Series: Something is strange

何か変ですよ! 57: 今ある恐怖 2


1

*1

 

 

前回、米国で何が起きているかを見ました。

今、歴史上初めての変動と繰り返す災厄が力を増しています。

さらに、これらが世界を巻き込み、やがて大きな危機を招く可能性があります。

 

 

2

*2

 

はじめに

前回、指摘した米国で起きている状況を要約します。

 

A: 一部の金融資産家に都合の良い社会が到来しつつある。

 

国の富が彼らに集中し、また政府が彼らを支援することにより、益々、この状況は加速している。

一方、99%の国民は取り残され、政府への不信を高めているが、政治を変える有効な手段を持たない。

 

B: 不満を募らせた国民は益々煽動され易くなっている。

 

政治が国民の不満や不信に対処出来なくなると、国民は勢い短絡的で強権的な解決策に飛びつき始める。

扇動者はスケープゴートを強烈に訴えることで、大半の国民の心を掴むようになった。

 

Aの状況は、ここ30年の間に進行し、加速している。

一方、Bの状況はAによって誘発され、ここ数年で急に表面化した。

 

しかし、この問題は米国内に留まらず、世界を巻き込む大きな危機へと発展している。

 

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< 3.ダボス会議 >

 

世界で何が起きているのか

私は世界が二つの段階を経て、混乱から危機に突入するように思える。

 

だがその説明の前に、米国で起きている事が世界とどのように関わって来たかを確認します。

 

ここ半世紀、米国が金融の規制緩和を牽引した結果、格差が拡大し続けている。

しかし、自由経済を標榜する国々も同時に熾烈な競争に巻き込まれ、規制緩和に突き進み、同様に格差が拡大している。

 

あたかも1970年代、英米を筆頭に同じ自由経済圏がスタグフレーションに巻き込まれたのと酷似している。

この時は、国民だけでなく、むしろ経済界の方が不満の声を挙げ、各国政府は対策を行ったが、今回は大きく異なる。

今の経済界や政界のエリートは現状に不満を示さず肯定的である。

 

それはなぜなのか?

最も明確な当時との違いは経済が拡大している中で貧富の差が拡大していることです。

この状況は富が集中するエリート(主に金融資産家と一連托生の仲間)にとっては天国だからです。

 

これを示す好例があります。

世界から選ばれた数千名の賢人が毎年集まるダボス会議があります。

ここでは学者やジャーナリスト、経営者、政治家などのトップが一堂に会し、議論を行っています。

しかし、ここから発信されるメッセージは概ね現状に肯定的です。

これは世界に「改革が必要ない」ことを間接的にアピールしているようなものです。

 

かって学者が主導したローマクラブの功績とは似て非なるものです。注釈1.

それもそのはずで、「地球上の富の85%をダボス会議の参加者が握っている」のですから。注釈2.

私は、このサロンに過ぎないエリートの集まりは「不作為の罪」を背負うことになると思う。

このような交流は必要だが富裕層やエリートに役立つだけだろう。

 

つまり、今起きている富が偏在するメカニズムは完全に世界を巻き込み、富の集中を享受する人々によってこのシステムは強化されつつあるのです。

 

 

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< 4. 右傾化の背景 >

 

何がポイントなのか

グローバル化する世界にあって、自由経済の国が競争に晒されるのは必然です。

従って無為無策で競争を放置(自由に)すれば、経済を通じて社会に歪(失業や格差)が生じるのは当然です。

 

この時、国内の労働者や企業が競争力低位の産業から優位の産業にスムーズに転換出来ればその歪は少なくなるのですが、これがなかなか困難な現状です。

今、フランスや米国で起きている右傾化に賛同する農民や労働者達はこの犠牲者達です。

現在の指導者は、保護主義と自由貿易の板挟みの中で、制度的(規制など)な解決を放棄し、自己責任として労働者を自由競争の中に晒すだけなのです。

これでは世界経済の落ち込みが激しくなると、彼らの怒りは頂点に達するでしょう。

この危ない綱渡り状態が日本も含めた先進国で続いています。

 

自由競争を否定しませんが、違法まがいの弱肉強食により正常な競争が出来なくなっていることが問題なのです。

 

結局、現代のグローバル化した経済では、ほんの一握りの富裕者は益々富み、貧者は益々貧しています。

これは隠しようのない現実ですし、そうならざるを得ない経済的メカニズムが確立し、増殖中なのですから。

この歪は、今は目立たない国でも高進するのは時間の問題です。

 

これは主に、1980年以降の自由経済圏の大国が先導して来た政策によるものです。

この政策とは、グロ―バル化に向けた経済・金融・労働・産業に対する規制緩和、企業・金融・富裕者の活性化と称する減税、貨幣供給量と累積赤字の増大の是認、中央銀行の役割改変などです。

それに比べ、不思議なことに労働者の活性化云々の政策や保護はあまり聞かない。

この関係は複雑ですが、大きな流れは前回説明しました。

幾つかの国(ドイツや北欧など)は、危険を認識してこれらの政策採用を抑制気味だが、巻き込まれつつある。

 

実は、今の富裕者の減税は19世紀まで無税が一般的でしたが、20世紀になると政府が強力に累進課税や規制緩和を国民や国家の為に導入したのです。

ところが国民が浮かれ、よそ見している間に中世の社会に戻ってしまったのです。

 

 

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これから起きる悲劇とは何か

悲劇の第一段階は、B項の「煽動と右傾化」です。

 

もう既に起きています。

各国で差別的な言動を好む人ほど政府を信任していることからも頷けます。

これは数年前から、日本や欧米などで顕著になっています。

 

国民の不満が高まり、何ら改善出来ない政府への不信感が高まると強権的な解決を望む声が高まります。

そこで不満を上手く操る煽動家の出現となります。

これは歴史的に繰り返されて来たことで、必然と言えます。

 

今は、まだほんの始まりに過ぎない。

例えば、今回、北朝鮮の核実験やミサイル発射は何時から騒がしくなったのか。

それは米国のトランプ大統領の誕生前後からでしょう。

始めは、数匹の狂犬の遠吠えから始まったが、いつの間にか周りを巻きんで大合唱となり、ついには何処かの国の地下鉄まで止まりました。

一方の狂犬は脅しが効いたのですから喜んでいることでしょう。

 

実は、歴史上、戦争の始まりの多くはこのような些細ないがみ合いが嵩じて始まっています。

第二次世界大戦前の独仏の状況がその一例です。

両国は、ライン川を挟んで国土の奪い合いを繰り返していました。

フランスは先の第一次世界大戦に懲りて、ドイツの再軍備防止の為にドイツ経済を困窮させる莫大な賠償金を請求し、また賠償として炭鉱地帯を占領しました。

この手の敗戦国への仕打ちは一般によく行われることでした。

 

しかしこの二つの行為が、間接的にドイツ経済をどん底に突き落とし、ドイツ国民はヒトラーに不満を煽られ、軍事力で反撃することを選択するようになった。

一方、フランスはこれに対抗して右傾化して行きました。

こうしてまたも大戦が短期間のうちに再発した。

 

しかし私が恐れる悲劇は、これだけではありません。

私はまだ世界の良識に希望を持っており、多くの国民が直ちに戦争開始に応じることは無いように思います。

 

それでは何をさらに恐れるのか?

 

 

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私が想定する第二段階の悲劇

それは、右傾化とナショナリズムにより各国が交流を断ち始めることです。

つまりグローバル化と反対の方向に進むことです。

この結果、たとえ今すぐの戦争開始を逃れたとしても、最終的に世界は益々、混迷と対立を深め、ついには戦争から逃れられない状況に陥ることになるでしょう。

 

これは既に始まっています。

西欧国内のEU離脱運動の盛り上がりや一部首脳による挑発的で利己的な行動に顕著です。

 

EU離脱は、最も象徴的な例です。

EUは独仏が戦争回避を願って、大戦への反省から奪い合っていた中間地帯の鉱物資源を共有する為に始められたのですから。

EU統合の手法に問題があるにしても、EUの分裂は平和と経済に悪影響を与えることは明らかです。

 

さらに間違いが明確なのは、自国優先の為に各国が保護貿易に走り、世界貿易が縮小し、廻りまわって自国に不況の波がさらに大きくなって返って来たことでした。

第二次世界大戦を世界に拡大させてしまったのは、各国の保護貿易が恐慌の傷をさらに深くしてしまい、日独伊の国民が不満を募らせ扇動者の尻尾に乗ったことにある。

この手の危機の兆しはそれぞれの国内で20年ほど前からあったのですが、独裁と暴発は数年の短期間で決定的なものとなったのです。

このような悲劇を幾度も繰り返す愚は避けたいのもです。

 

益々、世界は経済や軍事、外交などで孤立と対立を深めていくことでしょう。

しかし、これもまだほんの始まりにすぎません。

 

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何が恐ろしい結末へと導くのか?

私が恐れるのは、世界の平和と繁栄に最も必要なものが反グローバル化によって破壊されることです。

 

皆さんは、グローバル化こそが金融資本家と多国籍企業の横暴を招き、世界の人々を不幸にしている元凶ではないかと思っているかもしれません。

今まで、私がそのように説明をして来たではないかとお叱りを受けそうです。

半分は正しいのですが、半分は問題があります。

 

例えて言うなら、琵琶湖周辺の人々が川に好き勝手に(自由に)汚水を流し、汚染が酷くなったので琵琶湖に流入する河川を遮断すべしと言っているようなものです。

本来は、すべての人々が汚水の排水規制を守れば済むだけのことなのです。

現在の問題は、この規制が無きに等しい為に起こっているのであり、一部の特権層による規制外しの圧力が世界を席巻していることです。

 

 

少し目先を変えて、以下の困難な問題をどう解決すれば良いか考えてみましょう。

 

A: 枯渇する地球の資源(鉱物、石油、水産農作物、水)の持続的な使用。

B: 北朝鮮やイスラム国(IS)などのテロ国家や組織の抑制・制圧。

C: 地球温暖化の防止。

D: 大国の横暴(軍事行動や占領、経済・金融政策)の制止。

E: 多国籍企業や金融家の横暴(タックスヘイブンやヘッジファンド)の規制と取り締まり。

F: 格差の拡大と富の集中を抑制する世界的な規制と税制。注釈3

D: 移民・難民の発生低減と保護、移住先の摩擦低減。

 

これらは手をこまねいている内に拡大し深刻の度を増しています。

 

例えば、どこかの大統領や首相のように国益を重視し、他国を敵視し、特定の大国との従属を深めるならどうなるでしょうか。

結果は明らかです。

上記7つの問題を解決するどころか、戦争へと発展する危険の方が高いでしょう。注釈4.

 

解決するには何が必要なのでしょうか?

それは世界の国々が等しく協力し合うことです。

解決を遠ざけるものは分裂と対立、そして大国の身勝手です。

 

私の連載「中東に平和を!」で紹介していますが、現在世界中で起きているテロや内紛、難民の多くはここ百数十年間の大国の身勝手に起因しています。

この因果関係と責任問題に関してまだ定説はありませんが。

また嫌われるグローバル化の汚点も、大国の庇護を受けた多国籍企業や金融家の横暴が背景にあります。

この問題が見過ごされるのは、世界が共有出来る法意識が未発達なのと、その形成を妨害する情報秘匿やデマの力が大きい為と考えます。

例えば、タックスヘイブンやヘッジファンドの横暴によって、日常的に世界の庶民は多大な害を受けているにもかかわらず、規制が無いに等しく、増加の一途です。

 

 

平和的に問題を解決する手段は、人類が生み出した民主主義を世界に取り入れる以外に道はない。

益々、地球はあらゆる危機に直面しているのですから。

 

残念ながら、これは非常に難しい。

半世紀前の東京裁判の折、インドのパール判事は、いつか世界が一つになり国家の不正義を裁く時代が来ることを願っていた、しかし、当時はまだ機が熟していないと判断した。注釈5.

「あなた方はいつまで惰眠を貪るのか?」とパール判事は悲しんでいることでしょう。

 

 

しかし皆さん、思い出してください!

世界や国内で格差が拡大し、国民が政府に絶望するようになった理由はどこにあったのでしょうか?

 

答えは先進国で1980年代から加速した富裕層の優遇策でした。

極論すると、それは規制緩和と税制変更が元凶でした。

そしてこれが自由経済圏の先進国から地球全域に蔓延していったのです。

この人間(エリート)が行った制度改悪を、人間(国民)の手でより良い制度に戻せば良いのです。

 

これは、各国が個々に解決出来るものではありません。

幾分はドイツやかつての日本、北欧など幾つかの国は抵抗して来ましたが、グローバル化した現在において無傷で難を逃れることは出来ない。

 

一番、目立たない問題ではあるが放置すると、徐々に世界の傷は深くなり、ついには良識が通用しない社会、衰退する地球になると予想されます。

これも歴史が示すところです。

 

残念なことに、危機を予測出来て解決策が見えても、これを世界が実行出来るかは皆さんの手中にあるとしか言えないのです。

 

 

以上で終わります。

どうもお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

注釈1.

ローマクラブは当時、科学的に証拠をもって世界の地下資源が数十年後から枯渇し始めると警鐘を鳴らしました。

世界はこれに対応すべく省資源に取り組み、現在、地球の寿命が伸びています。

 

注釈2.

「世界一の会議」、斎藤ウィリアム著、p30より。

 

注釈3.

世界の貧しい下位50%(36億人)の総資産が富豪上位62人の保有資産に匹敵している。注釈2.

 

注釈4.

B項のテロ対策には軍事力が必要ですが、超大国に頼ることのメリットよりも、超大国の身勝手な軍事行動の方がマイナスです。

 

注釈5.

パール判事は当時、事後法の「平和に対する罪」で日本の戦犯を裁く事に反対しましたが、他の戦争犯罪については同意しています。

彼の意見は法律家としては正しい。

彼の意見と思いから学ぶべきは、「平和に対する罪」が裁ける世界になるべきだと言うことだと思います。

 

 

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何か変ですよ! 56: 今ある恐怖 1


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< 1.米財務長官 >

 

 

今、私は漠然とした恐怖を感じている。

それは日本だけでなく米国、中国、ヨーロッパなど世界に通じるものです。

これから、この巨大で徐々に姿を現しつつある恐怖について語ります。

 

 

はじめに

日々のニュースから、私は日米欧先進国の社会で大きな濁流が起きているように思える。

しかも、それが益々巨大化しているにも関わらず、多くの人々はその兆候と恐ろしさに無頓着のように思える。

私はこの世界の行き着くところを想像すると恐ろしくなる。

 

歴史を振り返ると、まったく同じ状況は存在しないが、不幸へと突き進む同じメカニズムが働いているように思える。

それは一度、蟻地獄に落ちると、もがけばもがくほど抜け出せなくなる状況と似ている。

 

それでは幾つかの恐怖の正体を見て行きましょう。

 

 

米国で起きていること

如何に大統領が変わろうと、世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスの幹部が必ずホワイトハウスで経済と金融政策を担当することになる。

クリントン、ブッシュ、オバマ、トランプなどが、選挙戦で如何に綺麗ごと―金持ちの味方ではなく庶民の味方だと、言っていても同じ結果になる。

それはなぜなのか、ゴールドマン・サックスの彼らが、ずば抜けて優秀で強欲だからか、それとも経済運営と選挙資金集めに不可欠だからか。

 

細かい解説は専門家に任せて、我々は全体を俯瞰することで米国の空恐ろしい状況を知ることが出来るはずです。

これから語ることは厳密さよりも大きな流れを感じることを目指しています。

 

 

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< 2. 米国の大統領選挙費用の推移 >

 

選挙費用は年を追って巨額になっている。

集金能力の高い人か、はたまた自分のポケットマネーで選挙費用を賄える超金持ちしか大統領になれない。

結局、選挙を制するのは資金の多寡かもしれない。

 

 

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< 3.ゴールドマン・サックスの業績 >

 

この20年間、この投資銀行の業績はうなぎ登りと言える。

この間、この企業は大きな問題だけでも、1998年のLTCMヘッジファンドの破綻、2007年のサブプライムローン、2010年のゴールドマン・ショックなどに関わって来た。

この手の金融企業大手(ビッグ・シックス)は、米国だけでなくメキシコ、ロシア、アジア、ヨーロッパなど、それこそグローバルに世界経済を危険に陥れる投機に走り、その都度ホワイトハウスに助けられ飛躍し、我が世の春を謳歌している。

尚、クリントン政権の誕生は1993年でした。

 

 

例えばヘッジファンドに限て見てみよう。注釈1.

米国のファンドマネージャーが2015年の1年で1700億円を稼ぎました。

これは一つの産業の売り上げではなく一個人の収入なのです。

米国のヘッジファンドの運用総額は300兆円弱あり、毎年の運用益10%、マネージャーの成功報酬20%として6兆円をマネージャーが山分けすることになります。

当然、投資・投機の運用総額はこれの数倍あり、これに釣られて強欲に走るのは無理のないことかもしれない。

誰かが監視すべきだが・・・・。

 

なぜ毎年運用益の実績が10%近くあるのでしょうか?

通常、莫大な資金を製造業に投資してこれだけの利益を出し続けるのは不可能です。

方法としては、画期的なコンピューター・プログラムで株等の自動取引を行い莫大な利鞘を稼ぐか、はたまた企業買収を繰り返す手があります。

しかし最も稼いだのは一国の為替取引やサブプライムローン(不良債権を紛れ込ました証券)の売買でした。

その売買はレバレッジ(担保なしの高額の借金)を利かせた先物取引等で行われます。

 

この一見合法的な取引の果てに、毎回、世界各国は金融危機に陥り、多くの失業者と命を縮めた人々を生み出して来たのです。

不思議な事に彼らが成功しても失敗しても、ほぼ同じ結果になります。

言い換えれば、そこには必ず強奪された莫大な資金か、強奪に失敗した莫大な借金があるからです。

 

彼らは優秀な頭脳によって日々新たな方法を開発し、儲かるとあればどのようなものでも互いに先を競って売買します。

その結果が国家や国民を如何に破綻に追い込むかは、彼らには無縁で、責めを受けることもほとんどありません。

金額が巨額なだけに失敗した時、国は必ず彼らを助け、多少見逃してくれるし、頼めば規制を取り除いてくれる(政治家に見返りが入る)。

 

しかし彼らが稼ぐ為に最も不可欠なものとは何でしょうか?

それは国が貨幣供給量を増やし続けることです。

一度、貨幣発行をゼロにすればその効果がわかるのですが、他の経済活動も停止してしまうので出来ません(恐慌)。

もっとも中国のように強引に投機資金を制御すれば別ですが。

 

 

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< 4.米国の貨幣供給量 >

 

Ⅿ2(赤い線):現金通貨と国内銀行等に預けられた預金を合計したもの。

簡単に言えば、景気が良くて経済成長する時は赤線の貨幣供給量が増大します。

しかし増加し過ぎるとバブルが発生しますので、中央銀行は調整します。

 

現在、世界の多くが貨幣供給量を増やし続ける政策を採っていますが、中でも米国は際立って多い。

日本はアベノミックスの前までは、長らく貨幣供給量を押さえてバブル発生を抑えて来ました。

 

 

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< 5.米国の商業銀行の収益 >

 

貨幣供給量が増え始める1980年代から、金利以外(投資・投機)による収入が増加しているのがわかる。

最近のデーターはないのだが、その後を予想することは可能です。

これが金融界に富をもたらし、この富によって大統領選挙を通じてホワイトハウスが支配され、さらに富が一部の金融家に集中するようになったと考えられる。

尚、この端緒は1981年のレーガン大統領誕生でしょう。

 

20世紀の始め、世界は米国発の大恐慌とそれに端を発する世界大戦を経験し、米国は先頭を切って元凶となった無謀な金融行為を禁止する法を制定した。

しかし米国の規制緩和、俗に言う金持ち優先の政策はその後、表面を繕いながら着実に進められて来た。

米国民はなぜこの経済・金融政策の転換を傍観して来たのか?

一つには、ホワイトハウスが「米国の経済・金融がグローバルな競争に生き残る為の規制緩和が必要」と説明して来たからでした(他にも理由はある)。

この1933年に制定されたグラス・スティーガル法(規制法)は、1999年ついに廃止された。

 

 

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< 6.米国政府の債務 >

 

国民は米国の金融が世界をリードすれば米国経済は復活すると信じ込まされて来た。

国民は確かにバブル絶頂期の度にそれを確信することが出来ただろうが、必ず訪れるバブル崩壊後、また裏切られることになる。

 

この裏で、国民がおそらく実感していない深刻なことが起こっていた。

世界経済を幾度も破綻寸前まで追い込んだ金融家達を、ホワイトハウスは恐慌にしない為と言い、莫大な公的資金をつぎ込んで救って来た。

それは数百兆円の国債発行となって累積債務が膨らみ続けている。注釈2.

現在、一人で毎年数十億円を越える所得を得る強欲な金融エリート達が蔓延る一方、将来、その後始末として国民はその借金を広く負担することになる。

おそらくインフレか増税で、これは所得の低い人ほど厳しく圧し掛かる。

 

こうして、危険な博打うち(投機的な金融家)ほど高収入を得て、博打が失敗したら国が助け累積債務を増大させて来た。

 

 

 

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< 7.米国の所得 >

 

一方、米国民が選挙で必死に選んだ大統領は何をしてくれたのだろうか。

馬鹿げたことに、1980年代から米国の富がほんの一部の金持ちだけに集まる仕組みをホワイトハウスが作っただけだった(税制と金融政策が大きい)。

 

これでは溺れるも者は藁をも掴むとの諺通りであって、トランプを選んだ人々を責めるのは酷かもしれない。

別の選択もあったかもしれないが・・・・。

 

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問題を要約してみよう

一つの問題は、あたかも地球が強欲な金融資産家らによって牛耳られるようになったことです。

 

この端緒は20世紀始めの米国に遡るが、1980年代より本格化し、欧米が自由主義経済圏の中で競っている内に、各国がこの泥沼から抜け出すことが出来なくなってしまった。

 

各国は競争の為に労働者の賃金や法人税、為替で叩き売りをせざるを得なくなった。

またあらゆる企業は巨大化し、規制を外すことで競争に勝たなければならなかった。

 

さらにインフレ退治と兌換紙幣の制約から逃れる為に、世界各国は自由な貨幣供給体制を選択し、自国の経済成長を自在に制御することを目指した。

この過程で、金融資産家が米国を筆頭に幅を利かせるようになっていった。

そして現在の状況に陥ってしまった。

 

この状況は、今までになかった新しいタイプの災厄だろう。

 

歴史を紐解くと、ロ―マの衰亡に似ているかもしれない。

ローマは初期に共和制だったが、軍によって領土拡大と成長を続ける内に軍が実権を掌握し、帝政へと変貌する。

しかし、軍の維持と特権層による富の集中(圧倒的多数になった貧困層)はやがて社会を疲弊させた。

そしてあれほど巨大さを誇ったローマは、いとも簡単に野蛮な民族に打ち破られた。

 

これからの米国は軍産共同体だけでなく、むしろ自己増殖する金融資産家らに益々支配されていくことだろう。

このメカニズムはまったくローマと一緒と言える。

 

つまり自己崩壊するか、他者により止めを刺されるまで暴走し続けるしかないのかもしれない。

 

 

もう一つ恐れていることがある

上記の状況分析は心ある学者により既に指摘され続けていたことで、私はこのブログで幾度も書いて来た。

一言で言えば、後ろから押されて崖っぷちに追い込まれているのに身動き出来ない恐ろしさです。

 

問題は、現代文明をリードする国民が、この自明とも言える状況を今まで何ら改善出来ず、むしろ加速させて来たことです。

そしてついにトランプと言う危険なカードを引いてしまった。

無害で済めばよいのだが。

米国の状況は今後、雪だるま式に歪が拡大することになるか、予想外に早く崩壊するかもしれない。

その引き金がトランプでなければ良いのですが。

 

なぜ人々は、この状況を変えることが出来なかったのか?

考えられるのは米国民がこの事実を知らないからか、またはカモフラージュされて見えていないからか。

それとも例え皆が知っていても、現状の大統領選挙制度等では国民の望む改善が出来ないと諦めているからか。

 

 

 

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< 9. 米国のGDPと失業率 >

 

トランプが非難したNAFTA(1994年の北米自由貿易協定)は逆に米国の失業を減らしているように見える。

失業を増やしたのはバブル崩壊です。

 

 

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< 10. 米国の人種別失業率 >

 

このグラフからは、今回、トランプを選んだラストベルトの白人労働者が訴えた、移民によって職を奪われたと言うことを確認出来ません。

むしろ白人の失業率は低く、アジア人を除いてヒスパニックや黒人の失業率が拡大している。

 

つまりメキシコが悪の元凶だとは言えないのに、スケープゴートすることにより国民を真の問題から遠ざけているように思える。

そして大半の人々がその手に乗せられたと言える。

 

この状況で思い当たるのは、ナチスの行ったことです。

ヒトラーがドイツ国民を煽動する為に訴えたのは「ユダヤ人排斥、共産主義排除、軍事力による帝国の再興」でした。

この内、ユダヤ人排斥は帝国の再興に最も意味をなさないように思えるが、国民の憎悪を高め、国民を一つにまとめるには有効だった。

これでヒトラーは力を得たが、その一方で無実の人々が多数死んでいった。

 

歴史上、このような壮絶な例は他にはないだろうが、国内問題や真の問題から目を逸らす為に為政者はスケープゴートを繰り返して来た。

トランプの成功の一つは、この巧みさにあったと言える。

この手のまやかしが上手いことと、国民の為の政治を上手く行えることとは別です。

 

残念なことに、今、現代文明をリードする先進諸国で、あたかも共鳴するように同じ扇情、スケープゴート、が起こっている。

 

私はこの扇情に踊らされている状況を恐れています。

 

 

実は、世界はこれと関わりながら新たな恐怖に晒されつつあるのです。

そのことについて次回考察します。

 

 

 

注釈1.

「超一極集中社会アメリカの暴走」小林由美著、p76-79.

 

注釈2.

「大統領を操るバンカーたち」ノミ・プリンス著、p350.

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 55: 何が欠けているのか


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今、籠池氏の発言(森友学園への格安国有地払下げ問題)で野党は色めき立っている。

一方、与党は毅然と構え、国民は蚊帳の外に置かれている。

ここには何かが欠けている。

 

 

はじめに

結論から言えば、これは些細な問題に過ぎず、このようなことに議会が精力と時間を掛けるべきではない。

 

確かに、これは本質的で深刻化している政治状況の一発露ではあるが、これ事態を追及しても、違法性を確認することは難しいだろう。

ここは与野党共に無駄な努力をせず、早急に事を治めるべきです。

国民はゴシップ記事のようなつまらない事件に振り回されるべきではない。

 

むしろ、国民はこの事件から見えて来たある政治状況に気づき、またマスコミや野党はもっと将来を見据えて行動すべきです。

 

 

この事件のポイント

真相解明は半ばで、この先も確たる証拠は出てこないでしょう。

だが、あえて私はこの事件のポイントを要約しておきます。

 

A: 保守的な一教育者が政治家をうまく利用しながら事業を拡大して来た。

 

B: 保守的な内閣が誕生し、強力な体制を構築した。

 

C: 身に降りかかる事件が発覚すると首相は強気の抗弁をした。

 

D: 批判的なマスコミと野党がこれを追及し、主役を吊るしあげた。

 

E: 主役は開き直り、今までの経緯を全面的に開示した。

 

F: 関与している政府や議員、官僚から都合の悪い資料は一切出て来ない。

そして泥沼試合となった。

 

 

 

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簡単に考察します

この経緯を見てみると、取り立てていうほどの犯罪的で重大な問題はないように思える。

 

A:

この手の政界絡みの便宜供与は従来から、特に長期政権の与党にはつきもので、贈収賄などの犯罪で摘発されるのは氷山の一角に過ぎない。

 

B:

今回のような事件が起こる状況は当然進んでいる。

 

最近の文科省の天下りの常態化からも察せられるように、官僚や議員の振る舞いはは益々官邸の姿勢で決まります。

つまり官僚が忖度し便宜を図るようなことは今後益々常態化するでしょう。

日本の政治はジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)で成り立っているのであり、それが集中化するだけです。

 

C:

現首相の強弁、常識的には虚言と思われる発言が、歴代首相の中では目立つはずです。

「強行採決はしたことが無い」「憲法改正の発議は私と無縁」とか。

 

D:

嘆かわしいのですが、誰かれなしに叩き、運よく行けば現内閣を倒せると目論んでいる。

これで内閣が倒れて、誰が替わって政権を担当するのか?

今の野党に、より良い経済政策や外交政策があるようには思えない。

 

おそらく多くの国民は、将来、日本が軍事大国化しようが、分裂気味のトランプに追従しようが、直ぐ先で景気が良くなり、米国が日本を守ってくれることの方を望んでいる。

これが正しい判断かは別だが、少なくとも野党はこの望みを叶える方策を提示できない。

 

E:

証人喚問での主役の言動を見ると、保守人としての誇りを失わず、堂々と権力の理不尽さに立ち向かう姿が印象的でした。

私は彼の思想ややり方に賛同出来ませんが、トカゲの尻尾切りにされている状況に同情したくなる。

バレなければ、強力な保守政権だからこそ、ぬくぬくと甘い汁を吸えたはずなのに。

 

F:

これは正に、日本の政治文化で最も重大な欠点の一つです。

 

財務省が許認可を行った経緯の議事録を破棄したと堂々と発言していることです。

このような事例は、最近のスーダンの陸自日誌破棄事件や古くは福島原発事故の記録公開などのように、国民やマスコミには政府や官僚の行動をチェックする方法が断たれていることを示す。

また秘密保護法などで、さらに都合の悪い政府側の資料が出て来なくなっている。

 

 

 

何が最重要な問題なのか?

大きく二つあります。

 

一つは、マスコミと野党の追及姿勢です。

今回の追及は益なしで、むしろ弊害の方が大きい。

国民の多くは現内閣を信頼しており、その信頼を突き崩すことに躍起になるあまり、度を越して追及すればするほど、逆効果になる可能性がある。

 

日本がかつて治安維持法を採択した経緯の中に、当時のマスコミや野党が政府のあら捜しで国民を煽り過ぎて、逆に暴徒化を鎮圧する口実を政府に与えてしまったことがあった。

ここまでは行かないだろうが、行き過ぎは世論を激しく左右に分裂させてしまい、米国のようにポピュリズムで極右のトランプ政権誕生に繋がった。

この傾向は欧米で顕著になっており、さらに危険な状況を生むことになる。

 

 

今一つは、政府や官僚の情報公開です。

日本には、都合の悪い議事録を遺さない、また内部告発を行わない組織文化があります。

法律はこれらを改善しようとしているのですが、進んでいない。

 

さらに悪いことに、ここ数年、日本は米国に追従して、情報を益々秘匿する方向に向かっています。

 

これらはやがて、日本の政治を取返しのつかない方向に追い込むことになるでしょう。

 

どうか、皆さん細かいことに目を奪われずに、大局を見て頂きたい。

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 54: 捨てることが出来るか


 1

*1

 

 

誰しも既存のものに固執していると、発展のチャンスを失うことがある。

しかし、なかなか馴れ親しんでいるものをキッパリと捨て去ることは難しい。

今の社会について、少し考えてみましょう。

 

 

はじめに

手描きで行っていたデザインを、これからパソコンで描きなさいと言われれば、特に年配者には苦痛だろう。

慣れたやり方を捨てるのは辛いものです。

 

一念発起して海外に飛躍を求めるなら、人は友や故郷と別れなければならない。

サラリーマンは定年退職すると、それまでの収入や地位を捨てなければならない。

買った物を捨てることが出来ない人は、やがて家中が不用品で一杯になってしまうだろう。

 

捨てることは、結構辛い意思決定を伴います。

 

しかし今日、皆さんと考えたい問題は、社会や人類の未来についてです。

 

私達は多くの新しい技術や社会システム、思想を得て進歩して来ました。

一方で、私達は同時に多くのものを捨てて来ました。

 

我々が特別に意識せずとも、古いものが自然と廃れていくこともありますが、逆になかなか捨てることが困難な場合もあります。

 

知って頂きたい事は、かつて人類が捨てることを英断し、新しい局面を切り開いて来た事実です。

これなくして今の人類社会はなかったのです。

 

 

2

*2

 

 

人類は何を捨てて来たのか?

最も古いものとしては、四足歩行ではないでしょうか。

二足歩行で手が使えるようになった化石人類は、早く走れて安定性のある四足歩行を捨てることになりました。

 

歴史時代になって、人類は科学的な思考を取り入れたことにより多くの事を捨てて来ました。

それまで人々は病気や不幸の多くは、遥か昔の因果や実体のない穢れなどによると考えていました。

医学や技術の進歩と共に、これらは迷信と見なされ廃れて行きました。

新しい宗教を生み出したイエスや釈迦、孔子でさえ、一歩進んだ科学的理解を持っていました。

 

これらは長い年月をかけて発展し人類に多大な影響を与えました。

 

身近なもので、陳腐になってしまったものにはどのようなものがあるでしょか?

レコード盤、そろばん、戦艦大和などは明快な例でしょう。

いずれもこれら道具や武器は性能が劣ってしまったので使われなくなりました。

これらの転換を止めることは難しい。

 

逆に転換が困難なものもあります。

フロンガス、洗浄用の有機溶剤、自動車の排ガスなどです。

 

フロンガスはオゾン層を破壊することがわかり、現在、世界が協力して使用制限を行っています。

毒性の強い有機溶剤や排ガスも規制されるようになりました。

これらの規制は、社会の安全性の点からは必要なものでしたが、経済コストとの兼ね合いで、産業界から強い反対がありました。

 

逆の事例もあります。

日本が石炭から石油に転換を図る時、落命の危険がありながらも失業を恐れた労働者側は転換に反対しました。

一方、産業界側は石油の方がコスト的に優位だったこともあり、大きな労働争議となったが、結局、転換が図られました。

これで良かったのですが。

 

 

今の社会の礎となっているもので、大きな発想の転換が必要だったものには何があったでしょうか?

 

土地所有、特許状、株式会社、金本位制などは大きな転機となりました。

 

古くは、部族社会において土地は概ね共有であり私有ではありませんでした。

 

かって特許状の主なものは、王が恣意的に商人などに独占権を与えていたのですが、やがて、画期的な発明に対して国が発明家に独占権を与えるようになりました。

 

以前、事業者は負債を全額返済すべきでしたが、株式会社になると出資金(資本)の範囲だけの返済責務を負うだけになりました。

 

現在の経済と産業の発展は、この三つの要素が機能してこそだと言えます。

 

かつて金本位制は国家経済の安定に不可欠だと考えられていました。

貨幣が金に兌換出来ることで信用が得られ、また国も金保有量に応じた歳出しか出来ず、野放図を抑えることになりました。

現在は、これを放棄することにより経済成長(金融)を比較的自由にコントロール出来るようになりました。

 

我々は個人から国家、世界まで多くの事と決別して来たのです。

 

 

何が問題なのか?

人類と社会はより良くなるために、かつての栄光や習慣的なもの、また危険で害を及ぼす物など使用を止めるようになりました。

 

規模の大きい転換はけっして容易ではなく、あらゆる既得権益層(産業側や労働側など)の抵抗がありました。

また人々の意識転換が必要なものもありました。

 

今、私が問題だと思うのは二つです。

 

一つは原子力産業です。

福島の原発事故被害の甚大さ、東芝の原子力事業の膨大な負債を見れば、これからも国が原子力産業を推し進めてくべきものとは思えません。

これは単純に既得権益層の擁護と惰性から続けているだけに過ぎない。

 

人類が幾度も乗り越えて来た捨てることの英断を、今こそ行うべきです。

 

 

いま一つは、トランプ現象と関わる問題です。

米国が主導して来た野放図なグロ―バル化によって、米国の中間層以下の労働者は仕事を無くして来ました。

 

グローバル化は世界にとって必然であり、国全体として経済的メリットを享受することは明らかです。

しかし、各国の競争力のない産業はやがて衰退する運命にあることも明白です。

この部分が、あたかも自己責任として放置されて来た結果、不満が爆発した。

 

ここに二つの問題があります。

一つは、グローバル化の恩恵が偏在しており、逆にそのしわ寄せが労働者にのしかかり続けていたのです。

つまり所得格差で拡大であり、米国は特に大きくなっています

これは政府サイドの問題です。

 

もう一つは、労働者側の問題です。

誰しも仕事していれば理解出来るはずです。

皆さんは作業方法の変化や、製品と業種の栄枯盛衰を身に染みて感じているはずです。

すべて国任せで、仕事や企業の衰退を補うことは出来ません。

 

やはり、自ら変化や衰退に備えて、自己の革新を日頃から行わなければなりません。

今や米国は、かっての英国病のように、国力の衰退だけでなく、精神的にも衰退しているようです。

 

 

何が大事なのか?

国政でも、個人でも、既成や惰性と決別し、前に向かっていく心意気をもたなくてはいけない。

 

それが出来ない社会は衰退するしかいないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 52: トランプの評価を巡って


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不思議なことがある。

大衆はなぜ突如として極端な行動に出るのだろうか?

トランプ大統領の選択がその好例です。

 

不思議なこと

私はトランプに関する本を6冊読んだが、トランプ大統領の評価は混乱している。

 

彼の就任は悪化している米国の現れか、彼の希代の才能ゆえか、それとも何かの間違いか?

我々は彼に期待すべきか、はたまた最悪の事態に備えるべきか?

これは世界にとって吉兆なのか、それとも凶兆なのか?

 

これら相矛盾する評価から、米国社会と世界の混沌が見えて来ます。

 

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相矛盾する評価

 

*トランプ氏に対する評価

意見は大きく二つに分かれる。

 

トランプを高評価する人は、彼は群を抜いた交渉力を持ち、幾多の困難を乗り越えたビジネスマンで、機を見るに敏だと言う。

また彼は自己資金で戦ったので既成勢力と無縁で、正直者だからと期待されている。

 

彼を否定する人は、彼は感情的、ナルシスト、守銭奴だから信用出来ないと言う。

また彼は政治経験がなく、極右で、煽動家だから危険だとされている。

 

 

*トランプ氏が選ばれた背景

概ね以下のように要約できる。

 

幾多の有力候補やヒラリーが嫌われ、投票率が低い背景に、ホワイトハウスへの根深い不信感があり、大衆は既成政治との断絶を求めた。

さらに白人層の危機感と女性蔑視が大きく作用した。

 

彼は大衆の不満(移民、ムスリム、派兵、失業など)を積極的に取り上げ、既成概念に囚われない解決法を示した。

それをデマゴーグと非難するマスコミと他候補に対して、彼は悪態とメール発信でやり込めることが出来た。

 

彼はテレビ番組の人気者であったが、当初、泡沫候補と見られていて、マスコミは興味本位に彼を扱ったことより、露出度が非常に高まった。

マスコミは彼の人気が出てから批判を始めたが、既成勢力と非難され、逆効果となった。

 

他に、米国における闇の支配者などの陰謀説もある。

 

 

*著者たちのトランプ大統領の評価

 

彼をレーガンやエリツインになぞらえ、彼こそが米国で創造的破壊を起こしてくれるとの期待がある。

確かに、他の候補では超富裕層による支配、戦争継続、移民増大、格差拡大が続く可能性がある。

 

当然、危険視する意見もある。

彼のほとんどの解決策はデタラメで、特に経済政策、結局は米国と世界を混乱に陥れる可能性が高いと見られている。

 

結局、ジリ貧になっていく白人層は、溺れる者は藁をも掴む心境のようだ。

日本もこうならないように願いたいのだが。

 

 

様々な疑問

 

A: 経済に創造的破壊は必要だが、大統領が旗を振ってうまく行くのだろうか?

 

歴史的には、イギリスの産業革命などのように、良い創造的破壊が起きる時は、それぞれの利益を代表する集団が交渉し妥協しながら自由裁量権を得て、イノベーションへの意欲が持続する時です。

残念ながら、現状は金権政治(超富裕層による支配)で社会の調整機能が失われているのですが。

 

彼が進める公害防止や金融規制などの緩和・撤廃、また相続税廃止などの富裕層減税は、明らかに弱者を増やすだけで、創造的破壊とは別物です。

 

世界を牽引している米国の情報通信などのイノベーションは政府の関与とは言えない、また移民も大きく関わっている。

 

 

 

B: 大統領に破壊を期待すると、何が起きるか?

 

レーガンの経済政策により、後に米国は双子の赤字と格差拡大で苦しむことになり、日本は円高を飲まされることになった。

 

エリツィンの経済政策により、ロシアはハイパーインフレを起こし経済破綻し、プーチンの独裁を招くことになった。

 

ヒトラーの例は既に述べました。

 

レーガンはインフレを抑制し冷戦終了を導いた、またエリツィンはソ連崩壊と共産経済の低迷からの脱出を導いたと言える。

 

結局、国民は混乱に備え、相当の覚悟が必要です。

 

 

 

C: 大統領に人格や見識は必要ないのだろうか?

 

例えば、彼は数度の倒産にもめげず大富豪に成り得たのだから素晴らしい胆力と能力を持っていると評価される。

見方を替えれば、幾度も借金を踏み倒し、従業員を路頭に迷わせたのだから、無計画で無責任な人間とも言える。

 

実際、彼のビジネス手法には違法まがいが目立ち、また脱税(節税)しているらしい。

はたしてこのような人物に国を任して良いのだろうか。

 

 

D: トランプを期待する心理の不思議。

 

概ねトランプを評価する著者らは共和党寄りのように思える。

彼らは民主党政権には辛辣だが、共和党への悪口がまったくない共通点がある。

逆も真なりですが。

 

例えば、ヒラリーは多額の献金を受け、戦争を拡大させ、裏で汚い事をしていると罵る。

また民主党政権は中東で手を打たなかったから戦火が拡大したと言い、一方でトランプは外国に干渉しないから、世界は平和になるとも言う。

中東を大きく混乱させたのはブッシュ親子だと思うのだが。

 

私は、どっちもどっちで、まだ民主党の方が少しましなように思えるが。

 

また、盛んに陰謀論を唱える福島隆彦は2016年7月出版の本で、ロックフェラーがトランプに決めたと自慢げに書いている。注釈1。

キッシンジャーとトランプの娘婿の父親は共にユダヤ系の大物であり、彼らが仲介したと説得的でした。

 

しかしその年の4月の彼の本を見ると、ロックフェラーがヒラリーに決めたと書いていた。注釈2.

 

陰謀論は読んでいてワクワクするが、少し考えれば腑に落ちないことが見えてくる。

 

 

まとめ

やはり、米国は病んでいる。

米国主導のグローバリズムによって世界も病んでいる。

グローバリズムが悪いわけでは無いが、自由放任が悪い。

 

いつしか、既得権益層が社会を牛耳り、格差拡大が蔓延し、大衆の団結を防ぐ為に疑心暗鬼が煽られ、分断が深まった。

そして社会を変えられない大衆が焦り、そしてポピュリズムによる大きな左右への揺れが起きた。

 

この状況は、帝国主義やファシズムを生み出した社会と酷似しているように思えるのだが。

この時も、ナショナリズムと保護主義が世界に蔓延して行き、2度の大戦へと繋がった、

 

皆さん、どうか自分の身を守る術を考えておいてください。

 

 

 

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*3

 

 

参考文献の紹介

*「トランプがはじめた21世紀の南北戦争: アメリカ大統領選2016 」

渡辺由佳里著、2017年1月刊。

 

彼女は米国で長年暮らしているジャーナリスト。

この度の大統領選の集会などを直に取材し、市民の眼からレポートしている。

トランプを支持する人々(主に白人)の実態が良く伝わってくる。

彼女はヒラリー寄りで、リベラル派の惨敗に気落ちしている。

 

 

*「トランプ政権でこうなる! 日本経済 」

岩崎博充著、2016年12月刊。

 

彼は日本在住の経済ジャーナリスト。

この大統領選挙を取材ではなく資料や本から分析しているようです。

トランプが選ばれた背景を妥当な情報で分かりやすく解説している。

私の感じでは、中立的な立場で、トランプ政権の今後を占っている。

彼はトランプによって災いが起きることを恐れている。

 

 

*「なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか? 」

佐藤 則男著、2015年11月刊。

 

彼はニューヨーク在住40年を超えるジャーナリスト。

書かれたのが序盤戦(予備選)の時期なので切実感はないが、米国大統領選の裏表を見せてくれる。

また序盤でのトランプへの悪評とヒラリーへの嫌悪感がよく伝わってくる。

彼は共和党寄りです。

 

 

*「トランプ大統領とアメリカの真実」

副島隆彦著、2016年7月刊。

 

彼はアメリカ政治思想研究の第一人者と自称している。

大統領選が混沌としている中で、早々とトランプで決まりと発言している。

本は読んでいて面白い。

米国の政治思想史や支配層の人脈を縦横に駆使しながら大統領選を鮮やかに分析している。

陰謀説で、踏み込んで断定する割には、2017年2月20現在において、多くが外れている。

極端で眉唾ものと思って読む分にはよい。

なぜか、この手の本はアマゾンでは評価が高い・・・。

 

 

*「『闇の支配者』最後の日々」

ベンジャミン・フルフォード著、2016年4月刊。

 

彼はカナダ出身のジャーナリストで日本に帰化。

この本ではトランプは扱われていませんが、米国の裏側を知りたいと思って読みました。

日本、米国、世界を股にかける闇の支配者が出て来ます。

私には、真贋を検証する力がありませんので、途中で放棄しました。

これもアマゾンでは評価が高い・・・。

 

 

*「トランプ・シフト これからの世界経済に備える14のこと」

塚口直史著、2016年12月刊。

 

彼は大成功しているヘッジファンドマネージャーで、世界の政治史にも見識がある。

この本は、トランプ後の世界の経済・金融を理解するには必見です。

経済用語が出て来て読みづらいところはあるが、読めば世界の現状と混乱の広がる様子を知ることが出来ます。

日本のアベノミクス、日銀政策についても明快な判定を下しています。

 

彼は、現実に大きな資金を運用する立場にある為、この危機にあって、今は様子待ち(手元流動性を高め)を行い、しっかりと備えるべきと警鐘を鳴らしています。

 

私がトランプの次に恐れているのは、中国経済の崩壊ですが、これがトランプによって更に悪化するかもしれない。

世界の悲運は、政府の些細な判断ミスや外交ミスの積み重ねで訪れるものです。

 

これで終わります。

 

 

注釈1

既述の「トランプ大統領とアメリカの真実」

 

 

注釈2

「マイナス金利「税」で凍りつく日本経済」副島 隆彦 著。

 

 

 

 

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Something is strange! 50: Wonder of the U.S. presidential election


何か変ですよ! 50: 米国大統領選の不思議

 

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There is what I always have wondered about.
Why will people look the other way on future crises?
I look at such example in current the U.S. presidential election.

 

私は常々、不思議に思うことがあります。
なぜ人々は未来の危機から目を逸らすのでしょうか?
その例を米国大統領選から見ます。

 
Wonder of the U.S. presidential election
To emerge from current distressed condition, certain people refuse existing politician, and appeal the necessity of Donald Trump being a shrewd manager.
Will they appeal it knowing who invited the current distressed condition?

 

At every presidential election, they have chosen certain political party which used the dangerous means (reduction tax, favorable treatment of a wealthy class, monetary increase, deregulation) under the pretense of economic revitalization.
As a result, the economy of the U.S. rose, but financial crisis was repeated, and income gap continued to spread.
Some economists always sounded an alarm bell for this crisis.

 
米国大統領選の不思議
トランプ氏を支持する人々は、今の窮状から抜け出すには、既存の政治家ではだめで、経営者トランプ氏の辣腕が必要と訴える。
彼らは、誰が今の状況悪化を招いたかを知って訴えているのでしょうか?

 

彼らは大統領選の度に、経済活性化と称して危い手段(減税、富裕層優遇、貨幣増発、規制撤廃)を使う政党を選んだ。
その結果、米国の経済は上昇したが、金融危機は繰り返され所得格差は拡大する一方でした。
以前から、一部の経済学者はこの危機に警鐘を鳴らしていた。

 

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< 2. The U.S. economic growth and a change of income >
< 2.米国の経済成長と所得の推移 >

 

Upper chart: a green line is the U.S. economic growth.
The economy increased to approximately 2.3 times between 1980 and 2010.

 

Lower chart: a change of each quintile income.
The highest income class increased to approximately 2 times between 1980 and 2010, but the lowest income class only increased to approximately 1.1 times in the same period.

 

上のグラフ: 緑線が米国の経済成長。
1980-2010年の間で約2.3倍に経済は拡大した。

下のグラフ: 年収5分位の年収の推移。
1966-2010年の間で、最高所得層は約2倍、最低所得層は約1.1倍に過ぎなかった。

 

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< 3. changes of income differentials and political party approval rating in the U.S. >
< 3.米国の所得格差と政党支持率の推移 >

 

Upper chart: a dark blue line is a change of Gini coefficient in the U.S.
Three green frames show the political administration by other political party.
The bigger the Gini coefficient, the larger the income differentials.

 

Lower chart: a black line indicates the approval rating of unaffiliated voters.

 
The different political party have corrected the income differentials, so the Gini coefficient decreased, but it was like a drop in the ocean.

 

In addition, the ardent support to the political party decreased, and unaffiliated voters increased, and distrust of politics advanced.

 

They ignored these clear omen for 20 years, and only demanded near-term economic recovery.
In an extreme case, it may be said that they appealing invited this current distressed condition.
Furthermore, will they jump at the stopgap dangerous policy here?

 

I think this is mysterious.

 
上のグラフ: 紺色の線が米国のジニ係数の推移。
緑の枠が別の政党の政権時代。
ジニ係数の高い方が、所得格差が大きい。

 

下のグラフ: 黒線が無党派層の支持率。

 
別の政党は逆の手段を講じ格差を是正し、ジニ係数は低下したが、焼け石に水だった。
また政党への熱烈な支持が減り、無党派層が増えて、政治不信が進んでいた。

 

20年も前から、これら予兆は明らかだったのに、彼らはこれらを無視し目先の景気回復を求めた。
極論すれば、今、訴えている人々が、この窮状を招いたと言える。
さらに、ここで急場しのぎの危い政策に飛びつくのでしょうか?

 

私は、このことが不思議でならない。

 
Why will the people ignore omen of crisis?
The reason is mainly three.

 

1. Person does not notice the omen of the crisis.
This is because the person shows disinterest in it and is a lack of understanding about it.

 

2. Person can not evaluate which crisis is the most important.
Even if the person interested about future crises, it is difficult to evaluate them because future crises are almost innumerable.
For example, these crises are war, economic ruin, global warming, resource depletion, and refugees.

 

Furthermore, there is an embarrassing situation.
The huge vested interest group makes full use of political ability and propaganda.
Because of this, it becomes hard to see more and more what is true crisis.
For example, this vested interest group is people profiting from expansion of income gap, war, or oil consumption.

 

3. Person does not know good measure.
People being amateur cannot but choose opinion of the expert, and this is also difficult.

 

Thus, it is considerably difficult that person foresees future crisis, takes measures beforehand.

 
なぜ人々は危機の予兆を無視するのでしょうか?
その理由は大きく三つあります。

 

1.危機の予兆がわからない。
これは人々の無関心と無理解が一番大きい。

 

2.どの危機を重視すべきかがわからない。
関心があったとしても、将来の危機はほぼ無数にあるため、何を優先すべきが分からない。
例えば危機には戦争、経済破綻、地球温暖化、資源の枯渇、難民などがあります。

 

さらに厄介なのが、巨大な既得権益層が政治力とプロパガンダを駆使していることです。
これにより国民は何が真の危機かが益々見え難くなります。
既得権益層とは所得格差や戦争、石油消費などの拡大で利益を得る人々です。

 

3.対策がわからない。
素人の国民は専門家の説を取捨選択するしかなく、これがまた難しい。

 

結局、将来の危機を予見し、事前に対策することは、かなり困難なのです。

 

At the end
But, when I look back on world history, there were many crises that we must prevent the buds of at an early stage.

 

One of a large number of crises approaches the limit, and the crisis comes out in the open in response to something suddenly.
And the people lose cool, and may take a wrong course to the opposite direction.
This often caused the worst situation.

 

The typical case is fascism that happened in Germany or Japan after the imperialism era.

 

The most important is that people deepen understanding about social problem and history, keep monitoring the political developments, and deal with buds of crisis calmly.

 
最後に
それでも歴史を振り返ると、危機の芽を早めに摘んでよけば良かったと言うことは多い。

 

多数の危機のいずれかが限界に近づき、何かを切っ掛けにして危機が突然表面化することになります。
そして人々は、冷静さを失い舵を大きく逆方向に切り過ぎることがあります。
これが往々にして最悪の事態を招いて来た。

 

帝国主義時代の後に起こった、ドイツや日本のファシズムなどがその典型です。

 

重要なことは、国民が社会問題や歴史について理解を深め、日頃から政治を監視し、冷静に対処し続けることです。

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何か変ですよ! 49: 岐路に立つ


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今まで、日本と世界の危惧すべき状況を概観して来ました。

最後に、我々は何を目指すべきかを考えます。

 

 

先ず、問題点を整理します。

 

日本の問題としては、以下の三つが重要でしょうか。

A: 経済対策のリフレ策の継続。

B: 憲法を改正して軍備を強化し米国との軍事同盟を強化。

C: 原発の推進。

 

一方、避けられない世界的な脅威が迫っていました。

D: 異常気象を頻発させる地球温暖化。

E: 食料や資源・エネルギーの枯渇。

F: 各地の内戦(中東紛争など)と難民の増加。

 

さらに、世界的に進行している脅威がありました。

G: 強権的(非民主的)で排外主義(非協調性)の風潮が益々強まっている。

 

 

2a

*2

 

 

何を優先すべきか

私は大惨事をもたらし、かつ一度始まれば加速して悪化する脅威に対処すべきだと考えます。

 

そのためには「世界の協力体制」を一層進めることです。

現実には、この21世紀になってから「対立する世界」へと悪化しています。

 

 

 3

< 3.タックスヘイブン >

 

世界が協力しなければならない理由

 

* 経済面

端的に言えば、政治不信を生む硬直化した政治は極端な経済格差が招いた。

例えば経済格差が少ない国ほど投票率が高く、政治不信が少ないと言える。

 

これを是正するには、富裕層への適正な累進課税が必要だが、これが野放しにされる言い訳に、世界的な課税が不可能だと言うのがある。

現状は、各国がバラバラに富裕層や企業に優遇税制、直言すれば脱税(タックスヘイブン)に手を貸して、景気対策と称して無駄な競争を続けている。

これも銃の保有と同じで、回りまわって大半の国民にしわ寄せが及んでいるのが現状です。

フロンガス規制など、世界は少しづつ世界的な規制を可能にして来た。

 

また、各国が市場を閉ざすことは、いずれ経済を悪化させるでしょう。

但し、現在、批判されているような不平等な結果を招く経済行為(グローバル化)を世界が規制する必要がある。

 

 

 

 

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< 4. 難民申請者数の推移、難民の実数は約2倍ある >

 

* 軍事面

端的に言えば、一部の大国の気ままな軍事侵攻が、世界各地に紛争を撒き散らしている。

確かに、一部では平和に貢献しているが、全体でみれば弊害の方が大きく、さらにその後遺症で世界は苦しむことになった。

冷戦時代の方が死傷者の多い代理戦争はあったが、今世紀になってから紛争地の拡大に伴って難民数はうなぎ上りです。

これがすべて軍事大国によるとは言えないが、恣意的な軍事侵攻、軍事や武器の援助、蔓延する武器が火に油を注いでいるのは疑いない。

 

 

* 政治面

現在、各国で排外主義や強権的な世論が沸き上がるようになり、世界は上記の問題を解決する為の協力体制を採ることが出来なくなりつつある。

 

 

 

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*5

 

*全体として

地球全体で起きる食料や資源・エネルギー源の枯渇、地球温暖化に対処するには、世界の協力体制が絶対に必要です。

 

 

こうして見てくると・・・

確かに、日本の現状に不安材料-巨大な累積赤字、将来不安な福祉制度、継続的な社会発展などはあるが、さらに重要なことがある。

円安、株高、企業収益、経済成長もどちらかと言えば、その影響は短期的な波のうねりに過ぎないだろう。

 

一番のポイントは、今まで来た道、特に欧米の悪しき先例を追い求め深入りるのか、数年先を見据え、先手を打ち始めるべきかと言う選択です。

当然、欧米の良い先例もたくさんあるので、それを見習う手もあるのですが。

 

 

これで今回の連載は終わります。

ご拝読ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 48: 最大の脅威 2


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*1

 

 

前回、一握りの富裕層に世界の富が集中し始めている状況を見ました。

今日は、これが引き起こす問題を検討します。

 

なぜ富が一部に集中することが悪いのでしょうか

私が最も恐れるのは、民主主義と協力体制が崩壊することにより世界が大惨事に見舞われることです。

崩壊に至る大まかなシナリオを説明します。

 

 

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< 2. 世界各国のジニ係数、赤ほど格差が酷い >

 

一部の富裕層が巨額の資産を保有することで、豊富な資金を使い政治家と世論の操作を可能にする。

彼らは、自らに都合のよい施策を行い制度を改悪し、富裕層はさらに豊かになり、しわ寄せは政治的弱者に向かう。

こうして格差は拡大し続け、行き着くところまで行くことになる。

このシナリオは世界各地で繰り返し起こっている古代から中世、現代に続く歴史的事実です。

 

これが進むと、次の三つのことが起こるだろう。

 

A: 大半の国民は、無気力になり、政治不信が蔓延する。

 

B: 大半の国民は、募る不満を手頃な打開策やスケープゴートに求める。

 

C: 大半の国民は、ついに民主主義的な解決を放棄する。

 

このシナリオを現実にはあり得ないと思われるかもしれません。

しかし、すでにAのBの兆候を見ることが出来ます。

 

 

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< 3. 欧米の投票率 >

 

 

その兆候とは何か

A項の無気力と政治不信は欧米で30~40年前から徐々に始まっていた。

 

欧米と日本で共通して、投票率の低下や二大政党から多党化へ、浮動票(無党派層)の拡大が続いています。注釈1.

これは政治不信が深まっていることの表れです。

これは格差拡大によって起こったと言うより、大変革時代の後の保守的傾向、良く言えば安定の時代がもたらしたと言える。

この初期は、一部の富裕層だけでなく、中間層を自任する人々にとっても良い時代だった。

一方、取り残された人々や下層の人々には夢のない時代だったのでしょう。

それでもまだ全員が経済成長を享受できたのです。

 

しかし、社会の深層で変化が起きていた。

多くの中間層と一部の富裕層すら所得を減らす一方、超富裕層の出現が耳目を集めるようになりました。

米国では80%以上の国民の所得が下がり続けて、格差は拡大を続けています。

これに国民が気が付いた時は既に手遅れで、政治や選挙は大金(米国ではロビストなど)に左右されるようになっていた。

こうなると、国民の不満や要望は政府に届かず、破れかぶれで手頃な打開策やスケープゴートが求められるようになった。

 

こうしてB項の状態が出現することになる。

これが現在のトランプ現象であり、英国のEU離脱です。

この前触れとして、欧州のネオナチやタカ派のポピュリズム(大衆迎合主義)が盛んになりつつあった。

 

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< 4. 崩れるかEUの結束 >

 

 

今はどの段階か

私はこのまま放置すれば、やがてC項の状態に至り、最悪、世界大戦が始まる可能性があると思います。

 

そのシナリオを語る前に知って頂きたいことがあります。

 

英国のEU離脱がわかりやすい例です。

話は遡るが、EUの誕生は第二次世界大戦の引き金になった独仏国境の石炭地帯を共同管理しようとして始まりました。

これは画期的な事でしたが、残念なことに各国は経済で協力するが、政治には干渉しないことで合意せざるを得なかった。

国家間の経済格差が大きい中での通貨統合は非常に困難なのですが、そのうえEU全体として管理出来ないのは問題でした。

そのことが、ギリシャの破綻などを招いてしまいました。

本来、米国のよう連邦制を執るべきだのですが、英国などは強く反対した。

 

つまり、EUの当初の目的は戦争回避だったのですが、いつの間にか共通経済圏に留まってしまったのです。

 

また今回の英国のEU離脱は、第二次世界大戦前に起こった世界恐慌を受けて各国が保護貿易に走ったことを連想させます。

この後、そのことにより世界経済は急速に悪化し、やがてファシズムの台頭を生む歪な世界へと変質していったのです。

 

 

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何が起きているのか

結局、多くの国民は見かけの経済成長から自分が取り残されていると気付き始め、訳も分からず不満を募らせることになった。

しかし、既に政治は彼らの意向を反映しなくなっていた。

この状況は先進国でもスェーデンやドイツ、日本と米国ではかなり違います。

さらに軽妙に語られる打開策はいつも不発に終わる中で、彼らは政治に不信を持つようになり、親から子へと不信感は伝染していった。

 

そして、現実に企業倒産や失業、難民の増加、福利厚生費の減額などに接すると、彼らは即効性のある打開策を求めるようになります。

 

このような不満が鬱積し信頼感が廃れた社会では、排外的で強権的な解決策を提示する指導者が好まれるようになります。

その理由は、短期的には他者を犠牲にすることであって、自分が不利益を負うことのない解決策だからです。

しかし、冷静に考えれば、これは回りまわって自らに降りかかる災厄となります。

これは、銃保持や前述の第二次世界大戦前後の教訓が示しています。

 

我々はこの状況にどう対処すれば良いのだろうか?

次回、考察します。

 

 

 

注釈1.

欧米の選挙や政党の動向について「絶望の選挙結果6、7:劣悪な政治文化4、5」で解説しています。

 

 

 

 

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何か変ですよ! 47: 最大の脅威 1


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前回、地球温暖化と資源枯渇の脅威が迫っている事を見ました。

しかし最も恐ろしいのは人間社会の劣化です。

今日は、この事について考察します。

 

 

はじめに

不思議な事に、交通事故や銃犯罪、原発事故、戦争、地球温暖化、資源枯渇の災厄に共通するものがあります。

それはローマ帝国やイースター島の文明崩壊と同じように、人間社会が生み出し、かつ制御が問われる惨事なのです。

 

これは実に単純な事実です。

これらは自然の限界もあるのですが、冷静になって科学的な見地に立ってば解決出来るはずです。

 

しかし、このことが出来ずに多くの文明崩壊や大参事は起こっています。

しかも現在、私の見るところでは世界は勢いを増して悪化しています。

 

 

 

2 タックスヘイブン-1

< 2. この世の天国、タックスヘイブン >

 

 

何が悪化しているのか

二つの悪化が目立ちます。

 

経済的な悪化: 1ファンドの投機買いに始まるアジア通貨危機よって東南アジアと東アジアは大参事に見舞われ、タイ一国だけで5万人の病死者が増加した。注釈1。

 

政治的な悪化: 米国の大統領候補トランプ氏の人気や英国のEU分離に見られる排外主義の横行です。

 

 

経済的な悪化の例

 

*パナマ文書に見られる租税回避。

これは富豪になればなるほど合法的に税逃れが出来ることを意味します。

おそらく世界の総資産の約10%(日本のGDPの約2倍)が隠され、税を逃れているでしょう。

 

*この30年間、米国を筆頭に欧州や日本でも進められている累進課税のなし崩し。

例えば、所得税の最高税率を低下させ富裕層を優遇して来たことなどです。

 

*グローバル化と自由競争の名のもとに巨大資本や大国の権威(正義、法、軍、情報など)を背景に、企業が後進国を食い物にし疲弊させている。

例えば、小麦や石油などの商品価格の操作などで、弱小国の産業や食料事情に打撃を与えている。

 

何が悪化をもたらしたのか

このことから直ぐ連想するのは、格差拡大とグローバル化でしょうか。

しかし、この理解は少し違います。

 

国内と国家間の格差は日を追って増し、格差拡大がさらなる拡大をもたらす社会要因(教育格差など)はありますが、結果に過ぎない。

その元凶は、既得権益層が巨大化し、世界や国家を方向付けるようになったことにあります。

 

 

3 税率-1

< 3.1980年代から始まった所得税の最高税率の低下 >

 

しかも、その発端は最近のことなのです。

富裕層を優遇する施策は、高々ここ30年ほど前から欧米で始まったのです。

20世紀前半、労働者の権利擁護によって賃金上昇が進み、経済成長(ニューディール政策などで)が起こったのですが、インフレが高進し、社会は制御不能に陥りました。

これを貨幣供給量の管理で一挙に沈静化させ、新たな時代が始まりました(マネタリズム)。

この時に、それまでの反動として政治や経済で自由主義が謳われたのです(サッチャー首相)。

 

当時、欧米の多くの国民はこの方向転換に拍手喝采したのです(レーガン大統領、中曽根首相)。

つまり、最初は国民の合意の下で行われたのです。

しかし、それは経済格差(所得格差、資産格差)を徐々に引き起こしていたのです。

 

 

その後、国民はこれにどのように対処したのでしょうか?

あえて言えば、皆は追認か放置したと言えます。

なぜ、欧米と日本の国民は自分の首を絞めることになる施策を受け入れ続けたのでしょうか。

これも単純なのです。

 

はじめは徐々にかつ深く進行していきました。

しかし、富が一度集中し始めると、あらゆる投機手法で資産は20年間で5倍にもなります。

例えば、資産は年平均利回り8%の20年間運用で4.7倍になりますが、米国の大規模運用では利回り6~10%が実績でした。

 

 

4 資産増加-1

< 4. 20年間の大富豪の資産増加率 >

 

そうすると、そのほんの一部の資金を政治や宣伝工作に使うだけで、政治家と世論を誘導出来ます。

金額に比例はしませんが、続ければ大きな影響を与えることが出来ます、日本の原発世論が反対から賛成に転換したように。

また2012年度の米国の大統領選挙と両院選挙の費用は総額約5000億円でしたが、これは数十人の大富豪が数%のポケットマネーを拠出するだけで事足りる金額です。

 

最近の米国の施策、富裕層への減税や一度成立した企業への公害規制法の破棄などをみれば一目瞭然です。

結局、豊富な政治資金(裏金、献金、広告費)を有する一握りの階層の誕生が元凶なのです。

これは企業の独占状態(カルテル)と同様の悪影響を及ぼすのです。

 

それでは国民はこの事に気がつかないのでしょうか?」

 

これは微妙ですが、むしろ次のスローガンに釣られてしまうようです。

「国を取り戻す」、「経済を復活させる」

これは最近の日本や英国のEU離脱派の専売特許ではなく、ヒトラー総統やレーガン大統領も使った心地良い、幾度も繰り替えされて来た謳い文句なのです。

 

 

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< 5.格差拡大の状況 >

左図: 世界の経済格差(ジニ係数は1が最悪)は現在、高止まりしている。

右図: 主要国の国内の所得格差は猛烈に拡大中。

 

 

なぜこのようになってしまうのか?

一つには格差を告発し続けている経済学者ピケティやクルーグマンのように、既得権益の代表格である金融界から自立出来る学者は皆無に近いのです。

例えば、ホワイトハウスで金融政策を担うのは、ほとんどゴールドマン・サックスの人々です。

多くのエコノミストは政財界に繋がることで生きていけるのであり、同様なことが他でも見られます。

反権力を謳い文句に活躍できるのは少数で、貧弱な資金と情報、孤立に耐えなければならない。

 

その政財界側のエコノミストがピケティの世界的な累進課税や国内の所得税増税の提言について意見を聞かれたら、決まってこのように答えるでしょう。

「前者は現実に不可能だ。後者は、増税すれば富裕層が国外に逃げてしまい、結局は経済に逆効果だと!」

これを聞くと、多くの国民は、現行制度の延長でやらざるを得ないと諦めることになる。

 

また、わざわざ自国の格差問題を正直に公表する国はありません。

さらに感情に訴える御用新聞は偏向して伝えるでしょう。

一部のマスコミや研究者は真実を訴えるでしょうが、多くの人はそれに触れることはない。

これでは、国民はよほど悪化するまで気がつくことはない。

 

それにしても残念なのは、そのからくりを多くの人が知ろうとしないことです。

世界機関(国連、OECD)や海外の研究所などがインターネット上で分析結果を発表しているのですが。

 

 

次回に続きます。

 

 

注釈1

連載「ピケティの資本論 19: 今、世界で起きていること 2」

 

 

 

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何か変ですよ! 46: 様々な脅威 2


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今まで、交通事故、銃殺人、戦争勃発、原発事故の脅威について概観しました。

今日は、さらに深刻で避けがたい脅威について考察します。

前者は現実にある脅威なのですが、後者は地球上初めて起こるであろう脅威です。

 

はじめに

2010年12月に「アラブの春」が起きて、中東アラブは騒乱の渦に巻き込まれました。

この背景にこの地域の困窮や政治腐敗、市民意識や情報網の発達がありました。

しかし、さらには地球規模の穀物の高騰があったのです。

 

エジプトは必要な小麦の半分を輸入していますが、2010年に小麦価格が6年前の約2倍になっていたのです。

ただでさえ貧困ラインすれすれの生活をしていた若者は、耐えられない状況に追い込まれたのです。

 

近年、頻発する穀物価格の高騰はなぜ起こるのでしょうか。

地球温暖化による異常気象の頻発で、2010年にはロシアで干ばつが起き、これが上記の価格高騰の理由でした。

しかし米豪でも干ばつが繰り返され、収穫量は低下傾向にあり、高騰は続いています。

 

 

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< 2. 小麦価格の高騰 >

 

 

今、世界で何が進行しているのか?

一つは、地球の限界または自然サイクルの崩壊です。

 

前述の地球温暖化による穀物収量減はほんの一例に過ぎません。

最近、やっと科学的事実として認知され始め、世界が協力して対策を取り始めた。

しかしまだ、産業界(特に米国)は高コスト化を嫌い、発展途上国も実施には二の足を踏んでいます。

その間、温暖化は進み、再生手段が見つかっていない以上、取返しのつかないことになる可能性が高い。

世界の水産資源も自然の産出では賄えず、養殖の増産で不足をカバーしています。

地下資源の枯渇は目前で、価格の高騰で節約と代替えが進み、なんとか凌いでいます。

 

今、温暖化ガス排出の制限や食料増産技術の開発、代替えの鉱物資源とエネルギーの開発に本腰を入れることが出来ればまだ間に合うかもしれません。

 

このまま放置すればどのような事態が起きるのでしょうか?

現在、難民の大量発生が欧州の分裂を生んでいますが、やがて難民の規模は拡大し、さらにアジアや他の大陸でも同様な事が起きるのは間違いありません。

異常気象の連続で食料生産と生活が出来なくなれば、必然でしょう。

 

今一つ恐れるのは、枯渇資源の獲得を巡って国家や地域が戦端を開くことです。

これは世界的な規模で起こるでしょう。

それこそ各国に自衛権があるのですから(冗談)。

核戦争や原発事故も怖いが、この脅威の方が確実に迫っています。

 

 

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< 3. 異常気象の影響 >

 

 

私達はどうすれば良いのでしょうか?

前述した対策を世界が協力して実施する以外に道はありません。

それこそが、破滅を防ぐ唯一の方法です。

しかし、これが絶望的なのです。

 

その理由は現在の社会や経済システムにあります。

例えば、穀物価格の高騰は干ばつだけが原因ではないのです、大量の投機資金がそれを煽っているのです。

本来、商品市場で先物が開設されたのは商品(石油や小麦など)を利用する企業が価格の乱高下から経営を守るためのものでした。

 

 

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< 4. 増加の一方の投機資金額、多くが短期的な売買益を狙う >

 

しかし、有り余る資金の暗躍は想像を絶する脅威を引き起こしています。

端的な例は、1997年にタイで起きたアジア通貨危機でした。

これは一ファンドが数兆円の利益を得る為に仕掛けた通貨の空売りに始まりました。

こうして、東南アジア各国は大幅な景気後退、大量失業者の発生、それに続く厚生予算などの低減で、多くの底辺の人々が病気を悪化させ、死亡に至りました。

これを救う為に、世界と日本は約1兆円の支援を行いました。

 

また地球温暖化について言えば、米国は最大の二酸化炭素を排出していながら、京都議定書の批准を拒否し、米国内で盛んに温暖化は虚偽であるとのキャンペーンが行われている。

これは産業界からの政治圧力と支援によるもので、銃保有のキャンペーンも同様です。

 

また、20世紀前半、大戦後の欧米の経済復活の指針となったケインズの総需要喚起政策(労働賃金の上昇など)が盛んに否定されている。

それは、その後のスタグフレーションを解決したフリードマンの貨幣供給管理を信奉する人々が行っているのだが、その実、彼らは現在の金融政策の実りを最も得ている富裕層なのです。

民衆がマスコミを通じて、これら温暖化無視、銃保有、金融政策拡大のキャンペーンを真に受けてしまう可能性は高い。

この扇情を行う人々は圧倒的に政治力と資金を有するのですから。

 

 

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< 5. 投機資金増加の理由 >

世界の富豪の人数と資産が急増している。

現在、富豪1400人の資産総額は5.4兆ドル(日本のGDPに相当)になった。

またトップ62人の資産は世界の下位50%(36億人)の資産と同額になりました。

 

 

つまり、何も無いところから災厄を引き起こすのも人間社会だが、自然災害を最小に出来るのも人間社会なのです。

後者をうまく機能させることが最重要で、これが破壊されつつあることが最大の脅威なのです。

 

 

いつの世にも繰り返されて来た事

今、示した脅威は絵空ごとに過ぎないのでしょうか。

 

その例はローマ帝国やイースター島の末路に象徴されている。

共に、数百年をかけて繁栄を築き、やがて半世紀あまりで滅亡した。

ローマは異民族に滅ぼされたと言うより、これは切っ掛けに過ぎない。

領土拡大で繁栄を築いたが、やがて限界が来て、巨額の軍事費と異民族の軍隊に依存していたことが内部崩壊を招いたと言える。

 

太平洋上に浮かぶイースター島では、長らく各部族が森林伐採を自由に行っていたが、ついには競争となり、最後には森林資源を枯渇させて島を放棄することになった。

 

多くの文明はその内に崩壊の要因を抱え、ある時、人々はその兆候に気付くことになるのですが、時は既に遅しで、雪崩を打って崩壊へと向かうようです。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ! 45: 様々な脅威 1


 

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前回、日本は自ら交通事故や銃犯罪を減らし安全を手に入れていることを見ました。

しかし、私たちの世界にはまだまだ脅威が溢れています。

身近なものに天災、原発事故、戦争があり、将来的には資源や食料の枯渇、難民、地球温暖化などが懸念されます。

少し問題点を整理しましょう。

 

 

前回に続いて

米国は銃規制が実施出来ずに袋小路に陥っているように見える。

島国の日本か見ればこの野放しは理解し難い。

一方で、英米のある州や都市だけで自ら銃規制を実施しているところもある。

厄介なのは、「自衛用の攻撃出来る武器」に矛盾がある。

特に殺傷性が高い武器ほど、例えばナイフよりもマシンガンほど被害を増大させることは明らかです。

 

 

 

 

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見えて来たもの

ここまで話が進めば、歴史を例に挙げなくても軍備が紛争や戦争を増大させることを理解出来ると思います。

もっとも現実に戦争を回避し侵略を防止するには軍備が必要で、その保有方法が重要なのですが。注釈1.

 

同様に、軍備と軍事同盟を正当化する為に、自衛権や集団的自衛権を持ち出すのも、短絡的と言えます。

自衛権や集団的自衛権(軍事同盟)について憲法学者に論争がありますが、軍事専門家(戦略研究者)にとっても軍事同盟の評価は難しく意見が別れています。

つまり、これらは戦争を防止する打ち出の小槌ではないのです。

 

これらは歴史的に、当然の事として受け入れられて来たが、2回の大戦を通じて世界はその恐ろしさを自覚しました。

しかし、残念ながら超大国の拒絶にあい国連憲章にその文言を入れることが出来なかった。

そして、また同じ道を突き進んでいる、まるで銃の氾濫と同じように。

 

核ミサイル攻撃や戦争ともなれば被害は甚大です。

数万人で済めばよいが、数百万人、いや地球に人類が住めなくなるかもしれません。

くれぐれも注意して事を進めなければなりません。

一度道を踏み外せば、戻れないことを肝に銘じて下さい。

 

 

 

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原発事故について

今、日本は原発の利用で迷走しています。

 

一番のネックは原発事故をどう見るかです。

推進する政府や関連団体を信用する人々は事故を無視するだろうし、そうでない人は危険だと思うでしょう。

 

学者の試算では一基の事故で最悪の場合で数十万人が死に、その地域は永遠に汚染されたままになります。

しかし、現実にそのような大災害は起きていない。

チェルノブイリ原発事故による死者数は、各種団体が数十人から数万人以上と発表しています。

どちらにしても交通事故や殺人による累計死者数と比べると特に大きいわけではない。

経済を優先するなら、既存の原発を捨てるのは惜しいだろう。

 

一つ、事故に対する信頼性を判断するヒントがあります。

原発事故では、被害者は一般国民で、加害者は原発事業体とに別れています。

さらに高度な科学技術と巨大産業によって成り立つ事も見逃せません。

このようなケースでは、多くは情報の隠蔽や捏造が起こり問題点が国民に届かなくなります。

残念ながら、それを是正する文化は日本では未成熟です。注釈2.

 

 

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原発が普及するにつれ世界中で想定外の原発事故が起きている。

初期にあれほど楽観的だった米国や日本の関係者や学者は、事故が起こるたびに、安全基準を引き上げ続けて来ました。

これは今までの文明の利器とは異なります。

その違いは、設備の巨大さと放射能事故の異常さに由来します。

初期の安全性は各部品の寿命(確率)でしたが、最近の日本では耐震性で評価されています。

しかし最も恐ろしいのはヒューマンエラーで、他の利器に比べ一瞬のミスが大災害を招きます。注釈3.

 

今後もヒューマンエラーや地震、さらにはテロによる原発事故が心配です。

絶対起きないと言う方が科学的ではない。

そうは言っても、どのぐらいの規模で、何年後に起きるかはわからない。

百年前に大噴火を起こした火山島に住む人もいれば、4百年前に津波で村が壊滅しても人はその土地を離れず住むことになるものです。

なかなか、先の心配をすることは難しい。

 

こう考えればいかがでしょうか。

例えば、原発を小型化して各市町村に実施の判断を任せるのです。

仮定として、事故が起きれば最悪1000人の死者が出て、永久に村には住めないとする。

発生確率は、向こう30年間に10%(でたらめ)。

当然、この場合、補助金や奨励制度が一切無い条件です。

 

きっと、国民は妥当な判断をすることでしょう。

 

次回に続きます。

 

 

注釈1

連載「私たちの戦争」「人類の歩みと憲法」で少し詳しく説明しています。

 

注釈2

日本は集団への帰属意識が高く、組織内での内部告発が低調です。

また、国境無き記者団が発表しているように日本における報道の公正さの水準は低く、さらに低下傾向にあります。

また、報道圧迫の発言が政府高官や議員から出ても、国民の反応が低いことにも現れています。

このような状況では、企業や政府に都合の悪い情報は出なくなります。

 

注釈3.

連載「原発問題の深層」で少し詳しく説明しています。

 

 

 

 

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何か変ですよ! 44: 本当に恐ろしいことは・・・


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安全や平和を守るには我々は何を優先すべきか?

身近な所にその答えはあります。

 

 

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< 2. 日本の交通事故と銃による死者数 >

 

車社会と銃社会

日本では、交通事故の死者は毎年約4千人、銃による死者は毎年10人ほどで共に減少しています。

米国では、交通事故の死者は毎年約3万人、銃による死者は毎年約3万人で近年増加傾向にあります。

尚、米国の人口は日本よりも2.5倍多い。

 

両国共に、非常にたくさんの人が死んでいますが、日本の方が遥かに安全で平和です。

この違いにヒントがあり、最も本質的な視点が隠れています。

 

交通事故と銃犯罪には共通点があり、それは国民が被害者にも加害者にもなることです。

そこで、日本では加害者の発生を減らすべく、警察が交通違反と暴力団の取り締まりを強化することで、共にピークの1/4に減らすことが出来ました。

一方、米国では有効な施策がとれず、特に、銃による死者は増加傾向にあります。注釈1.

米国の一人一丁以上の銃保有率は、明らかに銃犯罪と自殺者の増大を招いている。注釈2.

 

そこには基本的な社会通念の違いがあります。注釈3.

日本では、銃は武器と考えられ禁止されているが、米国では逆に防具または抑止力とみなされ奨励されている。

 

3

< 3. 米国の交通事故と銃による死者数 >

上の図: 米国の銃社会の一面。

下の図:赤線が銃殺人、青線が交通事故死。

 

 

このことから言えること

人々は毎年多くの人が周囲で死亡していても、その事件や事故に自分が遭遇するとは考えず、ましてや加害者になるとは思わない。

しかし、加害者の発生を極力減らすことで、社会の安全性は格段に高まる。

米国社会は、銃によって死者だけでなく、あらゆる犯罪も増大させてしまった。

 

米国はなぜ日本のように銃規制が出来ないのだろうか?

色々理由はあるが、一つ重要なことがあります。

それは一度、銃が蔓延してしまうと、そこから徐々に銃を無くすことが困難だと言うことです。

その理由は、個人にとって銃使用(攻撃)のメリットは明確だが、保有する損失がほとんどないことで保有競争に陥り易いことによります。

しかし社会全体、長期的にみればその損失は非常に大きいのです。

この理解は重要で、最新科学でかなり解明されています。注釈4.

 

 

まだ解決手段は一つ残っており、かつて各国で、日本でも行われたことはあります。

 

 

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< 4. タカハトゲーム >

重要な用件として、ハトは全員に餌が行き渡るメリット、タカは怪我をするデメリットがある。

 

皆さんに知って頂きたいこと

安全や平和を確保することは容易ではありません。

目先の危険や恐怖に目を奪われ、一歩道を踏み誤ると取り返しのつかないことが起こりうるのです。

そして逆戻りは困難で、行き着くところまで行ってしまうのです。

 

それは日本の明治維新から太平洋戦争への道、米国のトールマンドクトリンからベトナム戦争への道、英国の委任統治領パレスチナから中東戦争への道が語ってくれています。

このことから教訓を得ることは難しいが、一度進み始めると止めることが不可能だったことだけは理解出来るはずです。

 

一つの問題点が判明しても、まだまだ現実の恐怖や他の危険がこの社会にはあります。

 

次回に続きます。

 

 

注釈1

かつて米国の銃保有率は、銃規制世論の高まりを受けて低下傾向にあったのですが、現在はまた高まっている。

米国の二大政党は銃規制と銃擁護と正反対の政策を採っており、州や年代によって銃保有率と犯罪発生に差があります。

 

注釈2

テロ事件が起きると銃が買われ、その必要性が訴えられるが逆効果です。

米国の2003年から10年間の銃による死者は35万人で、テロによる死者は312人で、その差には1千倍の開きがある。(US版『WIRED』より)

むしろ銃が増えるほど、犯罪と自殺者が増える。

米国の自殺は銃によるものが多く、銃の保有率と自殺率はほぼ比例している。

この状況は、私の連載「私達の戦争17~22: 銃がもたらすもの1~6」で詳しく説明しています。

 

注釈3

米国では、憲法で自衛権として銃の保有と自警団が認められています。

これは建国時、英国から銃で独立を勝ち取った事、さらには北米原野を銃で開拓していった経緯が今に尾を引いていると言えます。

この自警団と各州の独立性を堅持する姿勢により、第二次世界大戦後の国連で米国が戦争拡大の主要因であった集団自衛権を強く唱えることになり、米国の離反を恐れた各国が条約に盛り込まざるを得なかったのです。

もし盛り込むことが出来なければ、米国議会が批准せず、国連による団結は瓦解したのです。

 

注釈4

この手の問題は、タカ―ハトゲームと呼ばれるゲーム理論で扱われています。

これは闘争を好む固体と闘争を好まない固体が、一つの集団内で淘汰を繰り返しながら安定する状態をシュミレーションしています。

その結果は多くの人にとって常識とは異なりますが、実際の動物社会と比較しながら研究が続いています。

この理解は、社会や進化への理解を助けてくれます。

本「進化ゲームとその展開」佐伯・亀田編著、共立出版刊をお奨めします。

認知科学、進化論、動物行動学、心理学で研究されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ 43: 何がちがうの・・


1

  • * 1

 

 

私は技術者として、日々、新しい事や困難な事、また職場改善を行って来ました。

成功するには的確な分析と予測が不可欠でした。

そこで今日は、平和を求める意見の違いについて考察し、その対立がなぜ起きるかを見ます。

 

2

  • * 2

 

 

次の要望に対して、あなたはどう思いますか?

 

1問目

「ある集落が武装集団に襲われるようになり、村民が銃の携行を望んでいます。」

この現場は中東の紛争地域だとします。

 

2問目

「ある学校でいじめが横行しており、被害者の親が子供に武器の携行を望んでいます。」

これは日本の場合です。

 

3問目

「抗争相手の暴力団の規模が遥かに大きいので、部下が重火器の武装を望んでいます。」

あなたは日本の小さな暴力団の親分だとします。

 

3

  • * 3

 

 

どう答えますか

あなたは武器携行や武装に賛成、反対、それとも別の解決案を提示しますか。

 

武装に賛成する人は、弱者や被害者の身を思っての判断でしょう。

反対する人は、なぜそれを軽視するのだろうか。

反対する人は一度、武装を許すと巷に武器と暴力が氾濫し、むしろ被害が拡大すると考えるらしい。

 

どちらが正しいのでしょうか?

答えは皆さん次第ですが、幾つかのヒントはあります。

 

1問目は、多くの人は賛成するでしょう。

米国でテロ事件後に銃購入が増えるように、当事者の身になると武器携行を拒否するのは難しい。

しかし、中東での大国の武器供与による武力衝突の拡大、米国の銃社会における銃犯罪の増大を知ると賛成出来ない面もある。

そして一度、それを許すと逆戻りは不可能に思える。

 

これは大いに悩むところです。

犠牲や被害にこだわり手を打たずに放置すると災厄は大きくなるばかりです。

もし、第2次世界大戦で連合軍が10万人の戦傷者発生をためらい、ノルマンディー上陸作戦を敢行しなければ、死者5千万人を超えた戦争を終わらすことは出来なかったかもしれない。

また南アフリカで、マンデラが同胞1万人の虐殺被害にこだわって和睦を求めなかったら、アパルトヘイトは終わらなかったかもしれない。

凡人にはこんな判断は出来ないが、英断が世界を救った事例です。

 

 

2問目はあり得ない設定ですが、おそらく賛成する人はいないでしょう。

非力な我が子が暴力的ないじめを受けるかも知れないのに、権利として対抗手段(武器)をなぜ与えないのでしょうか。

一番の理由は、別の解決方法(学校がいじめを減らす対策)を採るべきだと考えるからでしょう。

これは、日本人が社会を信頼し、個人が紛争に直接手を出さないという暗黙の了解があるからでしょう(別の理由もあるが)。

私はこの事が平和の為に重要だと考えていますが、今回は触れません。

米国なら違う結果になるでしょう。

 

4

  • * 4

 

3問目では、おそらく、あなたは現実的に判断し武装闘争を諦め、相手の傘下に入ることでしょう。

 

このような事例は幾つもあります。

冷戦時代の米ソが保有していた核弾頭は合計5万発でしたが、この時、日本列島を迎撃ミサイル網でカバーすべきだと真剣に考えた人はいないでしょう。

今より、不透明で遙かに恐ろしい時代でした。

例え核弾頭の飛来を迎撃しても、一度核戦争が始まれば無意味だったからです。

もっとも迎撃も不可能でしたが。

 

北朝鮮ミサイルの迎撃は現時点で100%では無く、今後益々完全防御は遠のくでしょう。

まして中国やソ連の核攻撃まで含めると、迎撃構想は破綻します。

 

往々にして、核ミサイル配備の抑止効果よりも、近隣に核兵器開発や配備の競争を招くことになります。

このことは米ソの核開発競争が物語っています。

詳しくは「私達の戦争 44、45」で扱っています。

 

 

何がポイントか

この平和を求める議論が噛み合わないのには理由があります。

それは、ある人は現実の恐怖を重視し、別の人は未来に起きるかもしれないより大きな惨劇を予想するからです。

 

現実の恐怖心を無視出来ませんが、社会が共有した恐怖が些細な誤解や対立から徐々に高まり、さらにマスコミや政府によって煽られた事実は世界や日本に幾つもあります。

また、そのような発端と動機はいつの時代にも存在します。

 

一方、軍拡競争が戦争を招く事例も事欠かないが、今回もそうなると言い切ることは出来ません。

 

一つの事実に対して、なぜこうも認識が異なるのでしょうか。

ある人は現実の社会に概ね満足し、権威や秩序に信頼を置きます。

この人は社会の現状維持を望み、時には過去の美徳を礼賛することになります。

一方、異なる外部社会に対して排他的になる可能性が高いようです。

 

ある人は現実の社会に不満を持ち、権威や秩序に疑いを持ちます。

この人は社会の変革を求め、理想の形を想定することになります。

一方、外部社会にその理想の事例を見出そうとします。

 

両者は、信頼するものが異なり、自分に合った情報やマスコミを取捨選択するようになって行きます。

ついには、都合の悪い歴史や科学的な情報をそれぞれ無視するようになります。

こうなると、両者の意見の違いは埋まらなくなります。

 

5

  • * 5

 

 

結論

知って頂きたいことは、それぞれ信頼している論理(平和を求める案)が、両者の脳にとって心地良いだけ、錯覚かも知れないことです。

 

そうであるなら、あなたの確信を疑ってみることをお薦めします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ 42: 今、不思議な事が・・・


 

1

< 1. 寄付で豪華な返礼品 >

 

今、米国の大統領選挙で起きていることは、日本と無関係だろうか?

突如降って湧いたようなトランプ氏の過激な発言。

実は、これと日本の「ふるさと納税」が結びつくとしたら?

かいつまんで説明します。

  

 2

< 2. トランプ氏とふるさと納税? >

 

 

米国で起きていること

共和党のトランプ氏は排他的で、民主党のサンダース氏は社会主義志向で、双方とも主流から外れている。

しかし共通していることがある。

双方が両極端な主張を唱え、彼らを支持しているのは低所得層や若者層です。

既存の政党やホワイトハウスに絶望し爆発寸前に見えます。注釈1.

 

これはリフレ策を多く取り入れているヨーロッパ諸国も同様で、右傾化が目立っています。

この原因を難民問題とするのは早計で、これに遡る若年層の高失業率が長期にありました。

ここ半世紀にわたる欧米の経済政策と貧富の差の拡大がありました。

この不満に付け込むように過激で単純な解決案が発せられ、大衆は共鳴し始めている。

 

社会の鬱積しつつある不満を放置すると、何かを切っ掛けに突然爆発し、取り返しのつかないことになります。

歴史は繰り返します。注釈2

 

 

欧米の背景にあるもの

 

3a

< 3. 米国の経済状況 >

 

グラフA: 米国の経済は日本に比べて素晴らしい成長を遂げています。

これは一重に米国のFRBやホワイトハウスのお陰です。

 

グラフB:  グラフAの赤枠の時期、リーマンショックから景気回復までの期間の所得階層毎の実質所得の変化を示しています。

これは、バブルが弾けた後、上位20%の所得は回復するが、残り80%は益々貧しくなっていることを示しています。

 

グラフC: 1970年代以降(黄枠)、上位所得層10%の所得の伸び、シェア50%に今にも届きそうで、格差拡大は確実なのです。

この格差拡大の傾向は欧州も日本も同様ですが、まだ米国ほどには悪化していない。

この日米欧の格差について、私の別の連載で説明しています。注釈3

 

 

4

< 4. 踊る「ふるさと納税」 >

 

 

日本の状況はどうか 

不思議な事例として「ふるさと納税」を取り上げます。

これは納税と言うより寄付なので、個人の自由であり、故郷を思う気持ちを大事にしたい。

しかし、そこには現代を象徴する奇妙なからくりが潜んでいます。

功罪は色々あるでしょうが、ここでは3点について考察します。

 

 

先ず、経済効果を見ます

寄付受け取り側の自治体の多くは財政規模が小さく、税収不足に苦しんでいるはずで、寄付金はすぐに有効利用されるはずです。注釈4.

さらに返礼品(特産品)を地元業者に発注するのですから、地元経済の浮上に繋がる。

 

一方、「ふるさと納税者」が暮らす自治体の住民税と所得税はほぼ同額減額(控除)されます。

例えば、年間給与600万円の独身の場合、年間上限額77000円の「ふるさと納税」を行って、2000円の自己負担だけで残り全額75000円が税金控除されます。

こうして全国から返礼品目当てに別の地方に税金(寄付)が動くだけなのです。

そうは言っても全員が控除するわけではないので、全体で税収は若干増えるでしょう。(現在10%ぐらいか?)注釈5.

もちろん善意の人もいますので、ここでは大勢について語ります。

 

ここまでの説明では、経済効果はプラスマイナスゼロで、全体として増収分だけがメリットと言うことになります。

 

 

5

< 5. ふるさと納税の仕組み >

 

何が問題なのか

「ふるさと納税」の返礼品の相場が寄付の4割だとすれば、前述の例で77000円を寄付して30800円分の肉や魚、焼酎を受け取り、寄付をした人はそれらの購入費用を節約することになる。

この例では、2千円の手数料で15倍相当の商品が貰えるのです。

それも高額所得者になればなるほどその倍率(寄付限度額)がアップします。

この費用は国と自治体が負担、つまり国民の税金なのです。

現住所に納税している人にはこの特権がありません。

 

6a

< 6. ふるさと納税の問題点 「ふるさと納税制度の検証」より >

 

表4より、2013年の「ふるさと納税」は総額142億円、一人平均107000円で、その控除額は住民税43%、所得税34%の計77%でした。

赤線が示すように年を追うごとに、ほとんど控除されるようになっています。

 

表3の赤枠が示すように、所得階層別の寄付金額シェアは、2000万円~1億円の所得階層が35.2%を占め、彼らの所得税控除は最大の40%になっています。

また黄帯の所得層が、寄付金総額のちょうど中位になっています。

つまりこの制度は高額所得者に有利になっており、節税の一手段として便利です。

 

言い方を替えれば、高額所得者向けの還付金のようなもので、贅沢品の無駄遣いに税金が使われていることになる。

 

 

さらに本質的な問題がある

それは個人が税制を恣意的に差配していることです。

本来、税制の大きな役割に再分配制度があります。注釈6.

しかし現状は節税や返礼品欲しさに、特定の焼酎や高級牛肉の購入に税金が使われ、本来必要としている公共サービスや社会福祉などに使う分が減ることになります。

 

 

7

< 7. 何が起きているのか >

 

寄付してもらう自治体は5割の返礼を行っても損をしませんし、寄付する方は節税や節約が出来るので、ブームが加熱して当然です。

グラフDが示すように、「ふるさと納税」は、2013年142億円、2014年341億円、2015年1653億円と幾何級数的に増加しています。

日本は全国的に税収不足なのに、こんな愚かなことが起きているのです。

 

つまり、個人と自治体は我欲につられ、この基本的な社会システムをなし崩しにしているのです。

それを政府は便宜を図り、加勢しているのです。

なぜこのような事が起きるのでしょうか?

 

 

欧米と共通するもの

この「ふるさと納税」は、2008年に耳目を集め、軽い気持ちで始められた。

その後もエコノミストや政府はこの問題に触れない。

そして大方の国民は好感を持って傍観している。

 

皆が傍観している間に、高所得者層の節税や節約が進み、経済格差は徐々に広がって行くことになる。

さらに弱者をカバーする再分配制度も崩して行きますので、追い討ちをかけることになります。

 

グラフEが示すように、国民は日本政府の経済優先を信奉し盲従することにより、欧米と同じ道を急追しているのです。

 

「ふるさと納税」は些細な例ですが、気づかずに悪化を促進させている意味で特徴的な事例です。

これは違法でないタックスヘイブンや、所得税でなく消費税で増税したい政策と同じなのです。

 

今、国民の良識が問われているのです。

 

 

注釈

注釈1

クリントンが良いと言っているわけではありません。

ここ数十年、共和党と民主党への支持離れが徐々に進んでいました。

つまり、既存政党への失望は進んでいたのですが、今回、一気に噴出した。

 

注釈2

当然、ヨーロッパでリフレ策を採用していない国や、社会主義的な国、

難民を多く受け入れている国があり、状況は様々です。

しかし、どこかで難民問題に火がつくと燎原の火のように不満の捌け口として広がりました。

この状況は、19世紀半ばにヨーロッパで帝国主義が始まった時、1920年代にヒトラーが台頭した時と少し似ています。

 

注釈3

欧米の経済格差については「ピケティの資本論 12,14,29」で、

日本については「ピケティの資本論 25」で扱っています。

 

注釈4

税収不足の自治体ほど、寄付金は市民に直結する事業に直ぐ使用され、公共サービス向上と返礼品の売り上げ増で大いにメリットがあるはずです。

しかし、寄付が一過性のブームで終わる可能性がある為、自治体は計画的な事業計画が出来ない。

また返礼品競争の過熱は財政的なメリットを小さくしている。

 

注釈5

通常、寄付の税金控除は確定申告しなければなりません。

しかし、2015年4月からは「ふるさと納税」の控除手続きの簡易化と控除額アップを行いました。

色々、政府は通常の寄付に比べ優遇税制を行っています。

 

注釈6

再分配制度の目的には弱者救済や格差是正もありますが、景気浮揚の効果もあります。

例えば、還付金を高額所得者と低所得者のどちらに与える方が景気浮揚に繋がると思いますか。

低所得者ほど、その金を貯蓄出来ず消費に回さざるを得ないので、実体経済が循環し始めます。

一方、高額所得者は貯蓄か金融商品への投機の可能性が高い。

つまり、再分配制度を崩すことは、景気後退に繋がる可能性もあるのです。

 

 

 

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何か変ですよ 41: 今、何が重要なのか?


 1

  • * 1

 

 

今、日本政府は経済を好転させる努力をしています。

今の政策を加速させるべきだと言うエコノミストもいます。

今日は、この事を考察します。

 

私の経験から

私は30年以上、株にはじまり不動産や金、ファンドに投資して来ました。

そして色々失敗し、勉強した末に悟っていることがあります。

それは、エコノミストの画期的な理論や予測が、いとも簡単に外れることです。

また長いスパンで見ると先進国の経済には大きな底流があるように思えます。

 

現状はどうなっているのか

安部政権の誕生は2012年の12月でした。

そこで2012年度から2016年6月までの経済データーを見ます。

 

2a

< 2. 代表的な日本経済の指数の推移、「世界経済のネタ帳」より >

青枠は2012年から2016年の期間を示す。

 

グラフA: ドル円為替レートは約80円から最高124円をつけ、現在106円になった。

グラフB: 日経平均株価は約9000円から最高20600円をつけ、現在16700円に下落。

グラフC: インフレ率は約0%から最高2.8%をつけ、今年の予測―0.2%に低下。

グラフD: 実質GDP成長率は1.7%で始まり、その後低下し、今年の予測0.5%。

グラフCとDの予測値は2016年4月のIMFの値。

 

安部政権になってから、株高と円安は一度進んだが、現在、足踏みか反転傾向にも見える。

実質GDP成長率とインフレ率は、なかなか期待通りに行かないようです。

 

失業率は4.3%から徐々に低下し現在3.3%になっている。

これは前回説明した高齢者(団塊世代)の大量退職が続く為で、今後も続くことにより日本経済の足を引っ張ることになる。(グラフFで説明します)

 

 

現状をどう見るのか

株価上昇は起こせても、円安とインフレの定着、さらに経済成長させることは困難なようです。

以前にも書きましたが、2012年の日本の株高と円安への反転は、ヨーロッパの金融危機が去ったことが引き金になっている。

 

以前、私は構造改革が出来ず、相変わらず公共投資に頼るだけなら、リフレ策の方がまだましだと言いました。

リフレ策にはマイナス面もあるが、もしうまくいけば、デフレを脱却し景気回復と莫大な累積赤字の拡大を防ぐ可能性があった。

 

現状を見ると、今の経済政策を失敗とまで断定出来ないが、このまま過度な金融緩和を続けると重大な副作用を招く可能性がある。

 

 

何が問題なのか

一番、重要なことは将来の経済悪化を招くかもしれないことです。

 

一つのケースは、実体経済が良くならないで、だぶついた資金が金融資産(株などの投機資金)に集中し、やがてバブルが弾けることです。

他にも、災いをもたらすケースは幾通りもありますが。

 

3

< 3. 日本の一般会計税収の推移、「アダム・スミス2世の経済解説」より >

ピンク枠は2012~2014年の期間。

黒線は日経平均、赤線は名目GDP(インフレ率込み)、青棒は税収を示す。

 

グラフEから、現在、税収が増えてプライマリーバランス(基礎的財政収支)が良くなっていることがわかります。

このまま続ければ、税収が増え続け、構造改革や増税をしなくてもやがて赤字は無くなると政府は言います。

 

実は、これは幾度も繰り返して来た夢想です。

このグラフの2007年(リーマンショックの前年)も税収が増えていますが、その後は極端に減っています。

つまり、株価上昇(黒線)によって株価総額が数百兆円増加し税収が増えても、バブルが弾けると激減するのです。

結局、実体経済(赤線)は良くなるどころか、悪くなりました。

 

ここで本質的なことは、日本経済に潜在的な成長力があるのか、またその成長力の根源は何かを知ることです。

もし成長力が無いのに、金融だけで刺激すると既に指摘した問題が発生します。

 

 

 

日本に潜在的な成長力はあるのか

 

4b

< 4. 日本の人口と生産性の推移、「総務省」と「文部科学省」より >

 

人口構造と人口が一定であれば、生産性(労働、資本、技術)が上昇することにより経済は成長します。

しかしグラフFが示すように、1995年から生産年齢人口割合(一番上の折れ線)が減少の一途です。

つまり今後、数十年間、生産年齢人口(青棒)が減ることにより、生産性が一定でも経済は減速を強いられます。

このことはグラフGの生産性寄与度の合計よりも、GDP成長率(青線)が下がっていることでも確認できます。

(グラフ内の全要素生産性寄与度は、様々な経済指標から他の二つの寄与度を計算した残余で、この生産性による分析は不明瞭な所があります。)

 

それでは、なぜ生産性が長期に衰退傾向にあるのでしょうか?

実は、別の人口要因が生産性を低下させている可能性があるのです。

 

 

5a

< 5.平均寿命増加率とGDP成長率の関係、グラフIは厚生省のデーター使用 >

 

グラフHによれば、平均寿命は1950年から急激に伸び始め、2010年以降、その伸びは急速に鈍化している。

 

グラフIは、グラフHの平均寿命から増加率を計算しグラフにしたものです。

これによると、平均寿命の増加が戦後の1960~70年代の経済成長を呼び込み、その後の日本経済の長期低迷も説明しているように見える。

青枠は、敗戦後からベビーブームの高校生が就職し始めるまでの期間で、彼らが生産に関与していない時期です。

 

平均寿命が急速に延びる時、生活環境の好転と健康増進が起きており、人々は将来に希望を抱き、労働意欲に燃え、老後に備えて貯蓄します。

この高い貯蓄率が投資に向けられ、経済成長の好循環が起きると考えられます。

この相関は一部の経済学者によって確認されているが、まだ解明途上のように思います。

私は、文明史や人口学、社会学、心理学の視点から言って、もっともうまく説明していると思います。

 

もしこれが真実なら、今後、日本経済は容易に成長しないことになる。

 

 

結論

折に触れてブログに書いているが、現在の欧米の経済政策では、益々景気不景気の波が高くなり、国内と国家間の貧富の差が拡大し続け、破綻の可能性があると私は懸念しています。

 

真実に目を背け、行き過ぎた夢想に期待することは危険です。

真実に目を向け、対策を立てるなら、必ず道は開けるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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何か変ですよ 40: 見たくない、知りたくないこと


 1

< 1.震災を受けた熊本城 >

 

今日は、日本で起きている不可思議な現象を追います。

それは将来訪れる可能性のある身と経済の危険についてです。

人は往々にして見たくないものにはそっぽを向くようです。

 

 

熊本地震との関わり

2016年4月14日に発生した熊本地震は震度7で、非常に強い揺れでした。

 

気になるのは、この時発生した最大加速度が1580ガルと言うことです。

例えば、この値は鹿児島県川内原発の耐震性基準620ガルの2.5倍です。

この基準は福島事故を受けて372ガルから引き上げられた。

 

ここで気づいて頂きたいことは、加速度が基準値を超えれば原子炉を破壊することです。

例えば、地震の加速度「ガル」が2.5倍になると原子炉に想定の2.5倍の力が働きます。

これは配管から容器、燃料棒などあらゆる部品を破壊する力が2.5倍になることを意味します。

 

2

< 2. 原子炉の破壊 >

左図: 原子炉容器と配管の振動シミュレーション。

赤部が強度的に弱い所で、加速度が増えるとこの部分から破壊が進む。

 

右図: 福島原発事故。

 

日本の地震で2008年の宮城岩手内陸地震の4022ガルが最大でした(基準の6.5倍)。

重要なのは、マグニチュードや震度、地震の深さではなく原子炉に作用する加速度なのです。

揺れの時間は瞬間であっても破壊します。

 

日本列島では、いつどこで、どれだけの加速度の地震が発生するか分からないのです。

 

 

3

< 3. 失業率の推移 >

 

高卒の就職状況との関わり

現在、私は高校で教えており、就職状況の好転は歓迎すべきことです。

しかし、気になることがある。

それは生徒達がアバノミクスのおかげで良くなっていると思い込んでいることです。

事実は、そんな楽天的なものではなく将来に不安がある。

 

先ず、失業率が低下している理由を見ましょう。

 

 

4

< 4. 日本の人口推移 >

 

このグラフから厳密な説明は出来ないのですが、その理由は理解しやすい。

15~64歳人口(棒グラフの青色)の低下は14歳以下人口(緑色)の低下よりはるかに急激です。

これは高校から大学までの学卒の就職希望者より、団塊世代の退職の方が多いことに関連しています。

つまり、このギャップが学卒の就職を有利にさせ、失業率の低下になっているのです。

 

それでは、なぜ今起きたかと言うと、主に改正高年齢者雇用安定法で企業の定年が5年ほど遅れたことによるのです。

つまり今回だけ後回しになっただけなのです。

 

具体的な数字で確認しましょう。

2010年度で団塊世代人口(61~63才)は669万人です。

退職が4年遅れるとして、2014年度の就職可能な若年人口(20~22才)は373万人です。注釈1

3年間の需給の差は296万人不足、退職者が圧倒的なのです。

 

2015年の全学卒者(高校、専修学校、高専、短大、大学)232万で、就職希望者92万人です。

2010年度の60歳人口230万人、これが5年後に退職するとしたら、その需給ギャップは138万人不足です。

これが1年間で起きたかもしれないのです。

 

実際は、他の世代や女性の就労等で、全就業者数はわずかながら増加し、定年延長で日本社会は急場を凌いでいます。

しかし今、人手不足が高齢者の多い中小企業を直撃しているはずです。

 

実は、問題はこれからなのです。

グラフのような生産年齢人口の減少を食い止めない限り、日本は景気後退を深めるでしょう。

欧米は、主に移民労働者の受け入れでこれを防いで来ました。

 

理由は簡単で、労働人口が減り、国民所得と需要が減り、総労働人口の減少分に応じて企業は規模の縮小に向かわざるを得ない。

ここで企業の淘汰が起こり、倒産が増えます。

この現象は、一人当たりのGDPが変わらなくても、減少の過渡期において起きます。

 

今、大事なことは、皆さん一人ひとりが他人任せでなく、社会で起きていることを直視することです。

 

 

注釈1: 就職可能な人口の20~22才は、私が目安に設定した年齢で、各種学卒の比で決めました。

 

 

 

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何か変ですよ 39: 今を忘れないでください


  1  

*1

 

今の政権運営は実に巧みで、実行力もあります。

安定感があり頼りがいがありそうです。

安部首相の手腕には、さすが政治家の家系だと感心させられます。

一方で長いスパンで見ると気になることがあります

 

 

安保法案を巡る議論

議論が枝葉末節過ぎるように思えます。

 

野党の指摘は間違っていないが現実の防衛に不安を感じる。

事実かは別にして、予想される脅威への対策が聞こえて来ない。

これを無視していると、些細な武力衝突で少しの人的被害が起きても、世論はパニックになり一気に好戦的になる可能性がある。

これが一つの懸念材料です。

 

国を軍事的な脅威から守り、また紛争拡大を防ぐには軍隊が必要であり、軍人の犠牲も伴います。

国として中立の選択肢もありますが同盟が必要な場合もあります。

確かに軍隊と同盟は運用次第でより大きな危険を招きますが、避けて済む問題ではない。

 

2

  • * 2

 

与党の主張は現実の不安に答えているが、将来に大きな禍根を残すかもしれない。

一つは、米国との同盟強化により中国との対立が鮮明になることです。

かつて歴史的遺恨や敵意を煽るに任せて戦争を回避した国がどれだけあったでしょうか。

残念ながら日本列島はユーラシアの二大国と米国の緩衝帯に位置しおり、ベトナムや朝鮮半島の二の舞になる可能性が非常に高い。

 

今一つは、憲法を軽視していることです。

憲法解釈の変更が絶対不可とは言わないが、憲法裁判が機能していない日本では拡大解釈がまかり通る危険性が大です。

拡大適用は明治から太平洋戦争にかけて起きたことであり、法を重視しない体質は今でも変わらない。

 

与野党は惰性(権益)とドグマに囚われて賛否の大合唱に終始している。

おそらく10年後には結果が出て、国民は後悔するかもしれない。

 

3

  • * 3

 

経済運営について

久々に景気が良くなる期待はあるが、どうだろうか?

 

日銀による大量の国債引き受けによるリフレ策は進んでいる。

このところ「何々減税」と色目の変わった経済振興策が数多く打ち出されている。

 

景気が良くなっている情報が増えて来た。

株高や大企業の好決算、就職率の上昇など。

一方で逆の情報もある。

消費財の値上がりや、不安定な雇用形態と賃金格差の拡大など。

 

ここ30年ほど、与党は同じ経済政策の繰り返しで景気は良くなるどころか、日増しに経済と財政は悪化した。

欧米が既に止めた公共投資と国債への依存を続ける与党にあって、今回、大胆にリフレ策を実施したことに驚かされる。

欧米にはリフレ策を実施している国は多いが、長期に行った結果が今の経済状況です。

 

良ければ株高と好景気が来るかもしれないが、必ずバブルが弾けてより深い経済低迷に陥るでしょう。

ここ半世紀の欧米の経済動向を知る人なら、また株投資に関心ある人なら実感出来るでしょう。

それでも莫大な累積債務がインフレで目減りしてくれれば少しはメリットがある。

しかし国債金利が高騰すれば財政破綻は現実のものになるでしょう。

 

根本にある懸念は一つです。

それは日本が米国流の貨幣供給重視に大きく方向転換したことです。

この結末がどうなるかについて断言出来ないが、おそらく今欧米で起きている経済の悪弊がより深まる結果になるでしょう。

それは景気不景気のより深い乱高下、貧富の差、失業の増大です。

 

早ければ、1年以内に潮目の変化が現れ、5年後に国民は後悔するかもしれない。

 

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どうか皆さん、今の分岐点を忘れないでください

国が衰退を深め、激動に巻き込まれる切っ掛けは些細な一歩の積み重ねでした。

過去を振り返れば、法や条約の発効・破棄、憲法の恣意的な解釈が戦争への分岐点になりました。

同様に金兌換や日銀券発行、国債発行の扱いは国の経済を大きく左右しました。

これは世界の歴史に共通しています。

 

皆さんにお願いしたいこと

この分岐点を覚えておいて頂き、数年から10年後の変化を比べていただきたい。

今の舵取りの成否を判断出来なくても、その時に、誤りに気がつけば方向転換出来るかもしれません。

ただ過去の日本では方向転換の努力は水泡に帰しました。

 

 

 

 

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何か変ですよ 38: 新年に想う 2


 

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私の抱負を語ります。

「新年に想う1」で書いた社会状況の中で、私達が社会をどのように理解し、また改善策の判断の一助になる情報をブログでお届けするつもりです。

 

連載の継続

スペイン・ポルトガル紀行で数件の連載を3ヶ月ほど中断していましたが、また始めます。

 

「社会と情報 1~33」

趣旨: 「新年に想う1」にも記した通り、本来、社会の不具合を国民に伝えるべきマスコミや政府が機能せず、日本も含め世界から自浄作用を奪っています。

当然、社会やマスコミ、政府の不具合は社会自身が生んだものです。

マスコミと政府、社会が不適応を起こしている状況を特に情報の視点で確認し、問題の根と是正措置の実例を世界と日本から見ていきます。

 

残念ながら欧米の社会学や心理学でも、マスコミの世論形成への影響力について決めかねている所があります。

常識的に見て重大な影響を与えているはずなのですが、その因果関係を証明することが困難な為、多くの学者は結論を出せずにいます。

 

今後の展開: 日本の状況も取り上げるつもりですが、残念ながら実証的な研究は欧米の方が進んでいるので、海外の紹介が少し続きます。

 

「仏像を巡って 1~20」

趣旨: 韓国や中国を旅行した折、その表情を日本と比べていると、その違いが知りたくなり書き始めたのが始まりでした。

そこには各国の歴史的背景や文化、さらには人間が本来持っている象徴化能力(イメージ力)や宗教的思考が関わっているはずです。

どこまで肉薄出来るかはわからないが、思い付くままに追っていきます。

これまでは、インドでの仏像誕生の経緯とその後のアジアでの展開を逆に見てきました。

 

今後の展開: 今後は、出来るなら世界の神像誕生を扱い、古代の美術交流の足跡を追っていきたい。

 

「病と医術の歴史 1~28」

趣旨: この狙いは、医術の発展史を通して、人類が自然界や災厄の因果関係を如何に科学的な認識に進めたかを知ることにあります。

おそらくそこには、世界各地の特質はあっても大筋では変わらぬ葛藤と革新があったはずです。

これまで先史時代から古代のメソポタミア、エジプト、イスラエル、インド、中国を見てきました。

 

今後の展開: 今後は、古代ギリシャ、ついで古代ローマから中世ヨーロッパ、最後に日本を見るつもりです。

 

「スペインとポルトガルを巡る旅 1~33」

趣旨: 私が旅行で得た感動と楽しみを写真で紹介しています。

私は、同じ観光や町歩きを行う人が参考になるよう心がけいます。

またスペインとポルトガルの歴史、自然、文化、各地の歴史の短く解説しています。

 

 

今後の展開: 既に、ほとんどの観光地を紹介していますが、美術やショッピング情報、最後に私の感想などを記したい。

 

 

「何か変ですよ 1~37」、「平成イソップ物語 1~9」、「デマ・偏見・盲点 1~14」

これらも適宜書いていきます。

 

 

新規連載の予定

今年は「ギリシャとエーゲ海紀行」と国内旅行を適宜書く予定です。

 

以下の新規連載も出来れば始めたいと思っています。

「法の歴史」: 「病と医術の歴史」のように広く世界から、先史時代より人類が如何に自ら社会を統御していく術を身につけて来たかを振り返ります。

私達、アジア人、特に日本人は法で社会を制御する意識が低いように思えます。

この連載で、法の意義を再考したいと思っています。

 

「衰退の始まり」: 社会や国家が衰亡する様子を歴史から拾い出し、その様子を眺めます。

その兆候を知ることは、現状の世界と日本の問題点に気づく上で役立つでしょう。

 

「穿つ者」: 一人、周囲と隔絶して社会に警鐘を鳴らした人々や改革を試みた人を取り上げます。

その人の行為が例え徒労に終わっても、きっと後世の人々を勇気付け、先見することの価値に気づかせてくれる人を紹介出来ればと思っています。

 

 

 

 

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何か変ですよ 37: 新年に想う 1


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私は去年、大いに失望したが、今、失望から何かを掴んだように想う。

決意を新たにし、より良くするために少しでも役に立ちたいと思う。

 

失望したこと

予想通りであったとは言え、戦後の体制が踏襲されることに国民が大いに賛意を示したこと。

また知性の要と目されていた朝日新聞が捏造の挙げ句、ドタバタ劇で終演したこと。

 

最初、私はこの二つに失望し無気力になったが、やっと日本と世界の姿が見えて来たように思う。

 

今回の出来事から見えてくるもの

現政権の是非はさて置いて、現政権が受容される背景に二つの潮流があり、それは益々大きくなりつつある。

 

一つは、先進国の経済政策が悪化の度合いを深め、かつ中毒症状を呈していることです

簡単に経済史を見ます。

20世紀になって、経済学者ケインズの説いた「需要を重視」の経済政策が、大恐慌から欧米諸国の景気を回復させた。

それは多くの国民の失業を減らし賃金上昇をもたらした。

やがて、先進国でスタグフレーション(不景気とインフレが同時進行)が吹き荒れるようになった。

経済学者フリードマンの唱えた「貨幣供給を重視」の金融政策が功を奏し、スタグフレーションは治まった。

しかし現在、世界経済はほぼ10年毎の金融危機(恐慌)に見舞われている。

問題は、より深みへと進む社会構造が出来上がっていることです。

 

それは端的にタイ通貨暴落やリーマンショック等に見られます。

恐慌が起こると、深刻な不景気と厚生予算削減のダブルパンチで貧しい人々は寿命を縮め、より貧しくなり、その家庭は再生不能に陥ります。

その一方、元凶である金融業界に対して、金融破壊を防止するとして大規模な国費が投じられます。

タイ通貨の暴落は1ヘッジファンド(ジョージ・ソロス)が仕掛け、巨額の利益を得た。

またリーマンショック時、米国では約80兆円の国費が投じられた。

これを繰り返すことにより貧富の差は拡大し、さらに集中する富が益々政治を動かし、より富は集中することになる(直接税減税など)。

これが多くの欧米諸国をじわじわと苦しめている元凶です。

このような貧富の差が拡大する悪循環は、形を変え歴史上幾度も繰り返されて来た。

 

更に日本固有の迷路から抜け出せない理由があります。

これには二つの理由があります。

 

戦後、日本は画期的な経済成長を成し遂げましたが、その後長期衰退に陥りました。

原因の一つは人口構成ですが他は構造的なもので、認めようとしませんが。

財政赤字、低経済成長、円高、非正規雇用増、これら指標はここ数十年悪化するだけでした。

これらは経済問題と言うより、経済や産業の不適応を温存し、恣意的な経済政策しか採れない政治の問題です。

今一つは、是正システムと選択肢がないことです。

欧米が大戦の反省から取り組んできた二大政党制強化を、遅まきながら日本も小選挙区制導入で目指したが未発達のままです。

これは日本が東アジア文化圏に属し、島国に起因した政治文化に起因している。

このことが適正な野党勢力の育成を困難にし、政治の惰性を修正出来ず、かつ選択肢を無くしてしまった。

こうして、不安で不透明な社会状況になると、国民は安易で強力なものにすがり易く、時には偏狭にもなる。

これは幾度も、日本が繰り返して来た道でした。

 

残念ながらこれらの潮流から逃れる具体策は見つからない。

唯一の良策は国民が見識を高めることかもしれない。

 

さらに今回、切実さを増した問題があります。

それは朝日新聞の記事捏造に関わります。

朝日新聞の従軍慰安婦や沖縄珊瑚、吉田調書の報道は他社の捏造・誤報記事と異なり、国民の心情を逆撫でするようです。

マスコミ報道において捏造や誤報は日常茶飯事ですが、多くはスクープ争いと視聴率稼ぎによるゴシップや「やらせ」の類で、一笑に付されている。

 

ここで少し日本の新聞史を振り返ります。

日本では明治維新後に新聞が多数刊行され、国民の啓蒙に有益であるとして政府もこれを後援した。

やがて自由民権運動が盛んになると、それまでの御用新聞より政府批判の新聞が勢力を増し、これにより日本は欧米に追いつくべく革新を推し進めた。

一方、政府は言論弾圧に乗り出し、その後、政府(御用新聞)と政府批判の論陣を張る新聞とのせめぎ合いが続くことになる。

 

日本が戦争に深入りしていく時、新聞はどのような役割を果たしたのだろうか?

多くの政府批判の新聞も始めこそ、他国への戦争介入に反対したが、一度戦争が始まり犠牲が拡大して行くと、特に終戦時の講和条件で政府の弱腰を非難するようになる。

これが政府の足枷となり次の紛争を招くことにも繋がった。

 

新聞業界の決定的な曲折(戦争反対から賛成)は、1930年代の軍事クーデターから始まった。

これは戦争に沸き立つ国民感情と軍部・政府・右派の徹底的な攻撃が大きいが、さらに空しい抵抗の末、記者達にも愛国心が芽生えて来たことによる。

また戦争記事は新聞の増発に大いに貢献した。

御用新聞は戦争に当然賛成であり、政府に徹底抗戦する新聞社は廃刊させられていった。

こうして新聞業界は軍事政権の戦争推進の一翼を担っていった。

 

ここで指摘すべきは、朝日の国政批判の態度です。

かつてそれが国民に有益であり人気を博したこともあったが、現在二つの問題がある。

 

捏造による国政批判は、露見後、信頼喪失と言う甚大な打撃を一社のみならず社会に与えることになる。

おそらく、この捏造が止まないのは朝日が官僚化し、それが出世へと結びつく構図が出来ており、日本特有の組織文化(内部批判や内部告発の不毛)が災いしているのだろう。

この問題を最も熟知しているのは朝日自身だろうから、率先して打破することを期待する。

御用新聞と異なり、政府批判の新聞は取材で大きなハインディーを負うが、耐えるしか生きる道はない。

望みうるなら、かつての米国や日本のように、マスコミが強権の不正を正すことに賛美を与え、支えるようになる国民でありたいものだが。

 

今一つは、欧米先進国のマスコミ、特に米国で顕著であるが、保守と革新のなじり合いが過激で、世論は疑心暗鬼になり、ムードやキャンペーンに流され易くなっている。

この状況にあって、朝日はいつまでも批判だけで生き延びることを考えてはならない。

願わくは、シンクタンクを要し、3万人のキャリヤ組に対抗出来る政策提言を盛り込んでいくべきである。

 

それが瓦版から始まった新聞が取材報道を経て、これから進むべき姿ではないだろうか。

 

次回は、私のブログの取り組みを書きます。

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何か変ですよ 36: 困難な選択 4


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昨日は、国の累積赤字を検討しました。

今日は、平和と安全を見ます。

 

Ⅰ 平和と安全

私達にとって最も必要なものだが、今の日本に暮らしていると有り難みは薄い。

人々の生命と生活を危険から守ること、堅い表現をすれば安全保障を向上させることです。

それではどのような問題があるのでしょうか?

戦争やテロ、食料危機、資源枯渇、エネルギー危機、疫病の蔓延、医療や福祉の後退なのです。

 

Ⅱ 皆さん、以下の状況設定を少しだけ考えて下さい。

 

A. 収入が3年後に1割増えるが、7年後以降、今までにない恐慌が来るとしたら、あなたは・・

B. 今、大国と軍事同盟を結び安全を図るが、6年後には大国間の争いに巻き込まれるとしたら、あなたは・・

C. 生活水準を1割落とせば、資源枯渇、エネルギー危機、福祉の後退を40年間程遅らすことが出来るとしたら、あなたは・・・

 

答えは出ましたか?

おそらく明確に態度表明する人はいないでしょう。

多くの人はAとBを受容し、Bを拒否する傾向にあります。

人の心理は、身近に起きる事を重視し、先の事は軽視する傾向にあります。

さらに将来の事は不明瞭で理解が困難であれば、なおさら回答を永久に保留することでしょう。

 

歴史は、人類が自然や社会の悪化を薄々感じながら総意と協力が生まれず放置したことにより、最後にはしっぺ返しを受けたことを物語っています。

多くの土壌流失、林野消失、耕作地の疲弊、公害汚染、漁獲高激減など自然に関わる事、ハイパーインフレ、財政悪化、恐慌、軍国化、治安悪化などの社会に関わる事は、繰り返し起きました。

 

Ⅲ 残念な事に

10年後以降、最初に掲げた安全保障の危機はかなりの確率で起こるでしょう。

主要な危機を確認します。

 

1.資源枯渇 : 一部の鉱物資源は今後10年以内に枯渇の可能性があります。

なかには価格の高騰で使用量が減り、その間に代替物質が出始め、事なきを得るかもしれません。

しかし過去と違うのは化合物ではなく元素物質の枯渇です。

当然、他の資源も限界は見えつつあります。

 

2.エネルギー危機 : 化石燃料とクリーンエネルギーの普及の兼ね合いが重要です。

化石燃料は使用量が変わらなければ数十年で枯渇するものがあります。

しかし風力発電や太陽光発電などが普及すれば、それを補える可能性があります。

現状は効率(経済、技術)がネックになり、全量代替するまでには行かない。

日本は太陽電池の着手は早かったのだが、原発に傾注している間に欧州に完全に追い抜かれた。

 

最重要課題は原子力発電の扱いです。

地球温暖化と経済効率を考えれば、現有設備のある原子炉を利用するのが得策です。

しかし地震列島を考えれば、取り返しのつかない放射能災害は不可避です。

またテロの標的としても危険です。

またウラン入手は限定されており、安定供給の面でも問題がある。

 

3.食料危機 : 人口増を賄う食料は、単位面積当たりの収穫量増と養殖による水産物に依存しています。

既に、地球上の耕作地は増加せず、自然からの水産物は頭打ちです。

地球温暖化が進むと、単に気温の上昇だけではなく、各地で気候変動が起こり、収穫減や疫病・害虫の発生が起きます。

このことは歴史上、平均気温1~3℃の上下でも起きています。

当然、人口増が枯渇に拍車をかけます。

 

4.戦争の危機 : 日本は危険な状況に一歩一歩近づいています。

 

社会の右傾化が進んでいます。

ここ数年、国境問題が再燃し、過激な意見が関心を集め、それに乗る政治家やマスコミが人気を博しています。

これは外部要因と言うより、戦争が忘れられ、社会に不満が鬱積すると起きる現象です。

これは世界も日本も、かつて幾度も繰り返して来た戦争への兆候でしょう。

 

隣国との関係が悪化しています。

これは上記の右傾化に呼応し、互いの歴史認識が不完全な為、悪化し続けています。

これに輪を掛けているのが中国の覇権化と米国の衰退による駆け引きです。

かつての帝国が陥ったように、米国も広大な防御線を維持できず、日本に応分の負担を望んでいます。

一方、中国の急伸に対し、米国は仮想敵国への前線基地として日本を益々手放せません。

こうして集団安全保障の名分のもとに軍事同盟を強化する現政権を米国が歓迎することになります。

かつ日本政府が東アジア(中国)に接近することを嫌い、米国は暗躍することになります。

これは一大統領の問題というより、米国の軍事スタンスが継続されているからです。

 

世界は今までに経験したことのない状況に突入しようとしています。

既に資源エネルギーや食料問題で触れましたが、地球は限界に達しつつあるので、安易な逃げ道や解決策がない。

つまり放置すれば浪費してしまい、最後には奪い合いに至る。

 

詳しくは連載「私達の戦争」「戦争の誤謬」「人類の歩みと憲法」で扱っています。

 

 

Ⅳ 現在、進行中の世界の変化

直接的に安全を脅かす問題とは言えないが、現在進行中の変化を確認して起きます。

これらのことが間接的に、平和と安全に影響することになる。

 

1.経済と軍事のバランスが変化している

アジアの東部(インド、東南アジア、東アジア)の経済圏は益々成長し、やがて世界経済を牽引することになる。

ソ連崩壊後、ある時は米国の独走を抑え、EUは米国と共に世界をリードし、世界に貢献したと言える。

今後、それにアジア東部が加わり、より世界が経済的にも軍事的にも民主的な運営に近づく可能性が出てくる。

当然、米国の一強体制は、上記状況に加え自国の経済的、財政的状況から低下していくでしょう。

 

2.先進国の政治と経済の状況が悪化している

経済問題は既に触れたように、大半の欧米諸国は、ここ30年ほど、金融緩和策に依存したことにより繰り返す金融危機の罠にはまり、喘いでいます。

5~10年毎のバブル崩壊後、バブルの元凶を税金で助け、借金でカンフル剤の大量投与を繰り返し、さらに傷口は深くなっています。

その結果、どこ国も所得格差が拡大しています。

 

ここで皆さんがあまり気づかない不思議なことが進行しています。

格差拡大の中で累進課税が崩れ、益々、所得格差が広がる結果になっているのです。

普通なら、国民は気が付くはずなのですが・・。

手品の種は簡単なのです。

「法人税や所得税を多くすれば、企業や金持ちが国外に逃げるから・・」

これは間違っていませんね、おそらく・・

しかし、一呼吸おいて、少し考えて下さい。

実は、この元凶は米国なのです。

米国は共和党政権毎に、はた迷惑なのですが、それらの大減税を繰り返しているのです。

するとこのグローバルな世界では、悪貨は良貨を駆逐することになるのです。

 

こんなに状況が悪化しているのに国民はどう反応しているのでしょうか?

二つの側面があります。

米国で顕著なのですが、マスコミは昔と違って大商売人に牛耳られ、国民に真実が伝わらず、不満が別の方向に煽られるようになっている。

政治も少数の大量資金供給層に左右されるようになって来ている。

 

その反動か、先進国の国民は政治に失望し無関心になり、政党支持者が減り、無党派層が増えています。

せっかく大戦後、二大政党制を目指し上手くいった時期もありましたが、現在、どこも多党化が進んでいます。

この傾向はここ20年ほど、先進国で確実に進行しています。

 

Ⅴ 最後に

今回は、問題点を挙げるだけで終わりました。

今回の選挙が唐突だった為、わたしも選挙準備が出来ていませんでした(笑い)。

皆さんに、何か指針になるような記事を書こうと思ったのですが、間に合いませんでした。

 

安部さんは、はっきり言って、政治手腕が抜群です。

政党や官僚をまとめ、国民の気を惹き、新手の政策を恐れず断行するところなどは群を抜いています。

 

しかし、気になるところがあります。

今回の選挙などがそうですが、政局を有利する為だけに平気で嘘をつき、その嘘ぶりが並の役者では足下にも及ばない。

さらに国民の中には、解散については嘘を言っても良いのだと、疑うこともしない。

確かに政治家は嘘をつくのが当たりまえとはいえるが。

ここに日本の政治風土の悲しさがあるように思える。

 

もう一つは、既に解説したように、彼の目指すのはここ数十年の悪弊を踏襲しているだけなのです。

新機軸のように映るかもしれませんが、すべて日本と欧米がやって来たこと、日銀が恐れていたことをやろうとしているだけなのです。

日銀の恐れが妥当かどうかは別にして。

米国の関係もそうです、今、世界は変貌しつつあるのですが。

 

世界の為替や株に投資している人はわかっているはずですが。

彼が政権に就いた時は、金余りの中で日本の株価だけが出遅れ、円安はその1年前から始まっていたのです。

震災復興が軌道に乗った時に、彼が現れたのも幸運でした。

それらのタイミングを生かす能力は卓越していますが。

 

皆さんに幸運が訪れますように祈っています。

今回の連載はこれで終わります。

 

 

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