省すべき点を現政権から見出すことが出来る。

 

アベノミクス―インフレ目標、円安誘導、金融緩和、財政出動について見ます。

 

*インフレ誘導はインフレが安定し金利高騰が起きなければ、景気は良くなり、膨大な累積赤字が減ることになる。

先を予測することは難しいが、インフレ目標がいつまでも達成出来ないのは何か決定的なマイナス要因があるのだろう。

 

*円安誘導は、輸出を増やす効果を出している。

しかし一方で物価を上げ、結果的に賃金低下になるので、もう少し様子を見ないと分からない。

私が期待していなかったのは米国が円安誘導を許さないと考えたからでしたが、これは免れたようです(米国追従で)。

 

*金融緩和をかなりやっているが、効果が出ていない。

現時点では問題もなさそうだが、他国発の金融危機が日本に大惨事をもたらさないか心配です。

 

*財政出動は景気刺激に必要だが、相変わらず土建屋優先なのが問題です。

野党が唱えている人やサービスにもっと費やすべきです。

 

個々に長所短所はあるが、全体としてみれば米国の経済学者クルーグマンが唱える論理的な景気浮揚策に近いと思う。

たしかに、財政赤字の増大や大企業と土建屋優先は気になるが、狙いは良いと思う。

 

 

消費増税を見送ったことは良かったのか?

平気で嘘をつくことは許せないが、景気を交代させないためには良かった。

ただ、国の累積赤字は増えるばかりで止まる気配がないのが心配です。

本来なら無駄な出費を減らし、増税するなら累進性のある所得税が良い。

 

アベノミクスは、現状、効果が乏しく、目立ったマイナスも無いと言ったところでしょうか。

現状の経済指標の良し悪しには海外要因(石油、米国の景気)が大きく関わっている。

また日本では、高齢労働者の退職がピークを迎え、今後、労働者人口の減少を加速させていることが、失業率の低下と経済成長率鈍化を招くことになる。

 

ざっと現政権の経済・金融政策を振り返りました。

これほど大胆に景気浮揚を目指したことが国民の人気を得た大きな要素でしょう。

しかし、これら経済・金融政策で抜け落ちている重要な事がある。

 

 

与党に出来ない経済政策を目指せ

たとえ与党の経済政策が一時上手くいったとしても将来に大いに不安がある。

 

それは繰り返す金融危機と経済格差の拡大、増大する累積赤字です。

現状の欧米が進めて来た資産家・金融業優遇策が続く限り、被害が深刻になる一方の金融危機と拡大し続ける経済格差が大問題になる。

この為に既に欧米で火が付き、世情は不安になっており、やがて日本にも及ぶでしょう。

これらは規制緩和と税制改悪が招いたもので、また野放しのグローバル化によって世界中が巻き込まれ、競合するように悪化を深めている。

米国はこの推進の主役で、良くなる兆候はまったくない。

 

累積赤字の問題は、景気拡大が永続すれば薄らぐでしょう。

しかし、ほぼ10年ごとに繰り返している金融危機によって、その効果は打ち消される可能性がある。

またインフレが高進するだけなら、累積赤字の目減りと同時に庶民の生活は苦しくなる。

この問題はリフレ策をもっと検証しないと判断出来ない。

 

 

少し話題を変えましょう。

国民が経済面で望むものとは何か?

おそらく働き続けられること、低賃金からの脱出、将来の年金・社会保障制度の確保でしょう。

 

このためには経済成長が欠かせません。

 

安直な非正規雇用や首切りを規制することは必要ですが、現状のグローバル化した経済では、企業がすんなりと認めないでしょう。

年金・社会保障制度の確保には、当然、政府支出の見直しは必要ですが、これも持続的な経済成長が前提となります。

 

確かに、これからの時代は経済成長やGDP一辺倒ではなく、精神面重視に転換すべしとの意見があり、私もそうあるべきだと思います。

だからと言って、経済が低迷して良いわけではありません。

 

例えば、精神的な充足に必要なサービスを豊かにするにはその業界を支える経済成長が必要です。

例えば育児や教育のサービスを充実させるには、その産業の発展拡大が必要です。

つまり、箱物ではないサービス重視に移行すれば良いのです。

 

これらのことを野党は真剣に取り組み、実施可能な論拠を国民に示して欲しい。

 

 

3

*3

 

 

なぜ今の与党に期待できないのか?

与党が上記問題を解決する可能性はあるのか?

ゼロでは無いが、ほぼ無理でしょう。

 

東京都の選挙、米国やフランスの選挙からわかるように、国民は長く政権を担っていた政党を見限っている。

これには大きな潮流があるように思う。

 

この潮流とは何か?

私の見る限り、これは1980年代に始まった欧米の変革が発端でした。

これはサッチャー、レーガン、中曽根らによる大きな政策転換でした。

中でも大きいのは国営企業の解体とマネタリズムの採用でした。

この政策自身が悪いとは言えないが、これらにより労働組合の衰退、金融の規制緩和が進み、巨大な金融資産家が頻出した。

こうして金融資産家らのモラルハザード(節度を失った非道徳的な利益追求)と莫大な資金を使った政界支配と世論操作が常態化した。

これは米国において圧倒的な経済格差を生み出し、米国主導のグローバル化によって、世界と日本に伝染することになった。

 

こうなると国民の声は政治に届かず、やがて政治と政党に失望した国民は新しいものに飛びつくことになる。

これが現状です。

 

特に日本の場合、与党はまったくの米国追従なので、米国発の伝染病―経済・金融の悪弊による格差拡大と繰り返す金融危機、に罹患せざるを得ない。

これを打破できるのは、しがらみのない与党外と言える。

当然、官僚も同様ではあるが、官僚を排除してはならない。

 

大きな政策転換は可能なのだろうか?

19世紀末から米英を筆頭に労働運動が盛り上がり、労働者や女性の権利が向上した。

これが賃金上昇と格差拡大の是正に向かわせた。

そしてルーズべルトによるニューディール(ケインズ的な経済政策)が追い風となった。

残念ながら、国民が等しく経済成長を享受出来たのは1970年代までとなったが。

 

言えることは、良くも悪くも国と国民が、ここ百年の間に2回、政策転換を図ったのです。

今は、3回目の時なのです。

 

 

4

*4

 

野党が頑張るしかない

現状、日本は失業率が低く、格差も少なく、安全で福祉制度に大きな欠点はない。

 

今の与党の姿勢を放置すれば、金融危機を深め、格差を拡大させ、さらに浪費が続けば年金・社会保障制度の存続が脅かされる。

 

最大の経済低下の要因は労働者人口の長期減少でしょう。

これを補うには与党の箱物中心の財政出動ではなく人材・育児・移民への投資が不可欠です。

 

したがって野党は、与党に対抗して景気浮揚策を真剣に練り上げ、国民優先の政策に向かうべきだ。

それでなければ、いつまで経っても反対だけの野党で終わってしまう。

せっかく小選挙区にして、二大政党に向けた改革を行って来たのです。

今回の安部一強も、前向きに解釈したら、これまでのころころ替わる首相の状況から脱したとも言える。

 

どうか国民の皆さんも、二大政党を育て、まともな議論が国会で出来るような世の中にしようではありませんか。

 

 

どうもお読み頂きありがとうございました。

 

 

 

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Bring peace to the Middle East! 79: Why was it exhausted ? 17: What happened in Congo ? 5


中東に平和を! 79 なぜ疲弊したのか 17: コンゴで何があったのか 5

 

1

< 1. A movie of Congo Crisis >
< 1.コンゴ動乱の映画 >
We have seen how societies were destroyed by colonization.
Today, we see what happened to the independent Congo.
There was typical mechanism of civil war there.

 

これまで、植民地化によって社会が如何に破壊されるかを見て来ました。
今日は、独立したコンゴに何が起こったかを見ます。
そこには典型的な争乱のメカニズムが働いていました。

 

2

*2

 

Independence and civil war of Congo.
The Congo had been divided and dominated by Belgium and France.
And in 1960, each became an independent nation and now is Democratic Republic of the Congo and Republic of the Congo.
And, Cabinda that an Angolan enclave of Portuguese territory, that was sandwiched between the both Congo nations, also became independent nation along with the home country in 1975.

The beginning took place at the end of the harsh colonial occupation of Belgian Congo.
Christianity had been widespread in this area, and Kimbangu Sect that be fused with an indigenous faith and Christianity had started up in the 1920s.
It prognosticated the Messianic of the Black eventually would destroy the Caucasian, so the resistance movement broadened.
This was oppressed by the government and the Kimbangu died in prison.

From the 1950s, the momentum of independence gradually rose, and Lumumba and Kasa-Vubu began struggle severally.
Meanwhile, the Belgian government and white settlers decided to retreat from the area immediately.

But this was the beginning of the civil war.
At the time of the independence, there was no person that could be responsible for the administration as members of the government, and degree recipients were only 16 people.
Until then, Belgium had done colonial management in their home country, and did not let Africans participate in the politics at all.
In addition, the national economy was held by private companies, and one multinational company accounted for 27% of the country’s national income.

 
コンゴの独立と動乱
コンゴはベルギーとフランスに分割支配されていた。
そして1960年、それぞれが独立し、現在のコンゴ民主共和国とコンゴ共和国に至る。
またポルトガル領のアンゴラの飛び地、両コンゴに挟まれたカビンダも、1975年に本国と共に独立した。

その始まりは、過酷なベルギー領コンゴの末期に起きた。
この地ではキリスト教が根を下ろしており、これと土着信仰を融合させたキンバンギ宗が1920年代に興った。
これは黒人の救世主がやがて白人を打ち滅ぼすとされ、抵抗運動が広がた。
これは政府によって弾圧されキンバンギは獄死した。

50年代より、徐々に独立の機運が盛り上がり、ルムンバとカサブブが別々に独立闘争を開始した。
一方、ベルギー政府と白人入植者達は、この地から即刻手を引くことを決めた。

しかし、これが動乱の始まりでした。
独立時に行政を担える人材は皆無で、学位取得者は16名しかいなかった。
それまで、ベルギーは本国で植民地管理を行い、まったくアフリカ人を政治に参加させていなかった。
国の経済は民間企業に握られており、多国籍企業一社だけで国家収入の27%に達していた。

 

3

< 3. Documentary on Katanga >
< 3.カタンガを描いたドキュメンタリー >

 

Although the Congo became an independence nation by president Kasa-Vubu and prime minister Lumumba, they soon were opposed each other to take priority of which of tribe or integration.
Meanwhile, Tshombe that was supported by Belgium and international capital aiming to secure the mines, declared independence of Katanga.

Belgium intervened militarily on pretense of the suppression, and so the Lumumba requested the United Nations force, but it meant his death.
The UN forces was standing on the Western side and protected the Katanga regime, and so he approached the Soviet Union quickly.
Colonel Mobutu, who been supported by the United Nations and the United States, raised a coup d’etat and the Lumumba was killed.

 
カサブブを大統領、ルムンバを首相とし独立したが、部族優先か統合かで対立した。
一方、鉱山確保を狙ったベルギーと国際資本に支援されたチョンベはカタンガの独立を宣言した。

ベルギーは鎮圧を口実に軍事介入したので、ルムンバは国連軍を要請するが、これが彼の命取りとなった。
国連軍は西欧側に立ちカタンガ政権を保護したので、彼はソ連に急接近した。
そして国連と米国の支援を受けたモブツ大佐がクーデターを起こし、ルムンバは殺された。

 

4
*4

 

Approximately 100,000 people were killed in this Congo Crisis from 1960 to 1965.
The Mobutu became president and reigned as a dictator until 1997.
His accumulated wealth is said to be 600 billion yen, which is equivalent to the country’s external debt.
He defected in the midst of other intense civil war and died in Morocco.

After that, the Congo is caught up in many wars such as civil war or war with neighboring country, due to ethnic conflicts and resource acquisition.
And each time, hundreds of thousands of people were killed, starved to death, became refugees.

 
この1960年から1965年のコンゴ動乱で約10万人が殺された。
モブツは大統領になり1997年まで独裁者として君臨した。
彼の蓄財は国の対外債務に等しい6000億円と言われた。
彼は、後の内戦激化の折に亡命しモロッコで死んだ。

その後も、コンゴは民族対立と資源獲得を巡り、内戦と周辺諸国との戦争に巻き込まれていく。
そして何十万単位で殺され、餓死し、難民が発生している。

 

6a

< 5. A movies on Katanga civil war >
< 5. カタンガ内戦の映画 >
There is certain common mechanisms in this endless wars.

A. Birth of new religion: dissatisfaction toward the colonial domination created religions that had to be competitive with white man’s religion (Christianity).

Christianity was regarded the same as colonial domination, and so the indigenous people asked indigenous faith, Islam or new religion for help, next it led to a massive resistance movement.

B. The atrocity by former colonial master and foreign companies: the former colonial master and foreign companies (international capital, multinational corporations) forever dominate the colony in order to secure interests.

To that end, they don’t hesitate to support the puppet government, dictators, and do coup aid or military intervention.

C. Proxy War of the Cold War: the United States and the Soviet Union carried the military support and military intervention in order to collapse each other’s allies.

Supercountry refuses support unless a small country belongs to the supercountry, and conversely the supercountry counts the small country as enemy when the small country asks for assistance to the other supercountry.
In particular, the United States did this not only to Congo but also Vietnam, Egypt, and Iraq, and has plunged the region into crisis.

In the next time, I end this serialization, “Bring peace to the Middle East! ”

 

この果てしない争乱には共通のメカニズムがある

A. 新興宗教の誕生: 植民地支配への不満は、白人の宗教(キリスト教)に対抗する宗教を生み出した。

キリスト教は白人支配と一体と見なされ、先住民は土着信仰やイスラム教、新興宗教に助けを求め、これは大規模な抵抗運動につながった。

B. 宗主国と海外企業の横暴: かつての宗主国と海外企業(国際資本、多国籍企業)は、権益確保の為に、いつまでも植民地を支配する。

その為には傀儡政権や独裁者の支援、クーデター幇助、軍事介入を辞さない。

C. 代理戦争(冷戦): 米ソは互いに相手の同盟国を潰す為に、軍事支援と軍事介入を行った。

超大国は、ある国が自国の傘下に入らなけらば支援を拒否し、逆に相手国に支援を求めたら敵と見なして来た。
特に米国は、コンゴだけでなくベトナム、エジプト、イラクでもこれを行い、地域を戦乱に陥れた。
次回で、「中東に平和を!」を終了します。

 

 

 

 

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何か変ですよ! 57: 今ある恐怖 2


1

*1

 

 

前回、米国で何が起きているかを見ました。

今、歴史上初めての変動と繰り返す災厄が力を増しています。

さらに、これらが世界を巻き込み、やがて大きな危機を招く可能性があります。

 

 

2

*2

 

はじめに

前回、指摘した米国で起きている状況を要約します。

 

A: 一部の金融資産家に都合の良い社会が到来しつつある。

 

国の富が彼らに集中し、また政府が彼らを支援することにより、益々、この状況は加速している。

一方、99%の国民は取り残され、政府への不信を高めているが、政治を変える有効な手段を持たない。

 

B: 不満を募らせた国民は益々煽動され易くなっている。

 

政治が国民の不満や不信に対処出来なくなると、国民は勢い短絡的で強権的な解決策に飛びつき始める。

扇動者はスケープゴートを強烈に訴えることで、大半の国民の心を掴むようになった。

 

Aの状況は、ここ30年の間に進行し、加速している。

一方、Bの状況はAによって誘発され、ここ数年で急に表面化した。

 

しかし、この問題は米国内に留まらず、世界を巻き込む大きな危機へと発展している。

 

3

< 3.ダボス会議 >

 

世界で何が起きているのか

私は世界が二つの段階を経て、混乱から危機に突入するように思える。

 

だがその説明の前に、米国で起きている事が世界とどのように関わって来たかを確認します。

 

ここ半世紀、米国が金融の規制緩和を牽引した結果、格差が拡大し続けている。

しかし、自由経済を標榜する国々も同時に熾烈な競争に巻き込まれ、規制緩和に突き進み、同様に格差が拡大している。

 

あたかも1970年代、英米を筆頭に同じ自由経済圏がスタグフレーションに巻き込まれたのと酷似している。

この時は、国民だけでなく、むしろ経済界の方が不満の声を挙げ、各国政府は対策を行ったが、今回は大きく異なる。

今の経済界や政界のエリートは現状に不満を示さず肯定的である。

 

それはなぜなのか?

最も明確な当時との違いは経済が拡大している中で貧富の差が拡大していることです。

この状況は富が集中するエリート(主に金融資産家と一連托生の仲間)にとっては天国だからです。

 

これを示す好例があります。

世界から選ばれた数千名の賢人が毎年集まるダボス会議があります。

ここでは学者やジャーナリスト、経営者、政治家などのトップが一堂に会し、議論を行っています。

しかし、ここから発信されるメッセージは概ね現状に肯定的です。

これは世界に「改革が必要ない」ことを間接的にアピールしているようなものです。

 

かって学者が主導したローマクラブの功績とは似て非なるものです。注釈1.

それもそのはずで、「地球上の富の85%をダボス会議の参加者が握っている」のですから。注釈2.

私は、このサロンに過ぎないエリートの集まりは「不作為の罪」を背負うことになると思う。

このような交流は必要だが富裕層やエリートに役立つだけだろう。

 

つまり、今起きている富が偏在するメカニズムは完全に世界を巻き込み、富の集中を享受する人々によってこのシステムは強化されつつあるのです。

 

 

4

< 4. 右傾化の背景 >

 

何がポイントなのか

グローバル化する世界にあって、自由経済の国が競争に晒されるのは必然です。

従って無為無策で競争を放置(自由に)すれば、経済を通じて社会に歪(失業や格差)が生じるのは当然です。

 

この時、国内の労働者や企業が競争力低位の産業から優位の産業にスムーズに転換出来ればその歪は少なくなるのですが、これがなかなか困難な現状です。

今、フランスや米国で起きている右傾化に賛同する農民や労働者達はこの犠牲者達です。

現在の指導者は、保護主義と自由貿易の板挟みの中で、制度的(規制など)な解決を放棄し、自己責任として労働者を自由競争の中に晒すだけなのです。

これでは世界経済の落ち込みが激しくなると、彼らの怒りは頂点に達するでしょう。

この危ない綱渡り状態が日本も含めた先進国で続いています。

 

自由競争を否定しませんが、違法まがいの弱肉強食により正常な競争が出来なくなっていることが問題なのです。

 

結局、現代のグローバル化した経済では、ほんの一握りの富裕者は益々富み、貧者は益々貧しています。

これは隠しようのない現実ですし、そうならざるを得ない経済的メカニズムが確立し、増殖中なのですから。

この歪は、今は目立たない国でも高進するのは時間の問題です。

 

これは主に、1980年以降の自由経済圏の大国が先導して来た政策によるものです。

この政策とは、グロ―バル化に向けた経済・金融・労働・産業に対する規制緩和、企業・金融・富裕者の活性化と称する減税、貨幣供給量と累積赤字の増大の是認、中央銀行の役割改変などです。

それに比べ、不思議なことに労働者の活性化云々の政策や保護はあまり聞かない。

この関係は複雑ですが、大きな流れは前回説明しました。

幾つかの国(ドイツや北欧など)は、危険を認識してこれらの政策採用を抑制気味だが、巻き込まれつつある。

 

実は、今の富裕者の減税は19世紀まで無税が一般的でしたが、20世紀になると政府が強力に累進課税や規制緩和を国民や国家の為に導入したのです。

ところが国民が浮かれ、よそ見している間に中世の社会に戻ってしまったのです。

 

 

 5

*5

 

これから起きる悲劇とは何か

悲劇の第一段階は、B項の「煽動と右傾化」です。

 

もう既に起きています。

各国で差別的な言動を好む人ほど政府を信任していることからも頷けます。

これは数年前から、日本や欧米などで顕著になっています。

 

国民の不満が高まり、何ら改善出来ない政府への不信感が高まると強権的な解決を望む声が高まります。

そこで不満を上手く操る煽動家の出現となります。

これは歴史的に繰り返されて来たことで、必然と言えます。

 

今は、まだほんの始まりに過ぎない。

例えば、今回、北朝鮮の核実験やミサイル発射は何時から騒がしくなったのか。

それは米国のトランプ大統領の誕生前後からでしょう。

始めは、数匹の狂犬の遠吠えから始まったが、いつの間にか周りを巻きんで大合唱となり、ついには何処かの国の地下鉄まで止まりました。

一方の狂犬は脅しが効いたのですから喜んでいることでしょう。

 

実は、歴史上、戦争の始まりの多くはこのような些細ないがみ合いが嵩じて始まっています。

第二次世界大戦前の独仏の状況がその一例です。

両国は、ライン川を挟んで国土の奪い合いを繰り返していました。

フランスは先の第一次世界大戦に懲りて、ドイツの再軍備防止の為にドイツ経済を困窮させる莫大な賠償金を請求し、また賠償として炭鉱地帯を占領しました。

この手の敗戦国への仕打ちは一般によく行われることでした。

 

しかしこの二つの行為が、間接的にドイツ経済をどん底に突き落とし、ドイツ国民はヒトラーに不満を煽られ、軍事力で反撃することを選択するようになった。

一方、フランスはこれに対抗して右傾化して行きました。

こうしてまたも大戦が短期間のうちに再発した。

 

しかし私が恐れる悲劇は、これだけではありません。

私はまだ世界の良識に希望を持っており、多くの国民が直ちに戦争開始に応じることは無いように思います。

 

それでは何をさらに恐れるのか?

 

 

6

*6

 

 

私が想定する第二段階の悲劇

それは、右傾化とナショナリズムにより各国が交流を断ち始めることです。

つまりグローバル化と反対の方向に進むことです。

この結果、たとえ今すぐの戦争開始を逃れたとしても、最終的に世界は益々、混迷と対立を深め、ついには戦争から逃れられない状況に陥ることになるでしょう。

 

これは既に始まっています。

西欧国内のEU離脱運動の盛り上がりや一部首脳による挑発的で利己的な行動に顕著です。

 

EU離脱は、最も象徴的な例です。

EUは独仏が戦争回避を願って、大戦への反省から奪い合っていた中間地帯の鉱物資源を共有する為に始められたのですから。

EU統合の手法に問題があるにしても、EUの分裂は平和と経済に悪影響を与えることは明らかです。

 

さらに間違いが明確なのは、自国優先の為に各国が保護貿易に走り、世界貿易が縮小し、廻りまわって自国に不況の波がさらに大きくなって返って来たことでした。

第二次世界大戦を世界に拡大させてしまったのは、各国の保護貿易が恐慌の傷をさらに深くしてしまい、日独伊の国民が不満を募らせ扇動者の尻尾に乗ったことにある。

この手の危機の兆しはそれぞれの国内で20年ほど前からあったのですが、独裁と暴発は数年の短期間で決定的なものとなったのです。

このような悲劇を幾度も繰り返す愚は避けたいのもです。

 

益々、世界は経済や軍事、外交などで孤立と対立を深めていくことでしょう。

しかし、これもまだほんの始まりにすぎません。

 

7

*7

 

 

何が恐ろしい結末へと導くのか?

私が恐れるのは、世界の平和と繁栄に最も必要なものが反グローバル化によって破壊されることです。

 

皆さんは、グローバル化こそが金融資本家と多国籍企業の横暴を招き、世界の人々を不幸にしている元凶ではないかと思っているかもしれません。

今まで、私がそのように説明をして来たではないかとお叱りを受けそうです。

半分は正しいのですが、半分は問題があります。

 

例えて言うなら、琵琶湖周辺の人々が川に好き勝手に(自由に)汚水を流し、汚染が酷くなったので琵琶湖に流入する河川を遮断すべしと言っているようなものです。

本来は、すべての人々が汚水の排水規制を守れば済むだけのことなのです。

現在の問題は、この規制が無きに等しい為に起こっているのであり、一部の特権層による規制外しの圧力が世界を席巻していることです。

 

 

少し目先を変えて、以下の困難な問題をどう解決すれば良いか考えてみましょう。

 

A: 枯渇する地球の資源(鉱物、石油、水産農作物、水)の持続的な使用。

B: 北朝鮮やイスラム国(IS)などのテロ国家や組織の抑制・制圧。

C: 地球温暖化の防止。

D: 大国の横暴(軍事行動や占領、経済・金融政策)の制止。

E: 多国籍企業や金融家の横暴(タックスヘイブンやヘッジファンド)の規制と取り締まり。

F: 格差の拡大と富の集中を抑制する世界的な規制と税制。注釈3

D: 移民・難民の発生低減と保護、移住先の摩擦低減。

 

これらは手をこまねいている内に拡大し深刻の度を増しています。

 

例えば、どこかの大統領や首相のように国益を重視し、他国を敵視し、特定の大国との従属を深めるならどうなるでしょうか。

結果は明らかです。

上記7つの問題を解決するどころか、戦争へと発展する危険の方が高いでしょう。注釈4.

 

解決するには何が必要なのでしょうか?

それは世界の国々が等しく協力し合うことです。

解決を遠ざけるものは分裂と対立、そして大国の身勝手です。

 

私の連載「中東に平和を!」で紹介していますが、現在世界中で起きているテロや内紛、難民の多くはここ百数十年間の大国の身勝手に起因しています。

この因果関係と責任問題に関してまだ定説はありませんが。

また嫌われるグローバル化の汚点も、大国の庇護を受けた多国籍企業や金融家の横暴が背景にあります。

この問題が見過ごされるのは、世界が共有出来る法意識が未発達なのと、その形成を妨害する情報秘匿やデマの力が大きい為と考えます。

例えば、タックスヘイブンやヘッジファンドの横暴によって、日常的に世界の庶民は多大な害を受けているにもかかわらず、規制が無いに等しく、増加の一途です。

 

 

平和的に問題を解決する手段は、人類が生み出した民主主義を世界に取り入れる以外に道はない。

益々、地球はあらゆる危機に直面しているのですから。

 

残念ながら、これは非常に難しい。

半世紀前の東京裁判の折、インドのパール判事は、いつか世界が一つになり国家の不正義を裁く時代が来ることを願っていた、しかし、当時はまだ機が熟していないと判断した。注釈5.

「あなた方はいつまで惰眠を貪るのか?」とパール判事は悲しんでいることでしょう。

 

 

しかし皆さん、思い出してください!

世界や国内で格差が拡大し、国民が政府に絶望するようになった理由はどこにあったのでしょうか?

 

答えは先進国で1980年代から加速した富裕層の優遇策でした。

極論すると、それは規制緩和と税制変更が元凶でした。

そしてこれが自由経済圏の先進国から地球全域に蔓延していったのです。

この人間(エリート)が行った制度改悪を、人間(国民)の手でより良い制度に戻せば良いのです。

 

これは、各国が個々に解決出来るものではありません。

幾分はドイツやかつての日本、北欧など幾つかの国は抵抗して来ましたが、グローバル化した現在において無傷で難を逃れることは出来ない。

 

一番、目立たない問題ではあるが放置すると、徐々に世界の傷は深くなり、ついには良識が通用しない社会、衰退する地球になると予想されます。

これも歴史が示すところです。

 

残念なことに、危機を予測出来て解決策が見えても、これを世界が実行出来るかは皆さんの手中にあるとしか言えないのです。

 

 

以上で終わります。

どうもお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

注釈1.

ローマクラブは当時、科学的に証拠をもって世界の地下資源が数十年後から枯渇し始めると警鐘を鳴らしました。

世界はこれに対応すべく省資源に取り組み、現在、地球の寿命が伸びています。

 

注釈2.

「世界一の会議」、斎藤ウィリアム著、p30より。

 

注釈3.

世界の貧しい下位50%(36億人)の総資産が富豪上位62人の保有資産に匹敵している。注釈2.

 

注釈4.

B項のテロ対策には軍事力が必要ですが、超大国に頼ることのメリットよりも、超大国の身勝手な軍事行動の方がマイナスです。

 

注釈5.

パール判事は当時、事後法の「平和に対する罪」で日本の戦犯を裁く事に反対しましたが、他の戦争犯罪については同意しています。

彼の意見は法律家としては正しい。

彼の意見と思いから学ぶべきは、「平和に対する罪」が裁ける世界になるべきだと言うことだと思います。

 

 

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