デマ、偏見、盲点 30: 暮らしのカラクリ 4: 煽られた競争


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今日は、少し複雑な話になりますが、「競争」に纏わる話をします。

「競争」は賃金、規制緩和、経済力を理解するには避けて通れない概念です。

実は、私達の「競争」の概念は間違った方向に誘導されていた。

 

 

* はじめに

 

「競争」に纏わる文言を挙げます。

 

A: この世は逆肉強食だから弱者を甘やかすな!

 

B: 規制緩和は市場に自由競争をもたらし、価格低下とサービス向上をもたらす!

 

C: 賃上げは企業の国際競争力があって可能だ!

 

 

この三つは、社会に厳しい競争があることを強くイメージさせます。

この論理の罠に気付くことは難しい。

これは経済上の勝者(超富裕層)が、競争と勝者こそが善であると信じ込ませて来た結果です。

 

これとよく似た状況がかってありました。

Aの論理が、19世紀の帝国主義が苛烈な折、白人が有色人種を搾取しても良い口実に使われた。

当時、白人は自然淘汰(逆肉強食)の中で選ばれた人種であるとする思想が一大ブームを巻き起こしていた。

Aはこれと同じ陳腐なデマの再来なのですが、今また蔓延している。

これが間違っていることは、人類史、法制史を振り返れば一目瞭然なのですが、ここでは割愛します。

 

 

結論から言えば、私達が暮らす地球は市場での競争が前提で、競争を否定することは現実的でありません。

 

しかし、まちがった「競争」の概念が社会を劣化させ、社会改革を妨げています。

何が間違っているか見て行きます。

 

 

 

 

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* 自由競争の幻想

 

結論から言えば、現実に完全な自由競争が行われている市場はない。

この結果、自由競争が価格の低下やサービス向上をもたらすことはない。

 

現実には、一部の強者に非常に有利な市場が出来がっていたり、または何らかの制約が働き、完全な自由競争などないのです。

この制約には社会保障(人権擁護、環境保護など)の為に行政が規制や自主規制があります。

どちらにしても完全な自由競争市場は幻想に過ぎない。

 

既に競争優位にあるか、さらに市場の独占を画策する側からすれば「自由競争の善」を社会に浸透させることが不可欠です。

 

強者(市場占有)が生まれる理由は様々ですが、資本力、情報力、政治力などが大きい。

政治力の例としては、公共の為と称して特定の学園や企業だけに参入を許すことなどです(後進国で酷いが先進国、日本などでも起きている)。

 

資本力の大きい方が小さい方を圧倒することは常識と言えます。

企業の統廃合が繰り替えされ、やがて巨大企業が市場を占有することになる。

こうなれば価格は上昇し、サービスが低下するのが通例です(マイクロソフト)。

 

また各国は国際競争に対処するとして独占禁止に逆行する大銀行の合弁を押し進めている。

この巨大銀行は金融危機時、国が倒産から保護してくれるので、益々バブルの温床になり易い(ゴールドマンサックス)。

 

情報力や知的財産権(特許)なども同様に大が小を圧倒することになる。

 

この独占が進むイメージは、水面にビー玉を乗せた皿を浮かべると、少しの波でビー玉が一度片方に寄ってしまうと、皿が傾き一気に沈没するのと似ています。

 

 

 

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< 3. 生産性は上昇しているが賃金は低下、厚生省より >

 

坊主丸儲け状態(住職を批判しているのではなく、**が濡れ手で粟)

 

 

* 言い訳の国際競争力

 

産業や企業の国際競争力は必要です。

賃金はその一要素に過ぎないが、日本ではこれだけが政財界によって強弁されている。

ここでは全体像を掴み、私達に何が真に必要かを考えます。

 

残念ながら、日本の国際競争力は低下の一途です。

これは、ここ20年ほどのあらゆる経済指標(GDP、賃金、貿易額など)の低下に現れている。

この本質を如実に示しているのが賃下げ(労働者酷使)と円安でしか国際競争力を回復する手立てがないとする政財界の姿勢です。

このような過去への回帰、保守化傾向はかつての英国衰退の二の舞です。

 

問題は真の国際競争力を高める努力を放棄していることです。

 

 

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< 4. 日本の国際競争力の低下、総務省より >

 

 

* 日本の国際競争力の現状

 

世界の開放経済において、自国の競争力のある製品が海外市場で売り上げを伸ばし、自国に外貨をもたらし、一方で海外の優れた製品をその外貨で購入することが出来る。

この場面で国際競争力が不可決で、日々、企業は世界と国内で競争を続けなければならない。

 

それでは企業は何を競争すべきなのでしょうか?

これはコストダウンだけではなく、様々な要素があります。

 

先ず、コスト低減について見ます。

日本では労働者の賃金低下が餌食になっています。

 

しかし常識的には生産性向上です。

これは時間当たりや一人当たりの生産額を増やすことで、一般には最新鋭の生産設備導入や革新的な生産方法の導入が不可決です。

 

現在、日本の企業は国内の設備投資を長期的に減少させていますので、この手のアップは期待出来ません。

不思議なことに、日本の首相は外遊で世界に50兆円を越える大盤振る舞いを行い、国民も国際貢献を喜んでいます(真の狙いは海外投資拡大)。

一方、日本の民間設備投資はつい最近まで年60兆円台でした。

このあり余った50兆円を国内に投資すれば、どれだけ競争力向上に寄与し、経済が復活したことでしょうか?

 

つまり、政財界は企業の競争力向上の自助努力を放棄し、労働者の賃金低下に頼っているのです。

このことは別の深刻な生産低下を招いています。

 

皆さん、周辺の職場を見て下さい。

民間企業には非正規が溢れ、公的な機関には民営化と称してアルバイトやボランティアが溢れています。

これが職場に何をもたらしたでしょうか。

 

かつて日本には米国由来の産業心理学が言う、作業者の参加意欲を高めることで生産性が上昇するとみなされた時代があった。

今は、隠れブラックこそが・・・、時代は変わった。

 

この状況でも懸命に働く人はいるでしょうが全体的に見れば、給与格差が甚だしく、地位が不安定な状況で、意欲を持って働けと言うのは無理がある。

つまり政財界の政策は、間違いなく生産性低下に大きく寄与しているのです。

既に説明しているように、賃金上昇は可能なのですから、逆行を止めるべきです。

(この連載「暮らしのカラクリ 1と2」で説明済み)

 

日本の貿易にも、この逆行が現われています。

それは貿易(商品の輸出)が減少し、海外投資(資金流出)の増大、そして海外からの投資収益とパテント料収入の増大です。

このことを経済の成熟とみなすエコノミストもいるのですが、歴史的に見れば衰退の兆候です。

 

 

奇妙な事に政治家や右翼は国益重視と言うわりに、資産家や企業の国益無視には寛大なのです。

言い方が悪いのですが、海外に工場を作り海外証券に投資し国内投資を怠るから、またパテント料を得るために特許を海外譲渡するから、国内の競争力が弱体化する側面があります。

 

画期的な新製品が世界でヒットすれば、これも国際競争力のアップとなりますが、この手の商品はもはや日本では誕生しなくなった(ウォークマンとスマホ)。

 

実に、日本の政財界は国際競争力について周回遅れの認識なのです。

 

 

 

* 日本が進む道は・・・

 

残念ながら、私の見込みでは日本は徐々に国際競争力を低下させるか、今回の政権のように起死回生と称して経済と財政を破局へと追い込んでしまうでしょう。

 

しかし、救いがないわけではない。

ここでは、北欧の事例を挙げます。

 

私は、30年ほど前、デンマークとスゥエーデンの企業を視察して感銘を受けました。

 

企業について

* 数百名の企業規模で高度技術を売りにした単一商品を世界展開していた。

* 生産は下請けに頼らず自社生産、生産作業は労働者の心身に負荷を与えず意欲を重視していた。

 

ライフスタイルについて

* 残業はせず、休日を充分とり、人生や趣味を謳歌している。

* 日本の男性だけに見られる赤ちょうちんの楽しみはなく、余暇は家族で楽しむ。

 

この状況は今も変わらないようです。

(私は6月に確認に行くつもりです)

 

 

北欧には国際競争力を高める政策があります。

 

国と企業、国民も科学技術と教育を重視し、競争力を重視する。

北欧の経営者に技術者が多い。

 

企業と労働者が敵対的ではなく、協力して競争力向上と賃金上昇、社会保障を確保している。

また国民が政府を信頼しているので、個人番号制は定着している。

 

職種別賃金が定着しているので、これを支払えない企業は撤退していく。

 

労働者が産業や企業の再編に適応出来るように、失業時の補償と転職の為の教育制度が確立している。

当然、キャリアを生かして転職であれば、同一賃金が得られる。

 

これらが大きな要素です。

明らかに日本にはないシステムです。

 

残念ながら、このシステムを日本に導入することは簡単ではないと思います。

それはあまりにも文化と政治風土が違い過ぎるからです。

 

しかし、とりあえず目標はあるわけですから、不可能ではない。

 

 

終わります。

 

 

 

 

 

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