Series: 人類の歩みと憲法

人類の歩みと憲法 16: 進むべき道、危険な道


ミサイル発射 

< 1. ミサイル発射 >

 

この連載は今日で終わります。最後までお読み戴きありがとうございました。

まとめとして、私が考える最善策を紹介します。

 

日独伊による三国同盟

< 2. 日独伊による三国同盟 >

 

今こそ、皆さんの慧眼が望まれます

戦端が開かれれば、数十万から数百万の犠牲は出ます。

一度、戦争が起きれば途方もない苦難が降りかかり、終戦後、社会はすさみ、その修復には年月がかかります。

犯罪集団やテロ活動の犠牲とは桁違いです。

確実に起きる大災害すら気に留めない人が、他者への恐怖には非常に敏感です。

為政者がテロ集団に拘束されている海外邦人を救えないので悔しいと言うと、我々はその気になり、軍隊派遣を了解しそうです。

しかし一呼吸おいて、銃社会を思い出して下さい。

海外で救助や支援を拒む国はまずいないでしょう。

むしろ戦争が始まると、如何に兵士や国民が見殺しになるかは明らかです。

かつて、海外の邦人を自己責任と言い放ち、救援しなかったこともありました。

 

残念ながら紛争や戦争はいずれ起きるかもしれません。

大事なことは戦争被害を小さく発生頻度を少なくする、広域的・長期的な視野が必要です。

極度に戦うことを恐れ安易な道に進むことは、むしろ危険を深めることになるでしょう。

 

国防軍

< 3. 国防軍 >

 

今やるべき事

1.憲法の解釈変更は行わない : 法理論の常識として許されません。これが可能なら、権力の濫用防止が目的の憲法は無意味です。ヒトラーの独裁を思い出して下さい(この連載のNo.6に概要)。

 

2.与党案の憲法変更は行わない : 現憲法は世界的にみて最新部と古い部分が混在していますが、与党案では先進国中、人権などでさらに時代遅れに向かうでしょう。さらに軍事では派兵が容易で、軍権が強化された一昔前に戻るでしょう。

 

3.同盟(集団安保)は隣国を優先し、並行して国連改革を進める : 憲法9条維持により世界と周辺国を安心させる。米国には同盟の現状維持を了解してもらい、漸次、従属を脱する。

 

4.9条や違憲審査制度、国民の知る権利などについて憲法改正を行う : No.3の進展に応じて行う。国連を強化し、国連主導の軍事的強制措置が適切に行われるようにし、これへの派兵は行う。一部の大国に追従した派兵では無い。

 

外交官が書いた日米関係の裏側

< 4. 外交官が書いた日米関係の裏側 >

 

しかし、これには大きな障壁が立ちはだかります。

一番は、米国が許さないでしょう。

過去、米国の意に反して、隣国への自主外交を目指した首相はすべて短命に終わりました。

裏で何が起きているかは「戦後史の正体」孫崎享著に詳しい。

 

今一つは、現状の曖昧な歴史認識や恐怖心の払拭には時間がかかるでしょう。

しかし手が無いわけではありません。

1992年、ヨーロッパでは欧州共通教科書「ヨーロッパの歴史」が発行されました。

これは各国12名の歴史家が討議を重ね4年をかけて共同執筆されたものです。

想像して下さい、敵味方に別れて数千万の死者が出た戦争を一つのストーリとして書ける素晴らしさを・・・

日本でも過去に一部で試みられたが、再度取り組むべきです。

 

統一見解のもとに書かれた歴史教科書

< 5. 統一見解のもとに書かれた歴史教科書 >

 

最後に

日本は侵攻した国であり、豊かで民主主義の先輩国なのですから、日本が範を示すべきです。

ドイツはそれを行いました。

 

女性の皆さんにお願い。

女性が立ち上がれば、社会はもっと安全で平和になります。

歴史は、女性の活躍や政治参加がより平和になることを示しています。

世界で原発推進国の多くは女性の地位が低い国です、一度チェックして下さい。

 

EUのマークと参加国

< 6. EUのマークと参加国 >

 

少なくとも、私の提案と真逆の選択は禍根を残すことになるでしょう。

 

 

 

 

 

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人類の歩みと憲法 15: 最後の難関


 映画の恐怖シーン

< 1. 映画の恐怖シーン >

 

戦争を減らす為には、最も困難な問題をクリアしなければなりません。

 

硫黄島記念碑、米国の星条旗

< 2. 硫黄島記念碑、米国の星条旗 >

 

最大の難関、それは恐怖心と愛国心です。

ヒトラーが独裁者に成れたのは、国民の不安と恐怖心に応える形で、極悪非道な敵を指し示し、それを愛国心と圧倒的な軍事力で屈服させ、民族の栄光を取り戻すことを約束したからです。

日本が軍事大国を目指したのは、最初は強大な敵国への恐怖心からで、大陸進出の大きな理由は、防衛策として橋頭堡を造るのが目的でした。

やがて大陸との間に摩擦が生じる度に、互いに愛国心が沸騰し、為政者、知識人、報道もそれを煽るようになった。

それが明治維新から太平洋戦争敗戦への道筋でした。

戦争開始の多くは為政者(軍部)の意向であって、当初は大多数の国民にとって隣国は、敵でも何でもなかった、むしろ個々には友人でもありました。

そのような例はコソボや多くの内戦の国で見られます。

いざ戦端が開かれると、やがて人々は愛国心と復讐心に燃え、国や民族、宗教毎に一丸となって邁進した。

 

なぜ抑止論に信憑性が無いのか、それは恐怖心と敵意によって合理的な判断が出来なくなるからです(合理的な判断が抑止効果を生む)。

 

ライオンの闘争

< 3. ライオンの闘争 >

 

その心理の正体は・・・

皆さんは人間が戦争を望む動物だと思いますか?

動物は進化するほど縄張りを作り闘争するようになりました。

多くは擬闘と呼ばれる、優劣が決まれば弱者が去り、殺さない闘い方です。

しかしチンパンジーと人間だけは、部外者と見なせば団結して相手を全滅させることがあります。

そこでは異常なほどの恐怖心と憎悪が支配しています。

この残忍さと裏腹なのが、身内への強い愛着心と共感で、これは強力な団結力を生みます。

人類はこの相反する習性を強く持っている。

 

チンパンジーが共同で威嚇

< 4. チンパンジーが共同で威嚇 >

 

それでは戦争が無くならないのでは・・・

幸い人間は、本能的な他者への恐怖心や敵意を自制することを会得した。

その初期の一例が聖書の「善きサマリア人のたとえ」です。

イエスは、ユダヤ人に嫌われていた隣人(イスラエルの血をひく異教徒サマリア人)をも愛すべきとした。

これが民族の垣根を越え世界へ共感を広げる手助けをした。

仏教や墨家、イスラム教にも狭い愛からより大きな隣人愛を目指す姿勢がある。

これには当時の遠方交易の発展が寄与しました。

 

爆弾三勇士の像、グリコの景品

< 5. 爆弾三勇士の像、グリコの景品 >

 

愛国心とは・・・・

社会への愛着心は人間の本源的な感情で、美しく清廉さを感じさせます。

しかし愛国心は、往々にして敵意を増大させ災いをもたらします。

 

愛国心は、属する社会によって愛着心(帰属意識)がより強化されたものです。

例えば、人々は忠臣蔵や爆弾三勇士などに涙し共鳴し、語り継ぎ、文化として定着します。為政者は概ね愛国心を煽り強化します、国内がまとまり都合が良いからです。

一方、愛国心で一体になる社会規模は時代共に変化しています。

それはより大きな領域を包み、異なる民族や言語集団も吸収していきます。

身近な中国、ベトナム、タイ国内にはそれぞれ30近い民族が同居しています。

欧米もしかりです。

4万年前から1千5百年前までは、日本も多くの民族が流入していたのです。

九州やその離島、沖縄などの人にとって海外交流や移住はごく自然だったのです。

 

 能面の般若、嫉妬と恨みの表情 

< 6. 能面の般若、嫉妬と恨みの表情 >

 

私達は、敵意を招く恐怖心や愛国心を乗り越えることが出来るはずです。

 

次回は、如何に進むべきか、私の提案をまとめます。

 

 

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人類の歩みと憲法 14: 良い同盟と悪い同盟


 アフガニスタン戦争

< 1. アフガニスタン戦争 >

 

戦争防止の方策は複合的であり、時代と共に変わるでしょう。

しかし日本の選択で、今、重要な事は同盟のあり方です。

 

悪い同盟と良い同盟

既に、同盟が戦争を防止出来ないことは見てきました。

例えば、米国と同盟した日本がアジア側と戦闘状態に突入したらどうなるでしょうか?

核戦争をしないが勝敗の決着がつかず、日本は戦場になり続ける可能性が大です。

また憲法を変え、今以上に米国と軍事的に一体になれば、軍事超大国の戦略に振り回されることになる。

それはベトナム、イラク、アフガンの戦争を振り返れば自明です。

米国は重要な友好国であるべきです、節度ある関係に戻すことが大事です。

 

ストラスブール

< 2. ストラスブール >

ストラスブール包囲戦、1870年

< 3. ストラスブール包囲戦、1870年 >

 

将来を見据え、取り組むべき同盟があります

現在、国連では事が決まらず、少数の大国が恣意的に軍事的制裁(戦争)を行っています。

かつて感謝すべきこともあったが、最近はミスリードが多い。

結論は、国連加盟国の193ヵ国が大国の身勝手を抑制することです。

それが憲法の歴史でした。

その為には、中堅国以下が団結しなければなりません、これが一つの道です。

日本は経済第3位、国連負担額も2位、非核保有国で最適な推進役です。

核拡散が進むと世界はやがて銃社会の二の舞になります(抑止力が効きません)。

EUやカナダは米国と友好国ではあるが従属していません、発展途上国も含めて皆、発言力を高めて来ました。

 

対馬の祭り

< 4. 対馬の祭り >

蒙古襲来

< 5. 蒙古襲来 >

 

戦争を生みださない同盟

今一つは、争った国、隣接する国同士(韓国、中国)から同盟を始めるべきです。

そんな馬鹿なことと思われるかもしれませんが、歴史と事実が証明しています。

第一次世界大戦後、独仏は恨みを倍加させた結果、第二次世界大戦を始めた。

そこで独仏は、一転、争いの根(憎しみ、資源など)に向き合い、宥和の道を選んだ。

それが現在のEUの始まりです。

その象徴がドイツとフランスの国境にあるストラスブールです。

ライン川に面したこの都市は幾度も両国の戦場となり、その支配国も頻繁に入れ替わった。

現在、悲劇を乗り越え両民族が共に平和に暮らしています。

 

日本では無理だと思われるかもしれない。

しかし実は、日本にも同様の歴史を乗り越えた所があるのです。

それは韓国と九州の間にある対馬です。

ここは古くから、両国の間で最前線基地の役割を果たし、戦乱に巻き込まれて来た。

時には民族の移動や混合もあった。

 

次回は、戦争を招く最後の難問と、日本の選択についてまとめます。

この連載は、次回で終了予定です。

 

 

 

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人類の歩みと憲法 13: 戦争を防げない理由


 銃こそ正義!

< 1. 銃こそ正義! >

 

幾つかの問題点を挙げます。

 

 国連安保理常任理事国

< 2. 国連安保理常任理事国 >

 

国連がうまく機能しない理由

せっかく作った条約に抜け道や都合の良い解釈が横行するからです。

 

例えば、国連常任理事国の拒否権により、憲章43条の軍事的強制措置がほとんど有名無実となっています。

これでは、各国は軍備と自衛に向かうのを制止出来ない。

設立当初、機能不全に陥る拒否権を中小国が制限しようとしたが、大国優先、ソ連を繋ぎ止める為に妥協したのです。

 

また憲章51条に集団的自衛権が盛り込まれたのは、共同防衛の連邦制をとる米国に妥協したものでした。

古代ギリシャから中国、日本、この両大戦まで、あらゆる戦史を振り返ると、同盟(集団的自衛権)は戦争勃発を招き拡大させる危険なものでした。

このようにして、大国に配慮した妥協が後々まで災いとなっているのです。

しかし最近、国連総会の多数意見が取り入れられ、状況に変化の兆しが見えているようにも思えます。

 

銃社会 

< 3. 銃社会 >

 

自衛がもたらす罠

自衛と同盟は人類普遍の行為と思われていますが、考え直す必要があります。

同盟については次回、考察します。

 

例えば、近所で殺人事件が発生し、あなたが自衛の為に銃や刀剣を所持したとしましょう。

その結果、より安全になったでしょうか。

答えは簡単です。

年間の銃による殺人事件は、日本では約10件ですが、米国で約1万件、他の犯罪事件、銃の自殺や死者はもっと増えます。

安全と感じられるのはほんの一時で、周囲に武器携帯が普及すると、治安は一挙に悪化していきます。

実は、抑止を期待したのに、幻想だったのと似ています。

 

戦国時代

< 4. 戦国時代 >

 

日本の戦国時代は、現在の県単位ぐらいで内戦を繰り返していました。

ところが江戸時代になると、内戦や紛争は劇的に減りました。

個々に武器所持を許すことは安全を脅かし、これは国家間も同様です。

 

自衛は当然の権利だと思われるかもしれませんが、人権(平和や自由)を確保することが重要であって、そのために国に統治権(警察、軍隊など)を与えているのです。

そのような例として公共事業や社会保障があります。

それをより大きな社会や国家に委託することにより、各人で行うより効率良く、安心出来るものになるからです。

 

銃乱射事件で逃げる人々

< 5. 銃乱射事件で逃げる人々 >

 

もう一つの落とし穴は、自衛と攻撃の境界が判然としないことです。

情報が隠蔽されている場合は特に危険です(虚構の正当防衛など)。

例えば、元CIA長官はその著書で「国家は自国を守る為の武力行使を許されている。そこまでいかない裏工作は当然許される。」と書いています。

大国(CIAなど)は世界中で秘密裏に多くの政府転覆劇(暗殺、騒乱幇助、世論操作)を行って来ました。

 

私達の近所で起こる自衛(正当防衛)の事件は裁判で適切な判決を下し、抑制が可能です。

しかし国家間では、ウィキリースクが暴くような機密が横行し、互いに海外の情報を入手し難く、マスコミや公共放送まで管理され始めたら、国民には自衛と攻撃の境は不明瞭にならざるを得ません。

 

次回は、同盟のあり方と日本がとるべき道について考えます。

 

 

 

 

 

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人類の歩みと憲法 11: 戦争を終わらせる人


  原爆

< 1. 原爆 >

 

前回は、戦争が始まる経緯を見ました。

今回は、戦争を終わらせる人を見ます。

 

  今次大戦後のベルリ

< 2. 今次大戦後のベルリン >

 

戦争を始める人、終わらせる人

国益を守る為と称して戦争準備や戦端を開く指導者はいます。

一方、当然のことですが、その戦争を終わらせる人が必ずいます。

多くは、始まりは簡単で、巷の銃声一発が切っ掛けと言うこともあります。

しかし、終わらせるには途方もない苦労と優れた人物が必要になります。

不思議なことに知名度が高いのは、前者なのです。

 

珍宝島事件

< 3. 珍宝島事件 >

 

今世紀の事件を振り返ります

例1.1969年、突如、中ソ国境の珍宝島を巡り、両国が軍事衝突を始めた。あわや核戦争かと思われた。

 

例2.1976年、南アフリカでアパルトヘイト反対の暴動が起こり、その後テロ活動が続き、深刻の度合いは増した。白人による深刻な黒人差別が背景にあったので、解決は不可能と思われた。

 

北アイルランド紛争

< 4. 北アイルランド紛争 >

 

例3.1960年代、北アイルランドのIRAはイギリスへのテロ攻撃を強め、世界はその悲惨さに驚愕するばかりだった。原因はキリスト教両派と領地支配が結びついた根深い対立にありました。

 

例4.1920年前後、インドは長いイギリス支配からの独立を目指し、流血事件が起き、一触即発状態でした。

 

反アパルトヘイトのデモ 

< 5. 反アパルトヘイトのデモ >

 

この深刻な紛争やテロ活動はなぜ終息に向かったのか

例1は、ちっぽけな中洲を巡った戦闘でしたが、この始まりは権力者が軍部の力を誇示するのが目的でした。結局、中ソ首脳が不問に付す形で歩み寄り停戦した。

 

例2は、善意の一事業家が私財を投げ打ち駆け回り、テログループと南ア政府、交戦状態の隣国らを話し合いのテーブルに着け、政権の委譲が進んだ。彼の行動を例えるなら、復讐の連鎖を断ち切る信頼の斧と言えるものでした。世界が共同した経済封鎖も重要でした。

 

例3は、和解の始まりは英国首相が北アイルランドの自治を認め、敵対していたカトリックとプロテスタントが手を握りあえたことです。その二人の立役者がノーベル平和賞を受けています。

 

例4は、「塩の行進」不服従運動で有名なガンディーが武力を使わずに独立を勝ち取った。これは世界でも希な、強大な軍隊を前にして丸腰で挑んで成功した事例です。

 

ガンディーが先頭を行く塩の行進 

< 6. ガンディーが先頭を行く塩の行進  >

これらはすべて武器を使わずに戦いを終わらせた素晴らしく人類らしい快挙でした。

一方、多くの指導者は負けを嫌い、有利に終戦交渉を進める為に、最後まで戦場の挽回を命じ、武力の優位を示そうとしました。

それは人命の浪費であり、無駄なあがきでもありました。

 

それにしても、なぜもっと早く、出来るなら最初からと言う想いが沸き起こります。

 

 

 

 

 

 

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人類の歩みと憲法 12: 世界が生みだした戦争防止策


 ヴェストファーレン条約調印

< 1. ヴェストファーレン条約調印 >

 

今回は、世界が戦争の防止に取り組んだ動きを見ます。

 

1648年、ドイツで、ヴェストファーレン条約

これはヨーロッパの百年に及ぶ宗教戦争に終止符を打った講和条約でした。

参加国が66ヵ国を越える画期的な国際条約でした。

ここから「他国の主権を認め、武力で勝手に正統性を押し付けてはならない」という国際法の智恵が芽吹きました。

 

1791年、フランス、憲法

「国民は征服の目的を持って、いかなる戦争をも行うことを放棄し、またいかなる人民の自由に対しても、武力を行使しない」と唱えた。

 

ウィルソン米大統領が十四箇条の平和原則を発表 

< 2. ウィルソン米大統領が十四箇条の平和原則を発表 >

 

1918年、米国で、十四箇条の平和原則

米大統領が第一次世界大戦終結の糸口を示し、新たな国際秩序を提示した。

戦争への反省から、秘密外交の中止、経済障壁の撤廃、軍備縮小、民族自決の承認(一部)、国連設立などを謳った。

 

1928年、フランスで、不戦条約

国際連盟の戦争禁止の不徹底を補う目的で締結され、93ヵ国が署名。

「国際紛争の解決はすべて平和的手段によるものとし,一切の武力使用禁止を約した。」

 

1931、35年、スペイン憲法、フィリピン憲法

「国家の政策の手段としての戦争を放棄する」ことを謳った。

 

国連総会

< 3. 国連総会 >

 

1945年、米国で、国際連合憲章

国際連合と紛争の平和的解決手続,平和破壊への対処について規定し、51ヵ国が調印。

武力による威嚇又は武力の行使を原則的に禁止した。

*武力や自衛について重要な条文

51条 「加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」

43条 「軍事的強制措置は、安全保障理事会と加盟国の間の特別協定に従って提供される兵力・援助・便益によって行われる。」

 

1946~49年、フランス憲法、日本国憲法、イタリア憲法、ドイツ憲法

仏「征服を目的とする戦争」、伊「国際紛争を解決する方法としての戦争」、独「侵略戦争を準備する行為」、概ね侵略と戦争を禁止した。

*日本国憲法9条「・・武力による威嚇または武力の行使は。国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。

 

1951年、欧州石炭鉄鋼共同体条約調印、EUの母体

< 4. 1951年、欧州石炭鉄鋼共同体条約調印、EUの母体 >

 

まとめ

世界は350年の間、多国間と国家自身で戦争の防止と禁止を約して来た。

人類は無限連鎖と思われた戦争を、地球全体で克服しようと苦闘している。

その動きは徐々に強まり、各国が手を取り始め、加速しているようにも思える。

 

米国は独立色の強い隣接した13邦が連邦することから始まった。

EUは、戦争を繰り返さない為に、千年を越える報復の連鎖を断ち切り、異なる民族のドイツとフランスを中心に6ヵ国が手を握った。

現在、その隣接する国の輪は広がり、28ヵ国にまでなり、ヨーロッパと世界の平和に大きく貢献し、希望を与え続けている。

 

欧州議会の本会議場

< 5. 欧州議会の本会議場 >

 

しかし、これは志半ばと言えます。

 

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人類の歩みと憲法 10: 戦争が始まる時


 クリミア戦争、1853年勃発

< 1. クリミア戦争、1853年勃発 >

 

戦争の生起理論に定説はありませんが、最近の戦争から開始の経緯を見ます。

 

戦争が始まる経緯

独裁者や帝国主義国が侵略戦争を始めたが、民主国家も戦争を始めることは多々あります。

多くの人々は戦争を望まないはずですが、なぜか戦争が始まり、泥沼に入り込みます。

その理由に、国内の成長圧力(飢饉・恐慌も)を受けて、周辺国の脅威を未然に防止(自衛の延長)、今一つは指導者が政争の具として海外に目をそらすなどがあります。

国民が正確な情報を得て、適切な歴史認識の下、適確に判断すれば戦争の愚を犯さないと思うのですが、そうは行かないのが現実です。

柳条湖事件、1931年

< 2. 柳条湖事件、1931年 >

 

過去、多くの指導者や軍部が国民を戦争に向かわせた手順は簡単です。

最初に小規模な揉め事で、国益や人的被害を訴え、愛国心に訴えます。

ついで、この戦争には名分があり、容易に相手を制圧出来ると断言します。

始まると、憎しみの連鎖が始まり、多くの国民は戦うことを止めなくなります。

この手順は人類共通で、幾つかの国は虚構を演じて世論を誘導しました。

悲しいことに、指導者は一撃で目的を達するつもりだったとか、善意で自衛を考えていた場合もあるでしょうが、一度始まると戦争拡大を止めるのは至難の業です。

日中戦争・太平洋戦争、ドイツのポーランド侵攻、ベトナム戦争、イラク戦争など多くの戦争に見られます。

 

PKO活動

< 3. PKO活動 >

 

首相の発言から学ぶこと

昨日、首相が記者会見を行い、その明瞭な語り口から、多くの人は違和感を持たれなかったでしょう。

 

PKO問題

当初、PKO派遣は危険だから反対だった世論も、やがて慣れて来ました。

死者が出ると、武器の携帯が必要だから憲法を変えるべきだと言う。

通常、ここで多くの派遣国はPKOから撤退するかどうかで揺れます。

日本の場合は、世界への貢献に前向きですが・・・。

 

日本のPKO活動

< 4. 日本のPKO活動 >

 

少し考えて下さい、武器を携帯しないからこそ、最も安全な地域に派遣されたのです。

本来、憲章の下、PKOは武器を持って戦闘地域に入るものではありません。

PKOの標準装備でも毎年50~250名ほどの死者が出ています。

残念なことに、非力なPKOは武装集団に手をこまねいて、虐殺を見逃す事件も起きています。

PKOの問題は、国連の有り様から論じるべき問題で、死者への哀切を訴えて憲法論議の政策の具とするのは嘆かわしい限りです。

私は武器の携行に反対しているのではありません(憲法の問題はある)。

 

緒方貞子氏

< 5. 緒方貞子氏 >

 

邦人移送中の艦艇攻撃の問題

これについても同様ですが、説明は省き論点だけ挙げます。

難民高等弁務官の緒方代表やカンボジアの明石代表の活躍が、日本らしい世界貢献です。

自衛隊を海外派兵して救助出来ないと言うが、米軍を支えるのは米国の志願兵です。

つまりお互いの善意による助け合いなのです。

 

まとめ

なぜ現首相がこれほどまでに憲法変更を切望するのか、私には理解出来ませんが、憲法に不備があるとしても、正論で大局を見て議論していただきたいと切に望みます。

国民の皆さんも、どうか歴史を自ら紐解いて下さい。

きっと何か違う展望が見えてくると思います。

 

 

 

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人類の歩みと憲法 9: 戦争の常識


朝鮮戦争

< 1. 朝鮮戦争 >

 

憲法や国際条約に謳われている戦争対策を見るつもりです。

その前に、世界の戦争史を参考に、戦争への疑問を簡単に整理します。

 

 イラク戦争

< 2. イラク戦争 >

 

主要な疑問を整理します

質問1: 軍備増強で戦争を防げますか?

答え: 軍拡競争が始まり、大国に対して小国は疲弊するだけでなく、戦争勃発の可能性はより高まる。相手が小国でも、援助国が出てくれば、同じ結果になる。

 

質問2: 集団安保(軍事同盟)を結べば戦争を防げますか?

答え: 同盟グループと、反同盟グループの軍備が均衡すれば抑止が効くと思われるかもしれません。しかし効果にバラツキがあり、軍拡競争と勃発の危機が高まることがある。

 

質問3: 軍備を放棄すれば平和は訪れますか?

答え: 必ず戦争を徴発する国は出現しますので、防衛か制圧する軍備は必要です。

 

質問4: 中立国になれば安全ですか?

答え: 成功している国もありますが、隣国は、軍隊を増強し問題を放置する日本の中立を信じないでしょう。

 

太平洋戦争 

< 3. 太平洋戦争 >

 

同盟の神通力

両大戦の戦火拡大の原因が共に、同盟(集団安保)にあったとしたら・・。

 

第一次の場合。本来、オーストラリアの暗殺事件でしたが、主要6ヵ国が二手に別れて同盟を結んでいたので、約定通りに順次参戦していった。

第二次の場合。日本は日中戦争を始めていたが、列強国を牽制する為に遠方の国と同盟を結び、主要7ヵ国が二手に別れて戦う羽目になった。

この戦略は、中国の戦国時代、秦が覇者となる為に採用した遠交近攻策と同じで、日本の戦国時代も多用された。

つまるところ、戦争を有利に進める為には必要なのですが、戦争を防止する手段ではない。

 

キューバの核ミサイル配置、キューバ危機当時 

< 4. キューバの核ミサイル配置、キューバ危機当時 >

 

抑止の神通力

米ソが核競争を繰り広げた時、何が起きたのか。

 

有難いことに核戦争は起きなかったが、これは世界の世論が強く反対したことにある。

しかし傘下の同盟国は他の武器で頻繁に代理戦争を行い、憎悪は蔓延した(戦後独立した国々で)。

両国の核弾頭競争は常軌を逸し、地球を7回以上破壊する力を生みだし、軍事費は膨大になり、さらに核破棄物は今も未解決です。

抑止力に頼っている間は、敵意と猜疑心が増加し、武器が溢れ、解決は遠のくようです。

それを救ったのはゴルバチョフ大統領による冷戦の終了でした。

一方、冷戦後、各地で戦争がより多発したとように感じられる。

これは冷戦時代に両国の援助により軍事力と軍事依存が進んだことが原因です。

 

米ソの大統領

< 5. 米ソの大統領 >

 

日米同盟の神通力

朝鮮戦争の時、米軍がいなければ、今の韓国はどうなっていただろうか、コソボも同様でした。

一方、ベトナム戦争の時、米軍が介入したことにより戦火は大炎上し、イラク戦争も同様でした。

小国が侵略された時、両大国が直接対決に踏み切ら無い条件で、同盟は頼りなるが、大国の勇み足はその被害を甚大にする。

 

一番の問題は、日米同盟に頼ってしまうと隣国との難しい関係改善について、米国の戦略に拘束され、また自らの智恵と努力を払わなくなることです。

しかし日米の同盟関係は戦後から続き、動かし難いものがあります。

ここが国民の踏ん張り所かもしれません。

 

 

 

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人類の歩みと憲法 8: 政治制度の問題点


タイの首相が失職

< 1. タイの首相が失職 >

 

前回、三権分立の役割を見ましたが、現在、ほころびが出ています。

早晩、政治制度の改変が必要です。

問題点を指摘します。

 

委員会風景 

< 2. 委員会風景 >

 

現状の問題点

数日前、タイの首相が失職しましたが、それは首相の人事介入が違憲との判決が出たからです。

これは裁判所が良く機能している現れであるのですが、ある問題を暗示しています。

 

一つは、違憲審査を担う最高裁判所長官や判事の任命権は通常、行政(内閣、大統領)が握っていることです。

このことは政府寄りの判決や判断保留が増え、国民の期待を裏切る可能性が高くなります。

当然ながら一党による長期政権が続くと法思想も偏りやすく、その傾向は強まります。

よほど国民が高い法意識を持って裁判を監視しないと違憲審査の効果は失せてしまいます(最高裁判所裁判官国民審査が一手段)。

 

ホワイトハウス

< 3. ホワイトハウス >

 

もう一つは、社会が複雑多岐にわたり、行政の権限(内閣と官僚)が大幅に巨大化し専門化していることです。

民間から選ばれた議員達が事細かく行政を監視抑制することは益々困難になっています。

日本の法案やその答弁案はほとんど官僚が作成しています。

米国も、大統領が交代すると上級スタッフが2千人ほど交替しますが、その多くは、支援団体に連なる専門家(研究所、銀行、企業など)です。

米国の議会を動かしているロビイストの多くは元議員で企業や団体とのパイプ役を果たしています。

つまり、現状の行政府や立法府は、日に日に国民の代表から乖離し、腐敗や濫用の温床になりやすい。

 

核持ち込みの密約

< 4. 核持ち込みの密約 >

 

さらに新たな問題が生じている

それは先ほどの専門化とも関連するのですが、知識や情報が特定の人々に滞留してしまうことです。

三権分立であっても、行政(トップと官僚)や他国との間で情報が隠蔽され、国民は真実を知らされず、正しい判断が出来なくなります。

現実に隠蔽や虚偽、誘導の事例は事欠きません。

これは日本だけのことではありませんが、昨今、日本の悪化は急速です。

 

 国家による監視と情報秘匿

< 5. 国家による監視と情報秘匿 >

 

まとめ

この二つの悪化に対して、世界は有効な対策や思想を提示出来ていないようです。

前者は、おそらく歴史的に繰り返されて来た現象と本質的に一緒だと思います。

後者は、現象こそ似ているが、その対処は今までに無い新しい発想が必要だと思います。

連載ブログ「社会と情報」で追っていくつもりです。

 

次回より、戦争防止について見ます。

 

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人類の歩みと憲法 7: 国を導く工夫


フセイン元イラク大統領 

< 1. フセイン元イラク大統領 >

 

 

前回、国が如何に簡単に暴走するか見ました。

悲劇が繰り返さないように、人々はある工夫を憲法に盛り込むようになりました。

今回は、人類が創造した巧みな政治制度とその狙いを見ます。

 

 英国議会

< 2. 英国議会 >

 

権力の濫用を如何に防ぐか

人々がより大きな集団を作り、その運営を代表者に委託することは歴史の流れです。

しかしその権力者(集団)は往々にして、腐敗し濫用を始めエスカレートします。

そして遂に人々は立ち上がり、権力者(集団)を交替させます。

歴史はこの繰り返しでした。

 

そこでこの権力を常時抑制する方法が考えられた

議会が作った法で権力を縛る為に立法権(議会)と行政権(大統領や内閣)を別けた。

これによって権力の使用は法の範囲内に限定された。

さらに法に関して司法権(裁判所)を分離しました。

これは議会が裁判を担ってしまうと、党利党略に利用されやすく、また法理論の素人では公正中立な運用が困難になるからです。

一方、裁判所を監視抑制する工夫が、民間人参加の陪審制度だと言えます

 

陪審制度:映画「怒れる12人」

< 3. 陪審制度:映画「怒れる12人」 >

 

この三権分立によって、権力者は気ままに、国民に徴税や戦争、逮捕処刑が出来なくなります。

例えば、米国の大統領は大きな力を持つが、法案提出権を持たず、派兵は議会の承認が必要です。

大統領の3期以上の再選は無効なども腐敗防止の例です。

 

最高裁判所大法廷

< 4. 最高裁判所大法廷 >

 

それでは議会を抑制する方法はどうすれば良いのか

議会も会派や支持層に有利な法案を通し、腐敗や暴走を起こします。

例えば、米国が独立する切っ掛けは英国議会が決した身勝手な貿易保護法案への不満からでした。

米国は伝統的に議会を裁判所で抑制します。

その方法は議会の決定を裁判所が違憲審査することです。

もし議会の多数派が少数派の権利侵害を決した場合、救う方法はこれしかありません。

例えば、国会の多数派が選挙区割りや制度を自党に有利に決している場合、裁判所に訴えることがそれです(一票の格差で違憲状態の判決)。

 

議会の二院制は、異なる方法で選出された人々により抑制する意味があります。

選挙制度を工夫することにより、少数多党化を防ぎ二大政党化を促し、抑制と合意形成の最適化を目指しています。

腐敗を防止するために、議員の世襲を排除する選挙制度を設けています。

 

5モンテスキュー

< 5. 18世紀始め、三権分立を唱えたモンテスキュー、フランス >

 

重要なこと

これら政治制度はまだ問題を含んでいるが、まだその歴史は200年程に過ぎません。

私は、この巧みな工夫は、人々の幸福に貢献する最も高尚な人類の創造物だと思います。

 

 

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人類の歩みと憲法 6: 絵に描いた餅にしない為に 


ヒトラー 

< 1. ヒトラー >

 

これから、憲法の重要な二つの問題を扱います。

それは国家権力を暴走させない、国家間の戦争を防ぐ工夫です。

 

国家権力を暴走させない工夫

多くの血を流して手に入れた理想の国家が国民に牙を剥き、腐敗・暴走することは多い。

古代アテネは数百年を掛けた改革により民主主義を体現したが、百年と続かなかった。

市民が王を倒したフランス革命による共和制も、ナポレオンの独裁により20年と保たなかった。

つまり人権擁護の文だけでは絵に描いた餅にすぎない。

 

ヒトラー首相とヒンデンブルグ大統領 

< 2. ヒトラー首相とヒンデンブルグ大統領 >

 

ヒトラーの独裁

あれほど先進的で民主的なワイマール憲法の下、ヒトラーは独裁者となり、15年で憲法の命脈は絶たれた。

ヒトラーの行動を追い、憲法の欠陥を見ます。

 

1923年、ドイツで最も鷹派のバイエルン邦のミュンヘンで、中央政府(ベルリン)転覆のクーデター未遂事件が起きます。

逮捕抑留されたヒトラーは、この時の高潔で愛国心に満ちた態度が好感され、広く知られるようになります。

29年の世界恐慌による極端な経済悪化は、彼の明快で悪をなで切る言動によって、共産党、社会党、保守党などを尻目にナチ党は票を伸ばします。

32年、彼は2度目の大統領選にも敗れたものの、ナチ党は国会で第一党に躍り出ます。

 

ドイツ国会議事堂放火事件

< 3. ドイツ国会議事堂放火事件 >

 

この年、国会議事堂放火事件が起きます。

即、首相である彼は大統領に戒厳令(憲法の人権条項停止)を奏上し、認可を得ます。

彼は犯人が共産党員だとし、多くの国会議員を逮捕し、さらに「社会党員は投票出来ないとする規則」を追加し、ナチ党は憲法改正に必要な2/3議席の賛成を可能とした。

そして一気に、全権委任法を可決し、憲法改正を行った。

これによってナチ党の一党独裁、彼の総統が確定した。

 

こうなると議会と大統領は完全に意味を無くし、憲法の理念は葬られた。

34年、大統領は以前から体調をこわしていたが、在任のまま死去した。

この年、ヒトラーの国民の支持率は90%あった。

 

そして第二次世界大戦へと突き進み、世界の死者は5千万人を越えた。

 

ドイツ軍の進軍を歓待する人々

< 4. ドイツ軍の進軍を歓待する人々 >

 

何がヒトラーの独裁を許したのか?

一番大きな理由は、彼が言葉巧みにあらゆる人々を味方につけたことです。

政権を長らく握っていた大統領や国軍の参謀達をうまく騙した(戒厳令など)。

先鋭化した突撃隊を自ら粛正し、資本家や保守層を安心させ援助を得た。

やはり彼が大多数の国民を心酔させたのが一番大きい。

 

突撃隊

< 5. 突撃隊 >

 

憲法の欠陥とは

一番は、国会議員の大量逮捕を許す戒厳令を大統領の一存で実施出来たことです(騙されたが後の祭り)。

この事が、ヒトラーが反発を招くことなく独裁者になることを可能にした。

当時、違憲裁判が行われていれば、違った結果を生んだかもしれない。

もう一つは、比例代表制を採用していたために少数多党化が起きやすく、このことが不安定な内閣を生み、政治の混乱を招く遠因になった。

 

 

 

 

 

 

 

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人類の歩みと憲法 5: 憲法を生みだした力


ルネサンス: レオナルドダビンチの書  

< 1. ルネサンス: レオナルドダビンチの書 >

 

少し想像して下さい

あなたが誰かに「これは正義だから・・」と言って、同意を求めたとします。

おそらくその人は一瞬、たじろぐでしょう。

そうではなく「これは皆の・・・」と言えば、事は簡単でした。

悪くすれば、正義は狂信者のプロパガンダ、危険と見なされたかもしれません。

イスラム文化: アルジェリアの街並み  

< 2. イスラム文化: アルジェリアの街並み  >

 

それではヨーロッパでどうだったのでしょうか

正義や法の発展には長い産みの苦しみの歴史がありました。

歴史的事件と人々の動き、思想を振り返ります。

 

紀元10世紀頃まで、ヨーロッパはキリスト教、ゲルマン民族、ローマ帝国の文化や法が中心でした。

しかし9世紀頃からイスラム文化が流入し、十字軍遠征、地中海貿易の発展、アラビアからのギリシャ思想の再流入、そしてルネサンスが15世紀頃に開花します。

ベネチア

< 3. ベネチア >

 

貿易は経済の大躍進を生み、商人や都市市民は組合を作り、その富を背景に領主や皇帝から幾多の特許状を受けるようになった。

自治権を得た港湾や都市が、各地に出来、自ら数百年をかけて大聖堂を建てるほどの繁栄を謳歌するようになった。

ドイツの一事業家が神聖ローマ皇帝の資金を一手に引き受け、イタリアの商都フィレンツエやベネチアは強大な自治都市になった。

 

一方、キリスト教会(教皇)は王権を凌ぐ存在となり、腐敗と形骸化も進行していた。

14世紀、ペストが蔓延し、西欧の人口の半分が失われると、信仰心は徹底的に打ちのめされた。

民衆はもはや教会への信頼を失いつつあった。

ペスト禍

< 4. ペスト禍 >

 

地球規模の交易とアラビア科学の刺激を受けて科学技術と医学は急速に進歩した。

さらにギリシャ哲学の再発見は、失いつつあった宗教的呪縛から抜け出て、人間理解を自然で合理的なものへと向かわせた。

一方、貴族と教会の両領主の圧政に耐えていた農民達は、宗教改革が目指した教会権威の否定に同調して蜂起することになる。

 

こうして16世紀中頃、ドイツで農民戦争と宗教改革が勃発し、西欧から英国、北欧を巻き込む戦争と信条の転換をもたらした。

やがて17世紀末、最初の革命が王権の弱体していた英国で起こることになる。

 

ヤン・フスの焚刑:ヨーロッパ最初の宗教改革

< 5. ヤン・フスの焚刑:ヨーロッパ最初の宗教改革 >

 

人々の信条と思想の変化とは

ルネサンスによって、人間個人の尊厳や自由が注目され、神学者からも見直しが迫られた。

さらに宗教改革において、信仰によりあらゆる人々は平等で自由だと謳われた。

これらの中から、個人と社会、さらに王と神の存在を問い直し、社会を再構築すべきという思想が次々と生まれた。

王は人々を虐げる者となるので、立法が国を治めるべきとした。

その為には、革命は正当化され、新たな国は民主的でなければならないとした。

また信仰を政治に持ち込んではならないともした。

 

日本では

維新を支えた王政復古は東アジアや西欧でも混乱期には、国を纏める手段として多用された。

しかし西欧は、そこに留まることはなかった。

日本も宗教改革や一揆、合議制の政体、維新を経験した。

しかし西欧の憲法を受容はしたが、その精神を我がものとするまでには至っていないのかもしれない。

 

 

 

 

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人類の歩みと憲法 4: 憲法は何をもたらしたのか


 参政権

< 1. 参政権 >

 

最初の変革

法は社会の安定・平和には欠かせないものとなりました。

人類が数千年の時を掛けて練り上げて来たものです。

しかし、それは一方で権力者による徴兵や徴税、罰則の根拠にもなっていました。

英国議会

< 2. 英国議会 >

 

それを覆す事件が、長らく続いた改革の総仕上げとして17世紀末の英国で起きました。

貴族が団結し国王の横暴を抑える為に、権利の章典を王に呑ませることに成功した。

これは貴族中心ではあったが上下両院の決議による宣言でした。

これ以降、英国の議会は王の専横を抑え、上位に立つようになりました。

しかしこの時点ではまだ市民は置き去りでした。

それにはアメリカの独立宣言から合衆国憲法、フランスの人権宣言まで約百年の時が必要でした。

 

こうして国家は少数の権力者達から、貴族、市民、やがてほぼすべての国民のものになりました。

それは絶対王制から君主制、共和制、民主制への歩みであり、主権在民の確立でした。

 

一つの社会が、多数の構成員の合議によって運営される状況は、世界中の古代・中世においても一部の限られた地域では存在した。

しかしそれらは長く続くことはなく、また下層階級は完全に除外されていた。

絶対王制 

< 3. 絶対王制 >

 

初めて、すべての人々の基本的人権が保障される基盤が出来た

ところで人間の権利は何によって保障されるのでしょうか。

日本の民法第1条「私権の基本原則」は以下の文から始まります。

「私権ハ公共ノ福祉ニ遵(したが)フ」

何か違和感がありますね。

通常、法律は秩序維持の為に、人々の行為を制限し罰則を規定しています。

 

そこで憲法は国民の平等、自由、財産、参政などの人権を先ず認め、国家権力がそれを侵してはならないとしたのです。

つまり逆に憲法は国家権力を制限したのです。

こうして国民は生きる権利を保障されるようになりました。

正義の女神

< 4. 正義の女神 >

 

人権とは何でしょうか?

ほんとうに人間は何か権利を持って生まれて来るのでしょうか?

身も蓋も無いのですが、何か実体があるわけでは無いですよね。

人権は英語のhuman rights の訳ですが、このrights は「正しい行い」を意味しています。

 

一方、法とは何でしょうか?

法は「正義に適合して秩序をたてるために、社会が構成員に強制する行為の規範」と言えます。

両者を総合すれば、「社会は正義に則って人々を守り、規範を守らせる」と言うことになります。

 

もっとも不思議で、もっとも重要なことは「正義」の概念を人類が生み育てて来たことです。

 

 

 

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人類の歩みと憲法 3: 大きなうねりと孤島


  フランス革命

< 1. フランス革命 >

 

世界の憲法制定の流れを要約し、日本の状況を見ます。

 

 大日本帝国憲法発布

< 2. 大日本帝国憲法発布 >

 

日本の憲法

1867年、日本は明治維新をなしとげ大日本帝国憲法を制定した。

この維新は王政復古をうたい混乱を速やかに終息させた意味で画期的だった。

一方、立憲君主制の下、天皇が国民に憲法を与えるものになった。

これは政府が、当時沸き起こる民主的な憲法案(英国やフランス風の)を恐れ、君主制のプロイセン憲法を参考に、急ぎ制定した。

 

次いで、大戦後の1946年、現行の日本国憲法が公布された。

この憲法は、日本政府の原案では旧憲法色が強いとして、連合国軍総司令部が起草したものが基になった。

 マグナカルタ

< 3. マグナカルタ >

 

世界の革新的な憲法や条約の流れを要約

1689年、権利の章典、イギリス : 憲法により君主の権力を制限し、議会が優位に立った。

 

1776年、独立宣言、アメリカ : イギリスからの独立を宣言し、基本的人権と革命権を唱えた。

 

1788年、合衆国憲法、アメリカ : 世界初の成文憲法。連邦制を目指し、共和制、民主制、三権分立、二院制、大統領制を採用した。

 

1789年、人権宣言(17条)、フランス : 絶対王制を倒したフランス革命で、基本的人権を唱えた。

 

1867年、大日本帝国憲法、日本 : 明治維新後。天皇が軍権を専有し統治した。

 

1918年、14箇条の平和原則、国際連盟 : 第一次世界大戦を休戦させ、戦争の再発防止を訴えた。

 

1919年、ワイマール憲法、ドイツ : 第一次世界大戦末期の革命で、最も民主的な憲法となった。

 

1945年、国際連合条約、国際連合 : 第二次世界大戦後、戦争の再発防止策を規定した。

 

1946年、日本国憲法、日本 : 第二次世界大戦後、GHQが草案。基本的人権、戦争放棄を唱え、象徴天皇を認めた。

 アメリカの独立宣言

< 4. アメリカの独立宣言 >

 

日本の状況

日本は東アジアを代表する大国にはなり得たが、国民が自ら民主的な法や憲法を生みだすことはなかった。

お仕着せがあったとも言えるが、外圧がなければ旧態依然としたものになっていただろう。

女性の参政権や地主制の解体は、先進国よりかなり遅れて戦後、外圧によって行われた。

 

重要なこと

日本は、ここ2000年ほどの間、海外先進の文明や文化を素早く取り入れ、自らのものにしてきた。

また日本は海外からの脅威に対して、国民が一丸となって武力だけでなく、あらゆる面で乗り越えて来た希有な民族です。

 

しかし、憲法に見られるように何かもの足りないものがある。

これから先進国の憲法のエッセンスを見ていきます。

 

 

 

 

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人類の歩みと憲法 2: この不思議なもの


モーセの十戒 

< 1. モーセの十戒 >

 

人類は進歩しているのでしょうか?

例えば「より複雑で高度な能力を持つようになること」と定義すれば、人類は進歩しているように見える。

しかし、「より幸福」になったと言い切れないので、違和感を覚える方もおられるでしょう。

 

ところで皆さんは科学や文化、政治、戦争を人類に特有なものだと思われますか。

実は、自然に暮らすチンパンジーはこれらを原初の形で持っています。

連載「心の起源」「戦争の誤謬」「病と医術の歴史」で事例を紹介しています。

 

ハムラビ法典:右の太陽神が王に法典を与えている

< 2. ハムラビ法典:右の太陽神が王に法典を与えている >

 

人類が生みだしたものとは何か?

チンパンジーにその端緒が無くて、人類だけが有するものに宗教や美術、法などがあります。

おおまかに以下のことが言えます。

キリスト教や仏教、イスラム教などの世界宗教には創唱者がいました。

有名な美術品のほとんどには制作者が知られています。

しかし現在の法や憲法の作成者を、皆さんは知っているでしょうか。

 

実は、チンパンジー社会にも制裁や秩序維持の行動は存在します。

しかし合意に基づいて、その内容を変更し強化することは出来ません。

一方、人類は集団内外の争いを治める方法を先史時代から掟や戒律として残していました。

無文字社会や民族に伝承された掟や戒律は神話によって権威づけられるか、作成者不詳が多かった(自然法)。

 

アテネの陶片追放: ふさわしくない最高権力者を投票で追放 

< 3. アテネの陶片追放: ふさわしくない最高権力者を投票で追放 >

 

誰が法を創るのか?

やがて文字が誕生すると、法文として記録するようになり、その初期のものがハムラビ法典でした。

ハムラビ法典は王が神から授けられたものとしています。

都市が誕生し王朝が興ると、王が法を制定するようになりました。

 

しかし最初の転機が、古代ギリシャのアテネに訪れました。

アテネも初期は貴族が支配していたのですが、やがて改革によって市民が法を定め、市民の権利を確保するようになりました。

おおよそ2500年前のことです。

しかし、この後、ローマ帝国以降のヨーロッパでは、長らく一部の権力者達(王や貴族)が新しく法を定め運用するようになりました。

 

ローマの元老院: 元老院が法を専門的に扱う 

< 4. ローマの元老院: 元老院が法を専門的に扱う >

 

しかし、やがて人類史上、新たなうねりが訪れることになります。

それは現代まで続く、人類社会、最大の転換の始まりだったのです。

 

 

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人類の歩みと憲法 1: 今、何が起きようとしているのか?


航海

< 1. 航海 >

 

ここ3世紀の間、世界中で多くの血を流し勝ち取って来たものがあります。

人類、最高の智恵と創意が集約されているものが憲法かもしれません。

この連載で、人類社会の進歩を支えたものが、一遍の法文だったことを見て行きます。

 

ウクライナ情勢

< 2. ウクライナ情勢 >

 

今ある危機

今の日本は、船長が必死で荒海に向かって大きく舵を切ろうとしている状況です。

大きな波が来るのならそれは正しい、しかし、そうでないならむしろ危険かもしれない。

この違いは、恐怖の対象が、自然ではなく異民族だと言うことに尽きる。

 

素晴らしい船長

TPP、増税、リフレ策、減反政策変更などの実行力は他の追随を許さない、まことに立派である。

リフレ策は不安を抱えているが、先ずは首尾良く行くことを祈る。

これは「赤信号、欧米諸国と一緒に渡れば恐くない」のようなものです。

あれほど不安視された原発を推進しても首相の人気に陰りはない。

 

忠臣蔵

< 3. 忠臣蔵 >

 

一方、気になることがある

秘密保護法制定、NHKの中立性放棄、軍の強化と適用拡大が推し進められている。

今後、解釈変更や憲法改正で目指すものが確定されていくだろう。

今の時期、大いに議論すべきだが、自治体は憲法擁護の運動を、政治的偏向だとして抑制に転じた。

ここ2年あまりで、愛国心が讃えられ、熱を帯びて来た。

愛国心で感涙むせぶ小説が飛ぶように売れた。

愛国心は自国を奮い立たせもするが、他国も同様で、やがて共振を始める。

それは小さな離島の購入計画と北朝鮮のミサイルが引き起こしたように見える。

 

 選挙模様

< 4. 選挙模様 >

 

しかしそれだけだろうか?

「火の気のないところから・・」のことわざがあります。

 

日本には、二つの不気味な伏流水があります。

一つは、ここ30年ほどの欧米諸国に共通するのですが、政治が専門化し、社会に偏在化が起こり、国民の信頼は日増しに低下している。

それは多党化と選挙離れを生んでいるが、日本は最も酷い状況を亢進中です。

特に、日本の不幸は権力・組織に依存する文化があり、これが暴走を生むことになる。

 

もう一つは、大戦後、欧州は歴史的反省の結果、隣国との友好を選びましたが、日本は絶縁の道に閉じ籠もろうとしています。

これは日本が島国で被侵略の経験がないことから、歴史認識がガラパゴス化しやすいことによります。

これらのことが、今のうねりを生みだしたとも言えます。

 

 

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