私達の戦争 32: 摩訶不思議な解釈4


1尖閣

  • * 1

 

「この島が日本の領土であることは明白であり、我々に正義あり」

この手の発言の落とし穴を探ります。

 

正義について

声高に「正義」だからと迫られると、多くの人は尻込みされるのではないでしょうか。

かつて暴力(クーデター)を正当化する時、「正義」がよく使われました。

しかし、本来、「正義」は人類が長い年月をかけ育て来た重要な理念です。

その理念とは、社会秩序維持のために人々が守るべき行為の規範であり、それを法に規定することでした。

そこには何ら疑わしいものはありません。

 

正義は、個人の判断に託されるものではなく、社会が熟慮を重ね共有してきたものです。

多くは、司法にその判断を委ねることになります。

最近、したり顔で訴える「正義」が巷に溢れています。

この手は、煽るものほど論理が浅いので、先ず疑ってみましょう。

 

領土問題の正義

現在、日本は三つの島で領土問題を抱えています。

多くの戦争は領土問題から始まっているので、急速に危機が迫っていると言えます。

大概、その始まりは「この島は我々の領土であることが明白である」にあります。

この発言に基づく一方的な行為に正義はあるのでしょうか。

 

 2倭寇

  • * 2

 

両国が納得出来る明白な領有の証拠はあるのだろうか?

単純な想定を見るだけで答えはわかります。

 

例えば、5千年前に倭人がその島に流れついて住んだとします。

その後、海賊がその島を襲い、倭人は逃げ出しました。

次いで、隣国の漁師がその島を拠点にするようになりました。

このようなことが幾度も繰り返され、やがて両国の文書や地図にその島が記載されるようになりました。

初期は、互いの国が隣国と争ってまで、数ある遠い離れ小島をすべて領土にしようと思わないでしょう。

やがて漁民や海賊、海上交易民、国の船が島々と関わる頻度が増え、中には彼らから訴えられて始めて国がその島の重要性を認識することになるでしょう。

注意が必要なのは、国が統一途上にある段階では、各国間の海は境界人と呼ばれる海賊・海上交易民(倭寇)や漁民の生活の場でした。

広く活躍する境界人ほど、その集団は混血や複数民族を含み、複数の国を行き来する国籍不明の民でした。

このような状況で、いつの時点をもって領有の証拠とするのでしょうか。

 

 

一方的な占拠は可能なのだろうか?

上記のような曖昧な論拠―曖昧な条約や古地図を証拠に一方的な占拠は正しいのでしょうか?

例えば、長崎県の対馬は九州より韓国に近いが、なぜ日本の領土なのでしょうか?

対馬には複雑な交流史と流血―日本の大名・幕府と倭寇、朝鮮王朝との歴史があり、その果てに日本の領土になったのです。

日本国内で県境の変更なら武力紛争にはならないでしょう。

しかし両国は民族が異なり、さらに過去の遺恨が存在する中で、いがみ合うことなしに一方的な行為が可能と考える方が非常識でしょう。

歴史上、境界線の多くは力ずくか、トップ間の妥協の産物でした。

双方が納得出来ない、こじつけで境界を定めたところで、紛争の火種は大きくなるばかりです。

パレスチナ問題がその典型です。

 

正義はあるのか?

残念ながら「正義」を問うのは不毛だと考えます。

正義を問うには、二国間で「正義」の理念が共有出来る状態にならなければなりません。これは領土問題などの対立点が消えた和解後のことでしょう。

矛盾していますが。

 

国際司法裁判所で争うのも一つの手ですが、今の世界は、日本のような領土問題に判決を下すことが出来ないでしょう。

一方が、裁判を受託しない以上強制も出来ません。

日本はかつて満州国を否認された時、それを不服として国際連盟を脱退しています。

 

3コロンブス

4南極

5地図

*3,4,5

 

解決の道は・・、それは歴史にヒントがある

つい5世紀前までは、新しく発見した土地はその国のものだった。

コロンブスやマゼランらの探検によりポルトガルとスペインはアメリカ大陸を手に入れた。

南極大陸は、当初幾つかの国によって領有が主張されたが、現在、世界が共有し保護すべき地域となっている。

 

ドイツのザール地方は第二次世界大戦の導火線となった当時有数の炭田であった。

フランスは第一次世界大戦の恨みと賠償をここで果たそうとした。

ドイツはそれに対抗し、サボタージュさせた炭坑労働者に中央銀行で刷った給与を与え続け、その結果、巨大インフレを招いてしまい、ヒトラーに付け入る隙を与えてしまった。

両国の恨みは増すばかりであった。

 

第二次世界大戦後、フランスの提案により、その地域と隣接する国々が中心となり欧州石炭鉄鋼共同体を結成した。

これは石炭・鉄鋼の生産と市場を共同管理しようとするものでした。

提案はフランスだが、主要な炭田はドイツの領有であり、相互の信頼と譲歩がなければ事は成就しなかった。

これは仏独の1千年にわたる争いへの深い反省から生まれたものでした。

後に、これがEUに発展していくことになった。

 

まとめ

国境確定で意地を張り、憎しみを倍加させ、多大な犠牲を払ってから気づくより、初めから共同管理にすれば良い。

これからの地球では、少ない資源は世界の共同管理になっていくだろう。

幾つかの地下資源(希少金属など)は採掘可能年数が10年を切った。

 

素晴らしい前例を創った人類の智恵を、我々は生かすべきでしょう。

 

 

 

 

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