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平成イソップ物語 18: 猫とネズミ


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昔々、ある川の傍に野ネズミがたくさん暮らしていました。

この川がしばしばが氾濫するので、皆困っていました。

そこに一匹の猫がやって来ました。

 

 

 

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猫    「 皆さん、困っているなら私が助けましょうか 」

 

ネズミ達 「 どうするのですか 」

 

猫    「 私が堤を作ってあげましょう 」

 

ネズミ達 「 お願いします 」

 

猫    「 それでは皆さん、土と石を集めて下さい 」

「 必ず皆さんは私の指示に従って下さい。違反は許しません 」

 

 

 

一月ほど経つと、かなりダムが出来てきました。

 

 

 

白ネズミ 「 猫さん、隅の小さな穴から少し水が漏れています 」

 

猫    「 秘密にして下さい。皆完成に向けて頑張っているのでね 」

 

 

 

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さらに一月が過ぎました。

 

ネズミ達 「 猫さんのおかげで素晴らしい堤が出来ました。ありがとう。 」

 

猫    「 喜んで頂ければ本望です 」

 

白ネズミ 「 猫さん、隣山で聞いたのですが、あなたが作った堤が決壊し、多くのネズミが死んだそうですね 」

 

 

猫    「 それは想定外の洪水と彼らのずさんな工事のせいでした。 」

 

白ネズミ 「 隣山のネズミが、工事中に問題を指摘していたそうですね 」

 

 

その夜、猫はこっそりと逃げ出しました。

 

 

ネズミ達は皆で相談し決断しました。

 

「 皆、雨が降る前にこの地を捨てて他に移り住もう 」

 

 

やがて雨が降ると堤は決壊しましたが、ネズミ達は助かりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 30: 暮らしのカラクリ 4: 煽られた競争


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今日は、少し複雑な話になりますが、「競争」に纏わる話をします。

「競争」は賃金、規制緩和、経済力を理解するには避けて通れない概念です。

実は、私達の「競争」の概念は間違った方向に誘導されていた。

 

 

* はじめに

 

「競争」に纏わる文言を挙げます。

 

A: この世は逆肉強食だから弱者を甘やかすな!

 

B: 規制緩和は市場に自由競争をもたらし、価格低下とサービス向上をもたらす!

 

C: 賃上げは企業の国際競争力があって可能だ!

 

 

この三つは、社会に厳しい競争があることを強くイメージさせます。

この論理の罠に気付くことは難しい。

これは経済上の勝者(超富裕層)が、競争と勝者こそが善であると信じ込ませて来た結果です。

 

これとよく似た状況がかってありました。

Aの論理が、19世紀の帝国主義が苛烈な折、白人が有色人種を搾取しても良い口実に使われた。

当時、白人は自然淘汰(逆肉強食)の中で選ばれた人種であるとする思想が一大ブームを巻き起こしていた。

Aはこれと同じ陳腐なデマの再来なのですが、今また蔓延している。

これが間違っていることは、人類史、法制史を振り返れば一目瞭然なのですが、ここでは割愛します。

 

 

結論から言えば、私達が暮らす地球は市場での競争が前提で、競争を否定することは現実的でありません。

 

しかし、まちがった「競争」の概念が社会を劣化させ、社会改革を妨げています。

何が間違っているか見て行きます。

 

 

 

 

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* 自由競争の幻想

 

結論から言えば、現実に完全な自由競争が行われている市場はない。

この結果、自由競争が価格の低下やサービス向上をもたらすことはない。

 

現実には、一部の強者に非常に有利な市場が出来がっていたり、または何らかの制約が働き、完全な自由競争などないのです。

この制約には社会保障(人権擁護、環境保護など)の為に行政が規制や自主規制があります。

どちらにしても完全な自由競争市場は幻想に過ぎない。

 

既に競争優位にあるか、さらに市場の独占を画策する側からすれば「自由競争の善」を社会に浸透させることが不可欠です。

 

強者(市場占有)が生まれる理由は様々ですが、資本力、情報力、政治力などが大きい。

政治力の例としては、公共の為と称して特定の学園や企業だけに参入を許すことなどです(後進国で酷いが先進国、日本などでも起きている)。

 

資本力の大きい方が小さい方を圧倒することは常識と言えます。

企業の統廃合が繰り替えされ、やがて巨大企業が市場を占有することになる。

こうなれば価格は上昇し、サービスが低下するのが通例です(マイクロソフト)。

 

また各国は国際競争に対処するとして独占禁止に逆行する大銀行の合弁を押し進めている。

この巨大銀行は金融危機時、国が倒産から保護してくれるので、益々バブルの温床になり易い(ゴールドマンサックス)。

 

情報力や知的財産権(特許)なども同様に大が小を圧倒することになる。

 

この独占が進むイメージは、水面にビー玉を乗せた皿を浮かべると、少しの波でビー玉が一度片方に寄ってしまうと、皿が傾き一気に沈没するのと似ています。

 

 

 

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< 3. 生産性は上昇しているが賃金は低下、厚生省より >

 

坊主丸儲け状態(住職を批判しているのではなく、**が濡れ手で粟)

 

 

* 言い訳の国際競争力

 

産業や企業の国際競争力は必要です。

賃金はその一要素に過ぎないが、日本ではこれだけが政財界によって強弁されている。

ここでは全体像を掴み、私達に何が真に必要かを考えます。

 

残念ながら、日本の国際競争力は低下の一途です。

これは、ここ20年ほどのあらゆる経済指標(GDP、賃金、貿易額など)の低下に現れている。

この本質を如実に示しているのが賃下げ(労働者酷使)と円安でしか国際競争力を回復する手立てがないとする政財界の姿勢です。

このような過去への回帰、保守化傾向はかつての英国衰退の二の舞です。

 

問題は真の国際競争力を高める努力を放棄していることです。

 

 

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< 4. 日本の国際競争力の低下、総務省より >

 

 

* 日本の国際競争力の現状

 

世界の開放経済において、自国の競争力のある製品が海外市場で売り上げを伸ばし、自国に外貨をもたらし、一方で海外の優れた製品をその外貨で購入することが出来る。

この場面で国際競争力が不可決で、日々、企業は世界と国内で競争を続けなければならない。

 

それでは企業は何を競争すべきなのでしょうか?

これはコストダウンだけではなく、様々な要素があります。

 

先ず、コスト低減について見ます。

日本では労働者の賃金低下が餌食になっています。

 

しかし常識的には生産性向上です。

これは時間当たりや一人当たりの生産額を増やすことで、一般には最新鋭の生産設備導入や革新的な生産方法の導入が不可決です。

 

現在、日本の企業は国内の設備投資を長期的に減少させていますので、この手のアップは期待出来ません。

不思議なことに、日本の首相は外遊で世界に50兆円を越える大盤振る舞いを行い、国民も国際貢献を喜んでいます(真の狙いは海外投資拡大)。

一方、日本の民間設備投資はつい最近まで年60兆円台でした。

このあり余った50兆円を国内に投資すれば、どれだけ競争力向上に寄与し、経済が復活したことでしょうか?

 

つまり、政財界は企業の競争力向上の自助努力を放棄し、労働者の賃金低下に頼っているのです。

このことは別の深刻な生産低下を招いています。

 

皆さん、周辺の職場を見て下さい。

民間企業には非正規が溢れ、公的な機関には民営化と称してアルバイトやボランティアが溢れています。

これが職場に何をもたらしたでしょうか。

 

かつて日本には米国由来の産業心理学が言う、作業者の参加意欲を高めることで生産性が上昇するとみなされた時代があった。

今は、隠れブラックこそが・・・、時代は変わった。

 

この状況でも懸命に働く人はいるでしょうが全体的に見れば、給与格差が甚だしく、地位が不安定な状況で、意欲を持って働けと言うのは無理がある。

つまり政財界の政策は、間違いなく生産性低下に大きく寄与しているのです。

既に説明しているように、賃金上昇は可能なのですから、逆行を止めるべきです。

(この連載「暮らしのカラクリ 1と2」で説明済み)

 

日本の貿易にも、この逆行が現われています。

それは貿易(商品の輸出)が減少し、海外投資(資金流出)の増大、そして海外からの投資収益とパテント料収入の増大です。

このことを経済の成熟とみなすエコノミストもいるのですが、歴史的に見れば衰退の兆候です。

 

 

奇妙な事に政治家や右翼は国益重視と言うわりに、資産家や企業の国益無視には寛大なのです。

言い方が悪いのですが、海外に工場を作り海外証券に投資し国内投資を怠るから、またパテント料を得るために特許を海外譲渡するから、国内の競争力が弱体化する側面があります。

 

画期的な新製品が世界でヒットすれば、これも国際競争力のアップとなりますが、この手の商品はもはや日本では誕生しなくなった(ウォークマンとスマホ)。

 

実に、日本の政財界は国際競争力について周回遅れの認識なのです。

 

 

 

* 日本が進む道は・・・

 

残念ながら、私の見込みでは日本は徐々に国際競争力を低下させるか、今回の政権のように起死回生と称して経済と財政を破局へと追い込んでしまうでしょう。

 

しかし、救いがないわけではない。

ここでは、北欧の事例を挙げます。

 

私は、30年ほど前、デンマークとスゥエーデンの企業を視察して感銘を受けました。

 

企業について

* 数百名の企業規模で高度技術を売りにした単一商品を世界展開していた。

* 生産は下請けに頼らず自社生産、生産作業は労働者の心身に負荷を与えず意欲を重視していた。

 

ライフスタイルについて

* 残業はせず、休日を充分とり、人生や趣味を謳歌している。

* 日本の男性だけに見られる赤ちょうちんの楽しみはなく、余暇は家族で楽しむ。

 

この状況は今も変わらないようです。

(私は6月に確認に行くつもりです)

 

 

北欧には国際競争力を高める政策があります。

 

国と企業、国民も科学技術と教育を重視し、競争力を重視する。

北欧の経営者に技術者が多い。

 

企業と労働者が敵対的ではなく、協力して競争力向上と賃金上昇、社会保障を確保している。

また国民が政府を信頼しているので、個人番号制は定着している。

 

職種別賃金が定着しているので、これを支払えない企業は撤退していく。

 

労働者が産業や企業の再編に適応出来るように、失業時の補償と転職の為の教育制度が確立している。

当然、キャリアを生かして転職であれば、同一賃金が得られる。

 

これらが大きな要素です。

明らかに日本にはないシステムです。

 

残念ながら、このシステムを日本に導入することは簡単ではないと思います。

それはあまりにも文化と政治風土が違い過ぎるからです。

 

しかし、とりあえず目標はあるわけですから、不可能ではない。

 

 

終わります。

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 29: 暮らしのカラクリ 3: カラクリを支える日本文化


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今まで日本の劣化、経済、軍事、政治について語って来ました。

読まれた方は、これらの劣化に共通する文化があることに気付かれたはずです。

今日は、中でも極め付きの「自己責任」と「忖度」について考えます。

 

 

 

 

はじめに

 

今、流行りの「忖度」は体制批判、腐敗の象徴を示す言葉として急浮上しました(安倍政権になって)。

一方、「自己責任」はかつて個人の身勝手を攻撃する言葉として喝采を浴びました(小泉政権時のイラク人質事件で)。

 

不思議なことに、体制側の人々は「忖度」に対して、国民の中には「自己責任」に対して、嫌悪感やこじつけを感じている。

 

この二つの言葉自体は古くから使われており、日本の文化に深く根を下ろしたものです。

逆に言えば、一方だけを無しには出来ない。

 

言葉のおさらいをしておきます。

 

忖度: デジタル大辞泉より

他人の心をおしはかること。また、おしはかって相手に配慮すること。

例として「作家の意図を忖度する」「得意先の意向を忖度して取り計らう」など

 

自己責任: デジタル大辞泉より

自分の行動の責任は自分にあること。自己の過失についてのみ責任を負うこと。

例として「投資は自己責任で行うのが原則だ」など

 

皆さんは、この二つの言葉を素直に受け取り、むしろ日本の美徳だと感じるはずです。

1982年、大ベストセラーとなった鈴木健二著「気くばりのすすめ」はよく「忖度」の一面を現しており、多くの方が共感されたはずです。

 

それでは人々はなぜ嫌悪感を示すのでしょうか。

また何が日本社会の劣化を招いているのでしょうか。

 

 

 

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* 「忖度」の不思議

 

「忖度」自体はあらゆる日本社会(村、企業、国会、官庁)で日常的に行われています。

 

人々は忖度しないことも可能ですが、多くは組織、特に上司から疎まれ、最悪落ちこぼれか身勝手の烙印を押されることになるでしょう。

逆に言えば、出世する人にとって「忖度」は必携なのです。

 

それでは今回、首相周辺に対して「忖度」を指摘すると、彼らはなぜ躍起になって否定したのでしょうか?

それは首相周辺が首相の望む方向に不正な判断(行政手続き)によって行政を私物化(不当な便宜供与)していたことを否定する為でした。

 

日本の行政では、既に「忖度」による便宜供与が蔓延しています(最近の急速な悪化は目立つが)。

しかしこれを取り締まる術(例えば北欧発祥のオブズマン制度や米国で発達した内部告発制度など)が未発達な為、摘発や抑制が困難なのです。

そこで、証拠を残さず適正に処理をしたと言明さえすれば事なきを得るので、後は動機としての「忖度」を否定さえすれば済むと考えたのです。

馬鹿にした論理なのですが、これが日本ではまかり通るのです。

 

「忖度」が蔓延る理由があります。

トップが事細かく指示しなくても、部下たちがトップの意向を汲み取り、仕事をこなして行き、組織が一丸となって進んで行くメリットがあります。

またこんなメリットもあります。

上司が部下に危ない仕事を忖度させて行わさせ、それがトラブルになった時、当然、上司は責任を部下に押し付けることが出来る(上司は楽で安全)。

これは企業や官庁ではよくあることで自殺者が出ることもある(ドラマのネタ)。

 

これが欧米に理解出来ない理由は文化の違いもあるが、「忖度」にはデメリットがあるからです。

本来、仕事は上司の指示かマニュアルに基づくものです(自主性を重視するものもある)。

「忖度」が問題なのは部下に迅速で的確な仕事を期待出来ないからです(日本では欠点にならない)。

 

 

 

 

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* 「自己責任」の不思議

 

「自己責任」は世界に通じる概念ですが、実は日本特有のニュアンスがあります。

 

極端に言うと、「神が私に責任を問う」と「皆が私に責任を問う」、これがキリスト教圏と日本での「自己責任」の違いなのです。

 

日本では、誰も見ていなければ(バレなければ)、本人は責任をあまり感じないのですが、集団内でトラブルが発生すると、その責任を個人に負わせる傾向が強いのです。

この日本特有の心理は微妙なのですが、多くの人は上記の指摘に思い当たることがあるはずです。

 

本来、「自己責任」は法に触れない限り、自分で責任を取ればよく、他から強制されものではない。

しかし、多くは「この問題は、企業や政府に一切の責任はなく、あなた個人が責任を負うべきである」と組織や社会から追及されることになるのです。

この追及は、必ずしも組織のトップや上司とは限らず、周辺の仲間からも行われることになる。

 

日本ではこのようにして社会から過大な追及や抑圧がかかるのです。

これが自殺を増やしている背景にもなっているはずです。

 

 

 

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* 「自己責任」と「忖度」の根にあるもの

 

皆さんは、既に気づかれたかもしれませんが、この二つは日本の村社会の文化に根付いたものなのです。(村社会の定義について、注釈1)。

 

社会心理学ではこれを「帰属意識が高い」と言い、アジア人は欧米人よりも強いことが分かっています(おそらく稲作文化起源)。

この村社会の文化は強い組織を生むのですが、逆に現代社会の発展を妨げるのです。

目立つ問題点としては独裁指向、個人軽視(人権無視)、排他的、現状維持、ダブルスタンダードなどでしょう。

まったく今の政権を言い表しているようです。

 

 

「忖度」には、子分がトップの強い支配を受け入れ、従うことで安泰を図る目的があります。

このようなことが起きる社会、多くの後進国や発展途上国では政治経済が未成熟なままです。

 

日本では、この傾向が未だに残っており、外側に脅威を感じ、社会に失望感が広まると強権的な人物がトップに担がれ、村社会的状況が一気に大きく頭を持ち上げることになる。

日本はアジアの中でも最古層の家族形態(長子相続)が遺存しているので、より強く反応するのです。

 

「忖度」の弊害を放置すると社会は劣化を深めますので、先ずは不正な便宜供与を取り締まる法整備が不可欠です。

 

 

「自己責任」は、個人よりも組織を優先する中で、組織の意向に沿わない者を村八分にするようなものです。

また社会や組織で問題が発生した時、個人が責任を取ることにより組織の安泰を計ろうします。

これはやくざ社会や武士社会によくあるパターンで、この滅私奉公が刑務所帰りや残した家族の安泰に繋がると言うわけです(大企業では今もある)。

これは国政や企業のトップに取っては非常に都合の良い文化なのです。

 

しかし、これらが個人の権利意識や社会意識を低くしてしまっているのです。

その現われの一つが、「賃金が安いのは本人の問題」「賃金を上げると経済は失速する」「消費増税と企業減税は必要」などの発言に、国民は自らの責任と受け止め、安易に納得し協力してしまうのです。

 

「自己責任」の弊害に即効性のある対策はありません。

これは国民の気付きしか無いように思われます。

これには教育が重要ですが、今の政府は逆行しているので絶望的です。

 

どうか皆さんに、日本の文化の悪い側面が今の政治や社会の劣化を助けていることに気付いて欲しい。

 

 

終わります。

 

 

 

注釈1

 

村社会の特徴: Wikipediaから抜粋

 

部族長による支配、ボスと子分の上下関係が厳然と存在する。

 

以下のような問題点があり、外部とのトラブルの原因となっている。

 

*少数派や多様性の存在自体を認めない。

*世間一般のルールやマナーは守らず、他者にも強要。

*寄らば大樹の陰。横並び。

*排他主義に基く仲間意識が存在する。

*自分逹が理解できない『他所者』の存在を許さない。

*同郷者に対しては「自分達と同じで当たり前」という意識を抱いており、自我の存在を認めない。

*白か黒か、善か悪かといった二極論を好み、中立や曖昧な考えを嫌う。これが「異端者は自分たちを見下している/敵意を抱いている/自分より劣る存在である」といった思い込みを生み、一度こじれた場合の収拾がつかなくなってしまうことが多い。

*弱いと規定したものに対しては、陰湿且つ徹底的に圧迫を加える。構成員は陰口を好む。

*プライベートやプライバシーといった概念が無い。

*事なかれ主義が多い。

*噂話に対しては、真実かどうかを追求するより、噂を既成事実にしようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 28: 暮らしのカラクリ 2: 賃上げは国を滅ぼす・・


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今日は、労働者の賃金を上げると、国の経済力が落ちてしまうと言う妄言を検討します。

 

 

* はじめに

 

日本の皆さんは生真面目ですから、政府や偉い御用学者らに「賃金を上げると、企業の競争力が低下し、国はやがて衰退する」と言われ続けていると、賃上げに後ろめたさを感じるようになってしまった(笑い)。

 

これが真実かどうか、検討してみましょう。

 

A: 国民の賃金低下は経済に好影響を与える。

 

B: 賃金上昇は企業の競争力を低下させる。

 

この二つがポイントです。

 

 

 

 

 

* 賃金低下は経済に好影響を与える

 

賃金を低下させると企業は出費を減らせ、投資を増やし、競争力が増して輸出が増え、国の経済は上昇するとされている。

 

実は、この間違いを長々と証明する必要がないのです。

なぜなら日本は1990年代から賃金低下に伴って、経済は低下の一途なのですから。

そうは言っても、間違いのポイントは重要なので解き明かします。

 

 

 

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< 2. 日本のGDPの内訳 >

 

国内総生産(GDP)と言う指標があります。

これは国内で1年間にどれだけの付加価値(生産額)が生まれたかと言うものです。

日本の場合はこの内、個人消費額の割合が60%ほどありますが、一方で輸出額は11%ぐらいに過ぎません。

 

もし国民の賃金を20%低下させたら本当に経済は上向くのでしょうか?

 

それでは簡単にメカニズムを追います。

賃金が下がると、国民は消費を減らし、単純にGDPは12%(=GDPx60%x20%)低下します。

労働者は貯金を下ろすか、借金をして生活レベルを守ろうとするので、実際にはここまで下がらない(注釈1)。

しかし現在、日増しに貯蓄率は減り、貯蓄の無い若い層が増え、エンゲル係数も上昇している。

 

 

一方、企業は製造コストの50%を占める人件費が減るので、10%(=GDPx50%x20%)の利益アップか商品価格の値下げが可能です。

 

問題はこれでGDPが幾ら上昇するかですが、実はほとんど期待出来ないのです。

 

例えば価格を下げ無い場合、同じ売り上げ額で企業の利益はおそらく3倍になるでしょう(製造業の平均利益率4%)。

もし全額、設備投資に回せば生産性もGDPも上昇するのですが、既に企業は国内への投資を増やさなくなっています。

つまり企業の剰余金が増え、その資金は海外や証券投資に向かうだけでGDPは増えません。

 

 

3

< 3. 円安と輸出額の関係 >

 

 

もし商品を値下げし売り上げ額を増やせばGDPが増加するのですが、この影響は大きくはない。

 

例えば図3の赤枠を見てください。

2012年から2015年で円安は33%(1ドル80円から120円)進んだが、この間の輸出のGDPに占める増加は約3%に過ぎなかった(注釈2)。

 

つまり、賃金低下は輸出を増やす効果よりも、GDPを減らす効果の方が圧倒的に大きいのです。

また賃金低下はデフレを加速させる。

 

 

* 賃金上昇は企業の競争力を低下させる。

 

結論から言えば、条件付きですが賃金上昇は国際競争力を低下させない。

 

実例があります、デンマークやスウェーデンは貿易依存度が60%あっても賃金は世界最高水準なのです(日本は25%)。

当然、両国の経常収支は黒字です(つまり競争力があり輸出が多い)。

 

 

確かに、個々の企業は販売価格を下げることで競争力が高まるので賃下げの誘惑にかられやすい。

しかし民主的な国であれば賃金低下で競争力を高めようとはしません。

なぜなら聡明な国民は反対し、政府は従うからです。

 

ここで重要なポイントは、国の経済力に応じて為替が自動調整されることです(変動相場制)。

歴史的に産業が発展した国(輸出が多い)の為替は高くなります。

この理由は、貿易で黒字(経常黒字)になることで自国通貨が高くなるからです。

 

一方、国が通貨安を画策する場合(為替介入)がありますが、これは貿易相手国が皆望んでいることであり、まず抜け駆けを許してくれません。

通貨が通常より大きく安くなるとすれば、それは身勝手な超大国のごり押しか、裏取引(密約による協調介入)、または投機筋の思惑でしょう(実需の為替取引額の10倍以上が思惑?で売買されている)。

 

つまり、賃金を下げ競争力を得て、輸出増になっても貿易黒字になれば円高になって競争力はまた低下するのです。

一時、これで企業家は楽して利益を得るのですが、結局、悪循環になるだけです。

この間、苦労するのは国民、労働者だけなのです。

 

 

* まとめ

 

結局、単純に考えても賃上げの方が経済や大多数の国民には正しい道なのです。

前回見たかつての「夜明け社会」がそうでした。

今は狂っているのです。

 

しかし多くの方はまだ納得しないでしょう。

現状で、賃上げして経済は持つのかと疑念を持たれるはずです。

 

実は、ここでも北欧に成功事例があるのです。

高水準の賃金でもやって行ける理由があるのです。

ポイントはやはり競争力です。

それは賃金カットではなく、競争力のある企業や産業、技術、人材を育てることしかないのです(いずれ紹介します)。

この仕組みは、一朝一夕に出来るものではありません。

 

 

おそらく日本の現状では、北欧のように国民と産業界が協調し政治と経済を動かす風土を作るには1世紀かかるかもしれません。

 

しかし、これしか道はないでしょう。

少なくとも米国の来た道(夕暮れ社会)を進むのは賢明ではない。

 

 

次回に続きます。

 

 

注釈1

 

 

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< 4. 家計貯蓄率の減少 >

 

貯蓄額を可処分所得で割った比率はついにマイナスになった、つまり各家庭は貯蓄を引き出して生活をし出した。

 

 

 

注釈2

この説明では、33%の円安は33%の商品価格の低下とみなしています。

ドルで買う顧客にとっては33%の値引きになったが、数%としか売り上げは増えなかったと言いたいのです(企業利益は格段に増加)。

確かに為替変動(価格変動)に伴って輸出額は変化しますが、グラフの2002年~2007年の変化からわかるように海外の景気動向の方が影響は大きいのです。

 

実は、円安は輸出を増やすメリットだけではない。

 

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< 5. 円安倒産 >

 

目立たないのですが、輸入業者は急激な円安で倒産の嵐に晒されたのです。

当然、輸入に依存している消費財も値上がりし、家計を苦しめることになります。

 

もう一つ忘れてはならないことは、為替変動は予測が困難で頻繁に振れることです。

つまり企業家も庶民も、円安や円高に甘い期待は出来ないのです。

 

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 27: 暮らしのカラクリ 1: 少ない稼ぎは・・


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これから日本の政治経済の劣化した局面を一つ一つ切り取って見て行きます。

巷にある誤解を分かり易く解説します。

今回は、裁量労働制などの労働条件の劣化を取り上げます。

 

 

 

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* はじめに

 

長屋の二人が稼ぎで口論していました。

 

熊吉

「 稼ぎは自分の腕次第さ! 少ない稼ぎを親方のケチのせいにするな! 」

 

金太郎

「 働きによって稼ぎに違いはあるだろうが、一人の頑張りだけではどうにもならないものがある。 」

 

熊吉

「 そんなものがあるものか? それは逃げ口上だ、たかり根性だ! 」

 

 

みなさんはどちらが正しいと思いますか?

この理解が正しくならないと、日本は益々劣化していくことになります。

 

熊吉さんは自己責任を重んじる、如何にも良き日本人です。

一方の金太郎さんは、それと異なるようです。

 

 

 

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* 皆さんの給料は何によって決まるのでしょうか?

 

給料が決まるメカニズムを簡単に説明します。

 

単純な二つの社会を想定します。

普通の経済状況で、失業率は数%、複数の企業が労働者を雇っている二つの社会を想定します。

 

一つは企業に自由な首切りを認める「夕暮れ社会」、他方は絶対首切りを認めない「夜明け社会」とします。

 

この二つの社会の企業家と労働者はどのような行動をとるでしょうか?

その結果、この社会の給与水準に違いが生じるでしょうか?

 

この違いが分かれば、今の政治に何が欠けており、何が必要かが分かることになります。

 

 

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* どのようなメカニズムが働いているのか?

 

首切りが自由であれば、労働者は経営者の言いなりになります。

 

経営者は給与を上げてくれ、残業代が欲しいと訴える労働者の首を切ることになる。

これは替わりの労働者が幾らでもいることで可能になります(失業率は零にならない)。

企業はコスト競争をしていますので、一社が始めればついには社会全体にこれが蔓延します。

さらに賃下げが始まり、遂にデフレが定着します。

これが「夕暮れ社会」です。

 

もう一方の社会では、労働者は組合を作り、賃上を要求するようになります。

経営者はストをされても首切りが出来ないので賃上げせざるを得なくなります。

企業は賃上げ分を商品価格になかなか転嫁出来ず、企業利益は低下します。

ついには商品価格が上昇し始め、インフレが定着するようになります。

これが「夜明け社会」です。

 

こうしてみると稼ぎは、熊吉さんの言う自己責任で決まると言うより社会的にその水準が決まることがわかるはずです。

(注釈1で補足説明します)

 

 

 

* 「夜明け社会」は存在した

 

現実の日本経済は、「夜明け社会」と「夕暮れ社会」の間にあり、ここ40年ほどの間に益々、完全な「夕暮れ社会」に近づいています。

 

実は、欧米と日本も1940代から1970年代は「夜明け社会」だった。

これは概ね、経済学者のケインズが理論づけし、ルーズベルト大統領が実施したことから始まった。

この時期、経済成長と賃金上昇が続き、格差は縮小し、インフレが起きていました。

戦後は、今想えばまさに黄金期だったのです。

 

しかし、やがてスタグフレーション(インフレと不景気の同時進行)が起きました。

ここで、それまで賃金に利益を食い潰されて来た企業家は逆襲に出たのです。

それが1980年代に始まる、規制緩和とマネタリズムの嵐なのです。

 

こうして賃金の低下が始まった。

けっして難しい話ではないのですが、真実が隠されてしまったのです。

それは多くの経済学者、エコノミスト、マスコミが日々の糧を得るために体制擁護になってしまったからです。

(巨大な富が集中し、それが彼らに幾らか還元される)

 

 

* まとめ

 

結論は、給与水準はほとんど社会的に決まると言えます。

 

そしてこれは企業家と労働者のパワーバランスに左右され、また政府がどちらの立場に立つかで決まります(悪い規制緩和)。

他の要素もあるが、これが重大で、特に日本が酷い(注釈2)。

具体的には、首切りが自由な非正規雇用や残業代カットが容易な裁量労働制などです。

労働条件の劣化は、ここ30年ほどの現実のデーターがこれを裏付けています。

 

まだ信じることが出来ない方は、次の疑問にどう答えますか?

 

「ある移民が後進国から先進国で働くようになると大きく給料が上昇するのはなぜですか?」

 

これを個人の能力で説明することは出来ない(注釈2)。

 

 

 

次回に続きます。

 

 

 

注釈1

現実の経済では、首切りや賃金カットの容易さは複雑で、簡単に推し量れないものがあります。

そうは言っても、既に述べた基本的な理屈は明らかで、歴史が証明しています。

 

「夕暮れ社会」は正に今の自由放任主義経済の日本で進行中で、その悪弊の最たるものは非正規雇用の増加、賃金低下、デフレなどです。

 

しかし「夜明け社会」にも問題がありました。

それは生産性を上回る賃上げが、悪いインフレ(スタグフレーション)を招き、労働組合がその力に胡坐をかいてしまったことです。

これを暴走と言えるかもしれませんが、現在も別の暴走が加速しているのです。

 

 

注釈2

賃金水準は、国の経済力、個々の産業の競争力、そして組合の影響力(労働者の権利擁護の体制)で概ね決まると言えます。

どれか一つでも弱いと、賃金水準は低下します。

 

 

注釈3

例えば、同じベトナム人がスゥエーデンとベトナムで同じ仕事をした場合、大幅な給与差が生じます。

これは首切りのし易さと言うよりは、組合などの力により職種毎に給料が定まっていることが大きい(移民を差別している場合はこうならないが、スゥエーデンは同一労働同一賃金適用)。

どちらにしても社会が給与水準を決定しているのです。

 

 

 

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平成イソップ物語 17: 乗り合わせた泥船


1

*1

 

 

 

昔々、あるところに狸と狐が暮らしていました。

ある日、二匹は泥船に乗って湖の沖に向かいました。

 

 

 

2ああ

*2

 

3

*3

 

4

*4

 

 

湖の中央に来ると、釣りを始めました。

 

 

狸 「 狐さん! 魚と一緒にたくさんの水を船に入れると泥が溶け出すよ! 」

 

狐 「 あんたは魚がいらないのかい? 」

 

狸 「 船が沈みそうだから、もういらないよ。 」

 

狐 「 この船は外側を天日干ししているから大丈夫だ! 」

 

狸 「 だから心配なんだよ(内側が柔らかいので)。 」

 

狐 「 おまえはいつも文句ばかりじゃないか! 船が嫌なら降りろよ! 」

 

狸 「 それは・・・ 」

 

 

しばらくすると、船底に小さなひびが入りました。

 

 

狐 「 おまえが乗っているから船が壊れるだよ! 」

 

狸 「 だから言ったじゃないか・・・ 」

 

狐と狸 「 あーあー 」

 

ついに船は真っ二つ割れ、二匹は溺れてしまいました。

 

 

 

おわり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 26: 何がバブル崩壊と戦争勃発を引き起こすのか? 5


 1

*1

 

 

今回はまとめになります。

世紀末の呪縛から脱する手立てはあるのか?

未来を変えるには・・・

 

 

* はじめに

 

結局、多くの人は豊かさと平和に慣れてしまい緊張感を無くしている。

 

日本が大戦後、無一文の焼け跡から未来を信じ全員が一生懸命働き、画期的な復興を成し遂げた。

この時、人々は希望を持ちながらも将来の不安に備え、少ない稼ぎに関わらず貯蓄を行った。

この資金が国土建設や設備投資に向かい高成長を実現させた。

 

今はどうでしょうか。

日々、今を楽しむと言えば聞こえは良いが、夢に向かって挑戦し続ける若者は激減している。

あり余る資金は国内投資や賃金上昇に向かわず海外証券に向かうだけになった。

若者の海外志向の低下や資金の海外流出は英国没落時の正に再来です。

 

本当に刹那的な社会になってしまった。

 

これでは身も蓋もないが、回生の手立てはあるのだろうか。

 

 

2

*2

 

 

* 日本には素晴らしい歴史がある

 

かつて日本は長期的な展望を持つ民族だった。

この平野の少ない国土に1億以上の人間が暮らせる不思議がそれを物語っている。

 

これを可能にしたのが、共に社会や資源を守る文化です。

特筆に値するのは乱獲や乱伐を規制した漁業や林業の資源保護です。

世界にはこれらの枯渇を経験した地域が数多くありました。

 

また日本は海外の変化に素早く適応する力を持っていた。

明治維新では、それまでの中華文明一色から、攘夷すべきとした欧米に対し一転して、この文明を積極的に取り入れた。

地球上で、これほど遠方にある異文化の強国、しかも名うての侵略国相手にほぼ無傷で通商を結んだ国は、日本とタイぐらいでしょう。

 

また富国強兵の中で、初期には大英帝国に組し、ドイツが隆盛してくれば英国と手を切り、一度負かしたドイツと早々と軍事同盟を結んだ(二つの大戦で)。

この変わり身の早さは特筆ものです(親米も変わるかも)。

 

まして今は北欧と言う、素晴らしい次世代の社会モデルが存在する。

日本は真似るのが得意なのだから、今の疲弊と劣化から抜け出し、新たな道を進むことが出来るはずです。

 

しかし留意すべきことが一つある。

それは大陸の端にあり、巨大な人口を有する島国ゆえの宿命か、常軌を逸し無謀に走り易いことです(注釈1)。

 

 

 

3

*3

 

 

* 人類の素晴らしい足跡

 

人類は幾度も破局を乗り越えて来た。

破局とは、外敵や自然の驚異ではなく、社会が内包し放置すれば遂には崩壊に至るものです。

破局の最たるものに、既に述べた感情(貪欲と敵愾心)の暴走がある。

 

人類は如何にして社会の破局を未然に防いで来たのだろうか?

それこそが法制史であり、宗教だったと言えます。

要点をみます。

 

 

法制史の代表例を見ます。

 

古くはハンムラビ法典に同害同罰(同害報復法)が規定されていました。

これは貧富の差による罰則の不公平を是正し、民衆を公平に扱うことを目指した(紀元前2000年頃)。

 

仇討ちを禁止し、復讐の連鎖を防止した。

本来、限定された仇討ちは偶発的な殺人から部族間への戦闘拡大を避ける手段でした。

しかし、これを刑法で裁き決着させることにより殺人と憎悪の連鎖を断ち切った。

 

私有権が認められたことにより財産の侵害が明確化され、犯罪として禁止することが出来た。

 

税の徴収により公共投資が行われ、社会の安全、快適、衛生などの公共政策が進んだ。

 

三権分立により、政治の独裁や腐敗を抑制した。

 

国民が憲法を制定し、政治制度を規定することにより独裁を防止した。

 

化学兵器の禁止条約や不戦条約が結ばれるようになった。

 

 

こうして人類は長い年月をかけて因習や既成概念を打破し、社会の平和と幸福の為に法制度を発展させて来た。

さらに国家間、次いで世界が協働するようにもなった。

 

決して人類は規制緩和を進め、公共政策を縮小して来たのではない。

今の逆行―エゴや欲望の放任―は単に既得権益層の私腹を肥やすゆえの口実に過ぎない(すでに根を張っている)。

これら法制度がなかったら今の世界はなかったでしょう。

 

 

こうして破局を誘発する行為(犯罪)を制限するようになったが、法律だけでその欲望や心理を抑えることは困難です。

それを担ったものの一つが宗教でした。

 

世界宗教の多くは欲望の自制を促し、より大きい隣人愛を奨励して来た。

 

キリスト教を例にみます。

キリスト教は愛の対象を隣人から異民族まで拡大させ、暴力を否定した(パウロの貢献大)。

(ユダヤ教の旧約を引き継いでいるので一部暴力を肯定しているが、全体としては暴力よりも隣人愛を優先している)

しかも、政治を忌避しなかったことで、中世まで政治と強く繋がり大きな影響力を与えた(後に政教分離)。

(原始仏教は政治を忌避し、精神修行に重きを置いたので、政治力が弱くなった)

ヨーロッパ史には、キリスト教の暗黒面も目立つが、熱心な信徒によって奴隷解放などの人道的な革新や平和構築が多く行われた。

 

こうして見ると、人類は法制度と宗教を通じて、本能や欲望をコントロールし、社会の破局を防止して来たと言える。

 

我々は、その気になりさえすればまた豊かな道を進むことが出来るはずです。

 

 

 

* 最後の望み

 

今の日本を一言で言えば「無知、無関心、惰性、そして敵意」が社会を覆い尽くしている。

 

無知: 歴史を学ぼうとせず、都合の悪い歴史事実を無視する。

 

無関心: 未来を展望せず、現状の国際状況や国内の政治社会の動きを表面的に見るだけでメカニズムを理解しようとしない。

 

惰性: 不満や不安があっても現状維持からの脱却(改善さえ)に臆病になっている。

社会経済のメカニズムを理解しようとしないので、見栄が良ければ何ら中身の無い政策でも歓迎してしまう(注釈2)。

 

敵意: 既に解説しました。

 

この風潮を正さないといけない。

 

 

結論は、これ以上の悪化を食い止め、そして世界が手を握り、感情の暴走などの破局を防止する規制(法や条約)を始めることです。

 

その為には、惰眠を貪っている日本の大半(中間層)が覚醒し、政治を変え始めることです。

 

今なら政治の劣化は一部の過激な人々と煽るマスコミに留まっている。

しかし放置すれば、いずれ偶発的で小さな衝突事件を切っ掛けに破局へと進むでしょう(既に仕掛けられた歴史がある)。

 

 

 

4

*4

 

 

そこで期待出来る人々がいる。

年老いたと言え、団塊世代は青春時代、国家や戦争を論じデモに加わり篤い血潮をたぎらせた。

どうか日本の為、最後に人肌脱いでいただき、周囲に清風を吹き込み、改革に立ち上がる雰囲気を盛り上げていただきたい。

どうか団塊の世代は未来を生きる子供や孫の為に率先していただきたい。

 

東京裁判(~1948年)でインドのパール判事が願ったように世界が共同して戦争を裁き、平和を構築出来る日が来ることを望みます。

 

後退ではなく、一歩でも改革に踏み出そうではありませんか。

 

 

終わります。

 

 

 

注釈1

 

この列島は、古くは中華文明から程よい距離にあったことで文明を摂取出来るが侵略を逃れることが出来た。

次いで、欧米から遠く、魅力的な産物に乏しく、軍事的に重要で無い孤立した列島であったことが、帝国主義の災禍を受け難くした。

 

こうして巨大な人口を抱える日本は、一度世界の覇者を夢見ることなった。

もし当時の人口が数百万人以下であれば、敢えて帝国主義に対する自衛と称して大陸進攻を企てることはなかっただろう。

 

 

 

注釈2

 

ふるさと納税は、結果的に富裕者の税金逃れを加速させ、課税の逆進性をもたらす。

これは寄付行為に多額の返礼品があるからですが、これは当初予想された。

政権はこの指摘を無視し、見栄えさえ良ければ後先考えず施行した。

多くの人は、楽しみが増え、景気上昇に繋がると感じているが、必要な税収が減り、それを他の国民の税収で補っているだけです。

景気を良くする為なら他の有効な手段は幾らでもある。

 

日本の公共投資と言えば、政治屋の地元の土建屋が潤うものでしかないが、福祉(人件費など)などの投資の方が社会的に有意義であり、かつ経済効果は同じです。

日本では話題に上らないが、北欧の公共投資とは後者なのです。

 

現在、日本では低所得の非正規雇用が増えているが、これを加速させているのがこの度の「働き方改革」など、これまでの与党の一連の政策です(米が主導し1980年代から始まった)。

 

難しい理屈は不要です。

実際に、悪化し続けている事実に目を向ければ納得できるはずです。

 

極論すれば、流動性の高い労働者の存在はあっても良いのです。

問題は補償の無い首切り、特に論外は同一労働同一賃金が無視されていることです。

政府はこれを野放にし、国民も嘆くだけで政権に拒否の態度を示さない。

北欧ではこれらが守ら、かつ最も幸福な国であり経済成長も続けているのです。

 

国民が目を覚ます以外に道はないのです。

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 25: 何がバブル崩壊と戦争勃発を引き起こすのか? 4


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*1

 

 

今、私達が陥っている劣化に気付くことが重要です。

これは最近のことで、この劣化から逃れる手立てはあるはずです。

 

 

* これまでの論点の整理

 

投資家の貪欲がバブルを生み、そして抜け駆けの心理がバブル崩壊を招いた。

 

恐怖心が軍拡を加速させ、疑心暗鬼が戦争勃発を招いた。

 

これらの感情が一度暴走し始めると制止は困難でした。

 

今、人々はこの災厄をもたらす感情の暴走に何ら疑念を持たなくなった。

この劣化はこの30年ほど、特にここ数年のことです。

なぜ人々はこの劣化に気付かないのだろうか?

 

 

2

*2

 

 

* 基本的な誤解について

 

一つは、怒りの感情について誤解があります。

 

人類は進化の過程で優れた適応力を得て、脳内ホルモンがそれを可能にして来ました。

人は怒りを感じるとアドレナリンが分泌され、体が興奮状態になり、外敵に即応できるようになっている。

皆さんは強い怒りを感じた後、爽快な気分を味わったことはないでしょうか?

敵意や怒りの感情は、人によっては常習性のある麻薬のようなものなので、爽快感をもたらすことがある(文明社会では後悔するのが普通)。

 

当人は国や正義を思っての怒りだと思い込んでいるが、単に欲求不満の解消か、未発達な精神状態に過ぎないことが多い。

 

 

3

*3

 

 

もう一つ、愛国心への誤解もあります。

 

多くの人は愛国心を素晴らしい美徳だと思っているようです。

愛国心は共感の現れの一つで、共感は社会や家族の絆を強める重要なもので、霊長類、特に人類で最も進化した(脳内ホルモンが関与)。

 

但し、これも手放しで喜べない。

その理由は、共感を抱く同胞の範囲が感情的な直感(無意識下)で決まるからです。

共感が強くなると、逆に範囲外(異なる宗教、人種、文化、国、階層)の人々に強い敵意を持ち易くなるのです。

 

人類は進歩の過程で他の社会と多面的で複層的な繋がりを発展させ、その範囲を拡大し来たが、時折、逆行してしまうことがある。

今がその時です。

 

注意すべき事は、この敵意と愛国心が政治利用され、社会が容易に暴発に向かうことです(マスコミの関与を注釈1と2で説明)。

 

 

 

* 何が社会に起きているか?

 

バブル崩壊で言えば、今さえ景気が良けれ良いのであって、先の事は考えないことに尽きる。

米国で繰り返されるバブル崩壊と格差拡大が、社会の分裂と絶望を生み、遂には突飛な大統領が選ばれることになった。

格差を是正する対策はあるのだが、国民は即効性を謳った甘い公約に吊られ、同じ過ちを繰り返しては益々深みにはまってしまった。

 

戦争勃発についても同様で、即物的(武器)で即効性(威嚇)を謳う策が人気を博し、益々泥沼に足をとられることになる。

特に酷いのは日米ですが、多くの先進国も同様です。

 

つまり社会は刹那的になり理性を麻痺させており、ここ数年の劣化が著しい。

 

 

* 刹那的になった背景

 

これは平和ボケと20世紀前半に対する反動でしょう(この平和ボケは右翼の指摘とは真逆)。

 

三つのポイントがあります。

 

A: 今の政治指導者世代は大戦を知らない。

まして指導者が戦時中に成功した人物の後継者であれば戦争への反省より美化に懸命になる(世襲化している日本で極端)。

 

B: 世界中が異文化に敵対的になっている。

ハンチントンが指摘したキリスト教とイスラム教の対立は、19世紀後半以降の欧米列強の干渉と軍事行動が主因です。

(「何か変ですよ! 84: 何が問題か? 7」で解説しています)

 

C: かつての格差縮小策への反動が起きている。

20世紀初頭まで貧富の差は拡大していたが、その後、欧米は格差縮小策を実行し是正が進んだ。

しかし1980年代に始まる自由放任主義とマネタリズムによって格差は戻り、さらに拡大している(米英が先行)。

 

今、起きている安易な敵意や貪欲の高まりは主にこれらが原因です。

 

しかし、これではなぜ多くの国民が刹那的になったのか、つまり国政の歪み(癒着や腐敗)に無頓着で、社会改革に無気力になってしまったかを説明出来ない。

 

 

さらに以下のことが考えられます。

 

D: 大戦後、先進国は一度豊かさを満喫し、今は下降期にある。

豊かさを経験した後、1990年以降の経済は少数の富裕層に恩恵を与えているが、格差拡大で大多数の所得は横這いか低下している(英米で顕著、日本も後を追う)。

 

E: この半世紀の間に政財官の癒着が起こり、国民は政治に強い不信感を抱くようになった。

こうして先進国は軒並み投票率を下げ多党化している(北欧を除いて)。

 

F: 多くの国民(中間層)は、豊かさがこのまま続くとして保守的(逃げ腰)になった。

19世紀後半からの英国の没落時に出現した刹那的で快楽的な社会状況と同じです(ローマ帝国衰退、ファシズム勃興にも通じる)。

 

こうして人々は選挙に行かず、政府が従来の政策を継続することに安心した。

毎回、見栄えのする政策に希望を繋ぐが、徐々に悪化するだけでした。

こうして国政は既存の政治屋に握られることになった(日本が酷い)。

結局、政治への信頼喪失が、益々、政治を劣化させている。

 

 

これらの結果、既得権益擁護のマスコミの扇情が、分裂社会と国際間の緊張の中で一部のタカ派を奮い立たせることになった(マスコミの敗北について、注釈1)。

こうして保守派とタカ派が強く結びつき、低い投票率にあって国家の帰趨を決するようになった。

この結びつきは日米トップの支援層に著しい人権無視や強権的な言動によく表れている。

 

しかし日本の問題はこれだけで済まない。

日本ではマスコミが偏向し報道の自由が簡単に無くなる文化と歴史があり、現在、世界が評価する日本の報道自由度は低下する一方です(日本のマスコミについて注釈2)。

戦後、教育の場で政治論議がタブー視され、歴史教育もないがしろにされたのが今、災いしている(北欧は盛ん)。

また米国の占領下にあって経営者側と労働者側の対話形成が阻害され、敵対的になり、さらに1980年代以降、政府により労働組合が弱体化した。

一党による長期政権が続いたことにより政権中枢へのタカリや癒着(パトロネージ)が深刻化した。

 

 

次回、この世紀末状況から抜け出す道を探ります。

 

 

 

注釈1

米国の主要マスコミはベトナム戦争当時、政府に果敢に挑戦した。

ホワイトハウスの圧力に屈せず、ベトナム戦争の真実を暴こうとした。

またウオーターゲート事件(1972年)でもマスコミは共和・民主系に関わらず大統領を糾弾した。

 

しかし、規制緩和が進んだ今の米国はそうではない。

その背景の一端を下記グラフが示している。

 

4

< 4. 超保守メディアの台頭 >

https://techcrunch.com/2017/03/19/as-hyper-conservative-media-surged-republicans-trust-in-news-cratered/

 

オレンジの棒グラフがFOXニュースの視聴者数で赤線が共和党員のメディアの信頼度を示す。

FOXが2001年の同時多発テロ事件で一気に視聴者を伸ばしている。

不思議な事に、FOXは保守的な報道(娯楽と扇情)でシェアを拡大しているが、共和党員の信頼を失いつつある。

それでも全米断トツ一位のシェアによって世論への影響は大きい。

 

トランプ大統領のロシアゲート疑惑を追及するマスコミ(CNN)に対して、FOXニュースは徹底的に擁護している。

このFOXは、共和党系でメディア王のマードックが所有しており、アメリカ同時多発テロ事件において愛国心を煽り、視聴者数首位の座を占めることになった。

これは米国で1980年代に始まった規制緩和、特にマスコミの自由化(1987年、放送の公平原則の撤廃など)が大きい。

 

 

注釈2

第二次世界大戦時、ドイツと日本では戦時情報を軍部が完全に握り、捏造と扇情が繰り返された。

日本は島国で領域外の真実を知る術は乏しかったので、最も騙され続けた。

一方、連合国は戦時中も報道の自由を一応守り続けた。

 

グラフからわかる戦争報道。

 

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< 5.満州事変時の各新聞部数の伸び >

 

日本軍が満州事変を起こして以来、最も部数の増加率が大きいのは読売新聞でした。

(読売新聞の立役者は元警察官僚で、当時、御用新聞と綽名されていた)

朝日や毎日は軍部に批判的であった為、初めこそ部数を減らしたが、やがて方向転換し、部数を伸ばすことになった。

単純化すれば読売は戦争推進の姿勢が幸いし、朝日は大きく方向転換し、毎日は方向転換に躊躇したことで、それぞれ部数が決まった。

この状況を加速したのは国営のラジオ放送(NHK)の開始でした。

 

軍部もマスコミも愛国心を煽ることは容易であり、愛国心扇情はマスコミの業績向上に直結するのです。

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 24: 何がバブル崩壊と戦争勃発を引き起こすのか? 3


1 

*1

 

 

前回に続き、怪しい戦争予防策を採り上げ、次いでバブル崩壊と戦争勃発に共通する要因を考えます。

これが今、社会に蔓延り、放置すれば取返しのつかいないことになる。

 

 

 

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* 危なげな戦争予防策

 

前回見た日独の事例だけでなく経済封鎖は往々にして逆効果を生むことがあります。

例えば、1991年の湾岸戦争後の長期の経済封鎖は、イラクを疲弊させ次の暴挙を生み出す背景ともなった。

(イスラム国ISの台頭を例に、様々な戦争の予防策がむしろ危険を増大させてしまったことを注釈1で説明します)

 

現実に即して見るなら、北朝鮮はなぜ核兵器や長距離ミサイル開発に踏み切ったのだろうか?

経緯から察するに、それは日本や中国が標的ではなく、米国の攻撃を抑止するのが目的と考えられます。

これはイスラエルの核保有に対抗したイランやイラクの核開発、インドとパキスタンの関係と同様です。(核拡散について、注釈2で簡単にみます)

それがこのまま進むと、片棒を担ぐ日本も北朝鮮の標的になる可能性が高まります。

これは当然の成り行きなのですが、問題にならないのが不思議です。

 

また海に囲まれた細長い日本列島においてミサイル迎撃がほとんど不可能なだけでなく、この防衛システムが整った段階で米国と中国、ソ連を巻き込んだ核ミサイル配備競争になることは間違いない(不可能な理由、注釈3)。

1962年の核戦争危機を招いたキューバ危機は、米国が1959年にソ連に隣接するトルコへのミサイル配備が発端になった。

つまりソ連はキューバへのミサイル配備で抑止力の均衡を図ったのです。

これもよく起こる軍拡競争のパターンですが、危険この上ないものでした。

 

数年前まで、日本の右派の評論家は口を揃えて、中国は北朝鮮への経済封鎖に協力しないと断言していたが、今はどうだろうか?

常識的に見て、これしか次善策は無かったのだが、嫌中が足枷となり大局を見誤ってしまった。

 

どちらにしても、平和維持は武器だけで出来るほど単純ではない(米国の銃蔓延が好例)。

だからといってまったく武器が無くても良いとは言えないが。

別の手段と知恵がより重要なのです。

 

 

 

*二つの破局に共通するもの

 

これまでバブル崩壊と戦争勃発のメカニズムを簡単に見て来ました。

 

バブル崩壊では、真っ先に崩壊の被害から逃れようとする心理が市場をパニックに陥れていた。

そして、崩壊の大きさは溢れた投機資金が多ければ多いほど巨大になりました。

さらに被害は、元凶の投機家だけでなく、一国に留まらず世界までを窮地に追い込むのです。

 

戦争勃発では、戦争を回避しようとして軍拡競争が始まり、これが疑心暗鬼を一層駆り立て、一触即発になるのです。

また様々な安易な戦争予防策(軍事援助、軍事介入、経済封鎖など)も、逆に火に油を注ぐことになった。

 

そして勃発の可能性と被害の甚大さは、軍事力の巨大化や兵器の拡散、軍事同盟、国民の疲弊(敵意増大)によって高まるのです。(軍備増強の落とし穴、注釈4)

さらに核兵器による戦争ともなれば被害は地球上すべてに及ぶことになる。

 

 

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* 破局を招く感情の暴走

 

上記二つの破局は、ある感情が広く社会を覆い尽くしてしまったことよる。

 

バブル崩壊では、投資家の旺盛で短絡的な金銭欲がバブルを生み、そして抜け駆けの心理が崩壊を招いている。

(短絡的な金銭欲とは、地道な生産活動ではなく賭博で儲けようとする心根です。抜け駆けの心理とは、他人が損をしてこそ自分が儲かる、つまりエゴであり公共心の逆です。)

 

戦争勃発では、恐怖心が敵意となって軍拡競争を加速させ、そして相手国への無知による疑心暗鬼が戦端を開くことになります。

軍拡などの威嚇合戦が始まると、敵意が増し相互理解がより遠のくことは社会心理学が明らかにしています。

民主国家間でもこの過程を経て、やがて戦争に突き進む可能性が増すのです。

 

問題は、金銭欲と抜け駆け、または敵意と疑心暗鬼の感情が社会で連鎖反応を起こし暴走し始めると制止することが困難になることです。

現在、人々はこれらの感情をありふれたものと見なし、この感情の暴走に何ら疑念を持たなくなってしまっている。

放置しておくと破局を招くことは既に見た通りです。

 

これこそが厄介なのです。

これら感情の暴走を止める必要があるのです。

 

 

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*4

 

* この感情の暴走がなぜまかり通るのか

 

先ずは、この感情の暴走が危険であり、これを看過する今の社会が異常である事を認識する必要があります。

 

実は、この不感症さはここ数十年の間に生じたものなのです。

この間に、人々は刹那主義に陥り、理性を麻痺させてしまった。

 

バブル崩壊で言えば、金銭欲と抜け駆けの欲望は留まるところが無い。

ここ半世紀、自由放任主義(規制緩和と累進課税放棄)がもてはやされ、やりたい放題(累積赤字と格差の増大)なのです。

しかし、20世紀初頭から世界大恐慌後しばらくの間は、先進国(英米筆頭)においてこの欲望を制限して来た。

北欧は当初から別の手段(社会保障)によって、この難を逃れている。

 

戦争勃発で言えば、現在、敵意と疑心暗鬼の感情が益々剥き出しになっています。

現在はこの感情を抑制することが軽蔑の対象すらなる(平和ボケ、国賊と呼ばれる)。

大戦後しばらくの間は、反省からこの感情を抑制し平和の構築を目指していました(EU統合、国際連合平和維持活動が始まり、北欧の平和貢献は続いている)

 

 

次回はなぜ、今の社会が理性を麻痺させてしまったかをみます。

 

 

 

注釈1

イスラム国が誕生した背景に何があったかを簡単に見ます。

 

様々な要因が絡んでいるのですがポイントを振り返ります。

 

まず、直近は2003年のイラク戦争によるイラク社会と経済の崩壊でした。

特に米軍占領下で報復としてスンニ派で占められた軍人を大量解雇し、これがイスラム国に加担した(シーア派を敵とすることで一致)。

 

これに遡って米国はアフガン戦争において、中東イスラム圏からの義勇兵(アルカイダ)をソ連に対抗できる近代兵器を有する武装集団に育成していた。

これがアフガン戦争後、イラクやシリアに戻って来た。

 

既にイラクでは、1991年の米国主導の湾岸戦争とその後の経済封鎖で極度に疲弊していた。

またイスラエルとの中東戦争に介在した欧米、キリスト教国への憎しみが中東で蔓延していた。

 

これら欧米の施策がイスラム国の台頭を招いたと言える。

つまり安易な大国の戦争予防策が裏目に出てしまっている。

 

 

注釈2

イスラエルはフランスより核施設を導入し、米国が黙認し核兵器を保有することが出来た。

これを脅威としてイランとイラクは核開発(平和利用だけかは不明)を進めた。

これに対してイスラエルはイラクの核施設を空爆し、イラクは開発を断念した。

またイスラエルはイランの核科学者を多数暗殺し、研究工場と研究者を爆殺し、またイランも核開発を放棄した。

このイスラエルの犯行はモサドによって秘密裏に行われたので、確たる証拠はないが公然たる事実です。

 

インドとパキスタンの核兵器保有の発端は、中国と国境紛争を起こしていたインドが中国の核への対抗策として行ったと見られている。

そしてインドが保有すると、これまた国境紛争を起こしていたパキスタンが対抗して核兵器保有に走った。

 

こうして連鎖的に核拡散は進んだ。

 

 

注釈3

近海の潜水艦や偽装船から複数のミサイルによる攻撃が同時に行われれば完全な迎撃は不可能です。

これは単純な理屈で、日本列島はほぼ無数に近い迎撃ミサイルの配備と2~3分以内の発射が不可欠です。

攻撃側には楽な手段なのだが、防衛側には想像したくない悪夢となる。

かつての米ソの核開発競争も、このような状況を経て膨大な保有数となった。

 

 

注釈4

歴史上、戦争は巨大な軍事力を保有する国が始めるものでした。

次いで、それは経済力にとって代わられた。

しかし、ここ1世紀あまりの間に、状況は様変わりしている。

 

小国日本が日露戦争で勝利できたのは、実は巨額の外債発行が可能になったからです。(ユダヤ金融家がユダヤ人を虐待したロシアを憎んで斡旋)

かつてヨーロッパの大国は自国の富豪から借金し戦費を調達出来たが、日本では不可能でした。

今は、経済力が小さくても借財(国債)によって戦争を始めることが可能になった。

元来、借金は困難なのですが、何らかの取引条件(軍事同盟など)で合意できれば簡単なのです。

 

こうして現在は弱小国やテロ集団も軍事力を持つようになり、さらに軍事援助が加わり、戦火は至る所で起きているのです。

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 23: 何がバブル崩壊と戦争勃発を引き起こすのか? 2


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*1

 

 

今回は、戦争勃発のメカニズムを考えます。

 

 

* 戦争勃発のメカニズム

 

戦争勃発までの経緯をここ1世紀半ほどの歴史から集約してみましょう。

初めに民主国家間の戦争を想定します。

独裁者が戦争を始める場合は後で検討します。

 

この場合、ほとんどの国は相手より少しでも軍事上優位を望み、仮想敵国同士が軍拡競争を始めます。

中立国で軍備を保有する場合はありますが軍拡競争に陥ることはない。

 

軍拡競争で劣勢に立たされた国は軍事同盟を求めて挽回を図ります。

やがて国々は二つの軍事同盟に収斂し、世界は対立する巨大軍事同盟による緊張状態に晒されます。

これがここ1世紀半の間に起こり、世界は二度の大戦と代理戦争に巻き込まれました。

 

これを避ける為に中立政策を採る国(北欧、スイスなど)があり、ほぼ戦火を逃れることが出来ました。

もっとも中立を宣言するだけで助かると言うものでもありませんが。

(中立国の軍備について注釈1で検討します)

 

 

上記のケースで、最初に戦端を切った国(侵略国)も初めは議会制の民主国家でした。

しかし日独のように軍拡競争に奔走する過程で民主主義を放棄し暴走することになりました。(ソ連も革命当初は議会制でした)

歴史上、一度軍拡競争が始まると暴走は必至であり、さらにその過程で軍部独裁が誕生し易くなります。

(軍拡競争と軍部独裁について注釈2で説明します)

 

 

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* 独裁国家の戦争

 

独裁者が牛耳る国の場合はどうでしょうか?

残念ながら今なお地球上に独裁国家が存在しますので、独裁者が狂気を帯びていると思えば不安は高まります。

 

ここでは二つの実例から、軍部独裁による戦争勃発の経緯を考えます。

独裁者や軍部が軍事権を握っていれば、例えばヒトラーや日本帝国のような場合はどうだったのでしょうか?

 

ヒトラーの台頭を許した要因に、初期のドイツ国民の絶大な期待、欧米列強の対ロシア牽制への期待があり、ドイツの軍備増強があまり危惧されなかったことがある。

これを放置し、融和策さえ採ったことが問題を大きくしたと言えるでしょう。

その後、チャチールのように強く出ても既に手遅れで、結局、ヒトラーを死に追いやるまでヨーロッパ全土は破壊と殺戮に晒された。

 

しかし、なぜ聡明なドイツ国民が暴虐で狂気のヒトラー(ナチス)に希望を託してしまったかが問題です。

様々な要因はあるが、発端になった最大の理由はフランスが報復的な経済制裁をドイツに課し、経済を疲弊させたことにある。

国民はどん底から這いがるためなら武力による他国侵略すら容認するようになり、国の指導者に剛腕な人物(見かけは清廉で内実は凶暴)を選んだのです。

こうなってからの融和策は手遅れでした。

(集団が外部に強い敵意を抱くように仕向けると、人々は人格的に問題があっても剛腕なリーダーを選ぶことが社会実験から知られています。逆に言えば、敵意を煽れば煽るほど下劣なリーダーでも人気が上昇するのです。この手の事例は特に最近頻出しています)

 

 

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日本帝国の膨張を考えます。

当初、欧米列強は海軍力の軍縮条約履行(軍艦保有量の制限)で日本の膨張を抑えられるとしていたが、日本の大陸進攻を契機にそれまでの経済封鎖を強化し、石油の禁輸によって日本の戦意を挫こうとした。

しかし、これが逆効果となったのは周知の事実です。

それは日本帝国が、石油が枯渇するまでに勝利すれば良いとして短期決戦へと踏み切ったからでした。

 

これらの例からわかるように狂気の前では、抑止力の設定(軍縮条約)と経済封鎖がまったく意味をなさないか、逆効果にもなったのです。

いずれにしても、このような客観的な判断が出来ない指導者を相手に、単純で通り一辺倒の策は役に立たないか、むしろ逆効果なのです。

 

多くの場合、相手国が正常なら軍縮条約と経済封鎖は功を奏し、安全で効率の良い方法と言えます。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

注釈1.

戦争に巻き込まれない策として、中立政策があります。

簡単に見ておきます。

 

中立とは非同盟を指しますが、これは歴史的に軍事同盟が多くの戦争を引き起こしたと言う反省に基づいています。

つまり、我が国は自ら戦争をしないし、他国の戦争にも協力しないと言う宣言なのです。

これは相手国に敵意や脅威を与えないことを目的としています。

 

 

しかし、そうは言っても独裁的で狂気に走る国なら中立国に武力侵攻する可能性があります。

事実、大戦時ドイツとソ連は中立である北欧4ヵ国に侵攻した。

この時、スウェーデンだけは地政学条件と外交手腕によって、戦火から逃れることが出来た。

他の国は戦火にまみれたが、日独のように自ら膨大な軍事費と人命を浪費し、徹底来な破壊を被ることはなかった。

永世中立国のスイスも戦火を免れることが出来た。

 

このような経緯を踏まえてスイスやスウェーデンなどの中立国は専守防衛に徹した軍備を保有しています(先制攻撃力の保有は他国に脅威を与えるので中立国とみなされない)。

ただ小国(ルクセンブルグ、モナコなど)は大国や同盟に防衛を依存しています。

 

このテーマは非常に重要ですので、いずれ扱うつもりです。

 

 

 

注釈2.

軍拡競争と軍部独裁はなぜ起きるのか?

 

軍拡競争は抑止力とも関わるのですが、敵国同士が客観的に双方の軍事力を評価出来ないことに起因します。

当然、敵国は自国の兵力を秘密にする一方、相手に過大評価させようとします。

 

また、敵愾心が嵩じて来ると、軍事的に劣勢に立たされていても、多くの指導層は精神論を持ち出し、甚だしい場合には軍事力や経済力が敵対国の1/10であろうと勝利を確約します(かつての日本帝国)。

残念なことに、このような場合、国民もこのような指導層に期待していたのです。

これでは抑止力は無きに等しく、軍拡競争は行き着くところまで行くと、遂には弱小国は窮鼠猫を嚙むで、突飛な行動に出ます。

 

このような場合、概ね弱小国は軍事力を補うために軍事独裁に走ることになります。

実はすべての国がこうなるわけではなく、独裁者を仰ぎやすい精神文化を持った社会に起きやすいのです。

例えば長子相続の社会であり、ドイツと日本が正に適合していたのです。(エマニュエル・トッドの説)

 

大国は大国で安易な軍備増強の道を進みます。

これもまた歴史が示すところです。

理由は、一度得た権益―植民地や従属する同盟国での経済上の特権など、を守る為です。

この過程で、軍産共同体が台頭し政治力を持ちます。

そして軍事費の増大が、遂には国力を弱め、かつての帝国がすべてそうだったように衰退していったのです。(植民地政策や軍事大国の維持は一部の者の利益にはなっても、国家としては出費や損失が大きいいのです)

 

実は、北欧の経済が順調な理由の一つに、二度の大戦において中立を守り、軍事費増大と大きな被災を逃れたことがあるのです。

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 22: 何がバブル崩壊と戦争勃発を引き起こすのか? 1


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これから、二つの悲惨な結果に至るメカニズムを考えます。

バブル崩壊と戦争勃発はまったく異なるように見える。

しかし実は同じようなメカニズムが働いているのです。

三回に分けて説明します。

 

 

* バブル崩壊と戦争勃発について

 

なぜバブル崩壊が起きるのでしょうか?

誰かが裏でバブル崩壊を煽っているのでしょうか?

残念ながら経済学は崩壊をうまく説明できない。

 

概ね投資家達(市場参加者)はバブルを好調とみなし歓迎します。

しかし一方で彼らは破産に至るバブル崩壊を恐れます。

一部、間違いなく救済される巨大銀行や崩壊の先頭を切って売り逃げた投資家は別です。(毎回、自分だけは別だと夢想している)

 

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なぜ戦争は起きるのでしょうか?

誰かが裏で戦争を煽っているのでしょうか?

この手の話はいつも巷に溢れています。

しかし多くの真実は戦争が終わってからでしかわからない。

(これを第2次世界大戦とベトナム戦争を例に注釈1で説明します)

 

平和時であっても、概ね国家は戦争を避けようとして軍備を整えます。

まして緊張が高まると増強へと舵を切ります。

概ね指導者は膨大な人命と破壊が起きてしまう戦争を望まないはずです。

少なくとも国民は戦争が二度と起こらないことを強く望むはずです。

一部、戦争をしても被害の少ない大国や支持率が上がる指導者、莫大な利益を得る軍産共同体は別です。

 

バブルを煽る投資家達も軍備増強を推し進める国家も共にその悲惨な結果を恐れることでは共通しています。

それでは、なぜ望まない悲惨な結果が生じるのでしょうか?

 

 

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* バブル崩壊のメカニズム

 

バブルは経済好調と紙一重ですが、ほぼ確実にバブルは崩壊します。

 

これは投機家らが株価(金融商品)の高騰が続かないと不安を抱くことが引き金になります。

このタイミングは微妙です。

バブル崩壊の直前まで、多くの経済指標(生産高や失業率)は良好だったのですから。

 

一つ明確なことは、暴落する時、最初に売り逃げた者は利益を得るが、後になればなるほど投機家達は莫大な負債を背負う運命にあることです。

暴落が始まると、手のひらを返すように貸し手(銀行)が投資資金の回収を急ぎ、逃げ遅れた投機家は莫大な含み資産の所有者から一転して莫大な借金を背負うことになります。

(これを土地投機を例に注釈2で説明します)

 

この被害は投機資金のレバレッジが効いているほど、中央銀行によるマネーサプライが多いほど起き易くなります(巨額の借金を安易に入手出来る為)。

 

この時、投資家や金融業が破産するだけでなく、必ず国民も大不況の被害(不景気、失業、福祉カットなど)を長期に被ることになります。

これは銀行の倒産などに端を発する金融危機、つまり巨大な信用収縮が起きるからです。

この深い傷を放置すれば、過去のバブル崩壊(恐慌)後の景気後退のように、設備投資や消費が回復するのに何十年かかるかわかりません。

深刻だったのはヨーロッパの1857年から、米国の1929年から、日本の1991年からの二十年を越える景気後退でした。

 

このため崩壊後、政府と中央銀行は数十兆円から数百兆円を主に金融市場に投じるのです。

この金額で暴落時の全金融商品(株価など)の評価損を幾分なりとも補うのですが、悲しいことに国民が負担する税金と赤字国債で賄われます。

 

実はリーマンショック時の全金融商品の評価損はよく分からない。(不明な理由はシャドウバンキングの取引額が分からないためです)

しかし当時のクレジット・デフォルト・スワップ(金融商品の保険)の取引額が6800兆円に上っていたので評価損は見当がつきます(想像を越えますが)。

 

つまりバブルで儲け、崩壊を引き起こすのは投資家(市場参加者)なのですが、その結果、その痛いツケを強制されるのは傍で浮かれていた国民なのです。

 

 

次回は戦争勃発のメカニズムについて説明します。

 

 

注釈1

ベトナム戦争は誤解から始まり、深みに嵌った戦争の代表例です。

 

戦争の発端は第二次世界大戦後に始まる冷戦の敵対感情の高まりにあった。

さらに離れた大陸にあり、異質の文化を持った米国とベトナムは互いに相手国をまったく知らなかった。

 

初期の接触、ベトナムでの小さな戦闘でこじれたことにより、その後は疑心暗鬼から大戦を凌ぐ爆撃量になるまでエスカレートしていった。

そして米国では大統領が替わるたびに停戦を志向するが、選挙を意識し敗戦の将の不名誉を避けようとして益々深みに嵌っていった。

終わってみると、この戦争で800万人の死者と行方不明者が出ていた。

 

後に、両国の当時の最高指揮官達が会談して初めて互いの誤解に気づくことになった。

この会談は1997年、ケネディ大統領の下でベトナム侵攻の采配を振るったマクナマラ元国防長官が、ベトナム側に要請して実現したものです。

詳しくは私のブログ「戦争の誤謬 7、8: ベトナム戦争1、2」を参考にしてください。

 

第2次世界大戦を引き起こしたヒトラーは外部に凶悪な敵がいると扇情し国民を魅了した。

その敵とは主に共産主義者、ユダヤ人、フランスやロシアの周辺国でした。

しかし、やがてドイツ国民は真の破壊者が誰であるかを知ることになるのですが、それは戦争の末期になってからでした。

多くの国民は戦後10年間ほど、ヒトラーに騙された被害者であると感じていたようです。

その後、加害者の自覚が生じ反省と償いが本格化した。

 

一方、共に戦端を開いた日本では国民が軍部に騙されたと気づいたのは敗戦後でした。

しかもドイツと違って、未だに誰が真の破壊者であったかを認めない人が多い。

極め付きは、国の指導者でさえ相変わらず過去の美化に懸命です。

 

これでは誰が戦争を始めたかを理解出来ないので、当然、戦争を食い止めることなど出来ない。

おそらくは同じ過ちを繰り返しても気づかないでしょう。

 

 

 

注釈2

身近な企業経営者が1880年代のバブル時にハワイの別荘を買い、バブル崩壊と共に夜逃げしたことがありました。

この過程を説明します。

 

バブルが始まると最初に工場を担保にし、1億の手持ち資金で国内不動産を購入し、これが数年で2億の評価額になりました。

次いで、これを担保に借金し、別に買った物件がまた4億円に高騰しました。

これを繰り返して行くうちに、遂にはハワイの不動産を買うことが出来た。

 

絶頂期に彼は総資産20億、借金10億で純資産10億となったことでしょう。

(ここで売れば良かった!!)

しかしバブルが崩壊し、すべての不動産価格が購入時の半値になりました。

彼の総資産は1/4以下に減価し、不動産をすべて売却し返済に充てても借金5億が残りました。

こうして彼は破産しました。

 

金融商品投資でレバレッジを30倍効かせれば、暴落時の借金はこんな少額では済まない。

ここ半世紀、規制緩和でレバレッジが上がり、金融緩和でマネーサプライが巨大になって投機資金が膨大になり、その尻ぬぐいで累積赤字が天井知らずになっている(減税と公共投資も追い打ち)。

 

毎回のバブル崩壊で、このように土地、株、商品取引などの高騰と暴落が繰り返されている。

資本主義国だけでなく中国も不動産(マンション)と株で同様の高騰な続いています。

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 21: 抑止力と規制緩和に共通する危さ


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今、二つの危機、核戦争と経済破綻が迫っています。

しかし、この対処方法に真逆の説があり折り合いがつかない。

このままだと遂には破滅に至る可能性がある。

人々は漫然とかつて歩んだ道を進むのだろうか?

 

 

*抑止力と規制緩和に共通するもの

 

この2月2日には米国は核軍縮から小型核使用に方向を転じた。

また2月3日にはNYダウが1日で2.5%下落した。

これがリーマンショックを上回るバブル崩壊の始まりかどうかはまだ定かではないが、可能性は高い。

 

ある人々は、この二つは世界を破滅に導くと警鐘を鳴らす。

この破滅とは、核戦争と大恐慌(著しい経済格差と国家債務不履行も含む)です。

 

しかし一方で、これこそが破滅を防ぐ最善の策だと唱える人々がいる。

戦争を防止するには小型核、恐慌を回避するには景気拡大の為の規制緩和こそが絶対必要だと言うのです。

 

この二つの危機とその対処方法は一見次元が異なるように見える。

しかし、この二つの対処方法には不思議な共通点があります。

小型核は抑止力、規制緩和は自由競争を前提にしているのですが、実は共に相手(敵国や競合者)の善意を信じない一方で理性に期待しているのです。

 

抑止力は、敵意剥き出しの国がこちらの軍備力を的確に把握したうえで抑制出来る理性を有する場合のみ成立するのです(太平洋戦争時の日本軍が反証の好例)。

規制緩和は、個々の市場参加者が利己的に行動しても、市場全体としては最適な方向に落ち着くと信じているのです。

何か不思議な信念に基づいた論理なのです。

 

実際の社会は、悪意も善意も、感情的にも論理的にも動いているのですが。

 

さらにもう一つ、共通していることがあります。

 

例えば「抑止力は無効だ!」「自由競争は不完全で弊害が多い!」と否定したらどうでしょうか?

実は困って激怒する人々がいるのです。

前者では軍需産業、後者では金融業界や富裕層で、大きな実害を被るからです。

逆に否定して利を得る人々は特に見当たりません。

 

具体的に抑止力と規制緩和の危さについてみていきます。

 

 

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*抑止力の罠

 

兵器による抑止力は有効かと問われれば、「YES」ですが条件付です。

 

先ず、抑止力が有効な場面は身近な事から類推できるでしょう。

しかし抑止力が効かなくなる場合を理解することは少し難いでしょう。

 

単純に二つのケースがあります。

競合国(敵対国)が共に軍拡競争に突入した場合です。

一方が軍備増強を行えば相手は脅威を覚え、必ず軍拡競争が始まります(初期の米ソの冷戦)。

これは歴史上至る所で見られ、多くは大戦へとエスカレートしました。

 

もう一つは、兵器が無数に拡散した場合です。

分かり易いのは、米国の銃社会です。

国民一人に1丁以上の銃があることによって、銃による殺人事件や自殺が非常に多くなっています。

ここでは安易な兵器使用が抑止力の効果を上回っているのです(大国の中東などへの安易な軍事介入なども)。

 

この二つの例からだけでも、使いやすい小型核の普及は抑止力よりも危険の増大が予想できるはずです。

 

これに加えて、核兵器ならではの危険を増大させる要因があります。

一つは被害が非常に悲惨なことです。

このことは見落とされがちですが、多くの戦争は燃え上がる復讐心が高ければ高いほどエスカレートし、停戦は不可能になります。

だからこそ人類は悲惨な被害を与える対人地雷やナパーム弾などの兵器の使用を禁止してきたのです。

残念ながら世界は原爆の被害をまだ知らない(日本が先頭切って知らすべきなのですが)。

 

もう一つは、兵器のコストパフォーマンスが高いことです。

もし手に入れることが出来れば数億から数十億円で相手一国を恐怖に陥れることが出来るのです(抑止力と呼ぶ国もある)。

これまでは膨大な軍事費を賄える経済力こそが大きな抑止力を可能にしたが、核兵器なら小国でも可能になります。

 

結論は、小型核のような兵器は抑止力を期待出来るどころか、取返しのつかない状況に追い込んでしまうのです。

銃が蔓延し殺人が多いにも関わらず、銃規制が出来なくなってしまった米国がその好例です。

 

米国では治安と平和は高額で買うしかなく、金が無ければ治安が悪い所に住み、命を危険にさらさなければならないのです。

核兵器の下では、これすら不可能です。

 

 

*規制緩和の罠

 

規制緩和は経済活性化に有効かと問われれば、「YES」ですが条件付です。

 

皆さんの多くは規制緩和が経済を活性化させると信じているはずです。

一方で規制緩和が経済や社会に弊害をもたらす事例も数多くあるのですが、なぜか見えなくなっています。

これは今の日本で、有効だとする情報が大量に流されているからです。

 

幾つかの事例をみてみましょう。

 

 

 

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*米国の規制緩和がもたらしたこと

 

先ずは米国で40年近く行われて来た規制緩和が如何にバブル崩壊と経済格差を生んだかを簡単に説明します。

専門用語が出て来ますが、全体の流れを知って頂ければありがたいです。

 

  •  先ずストックオプションが1980年代から急増した。

これにより経営者は短期に高騰させた自社株を安く手に入れ、彼らの所得は鰻登りなっていた。

このことが企業経営を投機的で短期的なものにし、従業員との所得格差も開いた。

 

  • グラス・スティーガル法が1999年に廃止された。

この法律は1929年の大恐慌の再来を防止するために銀行業務と証券業務を分離し、投機行動を監視し抑制するのが目的でした(1932年制定)。

しかし、これが廃止されたことにより、監視が行き届かないシャドウバンキング(証券会社やヘッジファンド)が好き放題に投機をおこなった。

 

  • 投機時のレバレッジ率が上昇した。

これは証券、商品、為替などへの投機時に自己資金の数十倍まで投資が可能になることです。

これによって投資家は価格が高騰した時は桁違いの儲けが出るのですが、暴落すると巨額の負債が発生し、バブルと崩壊が繰り返されることになった。

このことが2項の監視されない状況で起こった。

 

  • クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が2000年頃から急拡大した。

これは金融派生商品の一種ですが、リーマンショックの巨大なバブル崩壊を招いた大きな原因の一つでした。

これは金融取引時の損失を補償する新手の保険で、当時、危険な投資案件でも金融機関はこの保険があれば救済されると信じていた(赤信号皆で渡れば怖くない)。

 

バブル崩壊前年の2007年末にはその取引額は6800兆円になっていたが、6年間で100倍にも膨れ上がっていた。

この年の米国の名目GDPは1500兆円で、如何に膨大かがわかる。

当然、崩壊時の補償など出来るはずもなく、米国政府は税金と国債発行で300兆円を金融危機終息の為に注入せざるを得なかった。

出来もしない補償であろうがCDSを販売すれば儲かったのです(6800兆円の数%の手数料でも莫大)。

 

大雑把ですがポイントは以上です。

この悲惨な状況を生み出した最大の馬鹿げた理由は、貪欲な投機家や資産家、経営者達を野放したこと、つまり規制をしなかったことによるのです。

もうひとつ見落としがちなのは、資金力や情報力、政治力などの差により完全な自由市場などは存在しないことです。

 

この話は、少し分かり難いかもしれません。

しかし規制や取り決めがなく好き勝手にした為に社会が壊滅した事例は歴史上多いのです。

 

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* 歴史上、破滅した例

 

典型的な例はイースター島とアイスランドです。

 

人々が最初にこれらの島に入植した時は、木々が茂る緑豊かな所でした。

しかし、燃料などの為に伐採が進む内に自然は再生不能となり、イースター島では部族同士が激しく争い、人口は激減し、逃げ出すにもカヌーを作る木材さえなくなっていた。

アイスランドは木々の無い島となり、それこそ火と氷の島となったのです。

 

 

* 日本の事例

 

最後に日本の規制緩和の惨めな例を一つ挙げましょう。

労働者派遣法の適用拡大により、非正規雇用が拡大し続けています。

 

これも賛否両論があります。

ある人々は産業の競争力を高める為に、また産業や企業の盛衰に合わせ人材は流動的でなければならないと言う。

一方で、安易な首切りや低賃金の横行は基本的人権を侵害すると言う。

 

おそらく多くの人は、経済側の言に耳を傾け、泣き寝入りするするしかないと感じていることでしょう(これは日本人の奥ゆかしさかもしれない)。

 

この問題のポイントは是か非かではなく、どちらも正しいのです。

企業の競争力を高め、労働者の価値を高めるためには、人材の流動性が必要です。

当然、簡単に首を切られ、低収入や無収入に甘んじなければならないのは論外です。

 

つまり、労働者は失業中も収入が確保され、転職のための再教育や訓練が充分行われ、就職すれば当然、同一労働同一賃金であるべきなのです。

 

こんな夢のようなことは不可能だと思われるかもしれませんが、北欧(スウェーデン、デンマークなど)ではこれが当然のように行われているのです。

 

日本の悲しさは、産業競争力の責任を一方だけが背負い甘んじているのです。

 

 

 

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*まとめ

 

抑止力と規制緩和の問題点を簡単に見て来ましたが、ここで確認して欲しいことがあります。

 

抑止力については歴史的に見て完全なものではなく、むしろその強化を放置すれば災いを招くことがあったことを知ってください。

 

また規制緩和はここ半世紀ほど米国を筆頭に行き過ぎており、多くの問題が生じていることを知ってください。

 

抑止力と規制緩和の推進は軍需産業や金融業界、資産家に取って実に旨味のあることなのです。

東北大震災の福島原発事故のように、大きな産業と関係省庁が癒着してしまうと、体制維持に都合の良い情報だけが国民に流され続け、問題点が見え無くなってしまうのです。

 

 

* 日本が今歩んでいる道

 

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< 6.銀行の金融資産と自己資本の比率、OECDより>

 

金融資産/自己資本は金融セクターの財務安定性を見るためのものです。

上のグラフ: 2004~2016年の金融資産/自己資本の推移。

 

多くの国、例えば英国、デンマーク、米国はリーマンショック後、健全化を進めているが、日本だけは悪化している。

 

下のグラフ: 2016年、この日本の比率はOECD35ヵ国の内、下位から

三番目です。

 

もし大暴落が始まればどの国が最も影響を受けるのでしょうか?

 

 

 

参考文献

「米国の規制緩和がもたらしたこと」に詳しい本

 

「世界金融危機」金子勝共著、岩波書店、2008年刊。

「世界経済を破綻させる23の嘘」ハジュン・チャン著、徳間書店、2010年刊。

「世界を破綻させた経済学者たち」ジェフ・マドリック著、早川書房、2015年刊。

「これから始まる『新しい世界経済』の教科書」ジョセフ・E・スティグリッツ著、徳間書店、2016年刊。

 

 

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 20: 衆愚政治の恐ろしさ


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今日は、今、世界を席巻しつつある衆愚政治についてみます。

これは大衆迎合、ポピュリズム、右傾化、全体主義とも重なります。

世間ではこれを肯定する人々がまだ多数おり、危険な状態が続いている。

 

 

 

はじめに

皆さんはヒトラー総統やトランプ大統領は衆愚政治やポピュリズムを象徴する人物と思いますか?

 

言葉の厳密な定義は、学者でも意見が分かれていますので、気にしないでください。

イメージで結構です。

例えばヒトラーとトランプの似ている所はどのようなところでしょうか。

 

先ず、演説時の壇上のパフォーマンス、特に表情、手の扱いなどが似ています。

共に一貫性のある思想や政策がない(ヒトラーは適宜変節していった、トランプは支離滅裂か自由奔放)。

既存のエリート層、政治家、大企業、マスコミ、知識人を徹底的に否定する。

一方、我こそが大衆、労働者の味方で、雇用と労働条件向上を実現すると宣言する。

その達成手段は、自民族(ゲルマンかホワイト)だけの繁栄、他者(ユダヤかムスリム)を排除、そして力の行使(軍事力か経済力)で共通する。

 

二人は大変似ており、ヒトラーが衆愚政治によって生まれたのだから、トランプもも衆愚政治の産物と言えます。

それではなぜ、悲惨な歴史を知っているはずの人々が、未だにトランプを評価するのでしょうか?

 

トランプを肯定的に見る識者達の見解を要約すると以下のようになるでしょう。

一つは、彼らの多くは米国の共和党寄りのようで、単に民主党嫌いが理由のようです。

もう一つは、トランプが優れたトップの可能性を秘めいていると言うものです。

 

実は、ここに問題があるのです。

歴史的に見て、衆愚政治でトップになった人物は、その大言壮語なスローガンと破壊的な行動力が大衆から絶大な期待を集めていたのです。

 

衆愚政治のトップに共通する特徴があります。

彼らのほとんどは徳が無く下劣な品性の持ち主ですが、敵をやり込める口汚さなどの攻撃能力や大衆受けする芝居がかった振る舞いが前者の欠点を帳消しにして余りあるのです。

ヒトラーの場合は、クーデター未遂事件での収監時の態度が潔しとされ、トランプは身銭を切って選挙を戦ったことで好感されたように。

また共に、敵を徹底的に打ちのめします。

ヒトラーがスパイ紛いの汚い仕事をしていようが、トランプが税金を払わず、幾度も倒産して事業を拡大していようが人々は問題にしないのです。

 

衆愚政治の真の恐ろしさは、このようなトップを待ち望む人々がたくさん存在することなのです。

人々の期待を実現すると大風呂敷を広げ、行動力があると思わせれる人物が、衆愚政治のトップになるのです。

その結果、多くは破局に向かうのです。

 

破局に至る理由は簡単で、その手の行動力があると思われる人物は道理を顧みず、未来を深慮せず、他者を害することを厭わないからです。

社会が閉塞状態になったり、外からの脅威に晒されたと大衆が強く感じると、このような人物こそが、現状を打開できる人物と見なされ易くなるのです。

このことは米国で行われた心理学の泥棒洞窟実験が良く説明しています。

 

国が軍事的脅威に晒されると、粗野であっても、こわもてのトップが選ばれるのが常です。

衆愚政治から生まれたトップがいつも不幸をもたらすとは限らないが、社会が危険になる確率は高まる。

 

 

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衆愚政治の代表例

実は、世界史に名だたる衆愚政治の極め付きが2400年前にあった。

これは有名な古代ギリシャの都市国家アテナイで起きた。

この実に馬鹿げた悲惨な事件は、衆愚政治の愚かさをよく物語っています。

 

時は、紀元前415年、アテナイは200隻の軍船と数万の漕ぎ手と兵士をシチリアに向け出撃させた。

そして全滅するか、捕虜になってすべてが死んでいった。

 

戦史家トゥキュディデスはこの戦いを「ギリシャ史において、これ以上なく悲惨な敗北を喫し、完膚無きまでに打ち負かされた」と語っている。

 

 

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この戦いはなぜ始まったのか。

古代ギリシャとアテナイの絶頂期はペルシア軍を撃退した紀元前5世紀前半でした。

盟主アテナイは軍事力と軍事遠征で巨大な富を手に入れることに味を占め、やがてギリシャ全土が戦いに明け暮れるようになった。

その大きな戦争の一つがスパルタとアテネが勢力を二分して戦ったペロポネソス戦争(B.C.431-B.C.404)で、これが衰退の始まりでした。

 

アテナイは絶え間ない戦争で疲弊していたが、降ってわいたシチリアからの救援要請に、世論は慎重派と積極派に分かれた。

慎重派はアテナイの国力が前回の戦いから充分回復していない状況で、兵力が充分な手強いシチリアへの遠征は無謀だとした(これは的確な情報分析だった)。

 

すると、若い煽動家アルキビアデスは、シチリアは大きいとは言え、烏合の衆であり、気概のある相手ではなく、この際、支配権を拡大する絶好の機会だと訴えた。

そして大勢は決し、しかも大編成で行うことになり、彼は遠征軍の三人の司令官の一人に任命された。

 

ところが出撃すると、彼は神像破壊の容疑者としてアテナイから召喚を命じられます。

彼は日頃から傲慢で放埓であった為、敵が多く疑いがかけられたのです。

すると彼は敵国スパルタに亡命し、アテナイの情報を漏らし、スパルタにシチリア遠征を薦め、遂にアテナイ軍は殲滅されることになった。

 

なぜこんな裏切り者の軽薄なアルキビアデスの言をアテナイ市民は信じたのだろうか?

彼は名門貴族の出で、ソクラテスの弟子であり、演説家、政治家で、その美貌と才能によって市民に絶大な人気があった。

また彼は野心家で、それまでも遠征を焚き付けており、今回、成功すれば自分の名声と富が一層高まることをもくろんでいた。

彼の演説を聞いたアテナイの若者達は、昔の栄光の再来を夢見て、遠征に熱狂していったのです。

その後、アルキビアデスは各地で問題を起こし、ついには暗殺された。

 

この話には更に落ちがあります。

始め、アテナイはシチリアでの敗北を信じず、やがてパニックになった。

慎重派があれほど無謀だと指摘していたにも関わらず、現実逃避していたのです。

 

その後、アテナイの同盟国が次々と反旗を翻した。

その混乱の中、アテナイは民主政を捨て暴政にのめり込み、あらゆる面で衰退が加速していった。

ちょうどこの頃(B.C.399)、皮肉屋のソクラテスは濡れ衣を着せられ毒殺されることになった。

その後、アテナイはスパルタに占領され、さらに半世紀後(B.C.338)にはマケドニア王国に屈服し、ついに命脈は尽きた。

 

 

4ソクラテスにシケリア遠征の中止を説かれるアルキビアデス

< 4. ソクラテスがアルキビアデスにシチリア遠征の中止を説く >

 

 

何が問題なのか

まさに、アテナイのこの一連の事件には「はじめに」で紹介した衆愚政治のパターンが凝縮されている。

 

閉塞状態に陥っていたアテナイ市民は、アルキビアデスの欠点には目もくれず、途方もない夢だからこそ飛びついたと言える。

彼は野心家で、大言壮語し、責任を取るどころか裏切りすら平気な人物でした。

そんな人物に振り回され、あれだけ栄華を誇り、民主政を生み出した国家が無惨な結末を迎えたのです。

 

もしアテナイの市民が煽動家アルキビアデスを信じなければ、または彼が生まれていなければアテナイは繁栄を続けることが出来たのだろうか?

この文章でアルキビアデスをヒトラーに替えたら・・・・。

 

大なり小なり、代わりの人物がこのトップの役を担うことになるでしょう。

もっとも、アルキビアデスやヒトラーほど優秀(極悪)ではなく、損失はまだ少なくて済んだかもしれませんが。

つまり、最も恐ろしいのはこのような人物をトップに崇める人々、偏向したマスコミ、権益擁護者の存在なのです。

 

 

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現在、あなた国のトップは、このアルキビアデスのような人物ではありませんか?

その人物は家柄が良く人気があり、大言壮語し、力に頼り、敵を激しく罵り、簡単に辞めたり、方針転換したり、都合が悪くなれば逃げ回る人物ではありませんか?

 

もし居るとすれば、衆愚政治を支える人々が多く居ることの証であり、それが減らない限り、同じようなことが続くことになる。

とりあえず、そんなトップは居ない方が良いのですが。

 

 

皆さん、くれぐれも注意願います。

 

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 19: 既成概念を打破する


 

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世の中が保守的になってくると、人々は益々既成概念に囚われることになる。

必ずしも革新が良いわけではないが、発展が阻害されることになる。

今回は、既成概念を疑い打破することをお薦めします。

世の中を良くするヒントが見つかるかもしれません。

 

 

はじめに

人類は、長年信じられて来た既成概念を打破し、新しい取り組みを続けてこそ進歩を遂げることが出来た。

一方で大失敗をしたこともある。

 

既成概念を捨て新概念を生み出し成功している例を挙げます。

 

私有権(所有権)、訴訟権、仇討ち禁止、拷問禁止、商業手形発行、憲法制定、宗教改革、企業の無限責任から有限責任へ、<< 家族間の弁済責任(親の借金を子が弁済)の禁止 >>、三権分立、特許制度、奴隷制廃止、議会制民主主義、年金制度、所得税、累進課税、国連創設、普通選挙、金本位制離脱、軍の文民統制、労働基本権、化学兵器禁止条約・・・、ときりがない。

 

ひとつひとつに長期間にわたる生みの苦しみがあった。

既得権益層と新興勢力の対立、権力者と民衆の対立、国家間の対立などを乗り越え、平和や繁栄、安全、生活向上を求め大いなる決断と合意を繰り返して来た。

 

一方、新しい主義やシステムを過信し苦渋をなめた例を挙げます。

これは明確に失敗とは認識されていないが、人々に大きな損失をもたらしたと言える。

帝国主義、共産主義、ファシズム、2007年の世界金融危機を招いた金融手法が大きなものでしょうか。

 

既に見たように人類史は改革の積み重ねであり、既成のものから脱皮し続ける歴史でもありました。

その過程で失敗があっても、多くは改良し、稀に廃止することにより乗り越えて来たのです。

新規の技術や生産物は無数に生み出され、不要になったものや危険なものは使わなくなった。

 

それでは現実に常識として受け入れられている概念を一つ取り上げてみましょう。

 

 

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莫大な国の累積財政赤字

著名な政治家や経済学者の中には、財政健全化の為に増税するのは愚の骨頂で、むしろ赤字を拡大させてでも大幅な財政出動で、景気を浮揚させるべきだと言う。

これにより景気が良くなれば税収増となり、問題は解決すると言う。

 

既に日本が長年やって来た公共投資(土木・建築事業が無駄だっのかも)で赤字を増大させて来たのだが、まだ足りたいないと言う。

 

また、リフレ策が成功することにより経済成長とインフレの相乗効果で、いつしか累積債務が減少し、危険水域を脱すると言う。

現在、アベノミクスに、これらの良い兆しが見えていないが、成功は疑いないと言う。

 

ここで落とし穴があるか探ってみましょう。

 

当面、日本の累積財政赤字はGDPの250%程度になり、仮に危険水域は300%だとします。

アベノミクスが期待出来る一つのポイントは、インフレによって数十年後の累積財政赤字額が今の数分の1になることです。

これは単純な理屈で、順調に理想的な経済成長が実現さえすれば可能でしょう。

 

少し先のことを考えましょう。

 

今後、経済成長率よりもインフレ率が高くなると、未来の生活水準が今よりも低下することになる。

例えば経済成長率1%、インフレ率3.5%が30年続くと、生活水準は1/2になる。

この数値が逆転すれば生活水準は2倍になり、累積財政赤字額は1/3以下の可能性もある(通常、金利も上がるので赤字額の減り方は少なくなる。)。

 

しかしまだ以下の危険が存在する。注釈1.

 

*累積財政赤字の更なる増大はいつか取り付け騒ぎを起こす。

赤字はすべて国内債務で、国民は従順で国を信任し続けるはずだから取り付け騒ぎは起こらないと言う。

確率は低いが、株式や土地の暴落のパターンを見ると、信任の崩れる時が来る可能性はある。

 

*恐慌の影響が大きい。

日本自身でなくても中国や米国、EUで恐慌が起きる可能性を無視してはならない。

ほぼ10年毎に起きているので、繰り返す可能性は高い。

アベノミクスにより日本の経済と金融の体質(恐慌への耐性)が悪化しており、他国発の恐慌にさらに脆くなって行くと予想される。

 

*リフレ策で財政赤字を解消させる姿勢は、健全財政への意欲を低下させる。

政府は無駄遣いと赤字国債発行を続け、さらに日銀による国債直接引き受けが常習化することによりハイパーインフレを招くだろう。

 

つまり、仮に現役世代には良策であっても、未来の世代には愚策かもしれない。

私の推測では、日本の所得の推移は現役世代で横ばいか若干恩恵を受けるかもしれない。

しかし、その一方で未来世代は横ばいか悪化を経験するかも知れない。

今より国の財政・金融の体質が劣化していく可能性が高いからです。

 

私の推測通りに事が進むとは断言出来ないが、起こりうる不幸を考えると、以下の事が重要になる。

 

 

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我々は如何にすべきなのか

この問題の本質は、現役世代が借金で消費(浪費)して、その弁済を未来世代に押し着けていることです。

実は、このことを既成概念として我々は受容してしまっているのです。

 

既に見たように、人類は親の借金を子供に返済させることを禁止するようになって久しい。

数十年先の人々が文句を言わないからと言って、未来世代に弁済義務を押し付けることは、時代に逆行している。

 

ここでもきっと為政者達は経済の永続的な発展の為には、エゴを捨てるべきだと言うでしょう。

しかし、これを受け入れれば入れるほど、政府のモラルハザード「倫理の欠如」は劣化するでしょう。

 

この悪い例が、金融恐慌の度に、放埓三昧で暴利を貪った巨大金融業や金融家を数兆円から数十兆円の税金で毎回救済しなければならなかったことです。

残念なことに、現状では救済せずに倒産させると被害は更に拡大してしまいます。

これを知っているからこそ、彼らは幾度も繰り返す常習犯になってしまったのです。

 

当然、世代間の弁済義務を放棄する権利があっても良いはずです。

政府が行政改革をせず、湯水のように税金をばら撒き、赤字を増やし続けるなら、国民は泣き寝入りするべきではない。

本来は選挙で政策変更を勝ち取るべきですが、議員達はしがらみがあり真剣には考えない(既得権益や選挙地盤との慣れ合い、惰性など)。

 

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されば国民は、一点突破で国に直接猛省を促すべきです。

その方法は、皆さんが貯金を下ろすことです(本当は保険の解約も必要なのですが)。

 

政府が赤字国債を発行できるのは、国民の貯金が銀行や農協にあるからです。

現状では市中銀行が政府が発行する国債を引き受ける為には国民の預金が必要なのです。

これに抵抗する為に行うのです。

しかし政府発行の国債を日銀が直接引き受け続けるならば、国民の抵抗は無駄になります。

従って早く事を起こさないと、日本の将来は益々危険なものになるでしょう。注釈2.

以下のグラフにその兆候が現れています。

 

 

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現在、1年定期の利率など知れています。

まして前回の金融恐慌が2007年なのですから、どこかで恐慌がそろそろ起きても不思議ではありません。

貯金を1年ぐらい下ろしても痛くも痒くもないでしょう。

皆が一斉に1年ぐらい解約するだけで良いのです。

 

これによって政府は国債発行の危さを実感し、真剣に税の無駄使いと適正な税制(累進制のある所得税など)を目指し、赤字国債の発行を抑えるようになるかもしれません。

それが皆さんの孫やひ孫を救うことになるでしょう。

 

尚、国債解約の取り付け騒ぎは起こらないでしょう、著名な経済学者が太鼓判を押しているのですから。

 

 

大事なことは、現状を疑い、未来を真摯に憂うことです。

いつも社会の悪化は、振り返れば小さな兆しが既にあったのです。

その芽を見つけて前もって摘むことが必要なのです。

 

 

 

注釈1.

私はアベノミクス(リフレ策と大規模な財政出動)がまったくの愚策だとは思わない。

しかし、たとえ国民は一度好転を味わったとしても、挙げた三つの問題が発生し、従来より窮地に追い込まれる可能性が高いと考えます。

今の政府はこのことを厳密に検討せず、人気取りの為に猪突猛進しているように思える。

 

その典型的な悪例の一つに、幾度も指摘している「ふるさと納税」がある。

政府内で現状の返礼品競争と急増する額を施行前に予想出来る人、議員は無理でも官僚などにいたはずです。

それを官邸が抑え込んだのでしょう。

これを決断と実行の内閣と考えるのは早計です。

国民が地方自治体や民間企業を潤す良い施策と信じていることを良いことに、弊害には知らぬ振りです。

この手の姿勢、決断力と実行力をひけらかし、その実、稚拙であることが多い。

もしうまくいかなければ事実を隠蔽し、嘘をつき、過大に他を責め立てることが目立つ。

 

おそらくこの姿勢が続く限り、施策全体が信用出来ないものとなるでしょう。

 

 

 

注釈2.

本来、中央銀行(日銀)は中央政府から独立した機関であり、物価と金融システムの安定を図ることにより国民経済の発展に貢献するものです。

この目的の為に日銀は国の中で唯一紙幣(通貨)の発行が許されているのです。

 

通常であれば、日銀は景気刺激策の一環として市中銀行から国債の一部を買取り、通貨を銀行に供給し、間接的に国内の通貨流通量を増加させることをしてきました。

しかし、現在、上記グラフのように日銀は間接に、また政府から直接に国債を大量購入しています。

 

これが進むと、政府の財政規律が緩み、いつかは好きなだけ国債を発行するようになり、後にハイパーインフレが襲うことになります。

 

歴史的な反省から、これを避ける為に、世界では中央銀行を政府から独立した機関としたのです。

現状では、政府と日銀が一体となっているため、政府は国債発行と言うより、むしろ紙幣(通貨)を直接発行していると変わらない。

大規模な財政出動を増税無しにするには、手っ取り早い手のなのですが。

 

これは危険なことなのです。

単に1強では済まされない問題です。

 

 

 

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デマ、偏見、盲点 18: 左翼と右翼の戦争


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今回は、右翼と左翼が思い描く戦争を通して、戦争の危うさを考えます。

ここで指す右翼とは、右翼寄りの人、右傾化した人も含み、左翼も同様です。

 

 

はじめに

先日、私がトランプ大統領の指南役スティーブン・バノンのことを話していたら、思わぬ問がありました。

 

今回のトランプ大統領誕生の最大の功労者はバノンで、彼がいなくては大統領は人気を博すスピーチも政策立案もままならなかったでしょう。

このバノンは政治に強い関心を持ち、右翼のオンラインニュースを立ちあげていた。

彼が目指したの、ホワイトハウスとエスタブリッシメント(支配層)を破壊することで一種のクーデターであり、実現の為にトランプを祭り上げた。

その理由は、現状の腐敗し体たらくなホワイトハウスでは第三次世界大戦を凌ぐことが出来ないと考えたからでした。

 

ここまで説明すると、ある人が「右翼は戦争をしたがる筈なのに?」と言って腑に落ちないようでした。

 

この問には、右翼と戦争に対する誤解がある。

 

それでは皆さん、右翼と左翼どちらが戦争をするのでしょうか? 注釈1.

 

左翼は、右翼こそが軍隊と戦争を望むと信じているようです。

逆に右翼は、左翼こそが暴力を容認し、一方で負け犬になると信じているようです。

 

 

 

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この見方は正しいのでしょうか?

右翼の中には、ヒトラーが社会主義者だから、極悪な戦争を始めたと信じている人がいる。

一つには、ナチスが「国家社会主義ドイツ労働者党」の略称だからでしょう。

歴史を知れば、彼は国粋主義者(ファシスト)で右翼だとわかるはずです。

 

それでは日本が満州事変へと突き進んだ1930年代、この大陸進攻を牽引したのは社会主義者か国粋主義者のどちらでしょう。

牽引した多くは軍人でした。

 

これらの解釈に混同があるのは、偏ったマスコミや言論などの影響が大きい。

端的な例として、満州事変が始まる前、売り上の上位は朝日と毎日で、読売はかなり少なかった。

しかし、事変が始まると他社より遥かに売上を急伸させたのは読売新聞でした。

朝日や毎日も売り上げを伸ばしてはいたが。

これは読売が最も戦争に反対していたからでしょうか?

 

この手の勘違いは、熟慮せずに心地良い説に飛びついたからなのですが、実は、ここに右翼の心性があるのです。

当然、左翼の心性もあります。

後に、両者の心性について解説します。

 

 

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米国の戦争を振り返り、右翼と左翼の違いをみます

軍事大国の米国で、民主党と共和党のどちらがより戦争をしていると思いますか?

 

主な戦争を始めた政党と大統領を挙げます。

開戦には複雑な経緯があるのですが簡略化しています。

 

南北戦争はリンカーン(共和党)。

第一次世界大戦(ウイルソン)と第二次世界大戦(ルーズベルト)は民主党。

朝鮮戦争は民主党。

ベトナム戦争はケネディー(民主党)。

コソボ紛争への介入はクリントン(民主党)。

湾岸戦争とイラク戦争はブッシュ親子(共和党)。

 

こうして見ると、ハト派と見做されている民主党の方が、大きな戦争に加担し、多くの死者を出している。

 

皆さんは、民主党と共和党の戦争に違いがあると思いますか?

一般には以下のように言われている。

民主党は、世界の平和や人権を守る為に、他国に介入し戦争も行う。

共和党は、他国への介入を避けるが、自国の主義や権益擁護の為には断固戦う。

 

それではこれら戦争を簡単に検討します。

*南北戦争で決着をつけたからこそ、国の分裂を防いだと信じらている。

*二度の世界大戦と朝鮮戦争への参戦、コソボ紛争介入がなければ、より酷い状況になった可能性がある。

*ベトナム戦争とイラク戦争は誤解に基づいた開戦で、より酷い結果を招いたと言える。

*湾岸戦争は予防的な開戦で、不要だった可能性がある。

(これら戦争には、参戦や開戦、介入の是非を巡りいまだに賛否両論がある。)

 

これらの戦争は、2度の世界大戦以外、自国が攻撃されたから反撃したのではなかった。

つまり、自己防衛ではなく、同盟傘下の保護または予防的な戦争と言える。

これには放置すればいつか自国に悪影響が及ぶかもしれないので、早めに叩かなければならないとの思惑がある。

当然、米国は世界や自国の安全保障の為に戦争を始めたと言うでしょうが。

 

つまり、右翼(共和党)も左翼(民主党)も戦争を行うのです。

どうしても軍事大国になると安易に戦争を始めやすい。

 

 

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予防的な戦争について知っておくことがあります

予防的な戦争が許されないのは当然ですが、実は無視してはならない歴史的教訓があります。

 

ヒトラーがドイツで台頭し始めた時、周辺国では宥和策をとりました。

(日本はドイツと共に戦ったので別です。)

目立つのは米国のケネディ―大使(大統領の父)、英国のチェンバレン首相、そして隣国フランスです。

彼らは戦争を避ける手段として相手を刺激しない、または同じ独裁者ならスターリンを倒してくれるヒトラーを選んだのです。

しかしこれは間違いでした。

 

やがて英国で、軍人出身のチャーチルがヒトラーとの抗戦を表明した。

さらに米国のルーズベルトは米国民の厭戦気分を押して、参戦に持っていった。

こうして多大な犠牲を払ったが、世界が協力してドイツと日本の進攻を挫くことが出来た。

 

このことから、侵略軍を撃退出来る体制作り(軍備など)や心づもりは必要だと言えます。

とは言え、それほど単純ではなく、周辺諸国との軍拡競争を招く危険があります。

 

これと逆のケースがベトナム戦争です。

朝鮮戦争を経験した米国は、共産勢力を恐れ、南ベトナムで過剰防衛(予防的な戦争)に走り、ベトナム戦争に踏み切ったと言える。

 

この二つのケースは、過去の悲惨な戦争の経験や恐怖が尾を引き、リーダーや世論が選択を誤った例です。

 

ハト派的な宥和策もタカ派的な強硬策も共に巨大な戦争を招いたのです。

 

 

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右翼と左翼の心性とは何か?

右翼の心性には、見知らぬに他者への著しい恐怖心があるようです。

私が外国旅行をすると言えば、右翼の人ほど、現地(イスラム圏や韓国など)に不安を感じるようです。

これは彼らが偏見を煽るマスコミに影響されていることもあるが、やはり未知のものや他人に強い恐怖心や不安感を持つことにある。

 

一方、左翼の心性には、他者への不安感が少なく友情すら築けると思うようです。

一見、良いように聞こえるが、うがった見方をすれば甘い理想家とも言えます。

 

この両極端の心性が社会の変化に感応し、真逆のマスコミや言論界に共鳴し、益々偏りを深めることになる。

 

本来、この二つの心性は一人一人の脳内に共存しています。

 

未知のものに楽天的で、チャレンジする心性と、未知のものを恐れ、慎重に対処する心性は、人類が進化する過程で獲得したもっとも重要な相反する二つの能力です。

この二つの心性が、各人の生育過程で脳内ホルモンの分泌や左脳右脳の連携機能の発達具合により、人類の平均値よりそれぞれ一方に偏ってしまうのです。

 

願わくは、両方がうまく相乗効果を発揮すれば良いのですが。

もしかすると、この心性が年齢や男女差で異なり、ばらついていることが人類の発展と安全を生み出しているのかもしれません。

安心はできませんが。

 

ここで注意が必要なのは、左翼や右翼と呼ばれる人々が、本当にこの心性を有しているとは限らないことです。

例えば、一方に属すことにより得失がある場合などです。注釈2.

 

 

ここで簡単なシミュレーションをしてみましょう 注釈3.

敵対しつつある二つの軍事大国を考えます。

 

ここでは両者の心性の動きを中心に考えます。

それぞれの国が極端な右翼や左翼に支配されていればどうなるでしょうか?

 

一番分かり易いのは、両国が極端な左翼(ハト派)に支配されている場合でしょう。

おそらく宥和策が図られ、軍事衝突は遠のくでしょう。

 

次いで、両国が極端な右翼(タカ派)に支配されている場合はどうでしょうか。

これも単純明快でしょう。

互いに猛烈な恐怖心を抱き、宥和策を取れず疑心暗鬼に陥り、ついには軍拡競争、衝突に進むでしょう。

 

最後に、右翼が支配する国と左翼が支配する国が対峙している場合はどうでしょうか。

うぅ・・・・・・、難しい。

 

ヒントは、それぞれの国に左翼寄りと右翼寄りの心性を持った国民が同数いることです。(小さな集団は別にして、人類全体で見ると心性をもたらす能力は正規分布している)

右翼支配の国は不安を感じないが、左翼支配の国にやがて変化が起きるでしょう。

左翼支配の国民と言えども、右翼支配の国に恐怖心を抱き、急速に右傾化していくことになります。

こうなると結局、両国は共鳴するように軍拡競争を始め、衝突の可能性が高まるでしょう。

 

戦史を見ると、適切な政治文化と優れたリーダーに恵まれない多くの国が、この悲惨な状態に陥るのです。

 

元来、相手が本当にハト派だとか、タカ派だとか、軍事力が同等かを見定めるのは困難です。

現在は、地球全体が監視され、また以前に比べて互いの国情をより知ることが出来るようになっている。

しかし、それでも自国の政府やマスコミに報道の制限や偏向があるので、正しい情報が国民に伝わるとは言い難い。

 

 

要点はこうです。

 

一つは、互いが疑心暗鬼になり牽制を始めると、益々、亀裂は深まり、やがて軍拡競争、衝突につながる。

単純に、一国の過大な軍備は危険因子になる。

 

一つは、上記の過程が、外界に対する恐怖心の高まりを受けて、一気に加速する。

この恐怖心を強く抱き、牽制すべしと行動させるのが右翼の心性です。

 

一つは、互いの国情と内情を正確に把握できない為に、疑心暗鬼が増幅される。

これを防ぐにはひとえに国民の知る権利が守られることであり、特に為政者にとって都合の悪い情報を捏造・隠ぺいする政府と偏向したマスコミの存在が危険です。

 

 

 

6

*6

 

まとめ

これまで検討して来たことを整理しましょう。

 

*過大な軍事力は戦争を招きやすい。

 

*侵略に対する備えは必要ですが、軍拡競争や軍事大国化への注意が必要。

説明は省きますが、今後、世界は新たな防衛体制に進むことになるでしょう。

 

*極端な宥和策も強硬策も戦争を招きやすい。

 

*恐怖が高まると右傾化が興り、疑心暗鬼、軍拡競争へと進み、戦争を招きやすい。

だからと言って単純に左翼だから安全、右翼だから危険とは言えいない。

 

*国内外の情報が正確に素早く伝わることで疑心暗鬼を抑え、戦争の誘発を避けることが出来る。

 

 

追記

上記のことを踏まえれば、右翼を自認し挙動不審な現首相に憲法改正や軍事を任せることは、戦争の危機を高めることになるでしょう。

 

 

 

注釈1.

左翼と右翼の明確な区別や定義は複雑ですが、ここでは簡単に、左翼は革新、リベラル、ハト派で、右翼は保守、ナショナリズム、タカ派としておきます。

 

元来、左翼と右翼の意味は時代や社会で変化します。

各人が左翼的か右翼的となるのは、個人の心理的、文化的、政治的、社会的、思想的な背景、それに加えてマスコミ、言論界など多彩な影響によります。

一言で言えば、多くの人は属している社会とムードで両端に振れることになる。

 

注釈2.

共産主義の中国上層部や軍部には右翼の心性を持った人が多いはずです。

特に保守的な傾向を持つからこそ出世出来るはずです。

例えば、右翼的な教育を目指す学校建設を謳えば政府からの支援があるような場合などです。

 

注釈3.

この説明は、「互いを牽制することが如何に状況を悪化させるか」の社会学的実験の結果、脳科学の知見を参考に書いています。

 

 

 

 

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False rumor, prejudice, and blind spots 17: What does the satire aim at? 3


デマ・偏見・盲点 17: 風刺が目指したもの 3

 

1切腹

< 1. Movie “Harakiri” , this is honorable punishment for samurai. >

< 1. 映画「切腹」、切腹は侍にとって名誉ある処罰 >

 

This time, I consider honor and think about how there should be satire.

今回は、名誉を考察し、風刺は如何にあるべきかを考えます。

 

2決闘

< 2. Fight a duel for honor >

< 2. 名誉をかけた決闘 >

 

The most troublesome one is “honor”.

There is society that esteems “honor” extremely, and if disgrace was brought, it may become a bloodshed incident.

In a memoir “The Sad Tropics” by Levi-Strauss, there was an incident when Brazilian hunter-gatherer bartered.

They made a night attack to protect the honor because the value of the barters was different.

In the past, if disgrace was brought, it is usual for them to behave violently or to fight a duel.

 

But there was also a different part to the honor in Japan and Korean Peninsula.         

A warrior (samurai) did suicide (harakiri) to protect honor of oneself, his family or his belonging group.

There is also society that sacrifices family’s woman for family’s honor in South Asia.

 

The response to honor is various and person among different cultures is difficult to understand.

The honor had a function that maintains the footing by maintaining the reputation of individual and his belonging group.

Most society attaches importance to the honor of either individual or group.

For the most part, Europe and America seems to be the former and Japan seems to be the latter.

 

The culture of the honor still breathes.

The feelings remain still in the competition between nations, races and religions as seen in watching sports.

For example、do you wish to stare the eyes of gangster, motorcycle gang and Japanese monkey?

We have the feelings that are hard to abandon.

 

 

最も厄介なのが「名誉」です。

「名誉」を極端に重んじる社会があり、名誉が傷付けられると流血事件になることがある。

 

レヴィストロース著「悲しき熱帯」に、ブラジルの狩猟採集民が物々交換で価値が釣り合わず、名誉が傷付けらえたとして夜襲したことがありました。

かつて、名誉を傷付けられると相手に暴力を振るったり決闘を申し込んだりするのが普通でした。

 

しかし日本や朝鮮半島では異なる部分もありました。

武人(侍)は自分や家系、帰属集団の名誉を守る為に自害(切腹)した。

南アジアには家族の名誉の為に婦女子を犠牲にする社会もあります。

 

名誉への対応は様々で、異文化の人には理解しがたい。

名誉は個人や集団の評判を守ることにより、その立場を維持する機能がありました。

社会によっては、個人か集団の名誉のどちらかがより重視された。

概ね欧米は前者で、日本は後者と言えそうです。

 

名誉の文化は今も息づいています。

スポーツ観戦に見られるように国家、民族、宗教間で、その感情は今でも健在です。

例えば、あなたはヤクザ(暴力団員)や暴走族、日本猿と目を合わすことを望みますか?

私たちには捨て難い感情が根付いているのです。

 

3猿

< 3. Japanese monkey >

< 3. 日本猿 >

 

What is the problem?

The problem is to hurt the honor of others by satire.

“Freedom of speech” is limited by the range that does not conflict with “Defamation of character”.

Furthermore, we should forbid using satire to discriminate against the weak.

In Japan, most media controls discrimination terms voluntarily.

 

If culture or religion is different, the harm by satire may be beyond imagination.

Frequently, we are easy to accept freedom of speech, separation of government and religion and individualism as holy writ, but should accept different culture.

 

Most worrying is increasingly to report satirical news with pandering to public as public position “freedom of speech”.

 

何が問題か

問題は、風刺によって他者の名誉を傷付けることです。

「言論の自由」も「名誉毀損」に抵触しない範囲に制限されている。

さらに弱者を差別する為に風刺を使うことも禁止すべきです。

日本では、マスコミが差別用語を自主規制しています。

 

文化や宗教が異なると、風刺の弊害は想像を越えることがあります。

私達は、往々にして、自国の文化や価値観―言論の自由や政教分離や個人主義、を絶対視しがちですが、異なる文化を受け入れるべきです。

 

注意するべきは、マスコミが「言論の自由」を立前に大衆に迎合し風刺的報道を強めることです。

 

4ビゴー作

< 4. this cartoon of France shows powers that took aim at the Korean >

< 4.フランスのビゴー作「魚釣り遊び」、朝鮮半島を狙っている列強 >

 

Summary

The satire is necessary as a degassing of society and a countermeasure against power.

But, the satire is easy to appeal to public, if we give a loose rein to it, we make discriminating run out of control.

 

When satirizing other countries, the media should exercise moderation.

In addition, it is the same kind as about emigrants of different culture or pagan.

Even if all live in the same country, it is not wise policy to let the manners and customs of the country obey the emigrants hastily.

Naturally, there is the range of good sense like the difference in men and women of all ages.

 

Developed countries that have a superior sense of “democracy and human rights awareness” must give an example for leading the peace.

 

まとめ

風刺は社会のガス抜きや権力への対抗手段として必要です。

しかし風刺は大衆受けし易く、野放しすると名誉を傷付け、差別へと暴走させます。

 

他国を風刺する場合、マスコミは節度を守るべきです。

また国内の異文化、異教徒の移民についても同様です。

同じ国内であっても、移民の習俗を性急に従わせることは得策ではありません。

自ずと、老若男女の違いのように良識の範囲があります。

 

このことは「民主主義と人権意識」の発達した先進国が範を示し、平和を率先する意味で重要です。

 

 

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False rumor, prejudice, and blind spots 16: What does the satire aim at? 2


デマ・偏見・盲点 16: 風刺が目指したもの 2

 

1狂言

< 1. Comic drama >

< 1. 狂言 >

 

I look at Asian satire culture and negative aspect of satire this time.

 

今回は、アジアの風刺文化と風刺のマイナス面を見ます。

 

Asian satire

The satire of classic public entertainment (comic drama, comic monologue, etc.) poked fun at the stupidity of person, and admonished.

Occasionally, samurai and Buddhist monk were satirized with caricature.

However, the culture to bitingly satirize the power like Europe and America did not grow up in Japan.

 

アジアの風刺

日本の古典大衆芸能(狂言、落語など)の風刺は、多くが人の愚かさを揶揄し諭している。

風刺画では、侍や僧侶が風刺されることもあった。

しかし日本では欧米のように権力を辛辣に風刺する文化は育たなかったようです。

 

 

2風刺2

< 2. Asian satire >

< 2. アジアの風刺 >

E : Picture scroll “Choju-Jinbutsu-giga” in about the 12th century.

This caricature described by frolicking animals and humans satirizes the society.

The scene shows a rabbit carries the appropriate gift to a bishop of monkey who had finished a Buddhist memorial service.

 

F : A caricature “Intractable disease treatment” of the end of the Edo era in the middle the 19th century.

The scene shows some samurais who suffered from intractable disease are visiting a skilled physician.

These diseases are “all talk and no action”,” unprincipled” and “cowardice”, etc.

It says samurai is flaccid.

 

G : Comic monologue.

It is an entertainment of common people from the Edo era, and also popular even now.

The laugh is mainly to satirize common people’s stupid act.

 

H : A masque of Hahoe Folk Village in Korea.

The scene satirizes Buddhist monk that is courting woman.

And it also satirizes Yangban (noble) living in same village.

 

E: 絵巻物「鳥獣人物戯画」。12世紀頃。

動物を擬人化して社会を風刺。

この絵は法要を終えた猿の僧正に兎が御礼の品を運んでいるシーン。

 

F: 幕末の風刺画「難病療治」。19世紀中頃。

難病奇病を患った侍が名医を訪れているシーン。

この病は「口ばかりの病」「うちまたこうやく」「うしろをみせる病」などで、侍を軟弱と皮肉っている。

 

G: 落語。

江戸時代より庶民の娯楽として定着し、今も人気がある演芸。

庶民の愚かな行為を風刺する笑いが主。

 

H: 韓国の安東河回村の祭りで行われる仮面劇。

これは女性を口説く僧侶を風刺しているシーン。

村で共存している両班(貴族)をも風刺する。

 

3はかたにわか

< 3. impromptu comedy play of Hakata >

< 3.博多にわか、ブログ「ヨレヨレライダーのどたばた日記」より >

 

Negative aspect of satire

It is to laugh at and to look down others.

Frequently, the satire was preoccupied with poking fun at others and enjoying, and sometimes was used for social sanctions and discrimination.

Aristotle assumed the origin of Greek comedy had been to poke fun at nomadic tribe who were driven from the town.

 

In the Middle Ages of Japan, Satirical sanction was carried out in villages.

For example, when there was a theft, village people identified someone with the criminal.

Then, the village people putted a large rock on front of his house at midnight, and did not remove it until he confessed.

 

In other village, people satirized a delinquency of the villager with impromptu comedy play.

The satirical sanction had functioned as social sanction, but became outdated when legal system and human rights awareness advanced.

 

Main problem is satire used to despise and discriminate subordinate person and an outlander (immigration).

 

風刺のマイナス面

それは他者を愚弄し、貶めることです。

往々にして、風刺は他人を揶揄し愉しむだけに終始し、時には社会的制裁や差別にも使われた。

アリストテレスはギリシャ喜劇の起源を、町を追われた流浪の民を揶揄したのが始まりとしている。

 

中世の日本の村では風刺的制裁が行われていた。

例えば、盗難があり、犯人の目星がつくと、夜中に村人が大石をその家の前に置き、当人が白状するまで取り除かない。

また村人の非行を村人がにわか狂言(滑稽な即興の寸劇)で風刺することも行われた。

風刺的制裁は村八分(社会的制裁)として機能していたが、法制度や人権意識が進むと廃れた。

 

主な問題は劣位の人やよそ者(移民)を蔑視し差別することに使われる風刺です。

 

To satirize different culture

Satire will be common in identical cultural sphere, but in different cultural sphere, there is a possibility that a harmful influence beyond each other’s understandings arises.

I look at two examples about differences in culture, and consider what become problems.

 

 

異文化を風刺すること

風刺は同一文化圏では共有可能でしょうが、異文化では理解を越える弊害が生じる可能性があります。

文化の違いを二例ほど見て、何が問題となるかを見ます。

 

4名誉と笑い

< 4. Honor and laughter >

< 4. 名誉と笑い >

 

I : A scene of charging in drama “Chushingura”

This is a Japanese true story of the early 18th century, and if many Japanese see this drama, they still shed tears.

It shows a samurai’s honor that they took revenge for their lord and suicided by disembowelment.

 

J : Folktale ”Khoja”

It is a funny story that a Turkish saint is central character in.

 

I: ドラマ「忠臣蔵」の討ち入りシーン。

18世紀初めの日本の実話で、多くの国民は今でもこれを見ると涙する。

これは主君の仇を討ち、後に全員切腹する武士の名誉を描いている。

 

J: 民話「ホジャ」。

トルコの聖者が主人公の笑い話、頓知話。

 

Honor and laughter

These are in common in the world, but the reaction greatly varies according to the culture.

In my trip of Turkey, I heard the funny story ”Khoja”, but it was not laughable.

The local guide said Japanese never laugh, but I asked to speak forcibly.

After all the difference of culture was big.

 

On the next time, I look at honor.

 

名誉と笑い

これは世界共通なのですが、文化によって反応が大きく異なります。

トルコ旅行中、笑い話「ホジャ」を聞いたが、笑えなかった。

現地ガイドは、日本人は笑わないと言ったが、無理にお願いした。

やはり文化の違いは大きかった。

 

次回は、名誉について見ます。

 

 

 

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False rumor, prejudice, and blind spots 15: What does the satire aim at?


デマ・偏見・盲点 15: 風刺が目指したもの 1

 

 

1風刺

< 1. A overseas caricature, by blog “SKY NOTE”  >

< 1.海外の風刺画、ブログ「SKY NOTE」より  >

 

On January 7 in this year, French satirical weekly newspaper was attacked and many people were killed.

May their soul rest in peace.

This time, I think about the satire culture that led to this incident.

 

今年1月7日、フランスの風刺週刊誌が襲撃され、尊い命がなくなりました。

ご冥福をお祈りします。

今回は、事件の切っ掛けになった風刺文化について考えます。

 

2シャルリーエブド

< 2. covers of Charlie Hebdo 

< 2. シャルリーエブド紙の表紙 >

 

Preface

Recently, for continuing terrorism threat, I become a dark mood.

It is legitimate to deal terrorism, but about the destruction, there are two consciousnesses.

The one is to exterminate the stronghold by air strikes at one sweep.

Another one is to prevent the recurrence and the increase by snuffing out hotbeds of terrorism.

This time, I don’t examine the pros and cons of the two, and I look back on the satire culture that caused this terrorism.

 

はじめに

近頃、続くテロの脅威には、暗澹たる気持ちにさせられます。

テロを処断するのは当然ですが、その撲滅について、大きく二つの考えがあります。

一つは、一挙に空爆などで本拠地を殲滅することです。

今一つは、テロの温床を無くすことで、再発や増殖を阻止することです。

この是非の考察は後に譲って、今回は、テロを誘発した風刺文化を振り返ります。

 

The threshold of the incident

This weekly newspaper (Charlie Hebdo) was famous with the bitter caricature, and was caricaturing prophet Muhammad from before.

Furthermore, on the day of the incident, a caricature (weekly newspaper) that made a mock of the face of a jihadist having an automatic rifle was released.

There, too, “There was not yet an attack at all in France”, and “ Wait! It will be still in time for a greeting of the New Year” were trumpeted in the headlines.

 

事件の切っ掛け

この週刊誌(シャルリーエブド紙)は辛辣な風刺画が有名で、以前から預言者ムハンマドも風刺していた。

さらに事件当日、自動小銃を持ったジハード戦士の顔を茶化した風刺画(週刊誌)が発売された。

そこには「フランスではいまだに襲撃が全くない」、また「待っていろ! 新年の挨拶ならまだ間に合う」の見出しが躍っていた。

 

About satire

Satire is always accepted by people in the world and has been welcomed.

The satire had the effect to punish the bad practice of society, or the abused power.

But there is also a pitfall where we don’t notice.

We glance at the satire culture of the world and intend to consider what it aimed.

 

風刺について

風刺は世界中、いつの世も大衆に受け入れられ歓迎されて来ました。

風刺は社会の悪弊や権力の乱用を懲らしめる効果もありました。

しかしそこには気が付かない落とし穴もあります。

少し、世界の風刺文化を一瞥して、その目指したものについて考察します。

 

The visible side from the satire culture of the world

In a dictionary, “ Satire is to criticize a defect and a sin of society or person indirectly”

 

世界の風刺文化から見えるもの

風刺とは「遠回しに社会・人物の欠陥や罪悪などを批判すること」と広辞苑にある。

 

 3ギリシャ喜劇

< 3. Actor statue wears a mask of ancient Greece comedy >

< 3. 古代ギリシャ喜劇の仮面を被った役者像 >

 

Ancient Greece comedy 

In the 5 – 4 century B.C., it was very popular with citizen as well as the tragedy of the festival.

The actors exchanged words of the barnyard joke and the ridicule in early times.

At its peak, a person of power or Socrates were satirized, moreover the pacifism was treated by work, “Lysistrata”.

This presentation expense was paid by rich merchants and the nation, and we can see a democratic aspect that people were tolerant of satire.

 

古代ギリシャ喜劇

紀元前5~4世紀、祭典の催しの悲劇と並んで市民に絶大な人気がありました。

初期には張りぼてをかぶり卑猥な冗談や揶揄を交わしていた。

往時には、権力者(執政官)やソクラテスなどが風刺され、さらに作品「女の平和」で戦争反対を扱った。

この上演費用は裕福な商人や国家が出しており、風刺に寛容な民主主義の姿を見ることが出来る。

 

Euramerican satire

It was from the about 17th century that satirists began to play an active part in Europe, and the satire became the weapon of people.

This satire criticized the stupidity and the error of a society or a person of power, and evoked big sympathy in people’s mind.

This enlightenment means to people were very strict for a person of power and politicians.

In this sense, it is said that the satire (freedom of speech) toward power is the democratic cornerstone.

 

欧米の風刺

ヨーロッパで風刺作家が活躍し始めるのは17世紀頃からで、風刺は民衆の武器になった。

この風刺は社会や権力の愚かさや誤りを皮肉って、嘲笑を誘い民衆に大きな共感を呼び起こした。

この民衆への啓蒙手段は権力者や施政者には手痛いものとなった。

この意味で権力の風刺(言論の自由)は民主主義の要と言えます。

 

4風刺1

< 4. Euramerican satire >

< 4.欧米の風刺 >

 

A: Novel “Don Quixote.” It satirized Spanish noble society. In the 17th century.

B: It satirizes Napoleon who failed in the conquest of Russia. A doll would be decapitated is Napoleon. In the 19th century.

C: Novel “Gulliver traveler’s diary.” It satirized British society. In the 18th century.

D: Movie “dictator.” Chaplin satirized Hitler. In 1940.

 

On the next time, I look at Japanese satire culture and problems of the satire.

 

A:小説「ドン・キホーテ」。スペインの貴族社会を風刺。17世紀。

B:ロシア遠征に失敗したナポレオンを風刺。首を切られそうな人形がナポレオン。19世紀。

C:小説「ガリヴァー旅行記」。イギリス社会を風刺。18世紀。

D:映画「独裁者」。チャップリンがヒトラーを風刺。1940年。

 

次回は、日本の風刺文化と風刺の問題点を見ます。

 

 

 

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デマ・偏見・盲点 14: 知ること、知られること 5


 食品偽装

< 百貨店の食品偽装 >

 

今回はまとめと注意点を記します。

 

問題点の要約

1. 個人情報が悪用されると、国民自身に被害が及びます。

 

2. 国家や大企業が情報を隠蔽、悪用すると、国民は莫大な損害をこうむります。

* 薬品・原発の安全、交戦開始、冤罪、食品偽装、暴力団への資金供与など。

 

3. 情報の扱いは、個人間では相互信頼を前提に自浄作用が働きます。しかし閉鎖的な組織(政府・官僚・企業の上層部)は自浄作用が働かないので、その悪化は破局まで亢進します。

 

4. 国民にとって、国家の情報管理で重要なのは、漏洩だけでなく隠蔽、捏造、私物化を防止することです。

* 組織内の不祥事や事実の隠蔽、証拠や情報の捏造、秘密情報で利益を得ることなど。

郵便

< 検察の証拠捏造 >

更なる深い問題

歴史を振り返ると、人類が苦闘しながら築きあげて来たものに想い至ります。

古来、権力の源は神格化と武力に始まり、ややもすれば富みと権力、軍が結びつき、禍を生みました。

やがて民衆は三権分立と民主主義、文民統制により国民の権利と平和を確保しようとしてきました。

しかし、新たな問題―拡散し高度化する情報の扱い、が迫っています。

これは人々が世界と一体になる機会を与える一方、一組織による悪用(収集、管理、隠蔽、捏造、私物化)が大きな禍を招きます。

この扱いを誤ると、一組織に莫大な権益と権力を許し、過ちを犯すかもしれません。

しかし、人類はまだ情報を統御する政治理念を生み出せてはいません。

 

スノーデン

< 米国の情報収集を暴露 >

 

特定秘密保護法により米国と更なる軍事協調を進めることが可能になりますが、これにも大きな危険性を孕んでいます。

集団安全保障は一国の防衛に有利なのですが、第一次、第二次世界大戦勃発に見られるように、大規模な戦端を開き易くするのです。

これが現行憲法で禁止している理由です。

特定の国だけが集団で機密を共有することは、その集団安保体制を強固にさせます(国連などは別です)。

 
    オリンパス

< 経営者の損出隠しを調査して解任される >

 

さらに厄介な問題として、日本は情報と上手くつきあえない風土があります。

*       内部告発を妨げる社会。

*       記者クラブに頼るマスコミ報道。

*       刷新されることのない行政府。

*       法や信頼より組織内優先。

 

 

最後に

特定秘密保護法で直ぐには悲惨な事は起きないでしょうが、少なくとも既に進んでいる腐敗は一層悪化することになります。

将来、既に見てきた危険が現実のものとなるかもしれません。

 

国民の皆さんに、一層の監視を望みます。

 

 

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デマ・偏見・盲点 13: 知ること、知られること 4


 

 薬害

既に見たように、国民の情報と国家の情報には大きな違いがありました。

今回は、甚大な被害を招く組織の腐敗と情報開示の関係を見ます。

 

官民癒着の例:薬害エイズ事件

この事件では、厚生省が認可した血液製剤により1800人がエイズに感染し、内600人が死亡した。

過去に、水俣病、森永ヒ素ミルク事件、サリドマイド事件、薬害スモンでは多くの死者と重傷者を出した。

薬物や毒物による被害は広範囲、かつ甚大となり、さらにその解明と救済が困難です。

この事件は、権威ある医者、厚生省、製薬会社ミドリ十字の怠慢と癒着による手抜きで発生した。

この刑事裁判では、製薬会社トップ3人は実刑判決、厚生省課長は有罪確定、医者Aは公判中死去となった。

 

何が問題だったのか

製薬会社トップ

彼らは米国の情報により危険性を知っていながら、薬剤の在庫減らしの為に、安全との虚偽宣伝と販促を命じた。

医師A(大学副学長)

彼は厚生省エイズ研究班長の立場を利用して、利益供与を受けていた製薬会社の意向に沿い、安全な血液製剤への転換に反対した。

彼の異常さは、血有病学理の第一人者としての権威と自説に固執し、改善の進言を一切拒否したことにある。

厚生省課長

彼は現行製剤の危険を承知の上で販売中止、回収命令を怠った。

この背景に、ミドリ十字が「厚生省出張所」と呼ばれていたことがある。

もし彼が、回収を命令すれば数十億の損害を天下り先が負うことになる。

その結果、被害者への賠償や治療費、研究施設の新設費はそれを遙かに超えた。

 

 

この事件と情報の関係

真実が隠蔽されていた時

「当時、担当者らは非加熱製剤の危険性を知らず、学会権威者の合議による認可で決まったので、企業や医者Aに責任は無い。せいぜい認可した厚生省に救済責任があるだけである。」とされていた。

 

真実が暴露された後

エイズ研究班の会議録音テープがマスコミに流出し、管直人厚生大臣が厚生課長のメモを発見した。

この後、一気に事実解明と和解が進んだ。

 

国会事故調が元安全保安院院

< 原子力安全・保安院が安全基準を低めに設定したことを問われている >

 

何が重要なのか

この手の官民癒着は原発の如く蔓延しているが、ほとんど明るみに出ず、容易に責任を追及出来ない。

理由は、一に都合の悪い情報を消去するか隠蔽していることによる。

たまたま告発者、マスコミ、厚生大臣の裏切り(自局を告発)が事の真相を明るみに出した。

 

再発防止に重要なこと。

1.             議事録の保存と公開の義務付け(秘密の対象を自由にさせない)。

2.             内部告発者を守る。

3.             マスコミの取材を妨害しない。

4.             政権交代などで新陳代謝を図る。

 

次回は、連載のまとめにします。

 

 

 

 

 

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